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8章

218話 何をやるか

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 久々にリアル用事を済ませるために、ぷらぷらと街へ出てきて買い物したり、職場の用事を済ませたりと用事と言う用事を片付けて引きこもり生活に戻る為の事をやっておく。
 
 ついでに毎日毎日同じものを食べていると厳しくなってきたので外で食事も済ませておく。
 本日のメニューはチキンカツ定食。1,000円で食べられる上にご飯は白米と五穀米を選べるわ、味噌汁か豚汁か選べる上にご飯汁物キャベツがおかわり無制限。なおかつうまい。
 もしゃもしゃとそれを食べながら今日からまた何をやるかを考える。 

「案外やる事ないのよねぇ……マップ開拓とクエスト消化しようかな」

 そろそろ第三の街辺りまで進んでレベリングや銃器開発に必要な新しい素材でも見つけようかな?
 マグネシウムがあればフラッシュバンを作れるし、砂糖の量産が出来ればスモークグレネードも作れる。
 料理スキルがあるから砂糖はあるだろう、って言うか酒があるから、そこから糖を取れるか。

 MMOって基本的にレベルを上げてエンドコンテンツを目指すってのが大きい所で、後は細かい目標が散らばっている感じ。
 風景が良いからそのSSを取るって人もいるし、無駄に高い所に登って達成感を味わうって変態もいたな。後は見た目装備を揃えるために稼ぐってのもありか。やっべ、全部あんまり興味ねえ。
 ストーリーもあるっちゃあるけど、MMOのストーリーって何か知らないけど、普通のオフゲーよりもいまいち乗り切れない。
 協力プレイじゃないと突破出来ないのに、既クリア者ががんがん前出て進むのに、クリアしてない自分が間に挟まれるムービーでどんどん出遅れ、挙句の果てにはさっさとしろとか言われる始末で一気にやる気失せた事もあったな。

「どうしようかなぁ」

 食べ終わってまったり追加の杏仁豆腐を食べつつ、スマホのメモ帳に何をするかを打ち込み……する気力はあるけど、何も入れずに味を楽しみつつ、食後のお茶でまったりタイム。
 毎回ログアウトした時には何かやる事を見つけてリスト化して、ゲーム内でも見れるようにはしてきたが、安定し始め、やる事が無くなると難しいな。
 
 とりあえず700万あるクランの資金でクランハウス周りの強化でもするかな。
 地下増設と敷地拡大、クランレベル上昇に作業場の拡張辺りに手を出してもまだ資金が余るだろう。
 この辺りの物に関しては、サイオン姉妹のヘルプで確認しておくとして、折角もらった金は有効活用しよう……こんな事なら出かける前に一度希望の物をサイオンから引っ張り出してスマホにまで入れておけば良かった。

「ごちそうさまっと」

 杏仁豆腐とお茶を飲み干し、会計を済ませて外に。
 ついでにシリーズを買っている玩具とゲームを見てから戻るとするかな。




 そうして馴染みの玩具屋……って言うか家電量販店で独楽の玩具を購入したうえでゲームコーナーを物色。

「あー、T2Wもやっと量産するんだ」

 本体って言うかHMD同梱版とゲームデータの引換コード、データ入りのUSBが販売されている。
 ちなみに私が買ったのは前者で、後者は既にこの手のゲームをしている人向け。結構大きく宣伝されているんだな、コーナー1つ作って大々的に宣伝してるわ。
 公式も公式で力を入れてるからこそなのだが、そのコーナーで結構大きく販促PVが流れている。よくよく見たらVol5なんて右下に書いてある。いつの間にPVを5個も作ってたのやら。

「人口どれくらい増えるのかしらねぇ……対人イベントは人数の関係があるから今後は減っていきそう」

 パッケージを見ながら「ふーむ」と、唸りながら考える。
 しかし人口が増えると言う事はまだあの爆弾と火炎瓶に関しては需要が増えそうだから、もうちょっとあれで稼げるな。ただ、修正案件の中で爆発範囲の低下ってのがあったのはやりすぎたな。

「お客様、お買い求めですか?」
「ん、いや、私はもう持ってるから」
「ユーザーの方でしたか、T2Wは楽しめているでしょうか?」
「そうねー……概ねは」

 なるほど、と言いながらタブレットを操作しているスタッフの方へとちらりと見ると、この家電量販店のスタッフではなく、開発スタッフのようだ。
 そこそこ大きい家電量販店だからこういった訪問販売的な事もやってるのだろうか?

「それは良かった、中々ユーザーの方からの意見が聞けませんので」
「ま、そりゃそうよね、ゲームやってりゃ運営に送るメールって迷惑プレイヤーの報告だし」

 お、新しい課金アイテムが出てる。武具関係のスキンと騎乗ユニットのスキンか。他には露店の開店許可証……は持ってるな。こういう店頭パッケージはおまけが付いていたりするから案外ねらい目なのよね。店舗ごとにおまけが違うってパターンもあるし。

「そちらのスキンセットは今回のアップデートから実装ですよ」
「この店舗のおまけってあんの?」
「2,000円以上のスキンセットであれば、既に販売済みのスキンを3個選択できる券がもらえます」

 いいよね、こういう課金しても全くもって有利にならないけど、見た目や雰囲気を変えられる物。基本無料でスキンで稼ぐのは海外ゲームの模範って所かな。
 死ぬほどガチャ回させて虚無感マシマシの結果を永遠と見なきゃいけないとかクソも面白くないし、それがゲームの強さに直結しているとやる気が失せる。しかもその上で同じものを引かないとまともに使えない場合になっていたらそりゃもうクソガチャよ。

「じゃあ、スキンセット1個」
「ありがとうございます」

 そういって下がっていたスキンセットのパッケージを1枚手渡してくる。
 シリアルコードの入った厚紙ってちょっと味気ないのよね。説明書も今じゃ全部Webで見れるし。

「ちなみにですが、お客様のプレイヤー名は?」
「そういうのを運営に関わっている人に教えるのって不公平な感じがあるんだけど」
「何かしらの贔屓なんてしたら首が飛びますからやりませんよ」

 そういうものかなあ……と、考えていたら後ろのPVが2回目イベントの終盤辺りを映していたのでそちらに指をさし。

「あー、あれ、私」

 どこでどう撮ったのかは分からないが、いつもの葉巻を咥えてギザ歯を見せて楽しんでいる私の分身が大きく映っている。
 ほんの数秒だったのでスタッフが振り向いて確認した時には別のキャラが映っているので、私がどれかは分かんないだろうな。

「後でしっかり鑑賞しておきますね……ついでにですが、今ゲーム内で気になる事をユーザーの方にアンケートをしておりまして、答えていただければスキル引換券を1枚プレゼント中で」

 それは開発運営としてはどうなんだろうか、既存スキンに関してはあらかたばら撒くようにしているのかね。それって本当に良いのかって顔をしていると、少し向こう側で同じようにスキンセットを購入していた別の客がスタッフのタブレットにアンケート回答をしているのが目に見える。

「あんまし干渉してくる運営ってのは好きじゃないけど、貰えるもんはもらっとこ」

 苦笑されつつも受けとったアンケートが書いてあるタブレットに入力をしばらく続ける。




『To The World Roadへようこそ』

 家に帰り、いつも通り片づけを済ませて食事に掃除に洗濯とやる事やってからログイン。
 お布施のスキン関係は公式サイトでアカウントに紐付けしたら完了、ゲーム内メールに武具スキンと引換券が4枚。使用期限はないので、そのうちゆっくり交換しよう。

「さーてと、今日から何をやろっかな」

 相変わらずの自分の家の庭先でまったりとしながら購入したスキンを確認する。
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