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7章

192話 これからどうするか

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『To The World Roadへようこそ』


 あれから数日、レベリングや金策、ガンナーギルド、農業ギルドのレベルを上げたりと、普通のRPGゲームと同じような事を繰り返しつつ、T2Wの世界を堪能していたわけだが、何個かのアップデートと、次のイベントに関してのお知らせが上がっていた。

 とりあえず前からあった満腹度に関しては予定通り削除されて、料理品に関してそれぞれバフ効果が付くという形になった。
 一応運営側からの削除理由としては「ゲームテンポを悪くし、アイテムの煩雑さを促していた為、また料理系職業の需要を高めると共により自由度を上げる為」とのことだった。
 こうなってくると料理系のプレイヤーもちょっとほしくなるな、一応料理スキルは持ってはいるけど殆ど使っていないから死にスキルになっていたし、満腹度しか回復できないが、テンポが悪くなるから回復量の多い料理を使う、凝った料理を作っても結局その数値を上げるしかないと言うのがネックだったらしい。
 だったらいっその事バフ効果の付いたアイテムとして使えるようにし、嗜好品以上の物にするって流れだとさ。
 これのおかげで髭親父の奴が「料理もする」と言い出して、また私の家に引きこもる羽目になるとは思いもしなかったが、その辺に関しては特に制限をしていないし好きにしてどうぞ、と言った感じだ。
 この満腹度削除とバフ効果の付与で散々作っていた酒もさらにバフ効果が付くと言うメリットもあったのだが、それに付随してアルコール製造の時に大量に使うのを控えろと言われるとは思わなかったが。


 あとはダンジョン、マップ、モンスターやアイテムの追加要素だが、この辺はまだあまり触れていないのでどちらかと言えばうちのバトルジャンキーが担当だな。どこぞから拾ってきたレアアイテムをサイオンにぶん投げてとにかく売り上げを一番伸ばしているとは。
 ついでに言えばあのピンクがマイカと仲良くなったのか配信しながら一緒に色々と出回っているのも売り上げに貢献していたりする。パワーレベリングさせたのが仲良くなった理由ってのもあるが、単純に配信映えと前衛後衛、ついでに言えば気に入られているから色々連れまわされるらしい。
 そういえばピンクの奴は無事パワーレベリングに成功しているのでLv30になった後、ガンナーギルドに案内し、めでたくガンフーとしての道を進み始めている。理由は銃格闘を使っての戦い方が映えるのとそれで慣れたので、そっちを選ぶことに。
 まあ、どっちにしろ私としては新しい要素にあまり関わらない気がするので、前線組の二人に任せた方が良いだろう。なんだったら放出品でクランショップの品揃えがよくなるから売り上げも期待できる。


 大きくアップデートされた所の最後は闘技場システム。これもどちらかと言うとバトルジャンキー組が嬉しい要素……だと、思っていたらハマったのは意外にもトカゲの奴だった。メリットはアイテムは専用だし、銃弾を死ぬほどばら撒けるし、スキル研究が出来るってのがポイントらしい。
 公平性が売りなので何個かルールはあるらしいのだが、振り直しが出来ると言う点が大きいんだってよ。
 ただ、あいつの戦法が開幕手回しガトリングでの掃射をしまくるっていう戦略性もクソも無いまさかのごり押しパワープレイだったので、ドン引きしたが。
 勝敗数のランキングもあり、その中ではぶっちぎりで1位らしく、どうやってあのガトリングをかいくぐって仕留めるかがポイントになってるとか。
 がんがん世間に名前が出るから、自作武具類が売れて嬉しいとか。


 大まかに関係がありそうなところはこの3つって所だな。細々したバグだったり調整は普通にあり、ガンナー自体の調整は特になかった。ショップ価格見直しって部分はちらりと見たが、どこ修正されるかは分からんな。


 ああ、そうそう、あとイベント。
 また特別マップでの競い合いで、今度は何でもありのファンタジーごりごりレースをするってよ。前回はクラン単位だったので今回は個人戦と書いてあった。パーティーも無いので、完全に個人でやるみたいね。
 これに関して参加するかどうかはまだ分からないな。レース物は好きだけど、何でもありってなると結構大変なんだよなあ。
 準備含めて色々やらなきゃいけない事は多いし、ぶっつけ本番で機体触るのって結構危険なんだよなあ。初見操作のゲームでいきなりトップ取ったり上位は……取れるわ、なんたってゲームセンスがあるからな。
 まあ、開催予定ってだけだから今後どういうイベントになっていくかは今後詰めていくってかたちなんだろうな。一応ゲーム開始2週間は経っているし、近々やるんではあるんだろう。


 
 ここ数日の出来事はこんな所だな。
 ま、それぞれ思い思いの事をしながらゲームを楽しんでいる状況っては変わらない。
 うちのクランは何かを縛るって事は無いし、迷惑行為さえしなければ自由に楽しめってルールしかない。後はまあ、多少なりとクランのショップ使って売り上げ貢献しろってくらいか。

 で、色々と頑張っている中、私は何をしているのかって言うとだな。

「ガンナーギルドのクエスト難しすぎる気がするわ」

 今じゃガンナーギルドもLv4まで上げたわけだが、その貢献度を稼ぐための行動としてウサ銃を構えて木の上でじっと1か所にいるモンスターを監視し続けている。
 クエスト内容が、指定位置からヘッドショットで1撃で倒せとあるのだが、そのターゲットのモンスターが中々頭を出さないように動いている為に、こうして視認出来る所からじっくりと捉え続けているわけだ。
 繰り返し系のクエストではなければコンプしてなんぼだから、上から下までクエストを一つずつ片付けている最中の難易度高めのクエストになっている。
 
「毎度お馴染みになってるコボルトだけど、これギルド用の行動ルーチンで組んでるんかね」

 木の上で相変わらず狙いを付けるのだが、いまいち体勢が上手く決まらない。右手でウサ銃を握ったうえで左膝と左腕で固定化してブレないようにはしているがこれも何かしらのスキルが手に入るんだろうな。
 今のところ、覚えていたスキルであろうクエストしかやっていなかったから、目新しい事はなく、単純に貢献度稼ぎにしかなっていないのだが。

「これ、まさかとは思うけどこのままスキル出るまで相手の頭出てこないって可能性ないか」

 ゲームなので幾らでも構えていられるし、痺れたりもしなければ体が硬くなると言う事も無いので時間との勝負になる。
 こういう構えて動かない事を芋プレイとか言われるけど、あれも元ネタが何か分かってないまま使っているのしかいないんじゃないかな。私としては芋プレイしようがなんだろうが、勝てればいいし、相手が芋して前に出てこないってならそれはそれで良し。人数の多いゲームだとマップによってはどうやっても勝てない状況になるけど。

 そんな事を考えつつ、暫くコボルトの頭を狙い続けるわけだが、そろそろスコープも手に入れたいな、普通の照準じゃ距離の開いている相手だと使いにくくてしょうがない。

 トカゲとピンクはアタッチメント何それ?状態になっているし、やっぱり私がオプション周りの開発をしないと……いけないねっ。

「よし、1発!」

 余計な事を色々考えている間に、ターゲットが頭を出してくれたのでさくっと撃ち込んでクエストクリアだが、銃声が響くので他のコボルトが此方に向かってくる。

「さっさと逃げるとしようか」

 ひらりと木の上から降りてすたこらさっさ。
 さてと、イベントまで何をしようかな。
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