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6章

186話 地獄の番犬

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「それにしたってどうやってレベル上げたん」
「マイカと一緒に火山行ってきたんだよ。初めて共闘したけど、どうやってスカウトしたんだ」
「あいつは最初のイベントの時だったかしらねぇ……ほら、あのでかいゾンビ倒す奴」
「あれかあ、クラン参加って思ったけど、全員バラバラだったし、そこまで成績良くなかったわ」
「丁度3人PTだったんだけど、もう1人は対人イベントの時に鍛冶クランと大きくぶつかった所のマスターよ」

 あれから成長したのか、環境が変わったのか分からんが、ちょっと抵抗するようになったんだよな。大分無茶ぶりさせたからしょうがないんだろうけどなあ。

「あの髭親父もあいつの仲介で紹介されたからな、案外大きい人脈もってんのよ、私」
「何をどうやったら……で、此処なのか?」

 Lv30になったトカゲと一緒に地下への階段を降り、鉄扉を叩いていつもの流れで中に入る。勿論だが、私と同じような条件をクリアしているトカゲが中に入れない訳もなく、一緒になって受付に。
 所属するしないってのはトカゲ次第なので、私は私でギルドクエストを何個か受けておく。まあ、所属しないって言う選択肢はないか。
 そんな事を思っていたらそのトカゲが話しかけてくる。

「二次職選ぼうと思うんだが、いいか?」
「で、どんなのあったの」
「キャンセルは出来るから見たらどうだ、俺は銃職人があったからそっち選ぶぞ」
「やっぱ特化するか汎用型かって感じ?」
「見る限りはな、詳細もざっと見れる」
「ちなみにガンスミスってどういう感じなん」
「純戦闘から半戦闘半製造ってとこだな、戦闘力は今のガンナー据え置きっぽいから、装備でカバーするのが銃職人、ガンスミスだな」

 その辺は予想通りだったな。あの手作りガトリングも二次になってから作れば良かったのに……と、思ったけど、ここから開発していってフルオート化になるのかね。そうなるとやっぱり機械工学の製造もあるような気がする。

「ふむー……とりあえず私もそろそろ腹括っていくかなあ」
「特化型、遠距離近距離どっちかの専門は見たけど、俺は俺であまりスキル持ってないからな」
「まあ、取り合えず見てくるわ」

 ざっくりクエストを受けてから受付に行って改めて二次職の転職を進める。

「うーん、迷うな」

 ウィンドウにある二次職の一覧なのだが、結構な数がある。
 各銃器の専門職、トカゲがなったガンスミス、ガンフー、偵察兵、ガンスリンガー……名前だけで全くもって分からないのが数個、アウトロー、ケルベロス、ゴーストってとこだな。

「惹かれるのは分からん3個。転職後の変更は可能だからとりあえず選んでみるか?」

 一発勝負じゃなくて今後のスキル構成と覚えるまでの時間を費やされるかどうかって所なんだよな。ちなみにトカゲの奴は二次職祝いのスキルを見てきゃっきゃと騒いでいる。
 
「早くしてくんない?」
「今考えてるからちょっと待って」

 NPCに急かされるとは……それにしてもどうするよ、下手にこんな所で時間を掛けるのもしょうがないのだが、最初に選んだ二次職のスキルが貰えるってのもでかいんだよな。
 どういう専用スキルを覚えていくのかが不明だし、それを把握するのも全部手探りってのが気がかりなんだよな。

「早く決めたらどうだ」
「速攻でガンスミス選んだあんたに言われたかないわよ」
「二次職からは関連職だったらジョブチェンジ出来るんだし、そこまで悩むか?」
「貰えるスキル変わるんだから悩むに決まってんでしょ……!これ以上の難易度と不遇状態に会いたくないんだわ」
「自宅に数百万使って、ガンナーとして成功してるのにか」
「イベントで銃器の交換が出来なかったら此処まで来れてなかったわよ、ライフル、ショットガン、拳銃の3種類の使い分けが出来るだけで大分救われてた場面は多いし」

 そう言いつつ、唸りながら開きっぱなしのウィンドウをじいっと見つめて頭を抱える。今このままの状況で言えばアウトローを選ぶのが似合い過ぎているのだが、拳銃メインで早撃ち特化になるような気がする。
 
「ねー、トカゲよぉ、大型武器だったり、ギミック満載の装備作れる自信ある?」
「そりゃな、じゃなきゃ手回しガトリングなんて作らん」
「じゃ、ケルベロスにすっかな」
「どういう理由で?」
「それをベースにしたゲームや作品って結構銃器を使うからってのと、私が好きなゲームもそれに倣ってるからよ」

 そういう訳でぽちっとな。

「これで決定で良い?」
「ああ」

 認証されると共に派手に演出が掛かって転職……って訳ではないのだがシステム音声が流れてくると共に、職業の詳細が出てくる。


名称:ケルベロス
特性:特殊武器種『銃』を使用可能。他の武器種使用時に極めて大幅な弱体補正。
  :大型銃器の使用時に+補正、また銃器使用時の動作に+補正。
  :大型、複合銃器の使用に精通している二次職、大型武器と言うだけで浪漫。


「ま、中々良いんじゃない?で、手に入ったスキルってのが」


スキル名:大型銃器 レベル:1
詳細:【パッシブ】
  :一定サイズ以上の大型銃器の使用時に+補正
備考:スキル条件のサイズに銃種は問わない


「まあ浪漫スキル、どのくらい補正掛かるかは分からんけど」
「結局どういうのにしたんだ」
「でかい武器使うと強い職」
「それはまた、浪漫だな」

 大きい武器は心を擽られるからしょうがないね。確かに実用性や強さは大事だけどやっぱりモチベーション的には浪漫が無いとやってられんわ。
 
「あんたが頑張って銃器開発してギミック満載の大型銃器作ってくれりゃ一番いいんだけど、暫くかかりそうね」
「いや、そうでもない。完成品の銃器が買えるから、ばらして流用とかも出来そうだからそこまで難しくないと思う」
「銃器1丁の値段見たら数揃えるの大変だと思うぞ」

 この間試射した、あのマシンガン1つだけでも20万くらいよ。高級品なのはいいんだが、あの精度ではちょっと使いにくすぎるんだよなあ……トカゲの言ってる通りばらしてパーツと機構だけ流用するってのが一番いいんじゃね。
 
「そろそろクランハウスも目処が立ってきたし、またなんか新しいこと探さねえとなあ」

 イベントでもまた開催してくれたらそっちに意識を集中できるから良いんだけど、次有ったとしても三日後以降だな。
 特設マップに飛ばされる物じゃなくて、普通にやってる上でイベント報酬が貰えるような物でもいいんだが、お知らせ更新されないとわからんわ。

「私は戻るけど、あんたどーする?」
「持ってないスキル覚えに行くかな、射撃場も使ってみたい」
「じゃあ、此処で解散だな、どうせ家で会うんだろうけど」

 こっちもこっちでLv2のクエストを受けていたのでそれを消化しつつ、ジャガイモの生育待ちするのがいいかな。地味に此処に来る前にさくっと収穫して売っぱらってるのでやる事はないんだけど。
 何だかんだで貯金額も増えてきたからぼちぼちクランハウスの方の立地も確定させるのもありか。

「後はスカウトしてるのが上手い事銃弾作る所までいってくれりゃ、もうちょっと動けるんだが」
「一大ガンナーギルドにでもするのか?」
「そういうのは興味ないわねぇ……他の誰かがやってくれるんじゃね?」
「抱え込んだうえで銃弾を大量にイベントに持ち込み荒らしまわるもんだと」
「そういうのはやりたい奴がやりゃいいのよ」

 手をぷらぷらと揺らしながら先にガンナーギルドを後にする。
 転職祝いのスキルともう1個面白いもんが貰えたし、クエストついでに確認しに行こうかね。
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