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6章

183話 分岐点

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 マジで二次職どうしようかな。
 トカゲの奴の30待ちがあるせいで結構手持無沙汰な状態。で、いつもの様に農業ギルドの納品作業とジャガイモの収穫をしつつガンナーギルドのクエストも物色しなきゃいけないのよね。
 やること自体はまだあるからいいんだけど、待つのっても中々大変じゃない?
 
 とりあえず日課のジャガイモと硝石は回収しておいて売却するわけだけど、一旦この辺でログアウトしておこうかな。何だかんだで大分ログインしているし。
 ちなみにだが、あそこの北東エリアを制圧するのにゲーム内7日、リアルで単純に42時間掛かっているので、今に至るまで丸3日ほど掛けてる大作戦だったりする。で、リアル12時なのでそろそろ一旦昼休憩でも挟もうかって感じ。
 
「ログアウトしてから家事やるの結構大変だったりするんだよなあ……」
「えー、アカメちゃん、主婦ー?」
「いや、1人暮らしよ」
「ログアウトした時そんな事してるとは思ってなくてぇ」
「そーよー、結構家庭的なのよ、私って」
「その見た目でぇ?」

 ちょっといらっとしたのでわしゃわしゃ頭を撫で回し、ため息を吐き出す。見た目で人を判断するんじゃーないっての。わしゃられているのは「やーめーろーよー」って言いながらきゃっきゃと騒いでいる。

「そういえば結局料理スキル取って使ってないんだよなぁ、腐ってるスキル多いわ」
「あたしはスキルガン回し……って程でもないかなぁ、パッシブ型だしぃ」
「そういえばあんたって二次だったけど、SP振り直し出来るの?」
「どうだったかなぁ、結構早い段階でなったし覚えてないなぁ……」
「これだからバトルジャンキーは!」

 両手でわしゃわしゃと撫で回し、髪の毛をぼさぼさにしてやる。ささっと髪の毛直せばすぐに元に戻るのであんまり意味のない行為ではあるのだが、何となくイラっとしたからやってやった。
 それにしてもやっぱり振り直し出来ないのと作り直しが容易じゃないってのはゲームとしてはどうなんだろうな。
 アカウントの紐付けを使ってアイテム量産をするっていう結構な邪道のゲームプレイってのもあったけど、そういうの防止か。
 ガンナー量産して銃弾大量手に入れてパワーレベリングってのも、ゲームバランスを破壊するにも程があるわ。

「結局、トカゲの奴を待って後から一緒にってのが一番いいな」
「で、アカメちゃんってどういうスキル組んでるん?」
「んー、そうねえ……」

 メニューを開いて改めて確認する。
 アクティブ系スキルって二度撃ち、トラッカー、装填、ガンスミスだが、戦闘として使えるのは前3個で、イベントの時に使った跳弾は今は覚えてないからノーカウント。
 高回転で使っているのはあくまでも装填くらいで、他のスキルに関してはパッシブ系だな。考えてみればアクティブ系のスキルはこれ以上あってもMP的にも使い所が難しいな。と、なると今後覚えていくスキルはパッシブ系で固めていくのが定石になる。

 問題は銃器のカテゴリーが結構な数ある事で、接近戦特化、遠距離戦特化、ついでに言えばライフル、ショットガン、ハンドガン、アサルトライフル、LMGにSMG、グレネード……いや、まあ考えるだけ無駄なんだろうけど多い。
 いや、剣だって色々あるからそんなことないな。あの髭親父が槍に進んだから戦士でも剣、槍、斧で色々派生があるだろうし、魔法だって各属性の特化になる可能性は高いってかそうだろ。
 メカクレの奴も魔法矢って言う物理ガン無視系だし、おしゃべり忍者なんて盗賊から忍者になってるしな。
 
「今後の事を考えるとやっぱ結構考えて選ばないと駄目だな」
「んー、難しいねぇー……あ、一応後で選び直し出来るよ」
「お前、お前ぇ!」

 また両手でわしゃわしゃ撫でまわす。そういう大事な事は先に教えろ。

「んあー、でも、SPは戻らないしぃ、スキルの幅は出るけど方向性がぶれるからあんましお勧めしないかなぁ……あたしもぉ、スキル欲しくてやったけどぉ、職ごとの熟練度的な物もあるしぃ」
「職業によって達成数の数が違うって奴か、前に何かのタイミングで聞いたな」
「そー、それそれぇ、あたしはぁ、蹴り技主体だけど、投げ殴り系の方に行って時間無駄にしたしなぁ」
「二次からの選択幅広すぎんだろ……」

 何だよ、選び直し出来るってならさっさと二次職見てもよかったな。こうも考えてる事が空回りすると何とも言えないわ。
 
「はー……いいや、取りあえず一回ログアウトして家事やら済ませてくるわ」
「はーい、おつかれぇ」



『お疲れさまでした、これよりログアウト処理を開始します』


 HMDを外していつものストレッチを済ませ、手っ取り早く掃除洗濯飯の支度。
 あとゴミ投げるのも忘れない。

 それにしてものめり込むと家の中が酷くなる。あんまり動くことも無いし、定期的な掃除と片付けってやっぱ大事だわ。それでもそんなに家に物を置かない方だから掃除は楽なんだけど。
 何だったら対戦ホビーなのに1人で遊ぶためだけに買ったおもちゃが一番かさ張ってるってのもあるけど、ゲームやってるとやる暇がない。ただ新しいのは定期的に欲しくなるって言うジレンマ。
 まあ、それは置いといて……二次職をどうするかって話よ。

 転職後の変更は出来てスキル幅は広がるわけだが、スキルの取得進行度が悪くなる可能性が高いのがネック。
 ある程度方向性を決めた上で、自分のメイン武器と相談して選択して、其れ一本で考えるってのがよさそう。イベントの頻度が凄くある訳じゃないから、SPはだいぶ貴重なステータス。ってかこんな事なら本当にさっさと二次職になっても良かったわ、後悔先に立たず。
 
「まー、それでも人柱って大事よねぇ……流石にこれ以上大変なのは勘弁願いたい」

 そんな事を言いながらぱたぱたと足を揺らしながらタブレットの操作をして久々にやる事リストを作っていく……って思ったけど、やる事は正直殆どないんだよな。
 とりあえずトカゲを待つのは変わらないが、私が何しようって話になる。必要な分のレベリングは済んでるし、かといって早急に必要になる装備やアイテムってのもない。
 今一番必要なのは金策だが、それは変わらずやっているわけだし、やらなきゃいけない農業ギルドとガンナーギルドのレベル上げは結構長期的な計画だからなあ。
 一応ガンナーギルドのクエストは見たが、戦闘系だから基本は討伐ばっかり、納品しろとか作って来いって言われて時間かかるよりは全然楽なんだけどさ。

「トッププレイヤー狙ってるわけじゃないし、そろそろゆったりでもいいかもねー……」

 そもそもMMOにおけるトップってなんだろ。やってりゃあがるレベルで自慢した所で何にもならないし、その職業に精通しているって意味ならトップって言う必要はないよな。ランキング関連の物は対人の時しかなかったからなあ。
 ランクやレートの上位に行けるのは好きだけど、ある程度固執しないと維持できないし、上にも行けないから疲れるんだよな。

 何にせよ、しばらくはゆったりしながら金とギルドレベル上げつつ銃弾を量産するいつもの感じしかない。ギルド探すのに躍起になってた少し前が懐かしいわ。

「またなんか新しい事見つけないと、グダるなあ……トミーガンでも見つけてマフィアプレイでもするか」

 結局ガンナーギルドのレベル上げるのが必須だわ。
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