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6章

181話 札束でぶん殴れ

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「で、何で戻ってきたんだ」
「一旦落ち着こうと思って?」

 もうギルドの場所が判明したから、後はゆっくり確認なりをすればいいだけなのでゆったり葉巻を楽しみながらどうしようかとメモ帳を開きながら椅子を揺らす。
 
「見つけたならすぐ二次転職したらどうなんだ」
「んー……それはある程度情報がある場合に限るかなあ……SPは有限だし、取り返しがつかない要素だとやっぱ慎重になるもんよ」

 まだ何になるか決めていない、と言うか。そもそも何になれるかまでは確認していないので無駄な考えと言われればそれで終わってしまうんだが、こういうのってかなり悩むんだよね。
 一発勝負だからこそ、今後それで立ち回れるかどうかってのが問題になるわけだし、選んだ職業が外れだとしたら、流石の私も本気で心折れるからしょうがない。
 じゃー、どうするかって話よ。

 ガンナーとして30レベル以上になって、ギルドを探し当てたのが私だけだと仮定しても、あの足跡は何だろって話になるんだよな。トラッカーの基本としてNPC、プレイヤー、モンスターは問わずに選択できるとしても足跡と姿に強調が入る。
 だから、最初に見つけた足跡がプレイヤーなのかNPCなのかの判別がつかない。モンスターの種類を特定ってのは出来るんだけど、選べるのはそこまでってのがな。そもそも対人想定してないからこその仕様だからしょうがない。
 数百人のうち、どこまで私と同じレベルのガンナーがいるのかってのもわからないし、私よりも先に進んでいる奴だってきっといるだろ、それに私はやってないがパワーレベリング、寄生、引き上げだったりと名称は色々あるけど、仲間やパーティーでのレベルを上げる方法もあるしなあ。
 
『トカゲよー、今なんレベル?』
『ん?まだ24だけど、どうした』
『ちょっと良い事考えたからさあ……ちなみにどれくらいでそこまで上げた?』
『んー……作り直してリアルタイム4日くらいだったかな、銃が使える、火薬が手に入るってのはボスから聞いてたし、鍛冶の時からある程度試作が出来てたから早い方よ』
『ちょっと30までサクッと上げてくれないかな、人柱やってや』
『見返りがないとなあ』
『ガンナーギルドの場所教えてやるから』
『よし、ノった』

 これでまず一人目、後はあのピンク髪がいればいいんだけど、あいつに銃弾出来るまではなるべく会わんって言った手前、いきなりあーだこーだ言うのはちょっと違うな。
 まあ、とりあえずトカゲの奴を生贄にして、どんなものかを確認しよう。ただレベリングは手伝わない。

「あんまりクラン員を悪だくみに混ぜるんじゃない」
「いやー、Win-Winよ?ギルドの場所教えるから、先に二次転職しろってだけなんだから」
「全く……あの様子みたらガンスミス系の特化になるんじゃないのか?」
「……うん、まあ、それはちょっと思う」

 暫くぶりに此処に戻って、鼻息荒く手回しガトリング見せられた時はテンションも上がったし、何だったらなかなか嫉妬したよ。
 手回しガトリングって発想はあったけど、作る労力と使える所を考えたら実用的じゃないから無視していた物なんだけど、やっぱりある程度形になったものを見たら「いいなー」って思うのよ。作れる技術的な所でもやっぱり、物作りメインでやってるトカゲの方が上手いし。
 あのパイプライフルとパイプ銃ですら出来はトカゲの方が良かったってのもあるな。ざっくりこうしたらいいってので作った私と違ってしっかり設計図起こしてたし。

「あと100万くらい溜めたらクランハウスも買えるし、あんたもあの密造酒捌いてちょっとは協力してくれてもいいんじゃない?」
「今は色々素材と材料を集めている所なんだよ、やっと樽が安定してきたんだ」
「あれこれ考えて作るの楽しいっしょ」

 「まあな」と、ぽつりと言いながら軽く笑みを浮かべているのを見ながら葉巻を揺らす。木工職人あたり捕まえて樽や家具量産するってのもいいかもしれんなあ。
 うん、まあ1人ぱっと思いついた奴がいるけど、あのおしゃべり忍者からの紹介だったからなあ……あれからあいつと軽く会話したけど、対人イベントの不意打ちワンパンで結構文句言われたのよね。まあ、其れでも行けるだろ。

『今いい?』
『ちょっとだけなら大丈夫っすよ』
『この間紹介してくれた木工職人いるでしょ、あいつと連絡取れないかな』
『別に良いっすけど、どこにいるかまでは分からんっすよ』
『よくよく考えたら名前聞いてないのよね』
『普通言うっすよね……』
『いーから、ほら、連絡とりなさいよ、あんたのコミュ能力はかってるんだから』

 そういうと連絡すると言って会話が切れる。
 
「そういやギルドショップ見に行くの忘れたんだよなあ……連絡来るまでちょっと出てくるわ」
「変な奴ばっかり増えるのは問題だろうがな」
「いいのよ、いい子ちゃんばっかりと敬語で会話するのとか普通に疲れるし」

 そういって立ち上がり、ガンナーギルドへ改めて向かう。



 
 結局ガンナーギルドってどの地点なのかって話になるのだが、場所的にはエルスタンを十字に切って4等分した場合、位置的には左上、北西側になる。
 木工と鍛冶ギルドはまあまあの距離、アイテムショップと転移地点からはそこそこ遠い。
 
 それにしたって、普通だったらどうやって探すんだろうな。
 たまたま気になったからで見つけたわけだが、トラッカーも無ければ、銃弾も作った事が無い、銃も製造したことがないってなると、許可が下りないのか?それともガンナーである事がそもそもセーフで、サブ系や二次職として新たにガンナーになる場合はそういった条件で解除されるかもしれない。
 
 まあ、どっちにしろ他人の事なんて知ったこっちゃねえんだわ。
 もう見つけたうえに「私」が良ければなんでも良い。強力な武器を持っている分、ハードルも高くしてるってなら理解も出来るし。壁に掛かっていた銃もちょっとそれ駄目じゃね?って物があった。
 いくら銃身だけとは言え、あの「ト」型の形はもうまるきりアレ。銃とは言えない代物だけど「擲弾発射器」だから、ぎりぎり銃器ってなるんかな。

「私としてはそっちよりもこっちなのよね」

 地下に降り、鉄扉を開けて中に入ると共に、すぐさまギルド受付横のショップ……って括りの受付に行って中をじっくり確認する。

「うん、まあ、予想はしてたけど結構な値段するな」

 どうすんのよって顔している受付をちらちらと見つつ、銃弾1発の値段を見るわけだが……流石に2,500Zはうーん、まあいい値段か。
 ジャガイモ500苗分で60発買えるけど、やっぱずっと金策するしかないのかな。

「ああ、でも、素材は結構安いな」

 薬莢や雷管を入れるカップも売ったりしているので、その辺は大量購入しやすいな。1個10Z~100Zくらい。リアルじゃ使わないからって無料配布や、掴み放題ってのもあるけど、良い所だな。

「流石に銃器そのままは売ってないんだな」
「何だ、銃が欲しいのか」
「そりゃあ、弾があっても撃つもんなかったら意味ないじゃない」
「ある事はあるが、お前のギルドレベルが足りんな」

 あー、そう言う事か……まあ、買えるものが増えるってのは別ギルドの時にもあったから納得。ついでにクエストも見ておく?トカゲが30レベルになるまでは二次職はまだいいわ。結構安牌切りたいのよ。
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