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6章

178話 指定ゲリラ部隊

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「おらぁ、くたばれぇ!!」

 銃剣を突き差しねじ入れたまま、オークの顔面をがんがん蹴り続けながらまた一匹片付ける。
 ポリゴン状に消失していくのを見ながらふいーっと咥えていた葉巻を深く吸い、紫煙を堪能してから一気にぶはーっと吐き出してその場に座り込む。
 大分火山の方に進めたし、そこそこの数の拠点を潰してきたし、そろそろ本格的に火山に向かおうか。
 流石に連戦に次ぐ連戦をしてきて、銃弾を撃ちまくり、正しい意味で焼け野原にしてきたわけで、そろそろ十分か。

 これがもうちょっとリアル描写のゲームだったら死体が残って、その上にどかっと座って葉巻を吸ってるんだろうな。ただ、これは全年齢のゲームなのでそういうのはNG。
 色んなゲームがリアルになっていくのに、描写が残酷だから変な所で規制掛けるのって何とも言えんよな。しかも年齢規制掛けてるのにさらに規制って訳分からん。

 まあ、もしもこのゲームの対象者が18歳以上だったら、何度も突き刺して接近戦で撃ち込んでる時点で相当スプラッタになるな。おー、ぐろい、ぐろい。

「それにしたって疲れるわ……」
 
 ぷかぷかと紫煙を吐き出しながら、休憩を暫くしてから立ち上がる。
 ここで何度も戦っている間に分かった事があるのだが、このマップの特殊ルールなのか、拠点を潰したら暫く湧きが抑えられると言うのがあった。
 つまり拠点を潰しながら先に進めば火山への進行がしやすくなる。ついでに拠点の方はそこそこ時間を掛けないと復活しないので定期的な駆除が大事になるっぽい。
 まあ、潰し始めて経ってはいないので正確性はないのだが、これは今後要検証。
 火山がどれくらい有用なのかもわからんから、今回で終わる可能性もあるけど、有用だったらあのバトルジャンキーにでも命令して制圧戦でもしてもらうかな。弱いかもしれんけど、そこそこの相手だったら練習相手としては使えるだろうし。

 あと今のでレベル30になったのでいつも通りステを振りつつ、新スキルを確認しておく。
 このオーク拠点を潰している最中に新しく覚えることが可能になったのだが、やっぱりあったと言うか、何で無かったのか不思議だった要素の一つがここで解明されたと言うか、別枠だとはね。


スキル名:ヘッドショット レベル:0
詳細:【パッシブ】頭部への攻撃時に固定ダメージボーナス
  :但し通常ダメージの威力低下
備考:スキル取得後、スキル効果のON/OFFが可能


 メリットデメリットが結構はっきり出てるスキルだな、銃剣で押さえつけて頭に追撃出来る状況を出来るのならかなり強いが、通常戦闘で頭振ってくる相手だと狙いが難しいし、使い分けが大事って事かな。
 じゃなかったらスキル効果のON/OFF機能なんて付けないしな。
 SPにも結構余裕が出てきたし、振ってもいいかな。

「ってか……何で潰し始めたんだっけか」
「火山に行くって話だろうに」

 焼け野原の真ん中でくつろぎながらスキルの使い道を考えていると、いつもの髭親父が「まったく」と言った顔とため息を付きながら近づいてくる。おうおう、私に任せておいたのに結局こっちにきたんかい。
 
「せめて会話が聞けるようにはしてくれんか、探すの大変だったぞ」

 あー、そういえば通知と音声消してたんだっけか。集中する時に余計な会話入ってくると集中が切れるからしょうがないよな。とりあえず通知と会話が聞こえるように戻しておくか。それにしてもちょっと会話が無いくらい心配してくるってどうなのよ。

「これを届けてほしいって言われたからな」

 頼んでたガンシールド……って言うか、小型バックラー?かな。一応材質的には金属で、長方形の板を複数枚重ねての多重層にしてるのは分かる。
 とりあえず装備するが、要求ステータスがぎりぎりじゃねえか。金属盾でなおかつある程度の防御力があるとやっぱりSTRの数値が高くなるのはしょうがないな。
 何だかんだでここで倒しまくってたからレベル30にはなったが、STRは10のままで上げておらず、A>D>S型なのは変わらない。


名称:ガンシールド 防具種:片手盾
必要ステータス:STR10  
受防御力:+15
効果:受防御時の際にのみ効果を発揮
詳細:腕に装着する多重層の金属盾
製作者:バイパー


「防弾チョッキみたいな追加装甲も頼もうかしらねー」

 受け取ったシールドを右腕に装着して何度か腕を上げ下げ、銃を構えて下ろしてを繰り返す。

「普通左腕じゃないのか?」
「今まで別に言ってきてないけど私左利きだから良いのよ」
「で、火山までどうやって行くんだ」
「何、付き合ってくれるん?」
「まあ、此処まで来たしどんなものか見るのは良いだろうよ」
「下手したらうちのクランで定期的に此処を処理する形になるかもよ?」

 それはそれでめんどくさいなって顔をしながらもまんざらでもないような感じに言ってくる。何だかんだで付き合いがそこそこ長くなってきたし、私の事を理解してきてるんじゃないか。
 
「お、いたぁ」

 また1人うちの煩いのがやってきたな。こういう時に限ってはお前の戦闘力は頼りになるってのは分かってるけど、こういう時にはまだまだ新人は来ないな。
 やっぱりイベントで共闘しただけあって結構気心が知れているな。それに何だかんだでバトルジャンキーの方に関しちゃ、最初のイベントの時から一緒になってるわ。
 
「こういう時に新人はまだ来ないわね」
「ガトリング作るのに忙しいからな」
「私がいない数日に何作ってんのよ」
「アカメちゃんはうちのクラン状況に疎いですなぁ?」

 私よりもクランの情報が疎い奴に言われるとは思わなかったよ。

「ここ最近は風邪で寝込んだり、此処の攻略に注力してたからしゃーないでしょ……ガトリングは、うーん……まあ色々ツッコミ所はあるけど、会ったらお礼と一緒に指摘したろ」
「たまには3人で戦うってのもいいじゃんかぁ」
「イベントぶりだけどな」
「試験中の新人もきっとうちに来るだろうし、今度皆でどっかでるってのも有りね」

 何だかんだで、あのピンク髪の事は結構買ってたりする。泣きついてきた時の顔はちょっと面白かったし、うちの宣伝、広告塔としては良い所じゃないかな。
 それでうちの特産品が売れればクランハウス作るってのもさくっと進むもんよ。

「それじゃあ、あの拠点落としに行くか」

 ぴっと近くにあるオークの拠点を指さして準備を始める。
 しっかりモンスター相手にこの3人で戦うってのはそういえばないな。まともに髭親父の戦いを見るってのも無かったし、いい機会かもしれん。バトルジャンキーの方に関しては散々見てきたから言う事は無いな。
 


「それじゃあ、不意打ちかますから、後はいつも通り」
「雑な戦いばっかりじゃないか」
「うちのクラン、ゲリラ戦特化になってるきーする」

 ま、その通りなんだけどね。
 
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