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5章
163話 憎い人
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「よく燃えるわ」
目の前で炎に炙られて、こんがり焼き目が付いたのを1人ずつ撃ち抜いて数を減らす。
あの犬野郎が用意周到と言うのも理解しているので、多分最後の方まで残るだろうし、あいつがクラマスで、一番耐久力が高いから、ポーションは集中してくると思うんだ。
単純に数が少なくなった時、集中砲火を貰っても耐えられる防御力とHPで反撃ってのを考えるとタンク残しが妥当だよな。
ヒーラーを残してエリア外ダメージ受けながらひたすら回復し続ける邪道な戦い方もあるけど、流石にそれは普通のバトロワ系のゲームでもあまりやらないか。
「キルログ有ったら結構いい線いってんだろうな、私って強いから」
いつも通り、装填したクリップが跳ね飛んで金属音を響かせながら一息。
強いってのは完全に武器と職業のおかげだけど、ぼんぼんと40以上のダメージを確定で出せるってだけで相当なアドバンテージよ。
『そっちは』
『魔法矢飛ばしてくる弓職とやってるけど命中力くっそたかいんだけどー!』
『そろそろ回復して持ち直し始めているぞ』
『よし、追撃するわ』
銃弾5発を装填し中腰で構えたまま前進、銃撃音は嫌でも聞いてるだろうし、こっちの対策くらいはしてくるだろう。
基本的に直撃しなければ固定ダメージは入らないので、盾に対して非常に弱い。ついでに言えば障害物や何かしらの緩衝するものを挟まれても非常に弱い。
「ま、やっぱりと言うか、陣地構築するよね」
やっぱり知ってた、土魔法での障害物生成。雪合戦してる時のしゃがんで隠れられるサイズの土嚢って感じか。
土嚢ってすげえ手軽に使える良いもんだよなあ。麻袋で作っておけば燃やして燃料にもなるし、そこら辺の土で作れるし、中身は適当に捨てれば畳んで持ち運びも便利。
そして何より、防弾耐性もばっちりだから、ウサ銃じゃ貫通できんな。
映画によくある自動車のドアを盾にする奴って、薄すぎて意味ないんだけど、あれで防げるってドヤ顔決めて言われた事があったが、鼻で笑ってやったわ。
そういう訳だから、あの土壁を吹っ飛ばす手段を見つけないといけないのだが、炸裂魔法って勘違いしてくれてたらいいな。
「爆破や炸裂スキルってあるもんかね……」
パイプ爆弾1つ取り出して生活火魔法で着火、うんうん、やっぱり便利だなこのスキル。
で、土嚢を作ってる最中で悪いんだけど、吹っ飛んでもらおうか。
軽く走ってから思い切り振りかぶり、パイプ爆弾を放り投げて土嚢の裏のあたりに落とす。案外30mって届くもんだな、これが銃撃系のゲームだったら即死距離圏内だけど、即死もしないしマジ有利。
落ちたのを見て、一息つくとまた大きく爆発が起きる。
十兵衛の奴が投げたのより規模大きい気がするが、ボマースキルのおかげだな、うん。
「おー、吹っ飛ぶ吹っ飛ぶ……やっぱりダイナマイトとか作りたいよな」
リモコン式のも作りたいな、クソ生意気なウサギの住処を吹っ飛ばすくらい、威力の高い奴を開発したい。
C4の成分ってどうだったかな、今は何でも調べれば出てくるし、リアルで作ろうとしたらすぐに捕まるけどさくっと分かるはず。
「それじゃあ次はっと……」
土煙が上がっている所に近づきながらさらに奥に火炎瓶を投げ込み、炎上。
良く燃えてくれるわ、叫んでくれるわ、いい音が奏でられている。
狂人だとそれを聞いて指揮棒振ったりしながら悦に浸るんだろうけど、あれは理解が出来んな。
「最後は大盤振る舞いで使ってやるんだから、有難く思ってほしいな」
トラッカーも同時に使い、土埃にまぎれたのをウサ銃で撃ち抜く。ボマー効果の爆発と銃撃ダメージで確殺できるのは何度も言う通り圧倒的に強いわ。
この状況下を作り出せるのと、分かっていても不意打ちじゃ防げてないってだけだが、有利に立ち回れるのって対人としてはものすごく重要。
そんな事を思いつつも銃声が響くたびに1人やられると言う事実がある程度認識されたのと、爆発や炎上が起きれば被害甚大、その2つが合わさると士気にも影響するんだろうな。
トラッカーで見る限りで南側にじりじりと追い詰めている。
そして引き金を絞りこれで5人目。
おっと、新しい土嚢か……MPさえあればとにかく壁が作れる上に、大きさも自由自在って中々うざったいな。
多分だけど大きさに比例して使用MPの量も増えるんだろう、普通に立って隠れられる物よりも、細かく多く作って防壁を築いているし。
まあ、そういう悪い物はさっさと壊すに限るよね。
「ま、消耗してくれるってのなら全然いいんだけどさ」
次のパイプ爆弾を放り込んで、爆破。
そろそろ対策の1つや2つしないと全滅しちゃうぞー。
『ごめん、そろそろ死ぬわぁー』
『ういよ、お疲れ』
『あの弓使いはボコれたから……まー、仕事した……』
『落ちたな』
『みたいね、そっちは?』
『引き込んで戦ってるからまだ持つが、もう少しで儂も落ちるぞ』
『火炎瓶の抱え落ちするのはマジでやめろよ』
うちの鉄砲玉が沈んだな。それにしてもあのメカクレの奴とどうやって戦ったんだ?対遠距離の戦い方も出来るとかどんだけバトルジャンキーなんだよ、あいつ。
とりあえず後は十兵衛が火炎瓶全部放り込んで、とにかく暴れて削ってくれればどうにかこうにかなるだろ。
まあ、いつもそうだけど、大体想像でどうにかなってるし、大丈夫だろ。
「それじゃあ、お次はっと」
また火炎瓶に着火させて投げ入れ、炎上。
複数相手にしたらやっぱり同じ戦法になってしまうのはしょうがないな。
爆破して燃やして先に進んでいく訳だが、どんどんと抵抗が薄くなっていくのは数が減っているからかな。
暫く、でもないが、爆発炎上を繰り返し、先に進んで行けば、見知った顔がようやくお目見えになる。
「此処まで来るのにすげー疲れたわ」
ごんごんと燃えている炎を使って葉巻に火を付け、いつものように吹かして紫煙を吐き出す。
何だかんだで此処までやってくるのにえらい時間掛かったし、こそこそ隠密して、必死こいて足りない物資をやりくりして……。
「それにしても、良い感じに潰し合いしてくれたし、うちの鉄砲玉共はいい仕事するでしょ」
何だかんだで自慢の鉄砲玉と酒造担当よ、戦闘能力だけは抜きんでてるから、確実に相手の人数を減らしてくれるってのは確実に確信していたよ。
うんうん、やっぱり良い人材拾えたわ、ちょっと思うだけでも笑みが零れるくらいには信用したか。
「ちょっと……何か返事しなさいよ」
おっと、向こうもかなり本気っぽいなあ……盾2枚と剣1本って、どういう使い方するんだよ……って思ったら1枚は近くに置いて、もう1枚はしっかり装備してるな。
2盾って結構浪漫装備やネタ装備扱いされるけど、あいつの事を考えてみたらガチ装備なんだろうな。
そもそも私に対して2盾って多分現状で一番正解の装備編成じゃん。
まったく、どこまで本気でやりにきてんのよ、あいつは。
しょうがないなあ、こっちも本気で戦ってやらないと、それはそれで後で恨まれそうだ。
いつもより深めに葉巻を吸い、紫煙を大きく素早く吐き出して一息。
鳳仙花に切り替え、コート裏に火炎瓶とパイプ爆弾を仕込んでおいて、準備完了っと。
「まー、正直な所さ、あんたを倒しても倒さなくても、私の『勝ち』は決まってるんだけど……此処まで来たら全員叩きのめして勝ちを狙いに行くわ」
どこぞであった犬耳ショタがポーション渡してるのがちらちら見えるな。何個渡して何を渡したのか分からないが、あれを使われる前に削れれば完全に私の勝ちだな。
……いや、ちょっと待てよ、HPって確かスキルで伸ばす事も出来るし、2射で落ちないかもしれんな。
あー、めんどくさいなあ、防御力高いだろうからとにかくポーション減らしていかないと勝てんか。
「お待たせしました」
「おう、やろうか」
やたらと長いこのイベントも、最終局面よ。
此処まで来たらうちの鉄砲玉2人の為にも勝ってやらんとな。
目の前で炎に炙られて、こんがり焼き目が付いたのを1人ずつ撃ち抜いて数を減らす。
あの犬野郎が用意周到と言うのも理解しているので、多分最後の方まで残るだろうし、あいつがクラマスで、一番耐久力が高いから、ポーションは集中してくると思うんだ。
単純に数が少なくなった時、集中砲火を貰っても耐えられる防御力とHPで反撃ってのを考えるとタンク残しが妥当だよな。
ヒーラーを残してエリア外ダメージ受けながらひたすら回復し続ける邪道な戦い方もあるけど、流石にそれは普通のバトロワ系のゲームでもあまりやらないか。
「キルログ有ったら結構いい線いってんだろうな、私って強いから」
いつも通り、装填したクリップが跳ね飛んで金属音を響かせながら一息。
強いってのは完全に武器と職業のおかげだけど、ぼんぼんと40以上のダメージを確定で出せるってだけで相当なアドバンテージよ。
『そっちは』
『魔法矢飛ばしてくる弓職とやってるけど命中力くっそたかいんだけどー!』
『そろそろ回復して持ち直し始めているぞ』
『よし、追撃するわ』
銃弾5発を装填し中腰で構えたまま前進、銃撃音は嫌でも聞いてるだろうし、こっちの対策くらいはしてくるだろう。
基本的に直撃しなければ固定ダメージは入らないので、盾に対して非常に弱い。ついでに言えば障害物や何かしらの緩衝するものを挟まれても非常に弱い。
「ま、やっぱりと言うか、陣地構築するよね」
やっぱり知ってた、土魔法での障害物生成。雪合戦してる時のしゃがんで隠れられるサイズの土嚢って感じか。
土嚢ってすげえ手軽に使える良いもんだよなあ。麻袋で作っておけば燃やして燃料にもなるし、そこら辺の土で作れるし、中身は適当に捨てれば畳んで持ち運びも便利。
そして何より、防弾耐性もばっちりだから、ウサ銃じゃ貫通できんな。
映画によくある自動車のドアを盾にする奴って、薄すぎて意味ないんだけど、あれで防げるってドヤ顔決めて言われた事があったが、鼻で笑ってやったわ。
そういう訳だから、あの土壁を吹っ飛ばす手段を見つけないといけないのだが、炸裂魔法って勘違いしてくれてたらいいな。
「爆破や炸裂スキルってあるもんかね……」
パイプ爆弾1つ取り出して生活火魔法で着火、うんうん、やっぱり便利だなこのスキル。
で、土嚢を作ってる最中で悪いんだけど、吹っ飛んでもらおうか。
軽く走ってから思い切り振りかぶり、パイプ爆弾を放り投げて土嚢の裏のあたりに落とす。案外30mって届くもんだな、これが銃撃系のゲームだったら即死距離圏内だけど、即死もしないしマジ有利。
落ちたのを見て、一息つくとまた大きく爆発が起きる。
十兵衛の奴が投げたのより規模大きい気がするが、ボマースキルのおかげだな、うん。
「おー、吹っ飛ぶ吹っ飛ぶ……やっぱりダイナマイトとか作りたいよな」
リモコン式のも作りたいな、クソ生意気なウサギの住処を吹っ飛ばすくらい、威力の高い奴を開発したい。
C4の成分ってどうだったかな、今は何でも調べれば出てくるし、リアルで作ろうとしたらすぐに捕まるけどさくっと分かるはず。
「それじゃあ次はっと……」
土煙が上がっている所に近づきながらさらに奥に火炎瓶を投げ込み、炎上。
良く燃えてくれるわ、叫んでくれるわ、いい音が奏でられている。
狂人だとそれを聞いて指揮棒振ったりしながら悦に浸るんだろうけど、あれは理解が出来んな。
「最後は大盤振る舞いで使ってやるんだから、有難く思ってほしいな」
トラッカーも同時に使い、土埃にまぎれたのをウサ銃で撃ち抜く。ボマー効果の爆発と銃撃ダメージで確殺できるのは何度も言う通り圧倒的に強いわ。
この状況下を作り出せるのと、分かっていても不意打ちじゃ防げてないってだけだが、有利に立ち回れるのって対人としてはものすごく重要。
そんな事を思いつつも銃声が響くたびに1人やられると言う事実がある程度認識されたのと、爆発や炎上が起きれば被害甚大、その2つが合わさると士気にも影響するんだろうな。
トラッカーで見る限りで南側にじりじりと追い詰めている。
そして引き金を絞りこれで5人目。
おっと、新しい土嚢か……MPさえあればとにかく壁が作れる上に、大きさも自由自在って中々うざったいな。
多分だけど大きさに比例して使用MPの量も増えるんだろう、普通に立って隠れられる物よりも、細かく多く作って防壁を築いているし。
まあ、そういう悪い物はさっさと壊すに限るよね。
「ま、消耗してくれるってのなら全然いいんだけどさ」
次のパイプ爆弾を放り込んで、爆破。
そろそろ対策の1つや2つしないと全滅しちゃうぞー。
『ごめん、そろそろ死ぬわぁー』
『ういよ、お疲れ』
『あの弓使いはボコれたから……まー、仕事した……』
『落ちたな』
『みたいね、そっちは?』
『引き込んで戦ってるからまだ持つが、もう少しで儂も落ちるぞ』
『火炎瓶の抱え落ちするのはマジでやめろよ』
うちの鉄砲玉が沈んだな。それにしてもあのメカクレの奴とどうやって戦ったんだ?対遠距離の戦い方も出来るとかどんだけバトルジャンキーなんだよ、あいつ。
とりあえず後は十兵衛が火炎瓶全部放り込んで、とにかく暴れて削ってくれればどうにかこうにかなるだろ。
まあ、いつもそうだけど、大体想像でどうにかなってるし、大丈夫だろ。
「それじゃあ、お次はっと」
また火炎瓶に着火させて投げ入れ、炎上。
複数相手にしたらやっぱり同じ戦法になってしまうのはしょうがないな。
爆破して燃やして先に進んでいく訳だが、どんどんと抵抗が薄くなっていくのは数が減っているからかな。
暫く、でもないが、爆発炎上を繰り返し、先に進んで行けば、見知った顔がようやくお目見えになる。
「此処まで来るのにすげー疲れたわ」
ごんごんと燃えている炎を使って葉巻に火を付け、いつものように吹かして紫煙を吐き出す。
何だかんだで此処までやってくるのにえらい時間掛かったし、こそこそ隠密して、必死こいて足りない物資をやりくりして……。
「それにしても、良い感じに潰し合いしてくれたし、うちの鉄砲玉共はいい仕事するでしょ」
何だかんだで自慢の鉄砲玉と酒造担当よ、戦闘能力だけは抜きんでてるから、確実に相手の人数を減らしてくれるってのは確実に確信していたよ。
うんうん、やっぱり良い人材拾えたわ、ちょっと思うだけでも笑みが零れるくらいには信用したか。
「ちょっと……何か返事しなさいよ」
おっと、向こうもかなり本気っぽいなあ……盾2枚と剣1本って、どういう使い方するんだよ……って思ったら1枚は近くに置いて、もう1枚はしっかり装備してるな。
2盾って結構浪漫装備やネタ装備扱いされるけど、あいつの事を考えてみたらガチ装備なんだろうな。
そもそも私に対して2盾って多分現状で一番正解の装備編成じゃん。
まったく、どこまで本気でやりにきてんのよ、あいつは。
しょうがないなあ、こっちも本気で戦ってやらないと、それはそれで後で恨まれそうだ。
いつもより深めに葉巻を吸い、紫煙を大きく素早く吐き出して一息。
鳳仙花に切り替え、コート裏に火炎瓶とパイプ爆弾を仕込んでおいて、準備完了っと。
「まー、正直な所さ、あんたを倒しても倒さなくても、私の『勝ち』は決まってるんだけど……此処まで来たら全員叩きのめして勝ちを狙いに行くわ」
どこぞであった犬耳ショタがポーション渡してるのがちらちら見えるな。何個渡して何を渡したのか分からないが、あれを使われる前に削れれば完全に私の勝ちだな。
……いや、ちょっと待てよ、HPって確かスキルで伸ばす事も出来るし、2射で落ちないかもしれんな。
あー、めんどくさいなあ、防御力高いだろうからとにかくポーション減らしていかないと勝てんか。
「お待たせしました」
「おう、やろうか」
やたらと長いこのイベントも、最終局面よ。
此処まで来たらうちの鉄砲玉2人の為にも勝ってやらんとな。
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