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5章

150話 非人道武器

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 それにしても動くたびに何処かで戦闘が起きてるって、そんなに対人やりたかったのかお前らは。
 まー、確かに楽しいっちゃ楽しいけど、あまり早い段階でつぶし合いするとなあ。
 私達が手に入れる事の出来るポーションの数と銃弾の数が減ってしまうので、そこが問題なのよね。ついでに言えば、あのバトルジャンキーコンビが派手にやって名前売るのはいいんだけど、私自身がキルしないと銃弾が増えないってデメリットもあったりするのよね。
 良い所で合流して、集団にぶつかっていくってのもありだな。作戦方針はその都度考えるとして、しばらくは単独行動で十分だろう。

「マップ縮小もあるのに人口密度が高いからぶつかり合いが多いのか……良い感じにでかい所をぶつけ合わせないと最後がきついか……」

 トラッカーと双眼鏡を使い大規模戦闘をしている所を眺めながらどうするかを考える。
 銃弾使って狙撃してもいいのだが、銃弾を消費しただけで回収できなければ意味が無い。結局最後に残っていた奴の勝利なので、ここでやる気出して倒しに行く必要もない。
 
 なので大きい所を何個かピックアップしたうえで、そこに小~中規模のクランを誘導してぶつけて離脱して、ってのを繰り返して人数削って消費を増やしていくのがいいか。


 そういう訳でどこぞのクラン、大体30人規模のを見つけて距離を取って追跡。
 人数が多いというのもあるのか、周りにはあまり喧嘩を売りに行くクランはいない……あまりって言うか全く。
 こうなってくるとこっちから仕掛けて、後は他の奴らに任せる様にするのがいいか。
 あー、こう言う所で無駄な消費はしたくなかったんだけどなぁ。


 暫く追跡し、他の中規模クランがそこそこの距離で潜伏しているのを確認できた。こういう時は誰が攻撃したか分からないようにしつつ、不意打ちかまして戦闘状態にさせるのがいいな。
 
 二つのクランの間辺りにぐるりと潜伏しながら回り込み、手頃にある木の上に登ってから鳳仙花からウサ銃に持ち替え、あまり見つからないであろう高さの枝の根本に座り、コートを頭から被り、右膝、左腕を支えにしたうえで狙いを付ける。
 位置的に両方のクランをぎりぎり視認でき、狙いを付けられるの所に陣取り、下方を確認し、木の中に隠れられているのを確信してから発射するためにいつもの所作を行う。

 ゆっくりと深く息を吐き出して呼吸を止めてから、手頃に立ち止まっている奴に一発。
 「バァン」と響く高めの音を響かせてから、すぐに狙いを反転、もう一つの方のクランにもう一発。

 距離もあるし、バレる可能性が少ないとは思うが、この2発はかなり大きい。
 2回射撃されたというのは確定で分かるとして、普通に撃たれて1発近くに着弾して1発は外れたと思ってくれるだろう。
 
 着弾は確認せずに、すぐに発砲煙を息で吹き飛ばし、双眼鏡とトラッカーを使い双方のクランを確認する。
 撃たれた事と、音が響いていると言う事実は結構大きいのか、騒ぎ動き始めている。
 もう2、3発撃ってもいいのだが、あまり発砲すると位置バレするので、会敵するまでは我慢する。

『発砲音聞こえた?』
『大分遠いがな』
『援護とか言われてもかたつむりだねぇー』
『ちょっとした実験してるんだけど、一応こっち側の方に寄っておいて』
『やばいのか』
『一応念の為よ、良い感じにかち合ってくれたら漁夫狙いで追撃して稼げるかもしれないし、私の心配と言うよりも物資の横取りの方が心配なのよ』

 そうやって会話をしている間に私が登っている木から少し離れた位置で戦闘開始している。規模で言えば30対20人ってところか。
 このカチ合わせだが、全滅しようがしまいが私的にはどっちでもいい。
 回復ポーションは有限であり、此処で全滅せずにそのまま戦闘終了で撤退されてもぜんぜんいい、ただただポーションを消費して、疲弊するだけなんだからな。
 つまり銃弾2発で50人分の疲弊と無駄消費を促す事が出来るわけだ。ついでに投げ物でも投入して阿鼻叫喚の絵面にするのも楽しいかもしれん。
 まあ、投げるのに20~30mの所まで近づかないといけないので、そこだけ問題ではあるのだが。

 にしても、かなり大きくやり合ってるなぁ。
 30人規模の方は結構がっちりと装備が揃っているのに対して、20人の方は丸太とか担いでるわ。……いや、丸太ってどうなのよ、何か色々ついてるからそこでダメージを稼ぐってのは分かるんだが、丸太って。
 そういえば釘丸太とか言うすげえ頭の悪い武器作るやつがいたなあ。
 最近は鍛冶に用事が無いからあっちのクランに顔出してないな……あのトカゲは銃の開発できたのかどうか今度聞きに行こうか。

「それにしても結構20人の方が押せ押せねぇ……どれ?」

 丸太に大物の斧だったり、鎖に鉄球を付けただけの物だったり、頭おかしい武器が多いんだが、それ以前に何でこんなにバラエティ豊かなラインナップなんだよ。
 個人的に鉄球付いた鎖はハイパーが付いてる奴が好みなんだけどなあ、棘付けてブースター稼働とかしていると完璧。ダブルハンマーとか浪漫だけど、今確認した奴はだいぶでかい奴だから、ジャンルが違うな、炒飯みたいな名前の奴が使ってる感じ。

「って言うか、鍛冶クランの連中じゃん、あれ」

 あんなゲテモノ装備使ってるの何てあいつらしかいないって考えればそらそうか、何て言うか頭悪いっていうか……本当に、ゲームとか漫画で出ていた武器を実際作って振り回したい!って気持ちがひしひしと伝わってくるな。
 実際にその武器が性能と趣味を丸出しにして、蹂躙するレベルに仕上げているって言うのが一番恐ろしい所だとは思うんだよね。
 お、吹っ飛ばされた……あれ、私が何もしなくてもどんどん壊滅していってるんだけど?

 状況を見るに横やり突いてどうにか介入しようかなーとか気楽に考えていたが、この状況じゃあんまり意味はないな。
 よくよく考えればそうだよな、20人と30人、人数差で勝手に押し込めると思っていたけど、持ち込みアイテムと装備の関係があるから、強力な装備に重点置いて集団でぶつかった方が強力って事か。なるほど、人数がいるからそういう戦い方も出来るんだな。
 うちは人数がいないから何でもかんでも一人でやろうとするからこういう状況になってるのでこうやって誘導とかしてるんだもんな。

「普通に強いな、鍛冶クランの連中って……生産職でも戦闘スキルは手に入るからそっちにガンガン振って、極振り装備で蹂躙って感じか?」

 遠巻きにぱっと装備を見ただけじゃどの職か分からないってのはまだまだだな私も。
 色物装備しているのは生産職ってのは分かったけどな。

「でも、まあ……消耗くらいはしておいて欲しいからちょっかい掛けて離脱しよか」

 もうさくっと30人叩きのめして物色しつつ、回復しつつの所をまたぐるりと遠回りに後ろに回り込み、休憩中の所に生活火魔法で火を付けた30gパイプ爆弾を放り込んで、サクッと離脱。

 こういう時はさっさと逃げるに限る。
 そして逃げる途中で大きめの爆発を後ろに受けながら走ってその場を後にする。
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