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5章

146話 諦めと切り替えのスイッチ

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 鉄砲玉も増えたし、後はアイテム準備して、スキルの取得可能数を増やしておけばいい。
 早速教えてもらった蹴りに関して、北エリアでの銃格闘を駆使して使用数を重ねていく。
 ……いや、これって銃格闘を介してやったらダメ……ではないか、銃剣使いながらロックラックを殴り蹴りして、銃格闘を覚えたから、銃剣自体の解除の方が先だったと言う事だろう。
 とは言えあのバトルジャンキーから聞いた話だから信憑性は高い、ガンナー的に達成の累積数が多いんだろう、多分、きっと。

「に、したって先が長いわ」

 十数体目の兎を蹴り倒してから休憩。全然覚える感じが無い。
 最近ずっと内政ばっかりやってたからこうやって動いているの自体が新鮮だわ、ただ覚えられるって自信がないから、果てしなく目標が遠いという点を除けばだが。

「こういうのって強い敵の方がダメージなり累積値が稼ぎ易いって場合もあるけど、その辺聞くの忘れてたな」

 聞こうと思えばすぐ聞けるのだが、あんましあれこれ聞いてやるのも面白くない。情報屋使ったり公式Wikiを色々見てるくせに何言ってんだって話になるが。
 手探りでやるってのもいいのだが、MMOって基本的に解除するための累計数がアホみたいに多いとか、条件が厳しすぎて覚える頃にはいらなくなったりするから、早めに前提条件を知っておくのは悪い事じゃないのか。
 ……累積がマスクデータなのってかなりストレス溜まるわ。

「あー、やめやめ、終わりのない作業をずっと続けるって飽きるわ」

 平原にどかっと座って煙草で一服。ふいーっと紫煙を吐き出しながらこれからをどうするか考える。もうちょっとサクサクっとスキルが取れるのであればよかったのだが、それはそれでゲーム寿命を削るから専門外のスキルに対してはハードルかなり上げてるんだろう。そうであってくれないと心が折れそうだ。
 って言うかこういうのって長期的に見て獲得を見越しているだろうから、ちょっと頑張った程度で取得できるわけが無いよな。
 なんだったら覚えれればいいやくらいの気軽な感じに専門外のスキル取ろうとしているんだから舐めてるにも程がある。

「こういう部分が不遇なんかねー……銃器のアドバンテージが高すぎるから、他の部分でバランスを取りまくって、みたいな」

 ウサ銃を持ち、改めて本体を確認する。そういえば忘れていたけど、銃器に使う接続パーツの開発とかもしないといけないんだった。今のウサ銃も仮留めしてるみたいなもんだから『劣化』って付いてるわけだしな。
 劣化って付くくらいなんだし、これ、パーツとかカスタマイズで『強化』みたいなものを付けてちょっと強力に出来たりするんかな。
 その辺の改造とかも手を出したいけど……あ、そういえばサプレッサー作ろうと思ってたんだっけか、構造とかは調べておいたから、後はパーツごとに作って組み立てて試射すればいい。
 接続パーツもそうだよ、一回バラシて組み立ててを繰り返して大丈夫かどう確認するだけ。
 
「結局自宅に戻ってどうこうするのが一番なんだよなあ」

 プライベート空間で何でもできるからわざわざ出向く必要が無いってのは利点だよなあ、本当に買ってよかったマイハウス。稼ぐたびに家に金使っているが、次はクランハウス購入だからもっと金掛かるな、購入用費用稼ぐためにも自宅に金庫でも作っておいておくか。
 またなんか脱線してるわ。

「いいや、1回自宅戻るか……ついでにクランハウス見繕ってからでもイベント間に合うべ」

 立ち上がり煙草を咥えたまま、ウサ銃を肩に担いで一旦エルスタンに戻る。

 
 そういえば囲い込みも毎回毎回見ているわけだが、よく飽きもせずに固めてくるもんだな。いつもの証拠SSを撮ってから別の場所に露店を移してのサイクルを毎度の事のように行う。……これちょっと密集してる所に建ててみたらどうなるのか試してみるか。
 そこだけ賑わって、とち狂った奴が間違えて火薬1mZで買ってくれるかもしれんしな。
 でもこれで他の奴らに迷惑が掛かった場合、そいつが通報して修正と垢BANされたら溜まったもんじゃないな。いや、別に悪い事ではないのだが、結局私がやりたいって言うだけの事だな、うん。

「ま、今はまだいいや」

 適当に場所をずらし、他の奴に迷惑が掛からない所に設置しなおしてから、露店街から離れて毎度毎度、何かあればお世話になっている冒険者ギルドに行ってクランハウス周りの仕様を把握。
 値段とか設置場所とかとかとか……何かすげえ色々あったわ。



 まずクランハウスは『街』に建てる物で、自宅の様に転移していちいち行くような所ではない。で、その建てる場所によってかなり値段の変更があり、なおかつ大きさによって上り幅がべらぼうに高い。
 ゴリマッチョの所はギルドの近くの一等地、しかも3F建てのすげえでかい建物だったわけだが、あれ1つで200万~らしい。
 なんだ、私が渡した数万ってそこまで大きくないんじゃないか。

 ざっくり言えば基本的な仕様はマイハウスと一緒。地下無限地上数階に拡張可能で、進入禁止エリアを設定したりしなかったり、店として使って共有財産をためたり、クラン員が思い思いにレイアウトを決めたり……まあ、色々出来るわけ。
 マイハウスとの違いは自分の金だけを使うのか、共有財産を使うか、複数持ち出来るって所か。

「後は、早い者勝ちってのがでかいなあ……一等地は競争率も価格も高いから埋まってない所が多いけど、油断してたらさくっと埋まるな」

 逆に僻地の方に行くと価格はどんどん下がっていく。現実みてーだな、おい。
 私としては裏路地の怪しい所にどかっと立てておいて密造酒作りまくるなんてのもいいかなと思ったが、それはそれで相当絵面がやばいな。
 あくまでもクリーンなクランって事で、表通りの目立つ所に建てられれば一番いいな。

「とりあえず貯金箱でも鍛冶で作って自宅に設置しておくか」

 
 適当にクランハウスの候補地を回りつつ、ガンナーギルドを探しつつ、辺りをぐるりと歩き回ってから、自宅に戻り鍛冶場の方へと。
 今は髭親父の奴もいないし、バトルジャンキーは多分ここには興味ないだろうな。
 とりあえず金属製の豚さん貯金箱でも作るか。

 鍛冶場で製作メニューを開き豚さん……いや、無理無理……四角い箱……箱?鉄板を組み合わせて穴をあければ……穴ってあけれるんだっけか?
 もっとざっくり作れれば良かったってのに、まあ形が出来ればいいか。

 で、あっという間に完成した鉄箱。すげえな、ざっくり作ったわりにちゃんとアイテムとして機能してるって。


名称:鉄箱 カテゴリ:家具
詳細:物や金を収納できる これを持ったまま死んでも所持金は減る


 一応家具扱いなので自宅の玄関横に設置して所持金10万程をぶち込んで完了。
 建設ゲーなんてやってるとこういうのって結局一番使いやすい所に設置するんだよな。隠し扉とか部屋とか色々凝ったものは作れるんだろうけど、普段使いじゃ手間だし。

 後ついでにジャガイモ500個も植えておいた。
 これも収穫出来れば毎回10万の貯金が増えるわけだから、さくっとクランハウスまで作れるんじゃね?


「ガンナーやってない時が一番充実してるってどういうことなのかしらねぇ」
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