上 下
144 / 622
5章

136話 炎上案件

しおりを挟む
 暗闇洞窟は、まあ……プレイヤーでごった返しよ。
 あっちに行ってはプレイヤー、こっちに行っては別のプレイヤー。あっちもこっちも上も下も左も右も前も後ろもプレイヤーまみれ。どんだけ此処に集中してんだよ、金になるのは分かるけどそれでも人いすぎだろ。
 狙ってる奴を倒すのと合わせて頭上に旋回している蝙蝠も減らしたりしないと湧きのバランスが悪いからさらに生息数が減るとか考えないのだろうか。
 で、さらに何が酷いって、例の群生地じゃない所でロックラックを狩りつくしてるから、まあ無駄な事、無駄な事。条件がある上のドロップってのがあるのをちゃんと探してないと言うか、たまたま倒したら出てきて、そのまま数体倒したので確信した。そういう感じなんだろう。
 
 なんていったってとにかく見つけたロックラックをシバき倒しているのしかいないからな。手当たり次第ってこういう事なんだろう。
 まったく、どこの馬鹿が漏らしたんだか……こういうやばそうな情報とかドロップ情報が流れたら自分の取り分も無くなるとか考えてこないのかと。

「ま、私としてはもういいんだけど」

 群生地の地面を剣先スコップで掘り返してバケツいっぱい分回収……の前にバケツの数をさらに増やしておく。それにしても地道に活動しすぎじゃない?ここしばらく銃剣も振るってなければ銃撃もしてないし、キングサハギン倒したときくらいか。
 黙々とMob狩りしてレベリングとかも良いんだけど、飽きが早くて長続きしないのよね。それと合わせて、経験値の美味しい所とかドロップの良い所ってのは、他のプレイヤーもいるから横殴りとかで色々揉めたりとかあるからなあ。余計な争いするのは対人系のゲームだけでいいわ。

 で、バケツ10個分、計10kgの土を回収して暗闇洞窟を抜ける。自力で戦闘する必要がないくらいに人がいて混雑するとは思わなかった……訳ではないけど、流石に多すぎる。競争率がインフレしまくりよ。

 合わせて道中に硝石丘に使う草類を採取。本当ならこれも適した奴がある訳だが、ゲーム処理万歳。
 採取してるものはヨモギにミント、たまに薬草のいつもの3種類。

 エルスタンに戻って自宅の畑に行って10㎏分の土をぶちまけ、すぐさまゼイテに行って、南海岸に向かってから貝殻をこれまた10㎏回収、その場で貝殻を焼いてから石灰10㎏を生成。すぐさま砂10kgを回収して帰還。
 
 エルスタンに戻ってジャガイモ1.5k個を売却、ジャガイモ苗500個の仕入れ、自宅の畑に戻って植えまくる。残ったジャガイモは、仕込み用としてキープ。
 ジャガイモを埋めきった後は石灰10㎏と集めた草類を硝石丘にぶちまけて一息。
 
 一息ついたら炉に砂を突っ込んでガラスを生成、そこからガラス瓶100本の作成。



「っていう、サイクルを続けたら多分私は何もできない」

 それでも恒久的にやらなきゃいけないのはガラスと作物関係だから後は経過待ちなんだけどさ。硝石丘に関しては多分だけど1㎏分の混ぜ合わせで1個の硝石が取れるっぽいから、また数日待って11個取れるんだったら実験成功。成功したらしたでもっと大量に用意せにゃならんのだが。

「流石にあっちこっち行ってやることやれば時間潰せるわ」

 流石の収集量なのもあって2枠スキルもちょびちょびレベルが上がっている。どっちにしろ趣味みたいなもんよね、この2枠スキル。

 そういえば本職生産とスキル2枠の関係も前にちらっと触れたが、専門の生産スキルがあるって事が大きい違いらしい。勿論それだけでは戦闘は出来ないから由来した戦闘スキルもちゃんとあるらしい。あとステータスでの生産補正はないからものすごい極化して遊ぶのも多いらしい。
 素直に戦闘職やりゃいいんじゃないかって思うけど。
 閑話休題。

 
 あらかたやる事やって一息ついてからフレンドリストを見れば必要な人物が大体ログインしてきたので連絡を取り始めよう。
 まずはこの格好からだな、そろそろ見慣れてくるし、印象付けるのもちょっと弱い気がしてきた。

『今いい?』
『あら、なーにぃ』
『ちゃんとした服の依頼』
『アカメちゃんもお洒落しちゃうのぉ?』
『まー、そういう事ね……目立つ色のパンツスーツにコートの新調かしらね』
『イメージは女社長?』
『防御力と性能も求めたいんだけど』
『程度によるわねぇ……』
『10万で今のキャットスーツ並みか、それ以上に出来る?』
『……アカメちゃん、もうちょっと考えて金額言った方がいいんじゃない?』
『出来る出来ないって聞いてるんだからね、やるやらないの2択の方じゃないだけ温情よ』
『うちのVIP会員様は無理難題をおっしゃりますわぁ』
『出来たら教えて』

 コールを切って完了、ギルド関係はいいや、フレンド組んでるし。
 で、その次にはあいつよ、久々に連絡する気するわ。

『いる?』
『おっと……少々お待ち頂けますか』
『何してんのよ』
『前線組は忙しくてですね、ボス戦真っ最中です』
『じゃあ余裕ね、今日会える?』
『相変わらず無茶を言いますね、これが終わったらでいいですか?』
『連絡してちょーだい』

 流石前線組のタンク様は一味違いますね。まああの防御力抜ける相手ってそうそういないでしょ、最後に会ったのもだいぶ序盤の話だし、あれよりは強くなってるのも確実。むしろ現状維持だと先がないわ。
 後はあいつ、もう一人のタンク様だな。

『おっせーぞ、来るの』
『いきなり文句ってひどくないですか!』
『何してんの』
『クランハウスの模様替えを話してましたけど』
『今日あたりに会えない?』
『いいですけど……何かあったんですか』
『私もクラン立ち上げたから、でかい所か有名所と同盟組んでおきたいのよね』
『僕の所、そんなにですけど』
『私が知ってる限りで有名だからいいのよ』
『まあ、いいですけど……もう少ししたら連絡します』
『はいはい』

 これで私が用事のある人物は大体連絡した。
 って言うか知り合いが有名人って、私にしては出来過ぎてるな。

「さて、と……後はあいつらと会って話を詰めるとして……微妙に持て余す時間で布とか油とか買っておくか」

 ばたばた歩き回りすぎじゃない?あっちいってこっちいって、落ち着きが無いとか言われてたのを思い出した。そんな事は良いとして、布と油を100ずつ購入して、準備完了。そういえば麻糸とか作れたわ、私。
 色々出来過ぎるから何が出来たか忘れちゃうのはしょうがないね、色々データありすぎてよくわからない。
 めんどくさいから全部金の力でひっぱたいて解決するわけだけどな。

 後は発想次第だから何とも言えないのだけど、とりあえず芋焼酎を錬金に掛けてアルコール純度を上げていく。過熱して冷却したらいけるんでね?って言ういつもの楽観的思考でさくさくっと精製していくわけなんだが……まさか芋焼酎0.5ℓを5本使ってアルコール0.5ℓ1本のレートとは。
 ガラス容器はあっという間に消えていったが、アルコールに関しては精製した後も瓶付きサプライズ。

 で、油をしみ込ませた布を一枚作って、アルコール瓶の口に突っ込んで火を付けられるようにしたらあっという間にモロトフカクテル。


名称:火炎瓶(0.5ℓ)
詳細:周囲数mを炎上させる モロトフカクテルとも言う


「ボマースキル込みなのかね、これも……爆発でダメージって言うかアルコールの揮発性とかで火を付けるのがメインだし、爆発物とは言えないか」

 中身の量とかによって炎上範囲とかが変わるっぽい。結構な高級品だわ。

「これFFとか入るんかね……範囲攻撃だし、そもそも炎上効果ってあるんか」

 後でWikiを見るとして、とりあえずコートの裏に火炎瓶一つ装備しておく。ガンベルト巻いて銃3丁も提げた上で火炎瓶ってなあ……私が炎上したら一気に自爆しそうだ。

「ま、出来た事は出来たんだから、喜ぶべきよね」

 煙草で一服。
 爆弾魔は煙草を吸わないとか言われてるのが多いけど、そもそも私爆弾魔じゃないから吸っちゃうよね。

「っと……フレンド外コールか」

 硝石を手に入れた奴が交換したいと言ってきた。うんうん、良い事の後は良い事が続くね。
しおりを挟む
感想 43

あなたにおすすめの小説

VRゲームでも身体は動かしたくない。

姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。 古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。 身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。 しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。 当作品は小説家になろう様で連載しております。 章が完結次第、一日一話投稿致します。

VRMMO~鍛治師で最強になってみた!?

ナイム
ファンタジー
ある日、友人から進められ最新フルダイブゲーム『アンリミテッド・ワールド』を始めた進藤 渚 そんな彼が友人たちや、ゲーム内で知り合った人たちと協力しながら自由気ままに過ごしていると…気がつくと最強と呼ばれるうちの一人になっていた!?

最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO

無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。 名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。 小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。 特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。 姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。 ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。 スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。 そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。

最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした

水の入ったペットボトル
SF
 これまであらゆるMMOを最前線攻略してきたが、もう俺(大川優磨)はこの遊び方に満足してしまった。いや、もう楽しいとすら思えない。 ゲームは楽しむためにするものだと思い出した俺は、新作VRMMOを最弱職業『テイマー』で始めることに。 βテストでは最弱職業だと言われていたテイマーだが、主人公の活躍によって評価が上がっていく?  そんな周りの評価など関係なしに、今日も主人公は楽しむことに全力を出す。  この作品は「カクヨム」様、「小説家になろう」様にも掲載しています。

僕の召喚獣がおかしい ~呼び出したのは超上級召喚獣? 異端の召喚師ルークの困惑

つちねこ
ファンタジー
この世界では、十四歳になると自らが呼び出した召喚獣の影響で魔法が使えるようになる。 とはいっても、誰でも使えるわけではない。魔法学園に入学して学園で管理された魔方陣を使わなければならないからだ。 そして、それなりに裕福な生まれの者でなければ魔法学園に通うことすらできない。 魔法は契約した召喚獣を通じて使用できるようになるため、強い召喚獣を呼び出し、無事に契約を結んだ者こそが、エリートであり優秀者と呼ばれる。 もちろん、下級召喚獣と契約したからといって強くなれないわけではない。 召喚主と召喚獣の信頼関係、経験値の積み重ねによりレベルを上げていき、上位の召喚獣へと進化させることも可能だからだ。 しかしながら、この物語は弱い召喚獣を強くしていく成り上がりストーリーではない。 一般よりも少し裕福な商人の次男坊ルーク・エルフェンが、何故かヤバい召喚獣を呼び出してしまったことによるドタバタコメディーであり、また仲間と共に成長していくストーリーでもある。

豪華地下室チートで異世界救済!〜僕の地下室がみんなの憩いの場になるまで〜

自来也
ファンタジー
カクヨム、なろうで150万PV達成! 理想の家の完成を目前に異世界に転移してしまったごく普通のサラリーマンの翔(しょう)。転移先で手にしたスキルは、なんと「地下室作成」!? 戦闘スキルでも、魔法の才能でもないただの「地下室作り」 これが翔の望んだ力だった。 スキルが成長するにつれて移動可能、豪華な浴室、ナイトプール、釣り堀、ゴーカート、ゲーセンなどなどあらゆる物の配置が可能に!? ある時は瀕死の冒険者を助け、ある時は獣人を招待し、翔の理想の地下室はいつのまにか隠れた憩いの場になっていく。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しております。

VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。

異世界キャンパー~無敵テントで気ままなキャンプ飯スローライフ?

夢・風魔
ファンタジー
仕事の疲れを癒すためにソロキャンを始めた神楽拓海。 気づけばキャンプグッズ一式と一緒に、見知らぬ森の中へ。 落ち着くためにキャンプ飯を作っていると、そこへ四人の老人が現れた。 彼らはこの世界の神。 キャンプ飯と、見知らぬ老人にも親切にするタクミを気に入った神々は、彼に加護を授ける。 ここに──伝説のドラゴンをもぶん殴れるテントを手に、伝説のドラゴンの牙すら通さない最強の肉体を得たキャンパーが誕生する。 「せっかく異世界に来たんなら、仕事のことも忘れて世界中をキャンプしまくろう!」

処理中です...