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5章

136話 炎上案件

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 暗闇洞窟は、まあ……プレイヤーでごった返しよ。
 あっちに行ってはプレイヤー、こっちに行っては別のプレイヤー。あっちもこっちも上も下も左も右も前も後ろもプレイヤーまみれ。どんだけ此処に集中してんだよ、金になるのは分かるけどそれでも人いすぎだろ。
 狙ってる奴を倒すのと合わせて頭上に旋回している蝙蝠も減らしたりしないと湧きのバランスが悪いからさらに生息数が減るとか考えないのだろうか。
 で、さらに何が酷いって、例の群生地じゃない所でロックラックを狩りつくしてるから、まあ無駄な事、無駄な事。条件がある上のドロップってのがあるのをちゃんと探してないと言うか、たまたま倒したら出てきて、そのまま数体倒したので確信した。そういう感じなんだろう。
 
 なんていったってとにかく見つけたロックラックをシバき倒しているのしかいないからな。手当たり次第ってこういう事なんだろう。
 まったく、どこの馬鹿が漏らしたんだか……こういうやばそうな情報とかドロップ情報が流れたら自分の取り分も無くなるとか考えてこないのかと。

「ま、私としてはもういいんだけど」

 群生地の地面を剣先スコップで掘り返してバケツいっぱい分回収……の前にバケツの数をさらに増やしておく。それにしても地道に活動しすぎじゃない?ここしばらく銃剣も振るってなければ銃撃もしてないし、キングサハギン倒したときくらいか。
 黙々とMob狩りしてレベリングとかも良いんだけど、飽きが早くて長続きしないのよね。それと合わせて、経験値の美味しい所とかドロップの良い所ってのは、他のプレイヤーもいるから横殴りとかで色々揉めたりとかあるからなあ。余計な争いするのは対人系のゲームだけでいいわ。

 で、バケツ10個分、計10kgの土を回収して暗闇洞窟を抜ける。自力で戦闘する必要がないくらいに人がいて混雑するとは思わなかった……訳ではないけど、流石に多すぎる。競争率がインフレしまくりよ。

 合わせて道中に硝石丘に使う草類を採取。本当ならこれも適した奴がある訳だが、ゲーム処理万歳。
 採取してるものはヨモギにミント、たまに薬草のいつもの3種類。

 エルスタンに戻って自宅の畑に行って10㎏分の土をぶちまけ、すぐさまゼイテに行って、南海岸に向かってから貝殻をこれまた10㎏回収、その場で貝殻を焼いてから石灰10㎏を生成。すぐさま砂10kgを回収して帰還。
 
 エルスタンに戻ってジャガイモ1.5k個を売却、ジャガイモ苗500個の仕入れ、自宅の畑に戻って植えまくる。残ったジャガイモは、仕込み用としてキープ。
 ジャガイモを埋めきった後は石灰10㎏と集めた草類を硝石丘にぶちまけて一息。
 
 一息ついたら炉に砂を突っ込んでガラスを生成、そこからガラス瓶100本の作成。



「っていう、サイクルを続けたら多分私は何もできない」

 それでも恒久的にやらなきゃいけないのはガラスと作物関係だから後は経過待ちなんだけどさ。硝石丘に関しては多分だけど1㎏分の混ぜ合わせで1個の硝石が取れるっぽいから、また数日待って11個取れるんだったら実験成功。成功したらしたでもっと大量に用意せにゃならんのだが。

「流石にあっちこっち行ってやることやれば時間潰せるわ」

 流石の収集量なのもあって2枠スキルもちょびちょびレベルが上がっている。どっちにしろ趣味みたいなもんよね、この2枠スキル。

 そういえば本職生産とスキル2枠の関係も前にちらっと触れたが、専門の生産スキルがあるって事が大きい違いらしい。勿論それだけでは戦闘は出来ないから由来した戦闘スキルもちゃんとあるらしい。あとステータスでの生産補正はないからものすごい極化して遊ぶのも多いらしい。
 素直に戦闘職やりゃいいんじゃないかって思うけど。
 閑話休題。

 
 あらかたやる事やって一息ついてからフレンドリストを見れば必要な人物が大体ログインしてきたので連絡を取り始めよう。
 まずはこの格好からだな、そろそろ見慣れてくるし、印象付けるのもちょっと弱い気がしてきた。

『今いい?』
『あら、なーにぃ』
『ちゃんとした服の依頼』
『アカメちゃんもお洒落しちゃうのぉ?』
『まー、そういう事ね……目立つ色のパンツスーツにコートの新調かしらね』
『イメージは女社長?』
『防御力と性能も求めたいんだけど』
『程度によるわねぇ……』
『10万で今のキャットスーツ並みか、それ以上に出来る?』
『……アカメちゃん、もうちょっと考えて金額言った方がいいんじゃない?』
『出来る出来ないって聞いてるんだからね、やるやらないの2択の方じゃないだけ温情よ』
『うちのVIP会員様は無理難題をおっしゃりますわぁ』
『出来たら教えて』

 コールを切って完了、ギルド関係はいいや、フレンド組んでるし。
 で、その次にはあいつよ、久々に連絡する気するわ。

『いる?』
『おっと……少々お待ち頂けますか』
『何してんのよ』
『前線組は忙しくてですね、ボス戦真っ最中です』
『じゃあ余裕ね、今日会える?』
『相変わらず無茶を言いますね、これが終わったらでいいですか?』
『連絡してちょーだい』

 流石前線組のタンク様は一味違いますね。まああの防御力抜ける相手ってそうそういないでしょ、最後に会ったのもだいぶ序盤の話だし、あれよりは強くなってるのも確実。むしろ現状維持だと先がないわ。
 後はあいつ、もう一人のタンク様だな。

『おっせーぞ、来るの』
『いきなり文句ってひどくないですか!』
『何してんの』
『クランハウスの模様替えを話してましたけど』
『今日あたりに会えない?』
『いいですけど……何かあったんですか』
『私もクラン立ち上げたから、でかい所か有名所と同盟組んでおきたいのよね』
『僕の所、そんなにですけど』
『私が知ってる限りで有名だからいいのよ』
『まあ、いいですけど……もう少ししたら連絡します』
『はいはい』

 これで私が用事のある人物は大体連絡した。
 って言うか知り合いが有名人って、私にしては出来過ぎてるな。

「さて、と……後はあいつらと会って話を詰めるとして……微妙に持て余す時間で布とか油とか買っておくか」

 ばたばた歩き回りすぎじゃない?あっちいってこっちいって、落ち着きが無いとか言われてたのを思い出した。そんな事は良いとして、布と油を100ずつ購入して、準備完了。そういえば麻糸とか作れたわ、私。
 色々出来過ぎるから何が出来たか忘れちゃうのはしょうがないね、色々データありすぎてよくわからない。
 めんどくさいから全部金の力でひっぱたいて解決するわけだけどな。

 後は発想次第だから何とも言えないのだけど、とりあえず芋焼酎を錬金に掛けてアルコール純度を上げていく。過熱して冷却したらいけるんでね?って言ういつもの楽観的思考でさくさくっと精製していくわけなんだが……まさか芋焼酎0.5ℓを5本使ってアルコール0.5ℓ1本のレートとは。
 ガラス容器はあっという間に消えていったが、アルコールに関しては精製した後も瓶付きサプライズ。

 で、油をしみ込ませた布を一枚作って、アルコール瓶の口に突っ込んで火を付けられるようにしたらあっという間にモロトフカクテル。


名称:火炎瓶(0.5ℓ)
詳細:周囲数mを炎上させる モロトフカクテルとも言う


「ボマースキル込みなのかね、これも……爆発でダメージって言うかアルコールの揮発性とかで火を付けるのがメインだし、爆発物とは言えないか」

 中身の量とかによって炎上範囲とかが変わるっぽい。結構な高級品だわ。

「これFFとか入るんかね……範囲攻撃だし、そもそも炎上効果ってあるんか」

 後でWikiを見るとして、とりあえずコートの裏に火炎瓶一つ装備しておく。ガンベルト巻いて銃3丁も提げた上で火炎瓶ってなあ……私が炎上したら一気に自爆しそうだ。

「ま、出来た事は出来たんだから、喜ぶべきよね」

 煙草で一服。
 爆弾魔は煙草を吸わないとか言われてるのが多いけど、そもそも私爆弾魔じゃないから吸っちゃうよね。

「っと……フレンド外コールか」

 硝石を手に入れた奴が交換したいと言ってきた。うんうん、良い事の後は良い事が続くね。
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