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5章

134話 そういわれればそう

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 しかしやれる事が他人待ちのせいでいまいちやれる事が無い。
 それでもレベリングしたり金策したりとかある事はあるんだが、気分的にそういう感じじゃない。っていうかまだ一週間も経ってない上に二次職、サブ職も取れない30以下のくせに何言ってるんだてめえって話になるわけだが。
 とは言え今私がやる事としてはレベリングが必要な訳でもないし、待ちが多い。そもそもレベリングする為にも銃弾の量産が……っていういつもの悪循環になるのは変わらないので、この辺もいつも通りだな。

 とりあえず暗闇洞窟の方に行って、どういう状況か確認したうえで、土を掘り返して持ってくる。合わせて露店の状況を確認して新しい証拠があるならSSを撮っておく。
 
 この二つは確実にこなして後は流れだな、そういえばエルスタンとゼイテの中を歩き回ってガンナーギルドを見つけるってのと、情報クランにボマーの情報流して黒色火薬の需要伸ばさせるってのもありか。


「まー、楽なのから済ませるってのが鉄板よね」

 ゼイテからエルスタンに転移して戻り、いつも通り情報クランに。
 普通にこうやって通って金貰ってるわけだけど、よくよく考えればよく分からない連中だな。Wikiの編集をしているとかどうとかって話は聞いたが、其れで集めてるのかね。
 データを埋めるって行為が楽しい人もいるからそこは色々だよ、ボールにモンスターを入れるゲームだって図鑑派と対戦派の二つに分かれるし? 私としては公平性のない覚える事が大量にあるゲームは好きじゃないから前者だけど。
 閑話休題。

「何て言うかめんどくさいから、いちいち此処に来るってよりもあんた達が呼んだら来て欲しいわ」

 カウンターに座っていつものように酒の注がれたグラスを傾け、氷の音を聞きながら悪態をマスターに吐き出す。ニッチな情報ばっかり渡してるけど、あんまし有用性はない気がしてきた。一番大きい取引で硝石か。

「そういうのは無茶という物では」
「お得意様の社長が来てるってのに」
「クランでも作ったのですか」
「そーよー、うまい事言えば起業して今じゃ社長よ」

 いいわね、社長。響きがいいわ。どこぞのアメリカンなコミックにでてる赤いスーツを着ている奴を彷彿させる点はちょっと危ないけど。大体あいつのせい。

「で、その社長さんは何をお持ちに?」
「あー、そうそう、すげえタイムリーな情報」

 で、取得したボマーのスキルを表示させて見せながら話を進める。そういえばこれの取得条件がイマイチ分かってないんだよなあ。
 何だかんだで攻略とか、要所要所で使ってきたから、使用回数か爆薬の総量なんだろうけど……わからんな。そういえば取得条件って遡ってみる事ができないんだよな。最近のゲームじゃアンロックまでの数値とか結構がっつり載ってるってのになあ。

「相変わらず……ですね」
「いいでしょ、今の硝石、火薬ブームとしてすげえ有用じゃない?」
「まあ確かに? うちのマスターが相手したくないって言うのもわかります」
「情報料はこれくらいでいーわよ」

 手をぱっと開いて見せる。すっげえ嫌な顔されたのを見逃さなかったが、50万とか要求している訳じゃないってのに。

「5万でいいわよ、Wikiに載るまで大分稼げるだろうし、うちの会社のお得意様だし?」

 灰皿を手元に手繰り寄せてから煙草に火を点けてふいーっと一服。それはそれで申し訳なさそうな顔をしているわけだが、お得意様価格ってものよ。

「ものすごい良心的な会社を目指してるからねぇ」
「逆に怪しいですが……そういえば酒造は?」
「あー、あれ。多分出来てると思うんだけど、私は状態を見てないしなあ」
「容器を予め作成していないと持ち運びできませんよ」
「自力で酒造してるって事は鍛冶覚えてるでしょ」

 その通りで、と一言返事をしてくるのだが……ここでガラスか。よくよく考えれば液体系のアイテムって今までバケツを使って汲んでいるからそうだよな。固形化してない物は基本的に何かしらに容れなきゃいけないルールを忘れていたよ。

「やっぱガラス加工は必須だったか」
「作れるので?」
「ガラスは作れてるのよ、加工が出来てないってだけで」
「職人技術ですからね、鍛冶だけで加工は出来ますが」
「ガラス細工何てスキルあったらSP足りねえって」

 グラスの中身を飲み干し、はーっと思い切りため息を吐き出す。これもまた厳密にいえばガラス職人にふざけんなって言われるんだろうけど、鉄ストローとさんざん言っていた吹き竿さえあれば出来る気もする。細かい道具はあと10個くらいはあるんだけど、まあその辺の部分はいつものゲーム処理で簡略化できてるだろ。
 こういうめんどくさそうな部分を省けてるってのはやっぱ便利だし、ゲームとしての利点だわ。

「レベリングするのもめんどくさいし、そっちでもやるかな……酒造でも製作者の名前でるんか」
「出ますよ、生産アイテムですからね」
「クラン名で記入出来りゃいいんだけどなあ……ま、いいわ、とりあえずやる事決まったし」

 席を立ち、いつものように情報料を貰って完了。
 灰皿に置いてあった吸いかけの煙草を咥え直してその場を後にする。


 そういえば露店に関しては最初に比べて包囲は薄くなったが、やっぱりアクセスしにくい状態にはなっていた。勿論SS撮って、少し位置をずらして露店を立て直す。
 今ぐらいの包囲網を維持してくれれば私が止めを刺せるだろうから、良い感じ。

「それにしたって自宅と街の反復横跳びばっかりでレベリングもしてなきゃ戦闘もしてないってどうなのよ」

 それもこれも銃弾の問題が常に付きまとってるからしょうがない。
 私より先にガンナーやっていたのがいたとしても、一時的にガンナー人口が私だけになっていたが、そこから増加して今の人口大体100人前後に落ち着いてきている。なので私以上に常にゲームをして開拓しているのは流石にいないだろう。
 私だって毎日ぶっ続けで数時間やり続けてこれのわけだし、後発とかやり直してからやっているのが追い抜くって難しいだろう。
 別に追い抜かれてどうこうされるのは構わない……わけでもないかな、流石に私以上の奴がいたら結構嫉妬するわ。ただ後発の奴を蔑ろにするってのもそれはそれでガンナーのトッププレイヤーであろう私のプライド的によろしくない。
 この辺のバランスって言うか、自分の気の持ちようって難しいわ。

「とりあえず、ガラス容器作るか。問題は持っているガラス塊からどれくらいの容器が作れるかって話よね」

 アルコールを入れる容器で別々にするとして、流石に樽のままで持ち運びしたりインベントリに突っ込んでおくってすげえ使いにくくない?
 いちいち取り出すたびにでかい樽出して使うってそれはめんどくさいわ。
 それに、ボマーってのを考えてと言うか、取ったからこそだが、例のカクテルも作れるわけだからな。問題としてはあれって爆発物って言えるのかどうかって話だが。

「現実でもモロトフカクテル作れちゃうからなあ……どこぞの馬鹿な奴が作って逮捕されたりしたけど、それくらい簡単と言うか構造的には簡単だから」

 ものすごいざっくり言うと、気化しやすいアルコールを周りにまき散らしつつ、燃やして炎上させるって事なのよね。
 浪漫で行ったら、辺り一面をアルコールまみれにしてから銃撃で発火とか煙草投げ付けて燃やすとかってのがカッコいいのではあるんだが。
 ビール瓶みたいなのを作ったうえで、殴って割ってアルコール塗れにしたところを、ってのもモーション的にはものすごく映えるからやってみたくはある。

「まー、とりあえず不格好でもいいからガラス容器作ってみるかな」

 まずは吹き竿っていうか細長い鉄パイプ加工って所から始めないといけないんだけどさ。
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