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5章

132話 まずはここから

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 私の復讐計画は綿密かつ大胆にやらないとな。

 とりあえずは私が連絡を付けたい連中がログインするまではいつものように材料を集め、連中がログインしてから、計画を実行していく。
 確かに言われればさっさと通報すれば終わりだ、しかしそれじゃあ面白くない。この計画を思いついた時にも考えたわけだが、とにかくぎりぎりまで甘い汁を吸わせておいた上で最後の最後に絶望を叩きつけると言うのが理想的だ。

 とにかく私自身の知名度上げよう。こんな事が起きると言うのなら、チェルの奴とか、犬野郎のクランに入って自衛をするべきだったが……まあそれは起こった事に対しての後悔な訳だし、今さら言った所でな。
 そもそも自分の後ろ盾として他の連中を巻き込むと言うのは、それはそれで違う。
 
 
 そういう訳で毎度毎度何かあれば用事がある、冒険者ギルドにやってくる。
 マップにマーカー打ったり、ヘルプみたり、クエスト受けたり、結構色々と此処にやってきてはいるのだが、今回の目的は一つだけ。
 って言うかいい加減SPとかメインシナリオとかそっちのクエストもやるべきだけど、落ち着いたらそっちをやろう。

「ようこそ、クランの設営をご希望ですか?」
「そーよー」

 受付の一つ、クラン開設のカウンターで説明を受ける。
 そりゃあもう簡単にクランは出来る、5万Z(ゼニー)支払うだけでさくさくっと完了する。とは言え、これで手持ちは2万Zしかなくなるわけだが、ついでにボマースキルの話をクランに売り払いに行くか。黒色火薬の量産もあるし、この話題は結構タイムリーだろ。
 そういうのは後でやるとして今の問題はクラン名をどーするのよって話。
 
「やっべー……こういうのって私自身のセンス問われるから悩むわ」

 そもそも自分の名前すら手抜きだぞ。どこぞのクラフトゲーじゃ豆腐って呼ばれるもので満足するし、いちいち凝ったものとかも作らない。街の名前とか設定できるのも基本はデフォだし、分かりにくくなるから「1」で済ませる。
 ネーミングセンスって自分の引出しをどこまで引き出せるのかって話だけど、そもそもそういうセンスのある名前を付けようとしたら空振りする時もあるし、かといってあまりセンスのないのを入れてもそれはそれでちょっと負けた気がする。
 これがオフゲーならまだしも、オンゲーで。しかも私の場合は知名度を上げなきゃいけないという目的のためもあるから、この辺のボーダーラインが難しすぎる。
 あまり凝った難しい名前にすると覚えられない、かといって簡単すぎると有象無象で覚えられないという場合もある。

「まあー、難しい」

 マジでどーしようかな。考えているのは、やっぱりマフィア感のある名前。何とかファミリーとか……って思ったけど、ソロだしファミリー感はねえな。
 
「うーん、まあ、これからの事と商人系と相手ってなると、こんな感じか」
『クラン名『ヴェンガンズカンパニー』を設立しました』

 我ながらいい名前だ、大分ひねり出した感じはあるが。
 とりあえずこれでクランは設営は完了、あのくそったれ共に仕返しする第一段階が済んだわけだ。ソロクランとは言え、感慨深いものがある。

『クランシステムの説明を行いますか?』
「特に報酬はなさそうだけど……聞いておくかな」

 スマホゲーだとこういう所属するのに合わせて報酬を貰えるパターンが多いけど、流石にそういうのはないはず。今はこのクランシステムと言うのをしっかり聞いてみようじゃないか。

『それでは説明いたします……
 ……もう一度説明致しますか?』

「いや、一回でいい」

 そこそこ長い時間で結構な説明を受けた。で、すっごいざっくりと簡単に説明していくと。

1・各街でクランハウスを購入可能(複数可)
2・他クランと同盟を組むことが出来る
3・クランのレベルが上がるとステータスにほんのり補正
4・共有金庫インベントリの使用

 まあこんな感じ、今の所ソロで使う予定なので特には気になるものはないが……同盟要素に関してはかなり有用だな。最大4個の同盟が組めるのだが、メリットとしてはクラン間でのやりとりがしやすくなるってくらいしかない。
 クランハウスも自宅とは違って、マップ自体に存在している建物を購入する事になる。残念ながら家賃収入とか、シミュレーション要素はないらしい。しかしこの要素に関してはしばらく用はないね。
 レベルが上がるとステータスに補正と言うのも、クランのレベルを上げる事でステータスに補正が掛かるスキルが覚えられるという物。レベル自体の上げ方は、資金を寄付する事で上がっていく。後は専用のクエストがあるらしいのでそれを達成すればいいとのこと。
 どっちにしろ、さっさとクラン所属したうえで恩恵を受けられるようにしていくと言うのが正解らしい。

「物凄い恩恵が受けられるわけじゃないし、おまけ程度のものか」

 これで優劣が付くとかゲームとして終わってるし、いい塩梅だろうね。
 連中に復讐できりゃあとは解体してもいいからあまり深く突っ込んだシステム理解はしなくてもいいだろうな。覚える事多いと怠くなる。

「印象をつけるのにはやっぱ服装だなあ…もうちょっとピシっとした物で箔を付けたいし」

 今のままじゃどっちかっていうと殺し屋だし?狼人間殺しまわる奴じゃないってのにな。

「防御性能維持しつつ、着替えられるならいいんだけどなあ…外見だけ変えられる機能ってあったかな」

 所謂見た目装備。メニュー開いて装備画面を見ても特にはないので、なさそうな気もするが、この手のものはゴリマッチョの方が知ってるか。下手したらこのスーツも見た目ありきで渡してきた可能性も……ないかな。

「その辺のはゴリマッチョが詳しいか、どうせ服用意してもらうのにあいつを待たないといかんからついでに聞くとして、あとは」

 チェルの奴と犬紳士の所と同盟を組むと言うのが大事か。
 大きい有名所のクランと繋がりがある、というのは内外的にも大きい。問題は私の都合ばかり押しつけているから、それを了承するのかどうかと言う所か。こればっかりは頭下げるしかないな。
 とりあえずここでやる事は全て終わったな。
 後は酒と硝石丘の成果確認をする前に、水銀の回収するために一度山行って20個くらいまで入手してから戻ってくるかな。
 そのうち雷酸水銀以外の雷管も開発しないといけないか。これは今後の課題として、調べておこう。ゲーム的に色々な素材があると言うのは既に判明済みだし、雷酸水銀なんてマニアックなもん作れるんだから他も作れるだろうよ。
 むしろ作れろ。

「さてと……ゼイテに行って、また山登りするとするか」

 どうやっても水銀は自己生産する事が出来んからな。自宅に自然水銀や辰砂が取れるような鉱脈的な物を設置出来る様になったら面白いんだが、鍛冶や採掘のギルドレベルを上げたらそういうの作れたりしないかな。
 硝石丘って訳じゃないが、1日何回か採掘出来ますっていうポイント。
 一狩り行って戻ってきたら採掘とか採取とか出来るような感じのああいうのが欲しい。

「自宅関係のシステムもさらっとしか理解してないし、今度詳しい説明とか見てみるか」

 色々やれる事はまだある、なーに、今まで通りと変わらん、やる事が多いのは確かだが。
 漠然とゲームをするよりよっぽど分かりやすいさ。
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