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4章

122話 本業ガンナー副業色々

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 あれからダンジョンまで行った時と同じようにトラッカーを使って海中の敵との会敵を避けて、ゆったりと船旅を満喫する。行先は勿論南エリア2-2の海岸だが。
 って言うかメカクレの奴は水上歩行できるんだから乗る必要あるのかって言ったら、MP効率が死ぬほど悪いから長距離移動はしたくないと言っていた。
 
 そんなにがっつりと長い事このゲーム、T2Wをやってきたわけではないのだが、大体のゲームのシステムと言うか、特性としてのシステムはかなり傾向が分かってきた。例えば効果の高いものは全体的にコストが重く、デメリットもきつい。
 私の持っているスキルとしてそういうのはないが、おしゃべり忍者が使っていた分身は見る限り、それぞれ独立して行動できるうえに単純に3倍火力を出せるという強力なスキルだと覚えている。その分発動後のデメリットとして行動不能というのと消費3倍って所だろう。
 瞬間的にではなくある程度の持続性を持つ3倍火力と一定時間の行動不能がセットになる。

「強い分のデメリットが行動不能ってどーなのよ、あれ」
「そうっすね……あれでまだSLvMAXじゃないんで、それを差し引いてもデメリットなりに強いっすよ、メタリカさんの大技も凄いっすけど」
「え、あ、あれ、ですか……?」

 私達への攻撃を防いだあれだろう、そもそも魔法矢のシステムが分からない。MP消費の非実体弾って事なんだろうってのは分かるが、それ以外はさっぱりわからん。
 何となくだが、発射している矢の「色」で属性が決まっていて、それを打ち分けている感じはある。でも基本は透明だったので無属性とかの魔法もあるんだろうか。

「わ、私のは、MP全消費で、消費量でダメージが変わる、やつで……」

 消費量比例の火力らしい。この手のスキルや技ってのは色んなゲームで存在しているが、結構効果がまちまちって印象がある。所謂割合消費のものだが、貧乏性な私にとっては無駄な消費が増えるスキルはあまり好きじゃない、ただMP全消費の超火力は嫌いじゃないが。
 そもそも何で二人のスキルを聞いてるかって話になる、基本的に使えもしない、覚えもしないスキルだし、覚えていなくても問題ないが、どういう効果だったのか知りたくなった、ただ単に私なりの好奇心だ。

「大技もってんのはいいわねぇ……そういえば何個かスキル生えてたんだったかな」

 キングサハギン戦闘中に使った黒色火薬50gポーチを使い爆破した時、それと合わせて倒した時とレベルが上がって自動的に生えたスキルある。本当ならもっといろんな戦闘とかして覚えていくものなのだろうけど、私はその戦闘回数が少ないからだな。ある程度安定と言うか、余計な事して撃ったりしないし。
 とにかくさっき見つけたスキルを確認と言うか、まずはログを遡って確認だな。結構遡らないといけないからそこそこ時間が掛かるが、ログアウトするまで、もしくは一定時間や件数に達するまではしっかりログが残ってる。


『特殊条件を達成したため、スキル:ボマーをアンロックしました』
『規定条件を達成したため、スキル:2丁拳銃をアンロックしました』
『規定条件を達成したため、スキル:曲撃ちをアンロックしました』
『スキル:跳弾をアンロックしました』


 何だかんだでさくっと倒せたのはあるが、キングサハギンはあれでも二回りほどの格上相手だ。だからここまで一気にスキルが発生したんだろう。
 内訳が19発の2丁拳銃の使用と上下反転撃ち、ついでに爆破だったわけだが……いや、そういえば銃剣も何回かやったら覚えたな。
 簡単に覚えられるのはどっちかっていうと基本スキル扱いなんだろう。まだスキル1枠での派生スキルと言うのは確認できていないが、確実に上位効果のスキルも発生する気がする。
 何て言ったって私ガンスミスなんで。

 ただ、その派生スキルや複合スキルが取得する余裕があるかどうかというのはまた別の話だ。

「まあ、戦闘系スキルは後でいいか……さっさと戻って畑仕事して、木工職人と接触したいわ」
「アカメさん、イベントの時からも思ってたっすけど、ガンナーなんすよね?」
「畑って……ファーマー専用じゃ……?」
「そうねえ、ある意味じゃ一人技術革命かしら?畑は農業スキルがあれば買えるわよ」
 
 L家20面畑の現状ってどれくらいの人数が持ってるんだろうか。そういえばゲーム開始当時はマイハウスとか未実装だったらしいけど、地味にさくっと実装していたらしい。知らんうちに買えていただけで特に問題が無いと言えばないのだが。

「で、木工職人ってどんな奴なの?」
「イベントの時にフレンドになった人のフレンドっすね、上には上がいるらしいっすが。で、初めて紹介された時には木工Lv10でGLv5くらいだったっすかね……2枠スキルまではフレンドリストから確認できねえっすからもうちょい上がってるとは思うっす」
「私の、ギルドも、生産系は、少ないですね……木工伸ばしてる、人はあんまし……」
「ふーむ……良かったらうちの家具でも作って貰おうかしらね」

 そんな展望を考えているうちに南エリア2-2へ。
 結局家具をどうこうと言う所で会話は途切れ、道中は疲れもあったし、他愛もない話をしたり、メカクレの髪の毛捲って、メカクレ好きの人間には冒涜だろって言われるような事をしながら時間を潰した。
 勿論おしゃべり忍者はオールを漕ぎまくった。口よりも腕を動かしていたような気がするがな。

「さてと、んじゃあ木工職人に連絡ついたら連絡してよ」
「いいっすよ、んじゃこれ」

 ピコンとSEが鳴ると共にフレンド申請が飛んでくるので認証。あーあ、私のフレンドリストに右側に空白が出来ちまった、名前長いんだよ。
 
「あ、あの、私も……」
「へいへい」

 同じくメカクレの申請を受けて承認。消極的なだけである意味では積極的なんだろう。ちなみにフルネームは「メタリカ=K」この後ろに付いているのは?と聞いたらキルと言ってきた。結構ハードな名前つけてんな。

「何だかんだでフレンド増えてきたわね」
「フレンド少ないんすか?」
「あんまし人と関わらないのよ、私は」

 勿体無いっすねえ、と言われるがしょうがない。戦えば戦うほど銃弾は大量に使うわけだし、私自体がソロ中心の動き方なので致命的に噛み合わない。今回のPT戦も、正直なところ噛み合っていないと思っているくらいだし。

「それに、ガンナーの特性と私の性格からしてもPTが噛み合ってないと、戦いにくくてしょうがないのよね」

 タンク型との相性が多分一番良い、土台と壁として扱う状態だが、それでも戦いにくい所が出るうえにやはりガンナーの特性からして負担を掛ける量が他の職に比べて大きい。
 それを差し引いての固定ダメージかつ連射での高火力が売りだが、それに伴うデメリットが銃弾周りと音だな。
 火力があっても継戦し続ける場合が出てくるので、ボスを倒すという目的であればガンナーを持っていくのは正解だが、単純にレベリングなどの雑魚掃討はPT負担がでかい。

「今回は道中の索敵を私がやって、見つけたのをやられる前に火力の高いメカクレが仕留めて、接敵したのはおしゃべり忍者が抑えたけど、私が不意打ち防いだ時にサハギンと連戦になったでしょ」

 1体を倒したら2体釣れてしまったあれだな。

「難易度が高いってのはこの立ち回りの部分の方が大きいと思うわ、二つ目の問題はゲーム開始の時に修正されてお知らせにもあったけど、銃弾関係と銃器の入手ね……だからここを解決するまでが長いからこそ、不遇職なんだろうけど」

 何だかんだで、それを楽しんでやっている私がいるし、私以外にもここでの面白みを見つけてやっているのも今後増えているはずだ。高額情報を先に入手して情報クランを通じて利益を出して儲けるのは諦めてない私の特権だけど。

「ま、それでもあんたたち二人なら、退屈しなさそうだから、誘ってくれりゃいってやらんでもないわ」
「……結局、そこ、なんですね」
「楽しんでゲームやらなきゃね、じゃなきゃあそこのおしゃべり忍者の口車に乗ってないわ」
「敵わないっすねえ……」

 ぷはーっと煙草の紫煙を吐き出してからゼイテへと戻る。
 銃弾はなくなったけど「樽」の目途も経ったし、麹とか醪の算段も付いてるからアルコールの量産もリーチだし。
 硝石丘は貝殻で多分出来ると思うから、これもいい所だし、何だかんだで安定し始めたんじゃない?

「じゃ、何かあったら呼びなさい?」

 手をぷらぷらと振って二人と別れる。
 今後PTプレイするっていうならサプレッサーも作らないとなあ。
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