上 下
92 / 622
3章

87話 メジャーよりローカル

しおりを挟む
 リアル18時前。
 何だかんだで7時間程ぶっ続けでやっていたわけだが、まあこんなものか。
 HMDを外し、一息ついてからぐいーっと伸び、ストレッチ。あまりにも動かないというのも体に悪いので柔軟はしっかりしておく。

「さーて……とりあえずご飯と風呂、着替えを済ませるとしてっと」

 まあ相変わらずの冷食とインスタントばっかりなわけだが……たまにはピザでも出前取って食べるのもいいかもしれんな。ハットとかラとかついているのではなく104が最強。
 お気に入りはチョリソー、海鮮は好きじゃない、キノコ系は何が美味くて食べてるのか理解ができない。

「本当においしい物を食べてないから嫌いになっただけとかよく言われるけど、嫌いな物は嫌いだってな」

 ネット注文からのピザ宅配。電話って文化もそのうち無くなりそう。
 そんなわけでさくっと注文して、しばらくしたら家の呼び鈴が鳴るので取りに行く。代金もカードで払えるって素敵よね。キャッシュレス万歳。

「で、これからどうするかって話なのよね」

 もっちゃもっちゃとピザを頬張りつつ、タブレットでメモ帳とやる事リストを開いたうえで考える。需要の多いであろう銀を購入するか融通してもらったうえで雷酸銀ルートを取るか、このままレベリングと素材を集めた上でのダンジョンアタックがいいのかと言う話になる。

「まあ、確実に後者なんだろうけどなあ……このまま低レベルで先に進むってのもきついし、なおかつ今のHPだと数発くらうとすぐに死ぬ」

 幾らキャットスーツの性能が良くても回避しきれない攻撃だったり、対複数になると被弾も増える。
 コンバットブーツ的な物も作って貰えるか聞いてみるか。
 って言うか防具類に関して完全にゴリマッチョ頼りになりすぎているのも問題か?
 
 アクセサリー類で使う細工は刻印も考えてたから自前で上げる予定があるから頼らないが、裁縫はどうしようもない気がする、これのレベリングも、となるとやる事が多すぎる。
 
「とりあえず、装備の新調、レベリング、スキルレベルも上げて、銀、水銀の発見かなあ……あとは鉛と鉄も量産していかないといけないし」

 それでもゲームを始めたときに比べればぜんぜんマシ、だってゴール地点は既に見えているわけだし?とにかく木工と鍛冶をあげて出来るかどうかわからない事をやる手探りではない。



1.レベリング及び装備新調
ゴリマッチョに体防具以外の装備を確認
→狙い所は足と腕の軽いもの(片手用シールドも視野)
ナイフに代わる銃剣部分
→鍛冶クランで聞いてみる(合わせてパイプの刻印依頼)

2.雷管の開発調合
→水銀、銀取得
 →火薬用と合わせてロックラック狩りでの硝石量産
  →硝酸溶液雷酸水銀or雷酸銀の生成
(銃身劣化、不具合を確認するためにパイプ銃をもう一つ作成したうえで試し撃ち)
→硫黄と硝石を使っての硫酸はサブ目標
 →両方数が少ないので余裕ができる量の確保

3.銃弾作成
1~2完遂後に作成
→パイプ銃での試し撃ちを考えて最低でも30発
 →薬莢部分と弾の部分の二つ、鉛と鉄の収集
(鉛の位置はエルスタンの西?銅弾を視野に入れて硫黄と合わせて回収もあり)
→現地作成でそのまま実地試験も視野に



「うむ、やる事が多い……ダンジョン内で手に入れたらその場で作るってのを考えれば弾と薬莢は先に作っておいた上で、さらに硝石はさらに回収しておかないとダメかな」

 お得意の現地調達現地生産でそのまま先に進んで行くって話になる。
 流れ的には今の1~3でいけるわけだが……2、3の内容は若干進行具合が変動か。

「……って言うか考えてみたらデスペナ食らってるから金策も入れないとだめか……鍛冶と裁縫の依頼するのもタダじゃないし、売れる情報も今は無いから地道に金策か」

 マイナスにならないだけマシと思うしかない。じゃないとマイナス6万Z(ゼニー)とか言う状況になるわけだし?それにゴリマッチョに渡した7万を今更返してくれと言うのもそれはそれで女が廃る。
 
「まー、やれる事はこんな所かなあ……」

 タブレットをぺたんと置いてからふいーっと一息ついて伸び。
 まだゲーム開始一週間も経ってないのに運営が封じた銃弾を作るのってペース的にどうなんだろうか?
 そもそもガンナーに対してやけにきついと言うか厳しすぎるというのも何となくではあるが、ちょっとやりすぎじゃね?と、最近までは思っていた。まあ私がきつい道を選んだってだけではあるんだけどさ。

 βの時の情報を見ればウサ銃もかなり固定ダメージが高いっていうか1.5倍強かった。それが5発単発で撃てるって言うんだからそりゃ強いわ。音の問題はあるとしても数人のガンナーで囲んで撃ちまくるっていう超絶ごり押し戦法が横行したらしい。
 運営的にはだったらFPSでもやってろよって事なんだろう。
 まあ私としては癖がありまくる方が好きだし、なんなら他のプレイヤーが弱武器とか言う物を普通に扱えるくらいの力量はあると自負している。
 何でもかんでも立ち回りと要領さ。

「銃弾作ったらどうするかな……街自体の探索をしっかりしたうえでガンナーギルドって探してみるかな?」

 他職のギルドはエルスタンに揃っているのでガンナーもあるはずなんだけどなあ……そういえば戦闘職のギルドってどういう物か調べてないな。専用装備とかスキルとか貰えるようになるのかね。
 ……だったらガンナーギルドを秘匿するってのも納得はするんだけどなあ。銃剣と銃格闘で立ち回ってより強力な銃を手に入れて序盤からブースト何て出来るわけだし。

「結局苦労してるのは私って言うかユーザーだしねー」

 そんな事を見つつ公式のプレイヤー分布を眺める。ガンナー増えてないかなーとかちょっとだけ期待したら、ちょっと増えてやんの。

「うっわ、増えてる……よくやるなあ、現実は厳しいってのに」

 まだ両手で数えれる程度だが、若干増えている。出遅れ組が選んで増えたって所だろう。修羅の道に進んじゃってまあ……でも出遅れ組ならβと正式版の情報見れるからきついの分かると思うんだが。
 
 まさか作り直しでガンナー選んでる奴はいないだろうよ。

「そういえば公式サイトでイベント動画見れるんだったかな、あんまり興味ないけど」

 他のゲームでもそうだったけど、出番の薄いものに期待するのって肩透かし食らうから好きじゃない。せっかくやるのに出番がないって面白くないしつまらないので期待しないって事だ。
 やっぱりなんでもかんでも実力重視の方が私としては好きだよ。
 ただしガチャ、てめーは許さねえ。

「ま、こんなとこだなあ……夜のログインいってみよっか」

 残っていたピザを食べ、いつも通り風呂と着替えを済ませる間にHMDにメモ帳とやる事リストを読み込ませる。
 やること全部を日が変わる前の達成は厳しいだろうけど。
しおりを挟む
感想 43

あなたにおすすめの小説

VRゲームでも身体は動かしたくない。

姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。 古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。 身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。 しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。 当作品は小説家になろう様で連載しております。 章が完結次第、一日一話投稿致します。

VRMMO~鍛治師で最強になってみた!?

ナイム
ファンタジー
ある日、友人から進められ最新フルダイブゲーム『アンリミテッド・ワールド』を始めた進藤 渚 そんな彼が友人たちや、ゲーム内で知り合った人たちと協力しながら自由気ままに過ごしていると…気がつくと最強と呼ばれるうちの一人になっていた!?

最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO

無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。 名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。 小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。 特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。 姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。 ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。 スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。 そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。

最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした

水の入ったペットボトル
SF
 これまであらゆるMMOを最前線攻略してきたが、もう俺(大川優磨)はこの遊び方に満足してしまった。いや、もう楽しいとすら思えない。 ゲームは楽しむためにするものだと思い出した俺は、新作VRMMOを最弱職業『テイマー』で始めることに。 βテストでは最弱職業だと言われていたテイマーだが、主人公の活躍によって評価が上がっていく?  そんな周りの評価など関係なしに、今日も主人公は楽しむことに全力を出す。  この作品は「カクヨム」様、「小説家になろう」様にも掲載しています。

僕の召喚獣がおかしい ~呼び出したのは超上級召喚獣? 異端の召喚師ルークの困惑

つちねこ
ファンタジー
この世界では、十四歳になると自らが呼び出した召喚獣の影響で魔法が使えるようになる。 とはいっても、誰でも使えるわけではない。魔法学園に入学して学園で管理された魔方陣を使わなければならないからだ。 そして、それなりに裕福な生まれの者でなければ魔法学園に通うことすらできない。 魔法は契約した召喚獣を通じて使用できるようになるため、強い召喚獣を呼び出し、無事に契約を結んだ者こそが、エリートであり優秀者と呼ばれる。 もちろん、下級召喚獣と契約したからといって強くなれないわけではない。 召喚主と召喚獣の信頼関係、経験値の積み重ねによりレベルを上げていき、上位の召喚獣へと進化させることも可能だからだ。 しかしながら、この物語は弱い召喚獣を強くしていく成り上がりストーリーではない。 一般よりも少し裕福な商人の次男坊ルーク・エルフェンが、何故かヤバい召喚獣を呼び出してしまったことによるドタバタコメディーであり、また仲間と共に成長していくストーリーでもある。

豪華地下室チートで異世界救済!〜僕の地下室がみんなの憩いの場になるまで〜

自来也
ファンタジー
カクヨム、なろうで150万PV達成! 理想の家の完成を目前に異世界に転移してしまったごく普通のサラリーマンの翔(しょう)。転移先で手にしたスキルは、なんと「地下室作成」!? 戦闘スキルでも、魔法の才能でもないただの「地下室作り」 これが翔の望んだ力だった。 スキルが成長するにつれて移動可能、豪華な浴室、ナイトプール、釣り堀、ゴーカート、ゲーセンなどなどあらゆる物の配置が可能に!? ある時は瀕死の冒険者を助け、ある時は獣人を招待し、翔の理想の地下室はいつのまにか隠れた憩いの場になっていく。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しております。

VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。

異世界キャンパー~無敵テントで気ままなキャンプ飯スローライフ?

夢・風魔
ファンタジー
仕事の疲れを癒すためにソロキャンを始めた神楽拓海。 気づけばキャンプグッズ一式と一緒に、見知らぬ森の中へ。 落ち着くためにキャンプ飯を作っていると、そこへ四人の老人が現れた。 彼らはこの世界の神。 キャンプ飯と、見知らぬ老人にも親切にするタクミを気に入った神々は、彼に加護を授ける。 ここに──伝説のドラゴンをもぶん殴れるテントを手に、伝説のドラゴンの牙すら通さない最強の肉体を得たキャンパーが誕生する。 「せっかく異世界に来たんなら、仕事のことも忘れて世界中をキャンプしまくろう!」

処理中です...