上 下
51 / 622
1章

50話 文明開化の銃声音

しおりを挟む
『銃カテゴリーの生産及び条件を満たした為、特殊生産スキル:ガンスミスをアンロックしました』


 やっぱりと言うか、自作できるという部分であるだろうとは思っていたスキルが存在していた。ただ、銃カテゴリーの生産と「条件」と言うのが微妙に引っかかる。
 しかも特殊生産スキルとのことでスキル1の方にある、SPを割り振らないと効果が上がらない枠の方に追加された。条件が判明していないが、現時点ではT2Wにおける唯一の存在だろう。
 しかしここまで自力で到達した私にはある程度の条件も軽く察してはいるのだが。それは追々まとめておこう。

「まあ、即取得安定よね」

 こういう時は思い切りが大事。っていうかこれ自作するのなら150%取得推奨スキルじゃないかな。β時代は銃の自作とかは無かったはずだし、銃弾自体格安投げ売り状態だったし。


スキル名:ガンスミス レベル:1
詳細:【特殊生産スキル】
【パッシブ】
1:カテゴリー「銃」及び銃弾の製造の際に一定の品質補正が掛かる
2:銃破損から銃故障へと置き換わる
【アクティブ】
カテゴリー「銃」の修理が可能になる レベル上昇により修理時の成功率上昇
備考:修理の際には一定の材料が必要 レベル上昇により修理時の使用材料の減少


「なるほどねぇ……基本的には製造に関係する事に補正が掛かると……地味に破損じゃなくて故障ってのも気になる、銃剣は破損で消滅だし、故障は使用不可とか?」

 ウサ銃は銃剣部分だけが破損するが、破損した時には使用したアイテムが全部消失する、それは何度も経験しているし、それで危なかった事もロックラック先生の時に思い知った。今までの経験も踏まえて考えればパッシブの破損から故障もどういう効果かは予想出来る。っていうかアクティブに修理があるんだから、故障が使用不可状態と言うのも察する事が出来る。
  
「でもまあ、銃剣は破損するって文章は変わらないから、あくまでも自作銃対象か……これカスタマイズとの組み合わせで自作銃は拡張していくのが基本なんじゃないかな」

 これを踏まえて考えていくと、ガンスミスからカスタマイズを取得していくのが正規ルート……だと思う。……いや、そうすると銃剣や銃格闘が覚えられないので戦闘がきつすぎる。どっちが正解と言うのがイマイチ確定できない。

「ま、そういうのは後でいいとして、作ったパイプ銃の実射してみてどんなものか確認しないと……暗闇洞窟はガウェインと行った時に派手にやらかしたし、今はちょっと行けないか」

 あんだけ爆音鳴らして蝙蝠ばたばた倒したのを見られていないわけがないし、行ったら行ったで面倒そうだし。

「いや、敢えて北エリア1でやるか、モンスターは全部ノンアクティブだし、今更北エリア1でレベリングしてる奴もいないし、下手に奥にいくよりはいいか」


 
 北エリア1、リアル二日前には最弱のモンスターにすら殴り殺されたわけだが、そういえば何か新しい事を試すときにはいつも此処に来てた気がする。流石に最初の銃撃戦は西エリア1だけだったが、銃殴りから始まり、銃剣、そして自作銃の試し撃ち。多分これからもこのラットにはお世話になるだろうなあ、実験的な意味で。

「当たれば一発だけど、命中補正えらいマイナス食らってるのよね」

 パイプ銃に装填しながら手頃にいるラットを探す。そういえば装填スキルって地味にLv2にしておいたけど、ようやく久々に使える。最初の頃はとりあえず上げておいたスキルなので、今一度確認しておく。


スキル名:装填
詳細【パッシブ】
1:カテゴリー「銃」の装填動作に補正
2:LvUPにより補正値が上昇、装填速度が速くなる


 まあそのままだよね。最初のレベルアップの時に上げて以来使う事も無かったし、こんな効果だったと思い出す。ついでに初期から覚えている二度撃ちに関してだが、先込め銃じゃ物理的に不可能なので使えない。条件としては装弾数が2発以上ある銃に限るのだろう。
 とりあえずパッシブなので気にせずパイプ銃に火薬と玉を詰めわけだが……早合とかもあったし、今度そういうのも作っておこう。
 
 銃口を上にし、黒色火薬3g、玉の順番に入れてから押し込むのだが、それをするための道具「槊杖《かるか・さくじょう・こめや》」が必要に……なると思っていたのだが流石ゲーム。持っていなくても勝手に出てきて押し込むことが出来る。モーションとして多分組み込まれているのだろう。この動作速度を、装填のSLvを上げる事によって短縮できるのだろう。
 そうして撃つ事が可能になったパイプ銃だが、引き金は存在していないので魔力を込め、内部を直接発火させて、爆発力で玉を飛ばす。
 なんとも銃と言い切れないがシステム的に銃なので問題なし。って言うか銃身を持てるようにしただけなので、銃っていうか小型の大砲だな。 
 とにかく装填が完了したパイプ銃を持ちつつ、良い感じに警戒してないラットを見つけてから片膝立ちになってしっかりと両手でパイプ銃を握って狙いを付ける。
 照準なんてご立派な物は付いていないので「大体この辺に飛ぶだろう」という目測になる。これも銃を作る際に照準を作る事をしなければ命中に大幅なマイナスが入るんだろう。この辺も要検証。
 
 ぶれない様に腋を締め、両手でしっかりと木で覆った部分を握って胸の前で構える。照準がないので銃身と自分の視線が一直線になるようにしてから魔力を込め始める。
 刻印の発動条件も何度か試しておいたが、刻印されている装備に魔力を込めてMPを消費することで設定した部分から刻印した物が発生する。
 この場合は銃身根元、火薬の底ではなく側面から火を付けるわけだし、現実の銃と違い火薬の爆発力が抜ける部分は正面にしかないので威力はでるはず。なんたって固定ダメージ20だし。

「よし……ふー……」

 深く息を吐き出して狙いを付けると共に息を止め。ラットが逃げ出す前に魔力を流して着火させる。
 瞬間、炸裂音と共に煙と閃光が銃口から巻き上がる。どうやらしっかりと発射は出来たらしいが。

「んぅうぅぅう……!?」

 爆死した時とは違うが今までにない強烈な振動が手に伝わってくる。ある程度こう言った衝撃や痛みがくるのはフルダイブ系の醍醐味ではあるが、流石に支障が出るほどの強さではないとマニュアルにはあった。が、今回のに関してはかなりの振動だった。色んなゲームでそういう振動ギミックは多かったが今までで最強かもしれない程の振動が手に伝わってくる。
 
「いっだぁ!!」

 さらに追撃として、手の振動で握りが緩くなったのとパイプ銃を胸の前に構えていたせいもあり、爆発の反動で左胸に銃床の底が強打し8ポイントのダメージ。本当は痛くはないがダメージを受けたりすると反射的に「いてっ」っと言ってしまうあんな感じだ。
 とは言え、発射した玉はしっかりとラットを捉え……てはおらず、右に反れて奥にあった木に玉がめり込んでいる。一応成功はしているのだが命中-30ってかなり大きい。なんなら距離取ってウサ銃にアタッチメントとして装備させて銃剣と合わせたコンビネーションとかの方が使えるんじゃないのか、これ。

 ちなみに肝心のラットに関しては音にびびって速攻で逃げだしている。

「まさかこんな所で自爆ダメージ貰うとは……改良の余地しかないよ、まったく……」

 これ当たり所悪かったらダメージもっとあるんじゃ?って言うかどっちかっていうとこれ爆弾とあまり変わらない気がする。どっちにしろもっと安定して撃てるようにしないといけない、急務で作るべきなのは体に当てて安定化させるためのストック部分だろうか。

「まあ、実験は成功したし……これから精度を上げていくのが急務かなあ……ってかこうなったら実装予定のマイハウスかクランハウスで実験とか銃工房作るのもありだな

 痺れた手を振って感覚を戻しながらメモ帳に記載。やっぱりまだやる事はたくさんある。
しおりを挟む
感想 43

あなたにおすすめの小説

VRゲームでも身体は動かしたくない。

姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。 古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。 身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。 しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。 当作品は小説家になろう様で連載しております。 章が完結次第、一日一話投稿致します。

神速の冒険者〜ステータス素早さ全振りで無双する〜

FREE
ファンタジー
Glavo kaj Magio 通称、【GKM】 これは日本が初めて開発したフルダイブ型のVRMMORPGだ。 世界最大規模の世界、正確な動作、どれを取ってもトップレベルのゲームである。 その中でも圧倒的人気な理由がステータスを自分で決めれるところだ。 この物語の主人公[速水 光]は陸上部のエースだったが車との交通事故により引退を余儀なくされる。 その時このゲームと出会い、ステータスがモノを言うこの世界で【素早さ】に全てのポイントを使うことを決心する…

後輩と一緒にVRMMO!~弓使いとして精一杯楽しむわ~

夜桜てる
SF
世界初の五感完全没入型VRゲームハードであるFUTURO発売から早二年。 多くの人々の希望を受け、遂に発売された世界初のVRMMO『Never Dream Online』 一人の男子高校生である朝倉奈月は、後輩でありβ版参加勢である梨原実夜と共にNDOを始める。 主人公が後輩女子とイチャイチャしつつも、とにかくVRゲームを楽しみ尽くす!! 小説家になろうからの転載です。

最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO

無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。 名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。 小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。 特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。 姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。 ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。 スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。 そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。

最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした

水の入ったペットボトル
SF
 これまであらゆるMMOを最前線攻略してきたが、もう俺(大川優磨)はこの遊び方に満足してしまった。いや、もう楽しいとすら思えない。 ゲームは楽しむためにするものだと思い出した俺は、新作VRMMOを最弱職業『テイマー』で始めることに。 βテストでは最弱職業だと言われていたテイマーだが、主人公の活躍によって評価が上がっていく?  そんな周りの評価など関係なしに、今日も主人公は楽しむことに全力を出す。  この作品は「カクヨム」様、「小説家になろう」様にも掲載しています。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

VRMMO~鍛治師で最強になってみた!?

ナイム
ファンタジー
ある日、友人から進められ最新フルダイブゲーム『アンリミテッド・ワールド』を始めた進藤 渚 そんな彼が友人たちや、ゲーム内で知り合った人たちと協力しながら自由気ままに過ごしていると…気がつくと最強と呼ばれるうちの一人になっていた!?

Free Emblem On-line

ユキさん
ファンタジー
今の世の中、ゲームと言えばVRゲームが主流であり人々は数多のVRゲームに魅了されていく。そんなVRゲームの中で待望されていたタイトルがβテストを経て、ついに発売されたのだった。 VRMMO『Free Emblem Online』 通称『F.E.O』 自由過ぎることが売りのこのゲームを、「あんちゃんも気に入ると思うよ~。だから…ね? 一緒にやろうぜぃ♪」とのことで、βテスターの妹より一式を渡される。妹より渡された『F.E.O』、仕事もあるが…、「折角だし、やってみるとしようか。」圧倒的な世界に驚きながらも、MMO初心者である男が自由気ままに『F.E.O』を楽しむ。 ソロでユニークモンスターを討伐、武器防具やアイテムも他の追随を許さない、それでいてPCよりもNPCと仲が良い変わり者。 そんな強面悪党顔の初心者が冒険や生産においてその名を轟かし、本人の知らぬ間に世界を引っ張る存在となっていく。 なろうにも投稿してあります。だいぶ前の未完ですがね。

処理中です...