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1章
23話 黄色の宝石
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レベル一つ上がった程度で楽勝と言うわけにはいかないが、気持ち的に避けやすくなったと言うか、体が付いてくるようになった気がする。確実に気分的な物なのだろうけど、モチベーションが上がっていると言えば上がっている。
「それでも3回に1回は死に戻りしてるんだけど」
もう何とも思っていない死に戻りエフェクトを出しながら安全地帯へとリスポン。そういえばナイフ代なくなったけど、まあいいだろう。その時に何だかんだ言っておけば大丈夫だろ、あの感じだし。
無い物は無いのでしょうがないが、その代わり増えているくず鉄と銅鉱石。やっぱりレベルを上げないと良い物は中々出てこない。しかし一応出るという情報でどのくらいのレベルで取得できるかも聞いておけばよかった。多分情報料とか取られたっぽいけど、取得可能レベルくらいなら情報料も安かったんじゃなかろうか。
情報一つで結構な稼ぎが出る話もあるから、なんとも言えないと言えば何とも言えない。聞いたり調べたりしたところ、情報クランってゲーム内でかなりの資産を保有しているとかどうとか。そりゃあ数百Z(ゼニー)で買った知られてない情報を1.5倍あたりで売り払えばすぐに元は取れる。とは言えある程度元を取ったらすぐ情報をばら撒いているが。
そういうわけでT2Wでは情報一つが金になる。だから攻略組はレアドロップ品やモンスターの攻略方法は秘匿し、後続組が攻略を開始した辺りでその情報を高値で売り、それでまた新しい攻略を進める。そういう流れが既に出てきている。
とはいえ、私の様に雑魚モンスター一体一体の攻略を確立しつつ、ドロップ品が出てくるレベルや場所を一個ずつ調べてメモするような奴はそうそういないと思う。
「レベリングも遅いし、しょうがないんだろうけどなあ」
安定のMREをむしゃつきながらインベントリを確認するが、相変わらず狙いの物はドロップできていない。なんだかんだで結構な数を採掘しているが、そもそも3回に1回しか銅がでないのにさらにドロップ率が低そうな硫黄がぽろっと出てくるとは思えない。ついでに言えば採掘のレベルが足りないかもしれないのだが。いまだにLv2のままなので、上がるまで往復しなきゃならない。
「遠いわねぇ、道のりが……」
まさか販売一つなくすだけでここまでの難易度になるとは思っていなかったよ。銃キチスタッフがリアル追求にしたのか、バランス調整での結果なのかはわからないが……。
「こんな苦労するもんだとは思ってなかったよね」
慣れた手つきで髑髏リスの骨を受けて攻撃を返す。死に戻り往復しつつ、そのたびに四回程度戦っていれば何をどうやっても慣れる。最初に受け、あとはかみつき攻撃を受けるか避けるかして攻撃。これ剣士系とか魔法系の連中はどうやって突破するんだろうか。そもそもソロプレイじゃなくて誰かと一緒に突破していくんだろうか。
マルチとか縁のない話だから言っていて空しい。あの犬耳ショタが私と組もうと言っていたけど、真実を知らないというのは決して悪い事ではない。悪い事はしたと思ったが。
「やっぱりPT組んで役割分担がいいんだろうけど」
出てきた一匹目のリスを仕留め、銃剣を肩にかけなおす。そういえばボアにやられた後、ウサ銃にまた銃剣を付けおいたので、縄とナイフは一つずつ消化している。次の一本がダメになったら素直にエルスタンに戻って物資の補給をしないといけない。よくあるが、全部壊れて使った後に戻るパターンだ。
予備と言うのは帰還含めて考えておく物で、全部使い切ったから帰りましょうとか、全部使ったから出して使うという物ではない。何より銃剣が使えないとLv1のラットにすら未だにやられるかもしれないのに、銃剣の付いていない銃で戦えるわけがない。
「もうちょっとHP残れば進軍速度上げられるんだけどなあ」
いくら手馴れているとは言えHPの減りは変わらないので、相変わらず休憩しつつ、先に進んでいる。それでも採掘ポイントまでのルートは確立できているから進歩はある。
そうして日課の様に採掘ポイントでがんがんとつるはしを振るって採掘し続ける。出てくるのはやっぱりくず鉄とたまに出てくる銅鉱石だが、これも価値的にはどれくらいの物かまだ分からないし、鍛冶のスキルを使ってもレシピが出てこないので、鉄と銅に製錬できるかもわからない。
多分できると思ってやるのは精神衛生上よろしくない。かといって期待している状態で、できない場合の精神的ダメージも結構大きいというのもあるが。どちらにせよそんなに期待しないでおくというのが一番いい。
大体数十分採掘しているとボアかリスがやってきてこっちに喧嘩を売ってくるわけだが、今回は丁度よく敵がやってこない。今までやられたパターンも音を聞いたボアが突撃してきて、もろとも吹っ飛ばされていたのだが、珍しく運が向いているのか敵が来ない。
そうなればもう掘りまくる。もうがんがんと、今までのうっ憤とか此処まで来るまでの大変さとか、銃弾が買えないから手に入らない低火力銃剣プレイを強要されている状況とかその他もろもろをぶつける。ついでに私の運の無さも。
「採掘ポイントは少ないし、レベルが上がりやすいんかな!」
ガチンガチンと甲高い音を辺りに響かせる。こんなにやってて他のプレイヤーが来ないというのも不思議だが、生産職で現地調達まで出来るプレイヤーはまだ少ない、かといって戦闘職は採掘するくらいなら珍しい素材で装備を作ってもらえればいい、結局こうなってくるとギャザラーの人口が少ないのも頷けるわけだが。
そもそも結構攻略も進んでいるし、こんな所で採掘するならもうちょっと奥とか別の場所があると思う。此処に来ているのも自分が硫黄を取れる可能性があるから採掘しているわけで、もっと簡単な採掘ポイントは存在している。例えば今まで行ったことのない南エリア、北エリアの北東側とか、場所は無いと言う事ではない。
「先に上げておくってのも手だった気がする」
今更の話だが、結局軽い遠回りをしている事を改めて認識する。目の前のポイントにまっしぐらで突っ込んでいく前に採掘とか本職のレベリングしておくのが多分正解。でも、しょうがないよね、だって硫黄取れたら火薬の6割完成よ?あと1個素材を手に入れればきっと出来るんだから、そりゃあ無理してでも此処に来るよね。それに結果としてレベルは上がっているから、結果オーライ。
そしてしばらく採掘していると、一撃貰う。遠距離攻撃の骨だ。憎いあのリス公だが、まだ20ほどHPは残っているので無視して採掘続行。近づいてくるまでにも採掘は続けられるし、近づかれても噛まれている間にも採掘はできる。うん、やっぱり頭おかしいわ、私。
普通だったら迎撃するか、一旦やめて逃げたり隠れたりも考えられるが、どうせ失う物は経験値なのでがん無視。って言うか、倒せるなら死に戻りする必要ないんじゃ、と思われているが、つるはしを持ち替えて、銃剣を構えて迎撃……その状態で倒せるわけないよね。
「何回死んだっけか」
見慣れた死に戻りエフェクトを軽く見てから、夢中になって掘り進めていたログとインベントリを確認する。ひたすら掘りまくっているのもあったが先に採掘がLv3にあがり。
「まあ、一歩前進よね」
インベントリとログに残っている硫黄2個。
偶然なのか運が良かったのかは分からないが、多分しばらく不運が続くと思う。
名称:硫黄
詳細:原子番号16番記号S 用途は色々 実は無臭
「それでも3回に1回は死に戻りしてるんだけど」
もう何とも思っていない死に戻りエフェクトを出しながら安全地帯へとリスポン。そういえばナイフ代なくなったけど、まあいいだろう。その時に何だかんだ言っておけば大丈夫だろ、あの感じだし。
無い物は無いのでしょうがないが、その代わり増えているくず鉄と銅鉱石。やっぱりレベルを上げないと良い物は中々出てこない。しかし一応出るという情報でどのくらいのレベルで取得できるかも聞いておけばよかった。多分情報料とか取られたっぽいけど、取得可能レベルくらいなら情報料も安かったんじゃなかろうか。
情報一つで結構な稼ぎが出る話もあるから、なんとも言えないと言えば何とも言えない。聞いたり調べたりしたところ、情報クランってゲーム内でかなりの資産を保有しているとかどうとか。そりゃあ数百Z(ゼニー)で買った知られてない情報を1.5倍あたりで売り払えばすぐに元は取れる。とは言えある程度元を取ったらすぐ情報をばら撒いているが。
そういうわけでT2Wでは情報一つが金になる。だから攻略組はレアドロップ品やモンスターの攻略方法は秘匿し、後続組が攻略を開始した辺りでその情報を高値で売り、それでまた新しい攻略を進める。そういう流れが既に出てきている。
とはいえ、私の様に雑魚モンスター一体一体の攻略を確立しつつ、ドロップ品が出てくるレベルや場所を一個ずつ調べてメモするような奴はそうそういないと思う。
「レベリングも遅いし、しょうがないんだろうけどなあ」
安定のMREをむしゃつきながらインベントリを確認するが、相変わらず狙いの物はドロップできていない。なんだかんだで結構な数を採掘しているが、そもそも3回に1回しか銅がでないのにさらにドロップ率が低そうな硫黄がぽろっと出てくるとは思えない。ついでに言えば採掘のレベルが足りないかもしれないのだが。いまだにLv2のままなので、上がるまで往復しなきゃならない。
「遠いわねぇ、道のりが……」
まさか販売一つなくすだけでここまでの難易度になるとは思っていなかったよ。銃キチスタッフがリアル追求にしたのか、バランス調整での結果なのかはわからないが……。
「こんな苦労するもんだとは思ってなかったよね」
慣れた手つきで髑髏リスの骨を受けて攻撃を返す。死に戻り往復しつつ、そのたびに四回程度戦っていれば何をどうやっても慣れる。最初に受け、あとはかみつき攻撃を受けるか避けるかして攻撃。これ剣士系とか魔法系の連中はどうやって突破するんだろうか。そもそもソロプレイじゃなくて誰かと一緒に突破していくんだろうか。
マルチとか縁のない話だから言っていて空しい。あの犬耳ショタが私と組もうと言っていたけど、真実を知らないというのは決して悪い事ではない。悪い事はしたと思ったが。
「やっぱりPT組んで役割分担がいいんだろうけど」
出てきた一匹目のリスを仕留め、銃剣を肩にかけなおす。そういえばボアにやられた後、ウサ銃にまた銃剣を付けおいたので、縄とナイフは一つずつ消化している。次の一本がダメになったら素直にエルスタンに戻って物資の補給をしないといけない。よくあるが、全部壊れて使った後に戻るパターンだ。
予備と言うのは帰還含めて考えておく物で、全部使い切ったから帰りましょうとか、全部使ったから出して使うという物ではない。何より銃剣が使えないとLv1のラットにすら未だにやられるかもしれないのに、銃剣の付いていない銃で戦えるわけがない。
「もうちょっとHP残れば進軍速度上げられるんだけどなあ」
いくら手馴れているとは言えHPの減りは変わらないので、相変わらず休憩しつつ、先に進んでいる。それでも採掘ポイントまでのルートは確立できているから進歩はある。
そうして日課の様に採掘ポイントでがんがんとつるはしを振るって採掘し続ける。出てくるのはやっぱりくず鉄とたまに出てくる銅鉱石だが、これも価値的にはどれくらいの物かまだ分からないし、鍛冶のスキルを使ってもレシピが出てこないので、鉄と銅に製錬できるかもわからない。
多分できると思ってやるのは精神衛生上よろしくない。かといって期待している状態で、できない場合の精神的ダメージも結構大きいというのもあるが。どちらにせよそんなに期待しないでおくというのが一番いい。
大体数十分採掘しているとボアかリスがやってきてこっちに喧嘩を売ってくるわけだが、今回は丁度よく敵がやってこない。今までやられたパターンも音を聞いたボアが突撃してきて、もろとも吹っ飛ばされていたのだが、珍しく運が向いているのか敵が来ない。
そうなればもう掘りまくる。もうがんがんと、今までのうっ憤とか此処まで来るまでの大変さとか、銃弾が買えないから手に入らない低火力銃剣プレイを強要されている状況とかその他もろもろをぶつける。ついでに私の運の無さも。
「採掘ポイントは少ないし、レベルが上がりやすいんかな!」
ガチンガチンと甲高い音を辺りに響かせる。こんなにやってて他のプレイヤーが来ないというのも不思議だが、生産職で現地調達まで出来るプレイヤーはまだ少ない、かといって戦闘職は採掘するくらいなら珍しい素材で装備を作ってもらえればいい、結局こうなってくるとギャザラーの人口が少ないのも頷けるわけだが。
そもそも結構攻略も進んでいるし、こんな所で採掘するならもうちょっと奥とか別の場所があると思う。此処に来ているのも自分が硫黄を取れる可能性があるから採掘しているわけで、もっと簡単な採掘ポイントは存在している。例えば今まで行ったことのない南エリア、北エリアの北東側とか、場所は無いと言う事ではない。
「先に上げておくってのも手だった気がする」
今更の話だが、結局軽い遠回りをしている事を改めて認識する。目の前のポイントにまっしぐらで突っ込んでいく前に採掘とか本職のレベリングしておくのが多分正解。でも、しょうがないよね、だって硫黄取れたら火薬の6割完成よ?あと1個素材を手に入れればきっと出来るんだから、そりゃあ無理してでも此処に来るよね。それに結果としてレベルは上がっているから、結果オーライ。
そしてしばらく採掘していると、一撃貰う。遠距離攻撃の骨だ。憎いあのリス公だが、まだ20ほどHPは残っているので無視して採掘続行。近づいてくるまでにも採掘は続けられるし、近づかれても噛まれている間にも採掘はできる。うん、やっぱり頭おかしいわ、私。
普通だったら迎撃するか、一旦やめて逃げたり隠れたりも考えられるが、どうせ失う物は経験値なのでがん無視。って言うか、倒せるなら死に戻りする必要ないんじゃ、と思われているが、つるはしを持ち替えて、銃剣を構えて迎撃……その状態で倒せるわけないよね。
「何回死んだっけか」
見慣れた死に戻りエフェクトを軽く見てから、夢中になって掘り進めていたログとインベントリを確認する。ひたすら掘りまくっているのもあったが先に採掘がLv3にあがり。
「まあ、一歩前進よね」
インベントリとログに残っている硫黄2個。
偶然なのか運が良かったのかは分からないが、多分しばらく不運が続くと思う。
名称:硫黄
詳細:原子番号16番記号S 用途は色々 実は無臭
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