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1章

2話 聞いた話と違う

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「自分の運の無さが気になるわー」

 街の真ん中に光の輪を作りながら降り立つ。そう、私は晴れてT2Wの世界へとログインしたのだ。
 サービス開始すぐはログインゲーとかラグとか人がごちゃまぜで自分のいる場所が分からないとかそういうのは一切無し。東西南北で街自体が区切られていて、順繰りとログイン地点を作ってるみたい。
 早速と言う様にステータスと呟くと、自分の目の前にウィンドウが現れる。



名前:アカメ 種族:ドラゴニアン
職業:ガンナー

基本Lv:1 職業Lv:1
HP:22/22 MP:12/12 
STR:5 AGI:12 VIT:2 
DEX:7  INT:2  RES:2

【スキル1】
二度撃ちLv1 装填Lv1 調合Lv1

【装備】
武器:M2ラビット×1 
その他:銃弾×50 

【持ち物】
レーション×20 HP下級ポーション×10 MP下級ポーション×10

所持金:1000Z
状態:異常なし 満腹度100%



 すぐさま装備を確認し、インベントリを展開。装備欄を選択し指で選択すると何もない空間からずるっと武器が出てくる。これが私の最初の武器であって序盤最強の武器でもある銃だ。
 
 名前はM2ラビットと書いてあるが所謂クリップ方式のリロードをする超有名な銃がモデルだろう。ぶっちゃけ威力とか装弾数が少ないとかリロードの際に指を挟んで怪我をするとかどうでもよくて、あのクリップ音で興奮するものだ。
 
 しかし、このゲームの凄まじい所は、もしSTRが1とか最大の25とかになるとそれに合わせて武器もそれに合わせる素敵仕様だった。実際の所もう少しSTRの値が低ければ拳銃とかもあり得たという事。
 まあ銃なら最低保証がついてるから何でもいいんだけど。
 そんなわけで手に入れたM2ラビットなんだけど、効果はやはり調べた通り最高の性能だ。



名前:M2ラビット 武器種:長銃
必要ステータス:STR5 DEX5
攻撃力:+15 命中:+20
効果:セミオート 命中時固定ダメージ50 装弾数5発
付属品:無し



 そう、この固定ダメージと言うのが肝なのだ。銃特有のリロードとか装弾管理とかいろいろ制限があるからこそ成しえる強力武器、どれくらい強いかと言うと最初の町に生息しているボスが十発以内で落ちるレベル。チートじゃね?でも違うんです、公式武器なのでセーフ。
 
 元ガチFPSプレイヤーだった私も大満足の仕上がり、RPG的にも強くて素敵。そう、初めて欲しいおもちゃを買って貰ったらずっと近くに置いておきたい衝動。
 
 すぐさま装備して肩にかける。ちなみに肩掛け、腰掛け、装着部位は無理さえなければ自由なうえに何も効果の無いベルトは自由に使える。効果付きは別だけど、その辺も自由自在。このゲームクリアしたも同然、かちゃかちゃ銃弄るだけでも楽しい。
 
 そんなわけで最初の町、名前はええっとエルスタンだったかな。中心にバカでかい木があるのだが、そこをくりぬいて冒険者ギルドがある。そしてぐるりと城壁で囲まれており、東西南北に出入り口が一つずつ。時計回りにレベルが高くなるので北、東、南、西の順番で難易度が上がる。
 
 もちろんLv1の貧弱冒険者がいきなり高レベルの西のエリアに行けるわけはない、だって皆、北か東からレベリングするわけだし?
 
 でも私は違う、固定ダメージ50よ、いくら適正レベルが上だからって負ける要素0だし?
 
 ちなみに西エリアの適正レベルは10、いくら強くてもHP50とか持ってる奴はいないわけで、当たれば確実に倒せるですよ。これでスタートダッシュできるわけよ。ああ、楽しいだろうなあ、これから私のフルダイブ系VRMMOの生活が始まるんだ。
 
 
 そしてやってきました西エリア、街に近いから非アクティブ系の敵が殆どで、草原と森を合わせたようなマップ。じゃあ何で適正レベルが高いかと言うと、このゲーム低レベルのモンスターと高レベルのモンスターが結構入り交ざってるうえで、アクティブ系のモンスターのみレベルが高くなっている。
 
 まあ、そんな事知ったこっちゃねえって話だが。
 
 T2Wが他のゲームと違うのはモンスターによって五感での視認方法がしっかりと設定されている上に、範囲に入ったからとりあえずお前を殺す。と言う喧嘩腰のモンスターではないという事。
 
 でもそんな事しったこっちゃねえって話、を何回するんだろう。
 
 そりゃあもう手当たり次第に撃ちまくりよ。敵を倒す事でアイテムがドロップ、それを売買してZ(ゼニー)を稼ぐ。まあこの辺はモンスター狩りを主体にする方法なんだけどね。で、このモンスター狩りをしてるのからドロップアイテムを買って、生産職がアイテムや装備を作ってレベルアップ、それをまた戦闘職が買って、高レベル帯に挑んで……の繰り返しでこの世界は広がっている。

「ああー、たーのしー!」

 片膝をついて、左腕を支えにしつつ銃撃。距離が開いてくると流石に外すけど、目視でそこにいるとわかる範囲では全然当てられてる。そもそも移動速度がそこまで速くないというのもあって、今のDEXでも十分命中出来ている。
 5発撃つたびにチャキンと金属クリップのあの独特な音をさせながら飛び上がる、それを確認してからまたクリップを装填し構えて撃つ。正直この動作を自分でやるというだけでこのゲームを買う価値があったというものだ。

 しばらくバカすかと撃ちまくり、20体程を仕留め残り銃弾5発になるまで狩りまくる。撃って弾切れでクリップが飛んで、装填してまた撃つという傍から見たら作業のような動作だが、アドレナリンが出まくりだった。
 ちなみに西エリアのモンスターだがこんな感じに分布している。


エルスタン西エリア モンスター一覧
Lv01:ラット
Lv01:ラビット
LV03:石蛇
Lv10:バウンドドッグ


 まあ狙いはLv10の相手なわけだけど、基本的に一発殴られたら死ぬので、当ててダメだった場合はガチ逃げするしかなかったけど。当たれば一発なので、とてもハイリスクハイリターン。
 
 デスペナルティは所持金と経験値の低下だけど、最初の数回だけはペナ無しだったりする。なぜわかったかと言うとたった今、それが証明されたから。
 
 囲まれない様に一体ずつ倒していたが、二体同時相手の際に照準するまでにもたついてかみ殺された。
流石に攻撃力は高いけど防御力はティッシュペーパーなので一瞬で死ぬ。
 
 そんなわけで最初のログイン地点に赤い光の輪を出しながら戻ってくる。周りからはもう死んでるじゃんと笑われているが、すでに3歩先にいる私に煽りや中傷等聞くに値しない。お前らが探索している間に低レベルから高レベルまで20匹狩りあっという間にLv4まで上がっているんだぞ。



名前:アカメ 種族:ドラゴニアン

職業:ガンナー
基本Lv:4 職業Lv:2
HP:25/25 MP:13/13 
STR:5 AGI:12 VIT:2 
DEX:10  INT:2  RES:2
SP残:7

【スキル1】
二度撃ちLv1 装填Lv2 調合Lv1 

【装備】
武器:M2ラビット(残弾0)×1  
その他:銃弾×5
【持ち物】
レーション×20 HP下級ポーション×10 MP下級ポーション×10 動物の皮×10

所持金:1000Z
状態:異常なし 満腹度75%


 
 とりあえず3レベル分DEXに3ポイントつぎ込む。レベル1つにつきステータスは1ポイント、それとは別にスキルポイントが3ずつもらえて、スキルレベルを上げるたびに2消費、新スキルは最低3ポイント消費だ。
 
 一応レベルが上がる他にも実績やイベントやらアイテムでもポイント自体の獲得ができる。
 
 まあ、とりあえず死に戻りしたからアイテムを補充をしよう、銃弾ないと攻撃できないし。


「……あれ、銃弾買えないんだけど……?」

 βの時にあった道具屋においてある銃弾が置いてない。それどころか武具屋にも銃も置いていない。またガンナーギルドという専門の施設も無くなっている。
 
 基本スキルで調合があるので自作とかもできるシステムなのだが、買えると思っていたのでそこらへんの情報が乏しい。っていうか、撃ちきったらどこで弾補充するんだ、これ。
 
 おかしい、最強って言われたのにちょっと話が違ってきたぞ
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