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第五章:転生者ウェルガ 学園騒乱編(仮称)
ウェルガ、復学する
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それから数日後。
今日はいよいよ約一ヶ月ぶりの復学だ。
「…そういや俺、入学初日しか学園来てねぇや」
寮の朝食後、学園に行く途中にふとそう思った。
つまり俺は、前世で言うところの「入学式後、事情があって久しぶりに登校する学生」みたいなものだ。というかまんまそれだ。かなり気まずいやつ。
ただ、かつての俺よりメンタルが強い分、今の俺はそれに対して特に気後れとかはない。
「おっは~!」
教室に入った俺は笑顔で、かつて日本で流行ったあの挨拶をしてみた。あ、手までは真似てないぞ。
「…お、おぉ~ウェル!もう来ていいのか!?」
自分の席で暇そうにしてたザイアが、真っ先に俺に気づいて近づいてきた。
「まあな~、学園からOK出たし」
昨日、学園側から登校しても大丈夫って言われたからな。
「ウェル君おはよ~!」
「愛し子様、おはようございます!」
「ウェル、久しぶり~!」
クラスの面々も、笑顔で俺に朝の挨拶をしてくれた。
「おはよ~。あ、知らない人のために言っとくけど、別に愛し子だからって気ぃ使わなくていいぞ?不敬罪とかにしないし。普通のクラスメイトとして接していいからな~」
俺は皆が気にしてるだろう事を言ってみたが、「じゃあそうするわ~」と気楽に言う奴や「それはちょっと…」と遠慮する奴がちらほらいるようだ。
「ま、女神様に気に入られてんだし、信者とかはしょうがないんじゃね?俺も一応信者だけど」
「まあ、そうだな」
ザイアとそんなことを話しながら、俺達は自分達の席に着く。まあ席に決まりはないので、友人達の近くに適当に座ったんだけど。
「おはよ~、やっぱりココに来たね」
「おう、やっぱ友達の近くの方がいいっしょ」
「おはよう、そうだね」
「…おはよ…ございます……!」
「おはよう、私もいるぞ」
「お~、ルシアもいた」
彼らは、まるで俺の周囲を囲うように座っていた。
教室の左側、一番前に座ったのだが、右にザイア、左にイルマ、後ろにゼクス、その右隣がネルで、左隣がルシアだった。
「お、そうだ!夏に対校戦の学園バージョンみたいなのやるらしいぜ?」
「学園対抗戦だね」
ザイアとゼクスは早速、俺が知らないであろう学園情報を俺に報告してきた。
「…ふーん」
「学園内で誰が一番強いか競うんだって~。参加すればある程度成績に加算されるらしいよ」
「しかも、何年生でも参加していいらしいぞ。強さに自信があれば、だがな」
「ほ~ぉ、そうなのか」
あまり興味がない話題でマヌケな返事をしてる俺に、イルマとルシアがそう付け加えた。
…まぁ、当然不参加だけどな。俺に成績はあんま関係ないし、参加したら絶対勝っちゃうし。
「お前は…まあ、な…」
「あぁ、参加しねぇぞ」
「「あぁ…うん」」
不参加を表明すると、全員が納得したような反応をした。
「…わ、私は…ウェルガ様の威光を皆に知って貰いたいですが…」
ネルだけはいつも通り、俺に目立って欲しいようだけどな。
「参加してもいいが、間違いなく面白く思わねぇ奴もいるだろうしな。そいつ等を刺激しないためってのもある」
「それは…無いんじゃないかな?ウェル君を怒らせたら破滅するって噂が広まってるしね」
「ま、滅多に怒んねぇ愛し子様が珍しくキレたんだ。流石に貴族連中は危機感抱くだろうさ」
有り得そうな推測を述べてみたら、ゼクスとザイアがそれはないと否定してきた。
「そうかぁ?」
「それにね、つい最近なんだけど…王都で何十人も行方不明者が出てるらしいんだ」
「ま、どいつもいない方がいいようなクズとか評判悪い奴等だけなんだけどな」
「…あ~…」
…どうやらあの魔法、正常に機能してたらしい。
「偶然近くにいた者の話では、失踪者?の周りに光が現れて、フッと消えてしまったそうだ」
「あらぁ~…」
ルシアさん…もうそれ確定じゃないですか…
「…それ、俺が気まぐれで使ったクズ撲滅魔法だ。ちゃんと効果あったのね…」
「「…ええぇぇぇ!?」」
俺の衝撃発言に、友人達は久しぶりに大仰天したようだった。
今日はいよいよ約一ヶ月ぶりの復学だ。
「…そういや俺、入学初日しか学園来てねぇや」
寮の朝食後、学園に行く途中にふとそう思った。
つまり俺は、前世で言うところの「入学式後、事情があって久しぶりに登校する学生」みたいなものだ。というかまんまそれだ。かなり気まずいやつ。
ただ、かつての俺よりメンタルが強い分、今の俺はそれに対して特に気後れとかはない。
「おっは~!」
教室に入った俺は笑顔で、かつて日本で流行ったあの挨拶をしてみた。あ、手までは真似てないぞ。
「…お、おぉ~ウェル!もう来ていいのか!?」
自分の席で暇そうにしてたザイアが、真っ先に俺に気づいて近づいてきた。
「まあな~、学園からOK出たし」
昨日、学園側から登校しても大丈夫って言われたからな。
「ウェル君おはよ~!」
「愛し子様、おはようございます!」
「ウェル、久しぶり~!」
クラスの面々も、笑顔で俺に朝の挨拶をしてくれた。
「おはよ~。あ、知らない人のために言っとくけど、別に愛し子だからって気ぃ使わなくていいぞ?不敬罪とかにしないし。普通のクラスメイトとして接していいからな~」
俺は皆が気にしてるだろう事を言ってみたが、「じゃあそうするわ~」と気楽に言う奴や「それはちょっと…」と遠慮する奴がちらほらいるようだ。
「ま、女神様に気に入られてんだし、信者とかはしょうがないんじゃね?俺も一応信者だけど」
「まあ、そうだな」
ザイアとそんなことを話しながら、俺達は自分達の席に着く。まあ席に決まりはないので、友人達の近くに適当に座ったんだけど。
「おはよ~、やっぱりココに来たね」
「おう、やっぱ友達の近くの方がいいっしょ」
「おはよう、そうだね」
「…おはよ…ございます……!」
「おはよう、私もいるぞ」
「お~、ルシアもいた」
彼らは、まるで俺の周囲を囲うように座っていた。
教室の左側、一番前に座ったのだが、右にザイア、左にイルマ、後ろにゼクス、その右隣がネルで、左隣がルシアだった。
「お、そうだ!夏に対校戦の学園バージョンみたいなのやるらしいぜ?」
「学園対抗戦だね」
ザイアとゼクスは早速、俺が知らないであろう学園情報を俺に報告してきた。
「…ふーん」
「学園内で誰が一番強いか競うんだって~。参加すればある程度成績に加算されるらしいよ」
「しかも、何年生でも参加していいらしいぞ。強さに自信があれば、だがな」
「ほ~ぉ、そうなのか」
あまり興味がない話題でマヌケな返事をしてる俺に、イルマとルシアがそう付け加えた。
…まぁ、当然不参加だけどな。俺に成績はあんま関係ないし、参加したら絶対勝っちゃうし。
「お前は…まあ、な…」
「あぁ、参加しねぇぞ」
「「あぁ…うん」」
不参加を表明すると、全員が納得したような反応をした。
「…わ、私は…ウェルガ様の威光を皆に知って貰いたいですが…」
ネルだけはいつも通り、俺に目立って欲しいようだけどな。
「参加してもいいが、間違いなく面白く思わねぇ奴もいるだろうしな。そいつ等を刺激しないためってのもある」
「それは…無いんじゃないかな?ウェル君を怒らせたら破滅するって噂が広まってるしね」
「ま、滅多に怒んねぇ愛し子様が珍しくキレたんだ。流石に貴族連中は危機感抱くだろうさ」
有り得そうな推測を述べてみたら、ゼクスとザイアがそれはないと否定してきた。
「そうかぁ?」
「それにね、つい最近なんだけど…王都で何十人も行方不明者が出てるらしいんだ」
「ま、どいつもいない方がいいようなクズとか評判悪い奴等だけなんだけどな」
「…あ~…」
…どうやらあの魔法、正常に機能してたらしい。
「偶然近くにいた者の話では、失踪者?の周りに光が現れて、フッと消えてしまったそうだ」
「あらぁ~…」
ルシアさん…もうそれ確定じゃないですか…
「…それ、俺が気まぐれで使ったクズ撲滅魔法だ。ちゃんと効果あったのね…」
「「…ええぇぇぇ!?」」
俺の衝撃発言に、友人達は久しぶりに大仰天したようだった。
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