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第五章:転生者ウェルガ 学園騒乱編(仮称)

やり過ぎチート転生者の規格外な検証

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「俺もレアオル様寄りの思考だから、あんまし教会にいい感情が…ねぇ…」

「申し訳ありません…私では上の方々はどうにも…」

「あぁ、気にしないで。そんな無茶は期待してないから」

そんな話をしながら、俺達は広めの礼拝所らしき場所へ移動した。
大体数十人ってとこかな?無数の長椅子の先にある大きなレアオル像に向かって、信者達が静かに祈りを捧げている。

「おぉ、意外と信心深い人いるんだねぇ」

「そりゃあもう!レアオル様は尊い御方で、しかもその存在はあの出来事でも証明されていますから!」

…あぁ、俺の鑑定の儀のアレね。
確かに当時を知る信者達からしてみれば、あれほど女神の存在を証明するものはないだろうなぁ。王都にまで話が伝わってるのは想定外だけど。

「さっきはああ言ったけど、自分を信じてる人たちに関してはしっかり見てるらしいから、安心してね」

「は、はい!はぁ…良かったぁ…」

レアオル様のイメージをこれ以上下げるのもあれだから、一応フォローもしておく。
どうやら上手くいったようで、それを聞いた神官さんは嬉しそうに返事を返してくれた。

「さて…じゃあ前からやりたかった事、やっちゃいますか~♪」

「…前からやりたかった事…?」

「ちょっとした検証さ」

そう、今回はただの挨拶だけで済ます気は全くない。俺の規格外スペックで試したいこともあったからだ。

「お姉さんは、薄汚れた心の人間がこの世からいなくなったらいいと思う?」

「そ、そりゃあ…一人でもいない方が、世の中は平和だとは思いますが…」

「なら、やってみようじゃあないか…クックック…」

「…え?」

タイトルをつけるなら…「検証!人間のクズが世の中から抹殺されたらどうなる!?」ってやつだ。
クズを改心させたってどうせ元のクズに戻るんだから、いっそ綺麗サッパリ汚れを落としてみようと思ったのだ。

検証の内容としては、救いようの無いクズのみを対象にして、俺のやり過ぎ浄化魔法でこの世界の全てのクズを抹殺してみる、というものだ。
少しでも良識のある者は対象外にしているので、困る人もおそらくは最小限だろう。
何かあったときのアフターケアも考えてはあるし、何よりちょっとやってみたい。
…胸糞悪い奴らがいない世界…ちょっと想像がつかないな…

「どうなるか楽しみだ…よし…」

俺は神官のお姉さんと一緒に礼拝所を出て、なるべく人が来ない場所に案内してもらった。

「いくぜぇ…〈滅悪〉!」

俺はオリジナル聖魔法の〈滅悪〉を発動させた…名前に関しては突っ込まないでほしい。
この魔法は本来、対象の悪意を綺麗サッパリ取り除くものなのだが、今回は俺の魔力と聖気と神力…神の力的なものをしこたまぶち込んで、世界全土を対象にした「クズ殺し」の魔法として使わせてもらう。

「…きゃあ!」

神官さんの悲鳴と共に俺の体は眩い光に包まれ、その光も数秒程度でフッと収まった。

「…な、何も起こっていないように見えますが… 」

「…ま、すぐには分からないかもな…」

試しに教会内を歩いてみたが、特に変わった様子はないようだった。

「…失敗…でしょうか…?」

「…俺も不安になってきたぞ…」

…考えてみれば、世の中には完璧な善人もいなければ、完璧な悪人もいないのだ。不発に終わっても不思議じゃない。

「検証結果は…不発かねぇ?」

仕方ないので、当初の目的である偉い人へのご挨拶に行くことにした。
この世界では教皇が聖国においての最高権力だが、各教会においての最高権力は司祭の上の大司祭なので、人の良さそうな白髪のお爺さん大司祭に簡単な挨拶をしてその日は帰った。

…犯罪が一時的になくなったのと、大量の行方不明者が出たというニュースが世界中に広まったのは、俺が学園に復帰して約1か月後の事だった。
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