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第四章:転生者ウェルガ 初等部編

うわぁ…めんどくせぇ…

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翌日、いつものように実技の授業をしていたのだが…ルシアがまたしても「勝負しろ!」とうるさかった。
なので、いつものメンバーと一緒に、授業の邪魔にならないように運動場の隅に移動して相手をしてやることにした。

「はぁ…前に一回やったじゃん…」

「あんな卑怯な試合は勝負ではない!あれでは私の気が済まん!」

「…アイツ、ウェルに威圧されて気絶してたのにな」

「失禁もね」

「ウェルガ様…頑張って下さい、です!」

「…ここまで来ると、いっそ逞しいねぇ…」

ルシアは木剣、俺は素手と、前回とほとんど一緒。
だって、武器なんて使ったらオーバーキルなんだもの。下手すると肉片も残らないんだもん☆

「…てかお前、俺がオリハルコン級冒険者だって知っててやってんの? …って、聞くまでもないか」

「そんなもの、どうせ嘘に決まっている! 」

「うん、言うと思った」

…そうだった。この子、そういう子でしたね。

「んじゃ。いつでもどうぞ?それともビビってんのか?ん?」

「き…貴様ぁ…!」

軽く挑発しただけで、ルシアは木剣を構えてこちらに突っ込んできた。

ちなみに彼女は、今は残念な悪癖が目立っているものの、普段は全体的に優等生だ。 
親が騎士団長なので剣の腕はいいし、むしろ同年代ではかなり強い方だ。

ただ…

「今回は相手が悪かったねぇ…」

「…っぐ!?」

俺は向かってきた木剣を手でペシッと弾き、ルシアの顔面に拳を寸止めさせる。

「おんやぁ?どうしたぁ?全然大したことないんだがねぇ?」

「な、舐めたことを…!」

「んじゃあお言葉に甘えて、少し本気を出してやろうか」

俺はルシアの後ろに一瞬で回り込み、〔黒星〕で作ったダガーを彼女の右の首筋に突き付けた。

「…な…何だ…一体何が起こって…」

「…お前こそオリハルコン級冒険者舐めてんじゃねぇぞ?オリハルコンは金とコネで手に入るほどやすかねぇんだよ」

ルシアは俺とのあまりの実力差に、顔を真っ青にして立ちすくんでいるようだが…まだ終わりじゃないんだぜ?。

俺は瞬時に元の場所に戻り、右手を翳して奴の周囲に無数のバレーボール位の大きさの〈ファイアーボール〉を出現させた。

「あ…ああ…ああ…」

「ただのボンボンにこんなこと出来るってぇか?じゃあ是非やってみて欲しいもんだ。なぁ、ゼクト君?」

「…ルシア君、参考までに言うけど…こんな芸当、高等部の先輩方でも不可能だよ?」

「だな。うちの親父でもあれは無理」

既に戦意喪失して青い顔でペタンと座り込んだルシアに、ゼクトとザイアも俺の言葉を受けて補足してくれた。

「お~、凄いねぇ~♪」

「凄いです!あぁ…神様…」

どうやら、イルマ達から見ても凄い事のようだ。
普通なんて、母さんの子宮の中に全部置いてきたからなぁ。

「…で、まだやるか?それとも、もう少しボコったらショック療法で目が覚めんのか?」

「い、いや…分かった…私が悪かった…もうやめてぇ…!」

相手が降参したので、俺はルシアの周りにある火球をフッと消失させた。

「全く…めんどくせぇ事させやがって」

「お疲れ~…ってほど疲れてねぇか」

「ふん、当然!」

「あれだけやったんだから、もう絡まれないよね!」

「流石はウェルガ様ですぅ!」

「これで、君の実力が証明されたわけだね」

彼らは俺の実力を全く疑っていないようだ。その一端をもう既に見せてるからかな。
威圧だって、本来は見えるものじゃないんだけど…あれを見たら普通は察するはずなんだよなぁ。

「強いんだな…お前は…何もさせて貰えなかった…」

「…それ、前絡んだ時点で感じて欲しかったわ」

俺は立ち上がったルシアにそんな事を言われた。
…てか、いつの間にかクラスのみんなが集まって、まるで見世物みたいになっていた。

「あぁ…やっぱウェルガってスゲェんだなぁ…」

「う、動きが全然見えなかった…」

「これが…オリハルコン級の実力…」

「キャー!ウェルガ様~!」

「さすウェル~!」

…なんかまた変な声援が聞こえるんだが…

今回も俺、何故か大人気…もう勘弁してくれ~ぃ…
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