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第一章:転生者ウェルガ 1歳
今生の兄姉達
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その後、両親は俺を抱えて他の兄姉達の元に突撃していく。執事のセヴァスも一緒だ。
伯爵領の屋敷にいる兄弟は、俺を含めて三人。俺、ハルク兄、ハンナ姉だ。
他の二人は、アルカナ王国の王都にあるアルカナ王立学園なる学校に通っているので、屋敷にはいない。
…パパンにセヴァス、仕事してたんじゃないのか。よっぽど嬉しかったんだなぁ。
まずはハンナ姉の部屋。
「ハンナ!ウェルが立ったわ!」
「おかあさま!?おとうさまにセヴァスまで…って、ウェルが立ったぁ!?」
マイク兄に負けず劣らずの愛弟家であるハンナ姉は、エリザ母さん達の突然の訪問に驚いていた。
俺が立ったと聞くと、椅子から立ち上がってママンに抱かれた俺の頭を優しく撫でてきた。
「すごいねぇ~ウェル♪よしよ~し♪」
ハンナ姉はまだ5歳。顔立ちも話す言葉もまだ幼さが残っていて可愛らしい。
前世が男兄弟しかいなかった俺には、姉と言う存在はまだ慣れないもんだ。不思議と劣情も感じない。
ただ、優しい姉にこうしてなでなでされるのは新鮮で、大変心地良い。どっかの馬鹿姉とは大違いだ。
ハンナ姉も俺という弟が出来て嬉しいのか、よく遊んでくれるしね。
さて、素敵な姉の次はクソ兄だ…と思いきや、明らかに俺のベッドがある部屋に移動しようとしている。
あぁ、まぁアイツに言っても、まるで俺という存在がいないかのような対応しそうだしな。「ウェル?なんだそれ。そんなことより仕事はどうしたのさ?」とか言いそうだ。
ちょくちょく出てくるこのハルク兄は、今ではウェルガという存在そのものを認識していない。いや、認識しないようにしてるのか。
両親も今では慣れたもんで、極力俺とハルク兄を引き合わせないようにしている。
産まれたときなんて「父上!人間というのはゴミを産み出せるものなんだね!」と、真顔で声を上げてジーク父さんに拳骨と説教を貰ってたなぁ。
ちなみにこの世界では 、ほとんどの人は自分と同じ性別の親の特徴をある程度受け継いで埋まれてくる。
だからまあ、父親と同じ色の目でこちらを見てこないだけマシなのかも。
育児室みたいな部屋で暫く戯れたパパンとセヴァスは、名残惜しそうにしながら仕事に戻っていく。
「ふふ、体は問題無く成長するみたいね。」
「そうだね。みんなとふつうにあそべるってことだね!」
「危なくないようにすれば大丈夫…あら?何か見逃しているような…。」
うん、多分柵をよじ登って越えた辺りだろうね。
ついでに母君の胸元まで伸びたサラサラヘアーに、指先から微量の魔力を送って風をフワッと送ってやった。魔法も問題なく発動、と。
「キャッ!…窓も開けていないのに風?…まさか、この子が!?」
「おかあさま、ウェルはまりょくがないんだよ?そんなわけが…ほ、ほんとだ!ウェルのゆびから風が出てる!」
そんなこんなで、またしてもひと騒ぎ起こしてしまい、家内で俺の無能はすぐに撤回されることになった。
伯爵領の屋敷にいる兄弟は、俺を含めて三人。俺、ハルク兄、ハンナ姉だ。
他の二人は、アルカナ王国の王都にあるアルカナ王立学園なる学校に通っているので、屋敷にはいない。
…パパンにセヴァス、仕事してたんじゃないのか。よっぽど嬉しかったんだなぁ。
まずはハンナ姉の部屋。
「ハンナ!ウェルが立ったわ!」
「おかあさま!?おとうさまにセヴァスまで…って、ウェルが立ったぁ!?」
マイク兄に負けず劣らずの愛弟家であるハンナ姉は、エリザ母さん達の突然の訪問に驚いていた。
俺が立ったと聞くと、椅子から立ち上がってママンに抱かれた俺の頭を優しく撫でてきた。
「すごいねぇ~ウェル♪よしよ~し♪」
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前世が男兄弟しかいなかった俺には、姉と言う存在はまだ慣れないもんだ。不思議と劣情も感じない。
ただ、優しい姉にこうしてなでなでされるのは新鮮で、大変心地良い。どっかの馬鹿姉とは大違いだ。
ハンナ姉も俺という弟が出来て嬉しいのか、よく遊んでくれるしね。
さて、素敵な姉の次はクソ兄だ…と思いきや、明らかに俺のベッドがある部屋に移動しようとしている。
あぁ、まぁアイツに言っても、まるで俺という存在がいないかのような対応しそうだしな。「ウェル?なんだそれ。そんなことより仕事はどうしたのさ?」とか言いそうだ。
ちょくちょく出てくるこのハルク兄は、今ではウェルガという存在そのものを認識していない。いや、認識しないようにしてるのか。
両親も今では慣れたもんで、極力俺とハルク兄を引き合わせないようにしている。
産まれたときなんて「父上!人間というのはゴミを産み出せるものなんだね!」と、真顔で声を上げてジーク父さんに拳骨と説教を貰ってたなぁ。
ちなみにこの世界では 、ほとんどの人は自分と同じ性別の親の特徴をある程度受け継いで埋まれてくる。
だからまあ、父親と同じ色の目でこちらを見てこないだけマシなのかも。
育児室みたいな部屋で暫く戯れたパパンとセヴァスは、名残惜しそうにしながら仕事に戻っていく。
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「そうだね。みんなとふつうにあそべるってことだね!」
「危なくないようにすれば大丈夫…あら?何か見逃しているような…。」
うん、多分柵をよじ登って越えた辺りだろうね。
ついでに母君の胸元まで伸びたサラサラヘアーに、指先から微量の魔力を送って風をフワッと送ってやった。魔法も問題なく発動、と。
「キャッ!…窓も開けていないのに風?…まさか、この子が!?」
「おかあさま、ウェルはまりょくがないんだよ?そんなわけが…ほ、ほんとだ!ウェルのゆびから風が出てる!」
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