7 / 8
解決編と元名探偵
しおりを挟む
「あと考えられるのは交換死体遺棄か?」
榎田がつぶやく。
「だと思います。ただこの仮説が成り立つには、榎田さん、花田隆と前田智恵の使用車両の調査が必要になります」
「なるほどそれが本題か、ただ県を跨いだ捜査になる。実際のところある程度の確証が無いと上が許可をださないかもしれないな」
と榎田。
「でしょうね、前田智恵の勤務先が富福市またはその周辺自治体であると課程したうえでの今度の事件の流れを説明します」
「職場は広島県だとは岡山北署の嶺さんが言ってたよ」
豊田がフォローする。
西崎がテーブルの鉄板に並んでいるお好み焼きを見て、
「あくまで想像なので食べながら聞いて下さい」
と、食事を勧める。
「まず花田隆と前田智恵は恐らく不倫関係でした。2人は現配偶者に不満を持ち殺害を計画します。」
「ビジュアル的にも被疑者達の方が美男美女だしね」
豊田がハフハフ言いながらコメントする。
「豊田無理にしゃべらんでいいぞ」
井原がたしなめる。
「続けます。金曜日の仕事帰りに二人は車を交換する。前田は夜勤明けなので早めに仕事が終わっているはずなので花田の勤務先の近く、倉敷周辺で待ち合わせという流れだと思います」
「質問なんだが、車を入れ替えて帰宅したら被害者達に怪しまれないか?」
榎田が質問する。
「そうですね、花田側は被害者が視覚障害であるという事なので見た目では気付かれない。さらに幸いにもカローラクロスとノアのエンジン型式が同じですからエンジン音からも疑問を抱かれなかったのではないでしょうか。まあ違いに気付かれても故障等と言い訳はつきます」
一同頷く。
「一方前田側は被害者が建設業なのでトラックやバン等多数車両を所持しているはず、離れた所に駐車していれば不審に思われないでしょう。ここは想像ですが」
「なるほどねそれで家に帰って?」
高橋が急かす」
「花田は妻が寝入った後、首を絞め絞殺。ビニールシートに包み前田のカローラクロスに載せる。後で降ろしやすいようにブランケットみたいな物も引いていたのかもしれません。一方前田は夫がジョギングから帰って来た時にダイニングテーブルでスポーツドリンクやビールに睡眠薬を混ぜて被害者に飲ませる」
「しかしそれでは肥満体の前田悟郎を前田智恵、一人で運ぶことになるぞ、一人では難しくないか?」
井原が疑問を口にする。
「そのための車の交換なんです。花田のノアには車椅子が載っています。ダイニングの椅子に座っている前田悟郎を車椅子に移乗させるこれなら一人でも不可能ではないです。また前田智恵は福祉施設で仕事をしているので、介護や看護の仕事をしていて、車椅子の扱いに慣れていたのかもしれません」
西崎は一息つき
「失礼します」
とお冷を自らついで口に入れる。
「それで前田は蓮池の水を洗面台又はシンクに溜めて前田悟郎を溺死させる。後は車椅子に乗った遺体をリフトを使ってノアに乗せる」
一同の反応を待って西崎が続ける。
「朝までの間に家の中の殺害の痕跡を徹底的にも隠滅する。通勤時間になったら、花田隆と前田智恵は再び中間地点で落ち合い、自分の車に乗り換えて互いの職場に近い死体遺棄場所まで行って遺体を投げ込んだ。これなら職場に遅刻すること無く出勤できる」
うーん。
皆が唸った、その中で豊田が口を開く。
「一つ疑問。今回は直ぐに遺体が発見されたから死体遺棄のアリバイが完成したわけだけど、発見が遅れた場合は、無駄なアリバイ工作にならない?さっきの三井の言葉を借りるならリスクだけ増えてるみたいたけど」
「そこも犯人達は考えています。2か所の死体遺棄現場には遺棄しやすく発見されやすい場所という共通点があります」
西崎は淡々と説明する。
「まず富福アーチ公園の死体遺棄現場は、自動販売機とゴミ箱がある場所なので清掃員が巡回して来たタイミングで確実に発見されます。それに加えて近くに動物園の猛獣コーナーがあります。そんな所に血の臭いのする遺体を置いておけば空腹の肉食獣達が騒ぎ出す。肉食獣のいつもと違う様子に飼育員が気がつけば最悪動物園の開演前には発見される。それによくあるブルーシートでは無くわざわざオレンジ色のビニールシートに包んでいるのも発見されやすくする工夫ではないかと思います」
「あの時、惣菜持っていたのはその確認か」
豊田が日曜日の事を思い出して悔しがる。
「高松城跡公園についてもランナーが多い。ランナーが近くを走り去ったタイミングで車椅子の前田悟郎を池に落として立ち去ればランナーが一周回って戻って来た時に発見される。最悪でもランナーが死体が無かった時間をを覚えていれば発見自体は夕方でもアリバイが出来る。前田悟郎は普段から高松城跡公園をジョギングしていたようですから妻の智恵も一緒に行くこともあったのではないでしょうか。それで現地を様子を熟知していた」
「なるほど良く出来たシナリオだ。それならアリバイが成立するな」
と榎田が感心する。
「ただ現状、花田と前田を結びつける証拠は、楓さんと菊池さんの松山城での目撃しか無いんですよね。なので榎田さん。上手いこと富福南署に岡山県での花田の車のナンバーの追跡を、高橋さんには三浦さんを通じて岡山北警に広島県での前田の車のナンバー追跡を促して欲しいんです」
西崎は一気に二人の警察官への要請を語った。
「なるほど、それは儂じゃないと難しいな、なに昔面倒を見ていた連中が刑事課にいる、すぐにでも調査させるよ。ただ犯行後、何故花田と前田は備中松山城なんかに行ったんだ?2人で会っている所を目撃されるのが一番危険なはずなのに」
榎田は快諾したが、一方で疑問を口にする。
「おそらく、『二人が連絡に使っていた別の携帯電話の処分』を口実に前田が花田を呼び出し突き落とし殺害するつもりだった。」
西崎は結論づける。
「なぜ前田が花田を殺害しようとしたのが分かる逆も有り得るだろう」
榎田が質問した。
「花田隆は明白に妻麻里子を殺害しているしビニールシートの購入先から足がつく可能性がある。一方前田智恵は前田悟郎の死因については事故ですむかもしれないし、最悪死体を運搬が困難なことから自分は容疑を外れ全てを花田隆に押し付けることが出来る。」
西崎は榎田の質問に答えてさらに続けた。
「予定外の通行人、楓さん達に目撃されたことから犯行を中止した。こんなところですかね」
「なるほど、松山城での自撮り写真がスマートフォン内に残っていたら警察も一人旅での事故と判断するよね」
豊田が頷く。
「まあ、しばらくは相手への連絡手段もないし大人しくしているでしょう。」
西崎は全てを話し終わり開いてる器を回収する。
「流石だな君のところの名探偵は」
榎田は店長に話かける。
「西崎君。私や榎田がそうだったんだが若いうちはついつい事件に近づき過ぎてしまう。そして危険な目に遭うんだ。だから解決は大人に任せるようにね、しがない元名探偵からのアドバイスだ」
店長は過去を振り返り西崎を諭した。
榎田がつぶやく。
「だと思います。ただこの仮説が成り立つには、榎田さん、花田隆と前田智恵の使用車両の調査が必要になります」
「なるほどそれが本題か、ただ県を跨いだ捜査になる。実際のところある程度の確証が無いと上が許可をださないかもしれないな」
と榎田。
「でしょうね、前田智恵の勤務先が富福市またはその周辺自治体であると課程したうえでの今度の事件の流れを説明します」
「職場は広島県だとは岡山北署の嶺さんが言ってたよ」
豊田がフォローする。
西崎がテーブルの鉄板に並んでいるお好み焼きを見て、
「あくまで想像なので食べながら聞いて下さい」
と、食事を勧める。
「まず花田隆と前田智恵は恐らく不倫関係でした。2人は現配偶者に不満を持ち殺害を計画します。」
「ビジュアル的にも被疑者達の方が美男美女だしね」
豊田がハフハフ言いながらコメントする。
「豊田無理にしゃべらんでいいぞ」
井原がたしなめる。
「続けます。金曜日の仕事帰りに二人は車を交換する。前田は夜勤明けなので早めに仕事が終わっているはずなので花田の勤務先の近く、倉敷周辺で待ち合わせという流れだと思います」
「質問なんだが、車を入れ替えて帰宅したら被害者達に怪しまれないか?」
榎田が質問する。
「そうですね、花田側は被害者が視覚障害であるという事なので見た目では気付かれない。さらに幸いにもカローラクロスとノアのエンジン型式が同じですからエンジン音からも疑問を抱かれなかったのではないでしょうか。まあ違いに気付かれても故障等と言い訳はつきます」
一同頷く。
「一方前田側は被害者が建設業なのでトラックやバン等多数車両を所持しているはず、離れた所に駐車していれば不審に思われないでしょう。ここは想像ですが」
「なるほどねそれで家に帰って?」
高橋が急かす」
「花田は妻が寝入った後、首を絞め絞殺。ビニールシートに包み前田のカローラクロスに載せる。後で降ろしやすいようにブランケットみたいな物も引いていたのかもしれません。一方前田は夫がジョギングから帰って来た時にダイニングテーブルでスポーツドリンクやビールに睡眠薬を混ぜて被害者に飲ませる」
「しかしそれでは肥満体の前田悟郎を前田智恵、一人で運ぶことになるぞ、一人では難しくないか?」
井原が疑問を口にする。
「そのための車の交換なんです。花田のノアには車椅子が載っています。ダイニングの椅子に座っている前田悟郎を車椅子に移乗させるこれなら一人でも不可能ではないです。また前田智恵は福祉施設で仕事をしているので、介護や看護の仕事をしていて、車椅子の扱いに慣れていたのかもしれません」
西崎は一息つき
「失礼します」
とお冷を自らついで口に入れる。
「それで前田は蓮池の水を洗面台又はシンクに溜めて前田悟郎を溺死させる。後は車椅子に乗った遺体をリフトを使ってノアに乗せる」
一同の反応を待って西崎が続ける。
「朝までの間に家の中の殺害の痕跡を徹底的にも隠滅する。通勤時間になったら、花田隆と前田智恵は再び中間地点で落ち合い、自分の車に乗り換えて互いの職場に近い死体遺棄場所まで行って遺体を投げ込んだ。これなら職場に遅刻すること無く出勤できる」
うーん。
皆が唸った、その中で豊田が口を開く。
「一つ疑問。今回は直ぐに遺体が発見されたから死体遺棄のアリバイが完成したわけだけど、発見が遅れた場合は、無駄なアリバイ工作にならない?さっきの三井の言葉を借りるならリスクだけ増えてるみたいたけど」
「そこも犯人達は考えています。2か所の死体遺棄現場には遺棄しやすく発見されやすい場所という共通点があります」
西崎は淡々と説明する。
「まず富福アーチ公園の死体遺棄現場は、自動販売機とゴミ箱がある場所なので清掃員が巡回して来たタイミングで確実に発見されます。それに加えて近くに動物園の猛獣コーナーがあります。そんな所に血の臭いのする遺体を置いておけば空腹の肉食獣達が騒ぎ出す。肉食獣のいつもと違う様子に飼育員が気がつけば最悪動物園の開演前には発見される。それによくあるブルーシートでは無くわざわざオレンジ色のビニールシートに包んでいるのも発見されやすくする工夫ではないかと思います」
「あの時、惣菜持っていたのはその確認か」
豊田が日曜日の事を思い出して悔しがる。
「高松城跡公園についてもランナーが多い。ランナーが近くを走り去ったタイミングで車椅子の前田悟郎を池に落として立ち去ればランナーが一周回って戻って来た時に発見される。最悪でもランナーが死体が無かった時間をを覚えていれば発見自体は夕方でもアリバイが出来る。前田悟郎は普段から高松城跡公園をジョギングしていたようですから妻の智恵も一緒に行くこともあったのではないでしょうか。それで現地を様子を熟知していた」
「なるほど良く出来たシナリオだ。それならアリバイが成立するな」
と榎田が感心する。
「ただ現状、花田と前田を結びつける証拠は、楓さんと菊池さんの松山城での目撃しか無いんですよね。なので榎田さん。上手いこと富福南署に岡山県での花田の車のナンバーの追跡を、高橋さんには三浦さんを通じて岡山北警に広島県での前田の車のナンバー追跡を促して欲しいんです」
西崎は一気に二人の警察官への要請を語った。
「なるほど、それは儂じゃないと難しいな、なに昔面倒を見ていた連中が刑事課にいる、すぐにでも調査させるよ。ただ犯行後、何故花田と前田は備中松山城なんかに行ったんだ?2人で会っている所を目撃されるのが一番危険なはずなのに」
榎田は快諾したが、一方で疑問を口にする。
「おそらく、『二人が連絡に使っていた別の携帯電話の処分』を口実に前田が花田を呼び出し突き落とし殺害するつもりだった。」
西崎は結論づける。
「なぜ前田が花田を殺害しようとしたのが分かる逆も有り得るだろう」
榎田が質問した。
「花田隆は明白に妻麻里子を殺害しているしビニールシートの購入先から足がつく可能性がある。一方前田智恵は前田悟郎の死因については事故ですむかもしれないし、最悪死体を運搬が困難なことから自分は容疑を外れ全てを花田隆に押し付けることが出来る。」
西崎は榎田の質問に答えてさらに続けた。
「予定外の通行人、楓さん達に目撃されたことから犯行を中止した。こんなところですかね」
「なるほど、松山城での自撮り写真がスマートフォン内に残っていたら警察も一人旅での事故と判断するよね」
豊田が頷く。
「まあ、しばらくは相手への連絡手段もないし大人しくしているでしょう。」
西崎は全てを話し終わり開いてる器を回収する。
「流石だな君のところの名探偵は」
榎田は店長に話かける。
「西崎君。私や榎田がそうだったんだが若いうちはついつい事件に近づき過ぎてしまう。そして危険な目に遭うんだ。だから解決は大人に任せるようにね、しがない元名探偵からのアドバイスだ」
店長は過去を振り返り西崎を諭した。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる