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事件発生
しおりを挟む「木田ちゃんが心配だしスポドリでも買って一旦宿舎に戻ろっか」
京極がふと体調不良で宿舎で寝込んでいる木田の事を思い出す。
「じゃあ売店に行ってきます。スポドリとプリンでいいですか?」
大葉が買い出しに手を挙げる。
ルンバのような運動量だが当時はまだルンバは開発中で世に出てはいない。
「プリンは自分が食べたいだけだろ。なんなら自分用にbig買って来いよ。3つセットじゃ一つ足りない」
水島が茶化しながら私もプリンがいるとアピールする。
「ダッシュで行ってきます」
大葉が体育館の奥に消える。
「速いなあ、そう言えば木田ちゃんどこが悪いんだっけ?」
と京極。
「何か頭が痛くて身体が重いって言ってました」
と水島。
しばらくすると袋いっぱいのお菓子を手に大葉が戻ってきた。
「買いすぎだろ、おやつは一人300円までだぞ」
「先輩、バナナはおやつに入りますか?」
「私ゴリラじゃないからバナナ食べないよ」
女三人の賑やかな会話が続く。
ちなみに野生のゴリラはバナナは食べない。
なんやかんやで、205号室の引戸の前まで到着する。
「すいません先輩。部屋の鍵をリュックに入れたままでした」
引戸を開けようとして水島は鍵を持っていないのに気が付く。
「ちゃんと持っとかにゃあかんよ」
京極がハーフパンツのポケット鍵を取り出し、205号室の引戸の鍵を鍵穴に差し込んだ。
引戸を開ける。
「?木戸ちゃん大丈夫?」
返事はない、部屋の元気は消されている。
205号室は4人部屋で四隅にベッドが備え付けられており中央にテーブルと椅子が置かれている。
椅子は4人のリュックが置かれ、荷物置き状態だ。
ベッドとベッドの間には衝立があり完全ではないが視界を遮ることが出来る。
木戸のベッドは北側の出入り口を入って左奥、つまり南東側のベッドである。
「木戸ちゃん寝ているのかな」
京極が木戸の側に近寄ると、木戸は壁側を向き横たわっていた。
京極は木田の顔を見た途端、異変に気が付いた。
木田は白目を剥き口が力無く開かれている。
口からの唾液がシーツを濡らしていた。
図3 205号室平面図
「!!息してない。先生を呼んで」
一瞬で我に返った京極は半分叫び声で指示を出した。
指示を受けた大葉が走る。
考える前に動く、それが大葉のスティールの極意だった。
◇
同じ頃、宿舎に戻った榎田達は夕食までの間、宿舎の105号室に戻って反省会をしていた。
105号室は和室10畳に布団の入っている押入れとシンプルな間取りだ。
トイレ、風呂は無く共用だ。
ちなみに大葉達の部屋である205号室の真下に当たる。
上からの物音は聞こえない。
「木下先輩ナイスです。あそこでの先輩のアシストが無かったらメールアドレスゲット出来ませんでした」
豊田は先輩を称える。
「おう、俺は榎田と違って朴念仁じゃないからな、スルーパスは見逃さない。暴力女は榎田に任せて楽しみたいぞ」
「イヤイヤ俺はポケモントレーナーじゃないですし、アレに言うことを聞かせるにはレベルが足りないから無理です」
榎田がゴリラ扱いなら大葉はポケモン扱いだ。
「美夏ちゃん可愛かったなあ、豊田はずるいよな俺達に恥ずかしい役を押し付けて」
木下はウォータースライダーでの事を非難する。
「まさか榎田があんな力いっぱいぶつかるとか思わないですよ」
「全部俺のせいかよ」
と榎田。
よく考えると、全て榎田のせいな気もする。
ドタタタタタタタタ……。
105号室前の廊下を物凄い勢いで駆け抜ける影。
「何だあ?」
3人は思わず廊下に出る。
走り去る一つの影。
「霞ちゃん速いな、おしっこ漏れそうなんかな?」
等とアホな事を話していたところ三人に木田の訃報が伝わったのだった。
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