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最悪の出会い
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「見捨てやがって」
宿舎の食堂で先に昼食を食べていた豊田の向かいに榎田が座る。
榎田のトレイには山盛りの丼飯が載っている。
結局、先輩の木下と2人で道場の雑巾がけをさせられたのだ。
より一層へろへろになった榎田はたった今到着した。
「すまんすまん。だが良いのかな、そんなに食べて?」
「ん?なんでだ」
「午後からプールだぞ、腹いっぱいのプニ腹で勝負出来るのか?」
「勝負?あ!!思い出した」
榎田も気が付いた。豊田いわく薔薇色の青春のを手に入れるための勝負の時間だ。
「まあいいけどね。榎田とも競争相手だ」
自信満々の豊田、実際豊田はモテる。
彫りの深い顔、引き締まった身体、勉強も運動もそつなくこなす。
榎田との一番の違いは人当たりの良さだろう。
威圧的な雰囲気で人から怖がられがちな榎田とは対照的な豊田は話しかけやすい雰囲気と豊富な話題で初対面から親しまれる。
『手強いよなあ』
榎田は内心白旗を揚げた。
他の食堂のテーブルでは柔道部員達が大量の飯をかき込みながら、
「あの子とか可愛くね」
「胸でか」
「あれはないわあ」
等、品の無いひそひそ話をしている。
食堂は一つしか無いため、別のブロックに道草東の生徒も集まっているのだ。
品の無いひそひそ話は男子生徒の特権ではなく道草東高校側も同じである。
むしろ一部にはよりエグい話題も混じっている。
柔道部員達は試合に負けた部員達も結局プールに参加することになり歓声があがった。
これは佐々木の温情でもあるのだが、天気予報で明日から荒天になっていたため、明日以降の屋外プールの使用が無理と判断したからだ。
午後1時30分水着で屋外プールに集合の指示で解散となった。
◇
「よっしゃー」
カンカン照りの太陽の下、柔部員達はプールに飛び込んだ。
深さ1メートル、ファミリー向けの市民プールレベルの大きさだ。
最も、稲葉島は市ではないのだが。
屋外プールはグラウンドの北側だ、体育館の通路から屋内プールの前を通って行く。
更衣室は屋内屋外プールで共同だ。
絶妙なプールの大きさに、豊田は行動を起こせずにいた。
死角が無く顧問の先生や先輩の目が届くため、他校の女生徒に声をかけるのが難しいのだ。
『きっかけが欲しい』
しかも学校行事扱いだからだろう道草東の生徒は学校指定の水着を着ている。
いわゆるスクール水着だ。
同じ高校のスクール水着は見慣れていて何とも感じないが、見慣れぬ他校のスクール水着に率直に言ってエロスを感じてしまったのだ。
『さて、どうするか』
頭脳をフル回転させた豊田は榎田と木下を利用して女生徒とお近づきになる作戦。
名付けて
『豊田プロジェクト1、ドキドキ・スプラッシュマウンテン』
ウォータースライダーに巨漢の2人を滑走させ飛び散る水飛沫から逃げる女生徒に自然に接近する作戦だ。
ちなみに豊田は即座にプロジェクトを3まで考えついており、残りの2つは、
女生徒に日焼け止めを借りに行く
『豊田プロジェクト2、日焼け止め忘れちゃった白い身体もセクシーだろ』
と、バスケ部の顧問に『家の妹が今度受験で道草高校受験する予定なんですよ』と話しかける。
『豊田プロジェクト3、将を射んと欲すれば先ず馬を射よ』
の三つだった。
まあ頭脳の無駄遣いである。
豊田は言葉巧みに木下先輩をウォータースライダーに誘い出す。
そのうえで榎田に耳打ちする。
「うっかりを装って木下先輩と一緒にウォータースライダーを滑るんだ。派手に水飛沫を上げてくれ。後は俺が上手くやる」
豊田は二人を階段の上に送り出すとスライダーの下のプールサイドに待機する。
「滑るぞ」
木下が豊田に合図する。
滑り出そうとした木下の不意をついて榎田が後ろからタックル、二人はものすごい勢いで滑り出す。
『やり過ぎだあのバカ』
豊田は心の中で叫んだ。
スライダーを滑走中の二人はスライダーのカーブを曲がりきれずに飛び出しおよそ2メートル下のプールに落下し派手な水柱を上げる。
爆発したような水柱はプールサイドの生徒達に雨を降らせる。
「すいません。すいません」
豊田が女生徒達に謝って回るも、女生徒達の怒りは静まりそうにない。
落下した木下と榎田は水面に打ち付けた尻を抑え無言で苦しんでいた。
そこへ、
「どいてどいて、あっ」
ウォータースライダーから滑り降りて来た女生徒が勢い良く榎田に直撃した。
「ごめーん大丈夫?」
水面から浮かび上がった小柄な女生徒は榎田に謝罪する。
顔の水を拭った榎田は目の前の小柄な少女に、
「島の中学生か?しん」
榎田が心配ないと発言する前に、
「誰が中学生だ、おどりゃあ」
『キマった』
誰もが女生徒の華麗な裸絞に魅入られた。
女生徒の細腕が榎田の首に絡まり榎田の視界を暗転させるのに掛かった時間は僅か0.3秒に過ぎなかったのである。
宿舎の食堂で先に昼食を食べていた豊田の向かいに榎田が座る。
榎田のトレイには山盛りの丼飯が載っている。
結局、先輩の木下と2人で道場の雑巾がけをさせられたのだ。
より一層へろへろになった榎田はたった今到着した。
「すまんすまん。だが良いのかな、そんなに食べて?」
「ん?なんでだ」
「午後からプールだぞ、腹いっぱいのプニ腹で勝負出来るのか?」
「勝負?あ!!思い出した」
榎田も気が付いた。豊田いわく薔薇色の青春のを手に入れるための勝負の時間だ。
「まあいいけどね。榎田とも競争相手だ」
自信満々の豊田、実際豊田はモテる。
彫りの深い顔、引き締まった身体、勉強も運動もそつなくこなす。
榎田との一番の違いは人当たりの良さだろう。
威圧的な雰囲気で人から怖がられがちな榎田とは対照的な豊田は話しかけやすい雰囲気と豊富な話題で初対面から親しまれる。
『手強いよなあ』
榎田は内心白旗を揚げた。
他の食堂のテーブルでは柔道部員達が大量の飯をかき込みながら、
「あの子とか可愛くね」
「胸でか」
「あれはないわあ」
等、品の無いひそひそ話をしている。
食堂は一つしか無いため、別のブロックに道草東の生徒も集まっているのだ。
品の無いひそひそ話は男子生徒の特権ではなく道草東高校側も同じである。
むしろ一部にはよりエグい話題も混じっている。
柔道部員達は試合に負けた部員達も結局プールに参加することになり歓声があがった。
これは佐々木の温情でもあるのだが、天気予報で明日から荒天になっていたため、明日以降の屋外プールの使用が無理と判断したからだ。
午後1時30分水着で屋外プールに集合の指示で解散となった。
◇
「よっしゃー」
カンカン照りの太陽の下、柔部員達はプールに飛び込んだ。
深さ1メートル、ファミリー向けの市民プールレベルの大きさだ。
最も、稲葉島は市ではないのだが。
屋外プールはグラウンドの北側だ、体育館の通路から屋内プールの前を通って行く。
更衣室は屋内屋外プールで共同だ。
絶妙なプールの大きさに、豊田は行動を起こせずにいた。
死角が無く顧問の先生や先輩の目が届くため、他校の女生徒に声をかけるのが難しいのだ。
『きっかけが欲しい』
しかも学校行事扱いだからだろう道草東の生徒は学校指定の水着を着ている。
いわゆるスクール水着だ。
同じ高校のスクール水着は見慣れていて何とも感じないが、見慣れぬ他校のスクール水着に率直に言ってエロスを感じてしまったのだ。
『さて、どうするか』
頭脳をフル回転させた豊田は榎田と木下を利用して女生徒とお近づきになる作戦。
名付けて
『豊田プロジェクト1、ドキドキ・スプラッシュマウンテン』
ウォータースライダーに巨漢の2人を滑走させ飛び散る水飛沫から逃げる女生徒に自然に接近する作戦だ。
ちなみに豊田は即座にプロジェクトを3まで考えついており、残りの2つは、
女生徒に日焼け止めを借りに行く
『豊田プロジェクト2、日焼け止め忘れちゃった白い身体もセクシーだろ』
と、バスケ部の顧問に『家の妹が今度受験で道草高校受験する予定なんですよ』と話しかける。
『豊田プロジェクト3、将を射んと欲すれば先ず馬を射よ』
の三つだった。
まあ頭脳の無駄遣いである。
豊田は言葉巧みに木下先輩をウォータースライダーに誘い出す。
そのうえで榎田に耳打ちする。
「うっかりを装って木下先輩と一緒にウォータースライダーを滑るんだ。派手に水飛沫を上げてくれ。後は俺が上手くやる」
豊田は二人を階段の上に送り出すとスライダーの下のプールサイドに待機する。
「滑るぞ」
木下が豊田に合図する。
滑り出そうとした木下の不意をついて榎田が後ろからタックル、二人はものすごい勢いで滑り出す。
『やり過ぎだあのバカ』
豊田は心の中で叫んだ。
スライダーを滑走中の二人はスライダーのカーブを曲がりきれずに飛び出しおよそ2メートル下のプールに落下し派手な水柱を上げる。
爆発したような水柱はプールサイドの生徒達に雨を降らせる。
「すいません。すいません」
豊田が女生徒達に謝って回るも、女生徒達の怒りは静まりそうにない。
落下した木下と榎田は水面に打ち付けた尻を抑え無言で苦しんでいた。
そこへ、
「どいてどいて、あっ」
ウォータースライダーから滑り降りて来た女生徒が勢い良く榎田に直撃した。
「ごめーん大丈夫?」
水面から浮かび上がった小柄な女生徒は榎田に謝罪する。
顔の水を拭った榎田は目の前の小柄な少女に、
「島の中学生か?しん」
榎田が心配ないと発言する前に、
「誰が中学生だ、おどりゃあ」
『キマった』
誰もが女生徒の華麗な裸絞に魅入られた。
女生徒の細腕が榎田の首に絡まり榎田の視界を暗転させるのに掛かった時間は僅か0.3秒に過ぎなかったのである。
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