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第17話 二番弟子「オケーーイ!!」

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「さーってと、今日は何するかな」

バーベキューから1日が経ち、試験まであと6日となった。

そうだな。
昨日マリカに「目立つことをすればランクが上がる」と教えてもらったんだったな。

別に急いでランクを上げる理由は何もないのだが……ことの真偽を確かめるのは、暇つぶしにはちょうどいいだろう。

例の裏路地の空き地に向かう。
俺だけの、秘密のダンジョンの入り口だ。

こんなことでワクワクするとは、俺も転生の影響で精神年齢が若返ってしまったのか。
いや、どちらかと言えば、師範の前では隠し事がしにくかったってのが大きいか。

いくら口で誤魔化しても、魔力の痕跡を辿ったりされては隠し通すのは不可能だったからな。



そうだ。
迷宮ダンジョンと言えば、ミスリルが採れるんだったな。

どうせなら、攻略はオーラバズーカでも作ってからにするか。
潰せる暇は、多ければ多いほど良いからな。

レッツメイキング。

☆ ☆ ☆

「たぶん、これで完成かな」

5時間ほどかかって、俺はオーラバズーカを完成させた。

ミスリルの精製に3時間、組み立てに2時間ってとこだったかな。

オーラバズーカは、とてもシンプルな気功波加速装置だ。
パーツは2つ、魔石の魔力を一瞬で吸い尽くすパーツと、その魔力が流れるだけのバネ状のパーツだ。

原理もとっても簡単。

魔石の魔力がバネ状の部分を流れる瞬間、その内部に強力な気の場が作られる。
そこに気功波を通すと、一気に気功波が加速され、威力が増大するのだ。

いちいち魔石を消費するので武器としては微妙とも言われたりするが、自分の魔力を消費せずに攻撃できるし、格上の相手を遠距離から不意打ちにできたりと重宝する場面も意外と多い武器である。

「よっこらせ」

迷宮に入る。
ワイルドブルがひしめいてはいるが、武器の試し打ち相手としてはちょっと物足りないので階層を降りるとしよう。

☆ ☆ ☆

「ここら辺でいいか」

入り口の階から7階ほど降りた場所を、今日の狩り場にすることにした。
もともとあそこが何階層に繋がっていたのか不明なので正式な階層は分からないが。

敵は、ジェネラルコングという猿型の魔物だ。
ジェネラルコングは素材としては結構優秀で、その胸筋を加工すれば、叩くだけで敵を威嚇できる魔道具が作れる。

それもあって、胸を傷つけないように戦うのが何より大事な魔物だ。

屋敷に出てきた中では最上級だった魔物よりちょっと強いくらいなので、安全に戦えるだろう。

いつも通り、気炎撃で首を落としていく。
10匹ほど狩ったところで俺は安全な場所に移動し、ジェネラルコングの解体を始めた。

30分ほどでそれを終え、胸筋は収納へ入れ、魔石は1つだけオーラバズーカにセットして残りは鞄にしまった。

「まずは、同格の相手に通用するかだな」

遠目に1匹のジェネラルコングが目についたので、俺はオーラバズーカの照準を合わせた。

そしてオーラバズーカの魔力吸収部分を作動させ──

「今だ」

気の場ができるタイミングに合わせ、気功波を放った。

狙ったのは、ジェネラルコングの頭。

敢えて、オーラバズーカの威力補正がなければジェネラルコングは軽い脳震盪を起こすだけの威力にしたのだが……気功波が当たると、ジェネラルコングの頭は木っ端微塵になった。

オーラバズーカがちゃんと機能していることは、確認できたな。

もう一つ階層を降りて、急所スナイプを楽しむとするか。



10分ほどかけて階段を探し、更に奥の階層へと進んだ。

今度の敵は……レッサークトゥルフだな。

レッサークトゥルフ。
100年に一度ほど現れる凶悪なエイリアンである、クトゥルフに見た目が酷似しているためその名がついた魔物だ。

とは言え、本当に見た目だけの奴に過ぎず、ジェネラルコングより少し強い程度でしかない。

今日は新調した武器の試運転を楽しむために迷宮に来ているのでオーラバズーカで倒すが、本当なら真正面から対峙しても十分倒せる相手だ。

「まず1匹」

50mほど先に現れたレッサークトゥルフに狙いをすませ、加速気功波を放つ。
レッサークトゥルフは、攻撃の飛来に気づくことさえできずに吹き飛んでいった。

いちいち盛大に吹き飛ぶので素材の回収が大変といえば大変だが、吹き飛ぶのを見て楽しむのがレッサークトゥルフ狩りの醍醐味でもある。

この勢いで、もう何匹は吹っ飛ばしていこう。

☆ ☆ ☆

結局、レッサークトゥルフ狩りは5匹に留めることにした。

敵が吹っ飛んでいくのは確かに面白いのだが、前世で散々見慣れてきた光景だったのでだんだんと飽きてきたのだ。

そのうち「魔石がもったいない」という思考の方が強くなってきたので、引き上げることにした。

素材は、冒険者ギルドに持って行こう。
マリカのアドバイスを検証しなければならないからな。

俺は2匹のレッサークトゥルフを収納から取り出した後、ギルドの門を開けた。そして──

「超絶美少年、レッサークトゥルフを狩って参上! ナイスゥ~ゴイスゥ~俺イケメン、オケーーイ!!」

決めポーズと共に、こう言ってみた。

一応、これで目立ちはしたはずなのだが……これがランクアップに繋がるのか?

きゃあああ、と、一部の女性冒険者からの歓声は上がりはした。だが肝心の受付の人はと言えば、ぽかーんとしてしまっている。

「あの……ギルド内ではあまり騒がないでいただけると……」

よし決めた。
マリカ、後でしばく。
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