17 / 30
第16話 二番弟子、バーベキューを楽しむ
しおりを挟む
河原の石を集め、焚き火用のコンロを自作する。
「オーブンレンジ」で焼いてしまえば確かに手軽なのだが……マリカはわざわざここで待ってくれていたのだ。
雰囲気は大事にしよう。
そして、そのマリカなのだが……よく見ると、かなりかわいい。
特に、パッチリとした平行型二重の目元がタイプど真ん中だ。
顔面偏差値は、今の俺なら何とか勝てる程度ってところだろうな。
おそらくだが、マリカは本気で口説きに行ったほうがいい。
というのも、さっきの魔剣発言から察するに、マリカには気の適性がある。
そしてそれは、マリカがアウラ気流女学院(ゾファレン学宮都市にある、ペリアレイじゃない方の学園だ)の生徒である可能性が高いということを意味する。
俺がチアリーダー部に入るにあたって、懸念すべきは女子部員たちによる俺の取り合いだ。
一歩間違えれば、嫉妬からイジメが多発なんてことになり兼ねない。
それを防ぐには、「他校に彼女がいる」という状況を作ってしまうのが1番手っ取り早い。
せっかくタイプの子に出会ったので、ここは積極的に行くべきだろう。
……ま、まだあくまでも「候補」だがな。
今のところ俺の中でのマリカの評価は「顔よし性格よし才能よし」の完璧女子だが、この先地雷が見つからないとは断言できない。
例えば、ちょっとでもメンヘラ気質なところがあればその時点で即刻アウトだ。いくら顔がストライクゾーンど真ん中とは言ってもな。
まあ、俺の処世術を以ってすれば対処できないこともないのかもしれないが……それをする価値もないからこそ、メンヘラはメンヘラなのだ。
まあマリカに関して言えば、9割型それは無さそうだが。
とりあえず、今日のところは友達ゾーンと恋人ゾーンの境界ギリギリまで仲良くなれればよしとしよう。
おっと、考え事をしていたら石組みコンロが完成したな。
中に魔石をくべて、熱魔法の術式を起動する。
魔石で熱する利点は、肉から滴り落ちる脂で火力が暴走し、肉が焦げるリスクが無いことだな。
「ねえ、テーラス」
作業を進めていると、マリカが話しかけてきた。
「なーに?」
「テーラスってさ、冒険者にはなってるの?」
「うん」
「ランクは?」
「B」
「B。上から3番目、か……。あの馬鹿げた威力の甲羅弾を撃てる割には低いのね」
「あの俺11歳」
「あ、いや、11歳でBランクって十分化け物なんだけどね、甲羅弾のインパクトと比べると何か釣り合ってない感があるというか。……もうちょっと、目立つことやってみたらいいんじゃない? すぐAランク行けると思うよ」
「うーん」
……目立つ、か。どうすればいいんだろう。
冒険者ギルド内で、もっと美少年アピールするべき、なのか?
「超絶イケメンがグレーウルフを狩った!」とか大々的に宣伝したら、ランクアップの箔がついたりするんだろうか。
原理がさっぱり掴めないが、天才のマリカさんがそう言うならやってみるか。
☆ ☆ ☆
「すっげえ霜降り」
思わずそう呟いてしまうほど、ワイルドブルの肉は綺麗だった。
そんな中。
「キ、ノ、コ♪これは私のマッシュルーム♪」
マリカがノリノリで俺が作ったコンロにキノコを並べていた。
振り返ってみると……
「おい、それレッドマッシュルーム」
「うん! 食べると元気になるの!」
「それ毒の作用な」
「中毒の方が来たら、解毒すればいいじゃない」
……うーん。
確かに、解毒魔法を使えば慢性的な体へのダメージは無い、ごく軽めの毒キノコではあるのだが……
好んで食べるほどのものか?
まあ、このくらいのマイナスポイントならかわいいもんだがな。
レッドマッシュルームの解毒なら、俺だってできる。
料理を作ってくれたとしても、安心して食べていい。
十分、恋愛対象内だ。
「肉もいくぞ」
肉を網に乗せると。
ジュワッという音ともに、俺は唾を飲むこととなった。
音だけでこの破壊力。これこそが、バーベキューの真髄だ。
待つこと約1分。
「よし、焼けた!」
ちょっとまだ赤いところが残ってる気もするが、それこそ食中毒くらい解毒すればいいのだ。
いい焦げ目はついているんだ、待ちきれない!
パクリ。
口の中に広がる、適度な噛みごたえととろけるような甘い脂。
一緒に頭もとろけてしまいそうだ。
「んー、キノコが合う~!」
……今の感想は聞かなかったことにしよう。
バーベキューは2時間ほど続き、(時々マリカさんに解毒魔法をかけつつ)会話を続けて、性格も何となく掴めた。
地雷級のマイナスポイントは一切無かったので、今後機を見て本格的に口説いていくか。
「オーブンレンジ」で焼いてしまえば確かに手軽なのだが……マリカはわざわざここで待ってくれていたのだ。
雰囲気は大事にしよう。
そして、そのマリカなのだが……よく見ると、かなりかわいい。
特に、パッチリとした平行型二重の目元がタイプど真ん中だ。
顔面偏差値は、今の俺なら何とか勝てる程度ってところだろうな。
おそらくだが、マリカは本気で口説きに行ったほうがいい。
というのも、さっきの魔剣発言から察するに、マリカには気の適性がある。
そしてそれは、マリカがアウラ気流女学院(ゾファレン学宮都市にある、ペリアレイじゃない方の学園だ)の生徒である可能性が高いということを意味する。
俺がチアリーダー部に入るにあたって、懸念すべきは女子部員たちによる俺の取り合いだ。
一歩間違えれば、嫉妬からイジメが多発なんてことになり兼ねない。
それを防ぐには、「他校に彼女がいる」という状況を作ってしまうのが1番手っ取り早い。
せっかくタイプの子に出会ったので、ここは積極的に行くべきだろう。
……ま、まだあくまでも「候補」だがな。
今のところ俺の中でのマリカの評価は「顔よし性格よし才能よし」の完璧女子だが、この先地雷が見つからないとは断言できない。
例えば、ちょっとでもメンヘラ気質なところがあればその時点で即刻アウトだ。いくら顔がストライクゾーンど真ん中とは言ってもな。
まあ、俺の処世術を以ってすれば対処できないこともないのかもしれないが……それをする価値もないからこそ、メンヘラはメンヘラなのだ。
まあマリカに関して言えば、9割型それは無さそうだが。
とりあえず、今日のところは友達ゾーンと恋人ゾーンの境界ギリギリまで仲良くなれればよしとしよう。
おっと、考え事をしていたら石組みコンロが完成したな。
中に魔石をくべて、熱魔法の術式を起動する。
魔石で熱する利点は、肉から滴り落ちる脂で火力が暴走し、肉が焦げるリスクが無いことだな。
「ねえ、テーラス」
作業を進めていると、マリカが話しかけてきた。
「なーに?」
「テーラスってさ、冒険者にはなってるの?」
「うん」
「ランクは?」
「B」
「B。上から3番目、か……。あの馬鹿げた威力の甲羅弾を撃てる割には低いのね」
「あの俺11歳」
「あ、いや、11歳でBランクって十分化け物なんだけどね、甲羅弾のインパクトと比べると何か釣り合ってない感があるというか。……もうちょっと、目立つことやってみたらいいんじゃない? すぐAランク行けると思うよ」
「うーん」
……目立つ、か。どうすればいいんだろう。
冒険者ギルド内で、もっと美少年アピールするべき、なのか?
「超絶イケメンがグレーウルフを狩った!」とか大々的に宣伝したら、ランクアップの箔がついたりするんだろうか。
原理がさっぱり掴めないが、天才のマリカさんがそう言うならやってみるか。
☆ ☆ ☆
「すっげえ霜降り」
思わずそう呟いてしまうほど、ワイルドブルの肉は綺麗だった。
そんな中。
「キ、ノ、コ♪これは私のマッシュルーム♪」
マリカがノリノリで俺が作ったコンロにキノコを並べていた。
振り返ってみると……
「おい、それレッドマッシュルーム」
「うん! 食べると元気になるの!」
「それ毒の作用な」
「中毒の方が来たら、解毒すればいいじゃない」
……うーん。
確かに、解毒魔法を使えば慢性的な体へのダメージは無い、ごく軽めの毒キノコではあるのだが……
好んで食べるほどのものか?
まあ、このくらいのマイナスポイントならかわいいもんだがな。
レッドマッシュルームの解毒なら、俺だってできる。
料理を作ってくれたとしても、安心して食べていい。
十分、恋愛対象内だ。
「肉もいくぞ」
肉を網に乗せると。
ジュワッという音ともに、俺は唾を飲むこととなった。
音だけでこの破壊力。これこそが、バーベキューの真髄だ。
待つこと約1分。
「よし、焼けた!」
ちょっとまだ赤いところが残ってる気もするが、それこそ食中毒くらい解毒すればいいのだ。
いい焦げ目はついているんだ、待ちきれない!
パクリ。
口の中に広がる、適度な噛みごたえととろけるような甘い脂。
一緒に頭もとろけてしまいそうだ。
「んー、キノコが合う~!」
……今の感想は聞かなかったことにしよう。
バーベキューは2時間ほど続き、(時々マリカさんに解毒魔法をかけつつ)会話を続けて、性格も何となく掴めた。
地雷級のマイナスポイントは一切無かったので、今後機を見て本格的に口説いていくか。
0
お気に入りに追加
154
あなたにおすすめの小説
星の記憶
鳳聖院 雀羅
ファンタジー
宇宙の精神とは、そして星の意思とは…
日本神話 、北欧神話、ギリシャ神話、 エジプト神話、 旧新聖書創世記 など世界中の神話や伝承等を、融合させ、独特な世界観で、謎が謎を呼ぶSFファンタジーです
人類が抱える大きな課題と試練
【神】=【『人』】=【魔】 の複雑に絡み合う壮大なるギャラクシーファンタジーです
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
異世界転生したらよくわからない騎士の家に生まれたので、とりあえず死なないように気をつけていたら無双してしまった件。
星の国のマジシャン
ファンタジー
引きこもりニート、40歳の俺が、皇帝に騎士として支える分家の貴族に転生。
そして魔法剣術学校の剣術科に通うことなるが、そこには波瀾万丈な物語が生まれる程の過酷な「必須科目」の数々が。
本家VS分家の「決闘」や、卒業と命を懸け必死で戦い抜く「魔物サバイバル」、さらには40年の弱男人生で味わったことのない甘酸っぱい青春群像劇やモテ期も…。
この世界を動かす、最大の敵にご注目ください!
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4500文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。
そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。
【カクヨムにも投稿してます】
【完結】伝説の悪役令嬢らしいので本編には出ないことにしました~執着も溺愛も婚約破棄も全部お断りします!~
イトカワジンカイ
恋愛
「目には目をおおおお!歯には歯をおおおお!」
どごおおおぉっ!!
5歳の時、イリア・トリステンは虐められていた少年をかばい、いじめっ子をぶっ飛ばした結果、少年からとある書物を渡され(以下、悪役令嬢テンプレなので略)
ということで、自分は伝説の悪役令嬢であり、攻略対象の王太子と婚約すると断罪→死刑となることを知ったイリアは、「なら本編にでなやきゃいいじゃん!」的思考で、王家と関わらないことを決意する。
…だが何故か突然王家から婚約の決定通知がきてしまい、イリアは侯爵家からとんずらして辺境の魔術師ディボに押しかけて弟子になることにした。
それから12年…チートの魔力を持つイリアはその魔法と、トリステン家に伝わる気功を駆使して診療所を開き、平穏に暮らしていた。そこに王家からの使いが来て「不治の病に倒れた王太子の病気を治せ」との命令が下る。
泣く泣く王都へ戻ることになったイリアと旅に出たのは、幼馴染で兄弟子のカインと、王の使いで来たアイザック、女騎士のミレーヌ、そして以前イリアを助けてくれた騎士のリオ…
旅の途中では色々なトラブルに見舞われるがイリアはそれを拳で解決していく。一方で何故かリオから熱烈な求愛を受けて困惑するイリアだったが、果たしてリオの思惑とは?
更には何故か第一王子から執着され、なぜか溺愛され、さらには婚約破棄まで!?
ジェットコースター人生のイリアは持ち前のチート魔力と前世での知識を用いてこの苦境から立ち直り、自分を断罪した人間に逆襲できるのか?
困難を力でねじ伏せるパワフル悪役令嬢の物語!
※地学の知識を織り交ぜますが若干正確ではなかったりもしますが多めに見てください…
※ゆるゆる設定ですがファンタジーということでご了承ください…
※小説家になろう様でも掲載しております
※イラストは湶リク様に描いていただきました
ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる