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第37話 魔王討伐の証明・前編

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暇だ。

学院対抗戦があるのは3日後。
たった3日待つだけといえばそれだけのことだが、待ちきれない楽しみを前にした予定の無い3日間はとても長く感じられるものなのだ。

もちろん、楽しみなのは破壊天使の紋章の実験ができること。

上手くいけばいいな。

……さあ、今日何しよう。
日も上りきらないような時間に魔神に叩き起こされたので、余計に1日が長く感じられる。
何かやる事はないか。

順当に考えて、2度寝だよな。
おやすみ。

☆  ☆  ☆

そんなわけで、俺は今冒険者ギルドにアラレジストと共にいる。

だいたい、あんな耳寄りな情報を得て完全に覚醒しきっておいて、2度寝などできるはずもないのだ。

どうせなら、魔王討伐をギルドがどう処理するのか、この目で見てみようと思った。

アラレジストも、「淳さんが来てくれるなら安心です!」と張り切っていた。

依頼達成者用のカウンターは、朝はほとんど人がいない。
俺たちは、特に並ぶこともなく受付してもらえた。

「依頼票をお見せください」

「こちらです」

アラレジストが、依頼票を受付嬢にわたす。

「はい。依頼内容は魔王の討伐……魔王の討伐?」

依頼内容を読み上げるなり、キョトンと固まってしまった受付嬢。
俺はアラレジストに、討伐証明用のルシオラの指を差し出すよう促した。

「討伐証明部位はこちらで大丈夫でしょうか」

「は……と、おっしゃいましても。正直、これだけで魔王の討伐を確認するのは困難を極めるというのが正直な印象ですね」

いったい誰がこんな依頼を、と文句を言いながら依頼者に目を通した受付嬢は、椅子から転げ落ちた。

「依頼者、淳さんですか? そうですか、そう来ましたか。……分かりました。例のアーティファクトの使用を、王都にかけあってみます。宮廷魔術師を総動員しないと起動できないクラスのアーティファクトとなりますんで、今すぐにとはいきませんが……」

ここで俺は1つの疑問が浮かんだので、聞いてみることにした。

「1つ、質問よろしいですか?」

「はい、なんでしょう?」

「そのアーティファクトの起動ですが、宮廷魔術師を総動員しなければならないというのは複雑な特殊魔法だからですか? それとも単純に魔力が必要なんでしょうか」

後者なら、俺でもどうにかできるかもしれない。

「起動魔法自体は、複雑とはいえ宮廷魔術師が1人いればなんとかなります。後は魔力供給のために人数を要する感じですね」

「なら、俺も起動を手伝う事は可能でしょうか」

「あ……! そうですね。淳さんが起動を手伝えば、魔力の方は解決ですね。王宮への連絡の書類を作成しますんで、それを持参して王宮に向かってください」

そう言って、受付嬢は書類の作成に取り掛かった。

……イカタコウイルスの件で文句を言いに来た時のサフシヨ様の話では、宮廷魔術師はイカタコウイルスの鑑定もままならないレベルだったはずだ。

その程度の奴ら100人分くらいなら、俺で、いや何ならアラレジスト1人でも賄えるだろう。

興味本位の付き添い、どうせなら最後までやってやるか。
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