16 / 49
第14話 敵を以って敵を制した
しおりを挟む
「あれは……」
探知魔法で確認してみた感触としては、ちょっと先輩方には荷が重そうだな。
カワサキに跨りつつ、転生した街から王都に移る際障害物の有無の確認に使った弓矢を取り出し、一発撃ってみた。
その矢は魔王の手下数体を難なく貫通し……その先にあった王都の壁まで一部破損させてしまった。
過ぎたるは及ばざるが如しってか。あんなものを射続けてたら、先に王都の防壁の方が崩壊してしまう。
魔王の手下の回復は思った以上に遅く、今矢を貫通させた奴らに関しては俺が着くまでに復活することはなさそうだ。
だが、矢の射線上にいなかった魔王の手下に関しては、俺が着く前に先輩方を攻撃し出すかもしれない。
もっとまずいのは、魔王の手下マントルグ共の上空に黒い扉が開いていることだ。アタミの瞬間移動だろう。
あそこで青酸を撒かれては、先輩方に深刻な被害が出かねない。
「仕方ないな。バイクより走るのが速いってのはなんか納得がいかないが……ハイボルテージマリオネット」
カワサキを自動走行状態にしたのち魔法を発動、魔法電流の神経支配で得た超加速で一気に戦場に迫った。
そして俺が魔王の手下を1体踏みつけると──そいつを通して、全ての魔王の手下に電流が行き渡った。
……こいつら、まさかの電流を流せるタイプだったか。
全員電流で機能が一時停止しているようだし、アタミの瞬間移動が完了する前に可能な限り氷結させてしまおう。
絶対零度を付与した方天画戟で敵を貫き、凍らせては殴って粉々にする。
そうして、魔王の手下マントルグも残すところ10体くらいになった時。ようやくアタミが瞬間移動してきた。
「ふうん、まあ及第点ね。ここからが本番よ」
アタミとて、伊達に魔王妃として君臨し続けたわけじゃなさそうだ。一度死に、今も戦況はかなりこちらが有利だというのに平然としているように見える。
「まずは余計な聖騎士共を一掃するわ。青酸──ガフッ!」
アタミの詠唱は、遅れてやってきた自動走行中のカワサキによって見事に阻まれた。
うまく平静を装ったつもりのようだが、内心焦っているようだな。分かりやすくノーフェイクで追突させたのに避けられないとは。
魔王の手下には電流を流せるようだし、残りの10体はこちらの攻撃手段とさせてもらうぞ。
「あれは……まさか、魔神の最上級攻撃魔法と言われている『ハイボルテージペネトレイト』なのでしょうか?なんというかもう、溶岩でできた敵を雷で蒸発させるとかアリなんでしょうかね?ここで注目すべきなのは、攻撃した魔王の手下を飛ばす方向ですね。なんとそれらが全て、魔王妃アタミに向かって飛んでいます!」
10発、俺の「ハイボルテージペネトレイト」でプラズマと化した魔王の手下マントルグがアタミを襲った。
何発かは避けられたようだが、10発のプラズマ弾はアタミの四肢を完全に吹き飛ばしてしまった。
勝ちを確信した俺はサフシヨ様の方を振り返り、投げキッスをする。
これ、あくまで王都で念を視聴してる庶民向けだからな。まあとある合図の役割もあるが。
「おおっと、合図でました!これはもちろん『次の一撃で倒す』ということでしょう。はい、ミュージック・スタート!」
サフシヨ様の掛け声と共に、王都にいるサフシヨ様の知り合いの吟遊詩人が音楽を奏で始める。
尚、その演奏は事前の打ち合わせにより、俺の念話で庶民全員に聞こえるようにしてある。
演奏がBGMとして流れる中俺はアタミの下まで飛び上がり、未だかつてない魔力を込めて詠唱した。
「ハイボルテージペネトレイト」
先程まで魔王の手下をプラズマ化させていた攻撃とはまるで格が違う、次元さえも切り裂くのではと思えるような一撃を命中させる。
先程のサーフィンボードの爆発に続き、今回も悲鳴を上げさせる間すら無く、最凶の魔王妃は息絶えた。
最悪、何度も蘇るようなら魔神(本家)を呼び出して問い詰めでもしようかと考えていたが、杞憂だったようだ。
いよいよ最期の敵だな。
俺は魔王・プレート=テクト=ニクスに方天画戟の刃を向けた。
探知魔法で確認してみた感触としては、ちょっと先輩方には荷が重そうだな。
カワサキに跨りつつ、転生した街から王都に移る際障害物の有無の確認に使った弓矢を取り出し、一発撃ってみた。
その矢は魔王の手下数体を難なく貫通し……その先にあった王都の壁まで一部破損させてしまった。
過ぎたるは及ばざるが如しってか。あんなものを射続けてたら、先に王都の防壁の方が崩壊してしまう。
魔王の手下の回復は思った以上に遅く、今矢を貫通させた奴らに関しては俺が着くまでに復活することはなさそうだ。
だが、矢の射線上にいなかった魔王の手下に関しては、俺が着く前に先輩方を攻撃し出すかもしれない。
もっとまずいのは、魔王の手下マントルグ共の上空に黒い扉が開いていることだ。アタミの瞬間移動だろう。
あそこで青酸を撒かれては、先輩方に深刻な被害が出かねない。
「仕方ないな。バイクより走るのが速いってのはなんか納得がいかないが……ハイボルテージマリオネット」
カワサキを自動走行状態にしたのち魔法を発動、魔法電流の神経支配で得た超加速で一気に戦場に迫った。
そして俺が魔王の手下を1体踏みつけると──そいつを通して、全ての魔王の手下に電流が行き渡った。
……こいつら、まさかの電流を流せるタイプだったか。
全員電流で機能が一時停止しているようだし、アタミの瞬間移動が完了する前に可能な限り氷結させてしまおう。
絶対零度を付与した方天画戟で敵を貫き、凍らせては殴って粉々にする。
そうして、魔王の手下マントルグも残すところ10体くらいになった時。ようやくアタミが瞬間移動してきた。
「ふうん、まあ及第点ね。ここからが本番よ」
アタミとて、伊達に魔王妃として君臨し続けたわけじゃなさそうだ。一度死に、今も戦況はかなりこちらが有利だというのに平然としているように見える。
「まずは余計な聖騎士共を一掃するわ。青酸──ガフッ!」
アタミの詠唱は、遅れてやってきた自動走行中のカワサキによって見事に阻まれた。
うまく平静を装ったつもりのようだが、内心焦っているようだな。分かりやすくノーフェイクで追突させたのに避けられないとは。
魔王の手下には電流を流せるようだし、残りの10体はこちらの攻撃手段とさせてもらうぞ。
「あれは……まさか、魔神の最上級攻撃魔法と言われている『ハイボルテージペネトレイト』なのでしょうか?なんというかもう、溶岩でできた敵を雷で蒸発させるとかアリなんでしょうかね?ここで注目すべきなのは、攻撃した魔王の手下を飛ばす方向ですね。なんとそれらが全て、魔王妃アタミに向かって飛んでいます!」
10発、俺の「ハイボルテージペネトレイト」でプラズマと化した魔王の手下マントルグがアタミを襲った。
何発かは避けられたようだが、10発のプラズマ弾はアタミの四肢を完全に吹き飛ばしてしまった。
勝ちを確信した俺はサフシヨ様の方を振り返り、投げキッスをする。
これ、あくまで王都で念を視聴してる庶民向けだからな。まあとある合図の役割もあるが。
「おおっと、合図でました!これはもちろん『次の一撃で倒す』ということでしょう。はい、ミュージック・スタート!」
サフシヨ様の掛け声と共に、王都にいるサフシヨ様の知り合いの吟遊詩人が音楽を奏で始める。
尚、その演奏は事前の打ち合わせにより、俺の念話で庶民全員に聞こえるようにしてある。
演奏がBGMとして流れる中俺はアタミの下まで飛び上がり、未だかつてない魔力を込めて詠唱した。
「ハイボルテージペネトレイト」
先程まで魔王の手下をプラズマ化させていた攻撃とはまるで格が違う、次元さえも切り裂くのではと思えるような一撃を命中させる。
先程のサーフィンボードの爆発に続き、今回も悲鳴を上げさせる間すら無く、最凶の魔王妃は息絶えた。
最悪、何度も蘇るようなら魔神(本家)を呼び出して問い詰めでもしようかと考えていたが、杞憂だったようだ。
いよいよ最期の敵だな。
俺は魔王・プレート=テクト=ニクスに方天画戟の刃を向けた。
1
お気に入りに追加
200
あなたにおすすめの小説
側妃に追放された王太子
基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」
正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。
そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。
王の代理が側妃など異例の出来事だ。
「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」
王太子は息を吐いた。
「それが国のためなら」
貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。
無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。
社畜おっさんは巻き込まれて異世界!? とにかく生きねばなりません!
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はユアサ マモル
14連勤を終えて家に帰ろうと思ったら少女とぶつかってしまった
とても人柄のいい奥さんに謝っていると一瞬で周りの景色が変わり
奥さんも少女もいなくなっていた
若者の間で、はやっている話を聞いていた私はすぐに気持ちを切り替えて生きていくことにしました
いや~自炊をしていてよかったです
異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。
そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。
【カクヨムにも投稿してます】
魔力即時回復スキルでダンジョン攻略無双 〜規格外のスキルで爆速レベルアップ→超一流探索者も引くほど最強に〜
Josse.T
ファンタジー
悲運な貯金の溶かし方をした主人公・古谷浩二が100万円を溶かした代わりに手に入れたのは、ダンジョン内で魔力が無制限に即時回復するスキルだった。
せっかくなので、浩二はそれまで敬遠していたダンジョン探索で一攫千金を狙うことに。
その過程で浩二は、規格外のスキルで、世界トップレベルと言われていた探索者たちの度肝を抜くほど強くなっていく。
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる