魔力即時回復スキルでダンジョン攻略無双 〜規格外のスキルで爆速レベルアップ→超一流探索者も引くほど最強に〜

Josse.T

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第十七話 VIP探索者の躍進の始まり

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「古谷……お前、ランク6のVIP探索者に認定されることになるぞ」

 工藤さんにそう告げられ……俺は、一瞬思考が停止しかけた。
 ……ろ、6!? 5を飛ばしていきなり?
 今度こそ、俺の聞き間違えかな。

「……6ですか? 5ですらなく……」

「ああ、6だ。そもそも補正値が三桁の称号自体、そうそう無いってのに……お前が見つけたのは、MP+250の称号と、HP+100%かつMP+200の称号とかいう弩級だらけだからな。ある意味当然だ」

 念のため聞き返すと、俺のVIP探索者のランクは、間違いなく6になるらしかった。

「ちなみに……さっきランク4認定って言ったのは、学会の規定上、単一の称号発見では4までしか上げれないことになっているからだからな。『特殊攻略家』の時点で、その制限が無ければ本当はランク5相当の功績なんだよ」

 そして工藤さんは、続けてそんな詳細を語ってくれた。

「じゃあ、俺は……『経験値豊穣の指輪』を貰えることになるんですね?」

「ああ、もちろんだ。全く……お前の獲得経験値量が二倍になるとか、想像しただけでえげつねえよな」

 工藤さんはそう言いつつ、遠い目をした。


 経験値豊穣の指輪……獲得経験値量、二倍になるのか。
 それだと、指輪入手前後で攻略の効率は大きく変わりそうだし……今後のダンジョン攻略は、指輪が届いてからにするか?

「すみません工藤さん、ついでにドロップ品の清算もお願いします」

 そう考え、今日のところは帰宅することに決めた俺は、とりあえず今日の戦利品の売却もしていくことにした。

「ドロップ品か。今回は何をどれだけ手に入れたんだ?」

「これです」

「ふむ……6階層と8階層の魔石が6個ずつに、9階層と10階層の魔石が4個ずつか。……なんかとんでもない戦果なのに、さっきの称号のせいで普通のことみたいに思えてしまうな」

 袋からドロップ品のうち、魔石だけを取り出すと……工藤さんはそれをカウントし、レジ打ちを始めた。

「16万5600円だ。早速、VIP価格で買い取ってやったぞ」

「……いいんですか?」

「ああ。ダンジョン学会の規定上、VIP探索者の申請を出す受付では、申請日からVIP待遇していいようになってるからな」

 そんな会話をしつつ、俺は工藤さんからお金を受け取って、受付を後にした。


 ◇


 受付を出た俺は……レジ袋から巻物を一個取り出した。
 この巻物は、今日の狩りにおける通常の魔物からのドロップ品のうち、唯一魔石じゃなかったものである。

 俺は基本、スキルスクロールなら自分で使いたいと思っているので、これは売らずにおいたのだ。
 巻物を広げてみると……この巻物は、「シールド」という結界魔法のスキルスクロールだと分かった。

 結界か。消費MPはたったの10だし、大して強くなさそうだが……これもV5とかにしたらいつか化けるかもしれないし、覚えておいて損はないな。
 俺はそのスキルを、エクストラハイヒールの時と同じ手順で習得した。

 そしてそれが終わった俺は、家に帰るため駅に向かおうとしたのだが……その時俺は、ふとあることを思いついた。

「いや……走って帰るか?」

 そう。せっかく「時止めの神速靴」も手に入れたことだし、走れば電車賃を節約し、かつより早く帰れるんじゃないかと考えたのである。
 今までそれを思いつかなかったのは、地上をそんな速度で走ると危険かと思ったからだが……例えば「結界を足場に空中を走って移動する」みたいな方法を使えば、安全性を確保しつつ全速力を出せる。

「……ちょっと練習してから帰るか」

 その方法を思いついた俺は……やはり今すぐ家に帰るのではなく、1階層で軽くその練習だけしていこうと考え直した。
 そして俺は、再びダンジョンの中に入っていった。


 ダンジョンに入ると、早速1階層で練習開始。
 初めはなかなか上手くいかず、何度も失敗を繰り返した。

 というのも……「シールド」だと結界の強度が弱すぎて、「時止めの神速靴」の効果込みの脚力だと、結界を踏み抜いて壊してしまうのだ。
 そこで俺は結界を多重展開したりと工夫を凝らし、何とか上手く走れないか試行錯誤した。

 その結果……最終的に俺は、なかなか上手く結界を足場に高速移動できるようになっていった。

 理由は……何のことは無い。
 ただ単に「シールド」がV4まで進化し、しっかり踏み込んでも壊れなくなったのだ。
 何か工夫が上手くはまったとかいうわけではないが、当初の目的は達成できたので、まあ万事オーライである。

 俺はダンジョンを出ると、早速この方法で帰宅することにした。
 恐ろしい勢いで景色が変わっていくのを楽しみつつ……2分ほど走っていると、俺は家まで辿り着いてしまった。


 ◇


 そして……三日後。
 俺のもとに……ダンジョン学会から、一通の本人限定受取郵便が届いた。
 早速開封すると、中から一枚のカードと一個の指輪が出てくる。

 ……カードの方はVIP探索者用のカードか。
 ちゃんと「古谷浩二 ランク6」って書いてあるな。
 そしてこの指輪が、ランク5以上の者だけが手に入れられるという「経験値豊穣の指輪」だな。

 早速俺は指輪を填め、その詳細をステータスウィンドウから確認してみることにした。

「ステータスオープン」

 だが……そう唱えて装備欄を見てみると、俺はちょっとその表記に違和感を感じた。

 指輪の表記が……「経験値豊穣の指輪(特上)」となっていたのだ。
 ……特上? 何だこれ。


 まあ何にせよ、タップして詳細を確認だな。

 ─────────────────────────────────
 ●経験値豊穣の指輪(特上)
 魔物討伐時の獲得経験値量が5倍になる指輪。「経験値豊穣の指輪」の上位互換であり、入手確率はその10分の1程度しかない
 ─────────────────────────────────

 すると……そんな説明が出てきた。


 ——聞いてたのとえらい違いだな。
 まあ良い方に違ってるので、有難いのは有難いのだが……5倍ってもう、今までと全然世界が違ってくるんじゃ。
 これが……ランク5ともまた違う、ランク6の待遇ってことか。
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