魔力即時回復スキルでダンジョン攻略無双 〜規格外のスキルで爆速レベルアップ→超一流探索者も引くほど最強に〜

Josse.T

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第八話 魔石売却、5階層攻略そして謎の針金

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「すみません、工藤さん呼んでいただけますか? ……魔石も売りにはきてるんですけど、攻略許可階層の引き上げの相談もしたいので」

 俺の番が来ると……俺は受付の人にそう頼んだ。

「攻略許可階層の引き上げ……確かに、工藤さんの管轄ですね。承知しました」

 受付の人はそう言うと、工藤さんと交代してくれた。



「おう、古谷じゃねえか。どうした?」

「4階層でしばらく狩りをしてきたので、魔石を売りにきました。……あと、攻略許可階層を引き上げてもらえないかの相談にも」

 工藤さんが来ると……俺はそう言いつつ、4階層で獲れた10個の魔石をカウンターに並べた。
 すると……工藤さんの顔色が変わった。

「な……4階層の魔石が、いきなりこの数……!?」

 工藤さんは、並べられた魔石の数に面食らったようだった。

「そうか……こうなるのか、魔力がいくらでも即時回復するってことは。実際に戦果を目にすると、ほんとおぞましい光景だな……」

 震える手つきで、レジ打ちを進める工藤さん。
 それが終わると……工藤さんは二枚のお札を俺に手渡しつつ、こう言った。

「4階層の魔石は単価が1500円だからな、合計で1万5000円だ。全く、これがついさっき案内を終えた奴の報酬って、頭おかしくなりそうだぜ……」

「ありがとうございます」

 すぐに俺は、その1万5000円を財布にしまった。

 たった一時間で、1万5000円か……。
 確かに、今まで俺がやってきたバイトよりは、ずっと割のいい仕事だな。
 なんか、FXで消えた100万円を取り戻すビジョンが見えてきたぞ。

「ドロップ品は今ので全部か?」

 などと考えていると、工藤さんがそう質問してきた。

「いえ、本当はあと革製の服も一個手に入ってまして……。ただこれは、有用そうなら自分で使おうかと」

 それに対し、俺はレジ袋から革製の服を取り出しつつ、そう答えた。

「それは……4階層の革鎧か。着ると単純にHPが20%増えるから、ダンジョン内では着とくのをオススメするぞ」

 すると工藤さんは、この服の効能を説明してくれた。

「そうなんですか。じゃあ、次入る時からは着ますね」

 ダンジョン産だし、まあまず間違いなく良い物なんだろうが、実は呪いの鎧とかだったら怖いな。
 そう思い、手に入れた当時は着るのを躊躇っていたのだが……どうやら杞憂だったようだ。
 工藤さんのお墨付きがあるなら、次回からはしっかり着用していこう。
 そう思いつつ、俺はそう答えた。



 ……そして、本題の攻略許可階層の話だ。

「ところで……特に属性攻撃魔法のスキルとかは手に入れてないんですけど、俺のマナボール、V3まで進化しまして。『無属性攻撃無効貫通』とかいう効果が付いたんですけど……これって攻略許可階層の引き上げにつながりますか?」

 俺は話題を変え、そう聞いてみた。

「へぁっ!? マナボール……V3?」

 すると……工藤さんは、裏返った声でそう聞き返してきた。
 一瞬の間をおいて……更にもう一度。

「……V3!?」

 どうやら工藤さんは、マナボールがV3に進化したって部分だけ印象に残ってしまったみたいだ。

「あの……マナボールV3って、そんなに珍しいんですか?」

「珍しいというか……V3なんて普通、初級魔法でも一年、高度な魔法なら数年がかりで覚えるような進化だぞ。あとマナボールに関して言えば、普通冒険者はそれを主力の攻撃手段にしないし……おそらくマナボールV3なんて、前例が無いんじゃねえか?」

 聞いてみると、V3への進化自体が、結構珍しいみたいだった。

 確かに……進化条件、100回から10000回までってめっちゃ振れ幅あるもんな。
 最低回数に近い回数で条件突破できるならともかく、そうじゃなければ時間がかかるのも無理はない……か。

 ……じゃなくてだ。

「それで……無属性攻撃無効貫通に関しては、扱いはどうなるのでしょうか?」

 俺はマナボールV3がどれくらい珍しいのかを聞きに来たのではなく、攻略許可階層が変わるのかどうかを聞きに来たのだ。
 俺は話を本筋に戻すため、再度そう質問した。

「それはだな……」

 工藤さんはそう言って、引き出しからタブレット端末を取り出すと……何やら検索を始めた。
 ルールブックの確認か何かをしているのだろうか。
 待つこと数分……工藤さんは顔を上げ、こう答えてくれた。

「……問題ないみたいだ。マナボールV3は前例が無いが……攻撃無効貫通なら、別のスキルで成し遂げた例があった。マナボールV3に関しても、同じ扱いで問題ないだろうからな……うん、攻略許可階層はとりあえず、10階層までとしよう」

 無事……攻略許可階層は、引き上げてもらえたのだった。


「まさか……もう八階層に挑むつもりか?」

 カウンターを去ろうとすると……去り際に、工藤さんはそう聞いてきた。

「いえ、流石にまだです。……ところで5階層って、どんな魔物がいるんですか?」

 それに対し……俺はついでにと思い、次の階層について聞いてみた。

「5階層? ああ、あそこなら……ウルフ系の魔物ばっかり出てくるぞ。与えないといけないダメージは4階層のとは段違いだが、動き自体はやんちゃな中型犬くらいだからお前ならなんとかなるだろ」

「なるほど……ありがとうございます」

 せっかくなので俺は、今度は5階層に言ってみることに決めた。


 ◇


 そして……5階層にて。

「ふう……まあ、余裕っぽいな」

 俺は今まで通りのマナボールV3の連射で、最初の魔物を倒すことができた。


 今回、俺はわざと連射速度を通常の半分くらいにして戦ったのだが……それでも、俺は傷一つ負うことなく余裕で魔物を倒せた。
 別に俺は、舐めプしようと思ったのではなく……両側からはさみうちにされても安全に討伐できるかの実験として、そのようにやってみたのである。

 ただ硬いだけでほぼ置物なレッサーロックゴーレムとは違い、この階層の魔物は結構普通に動いてくるからな。
 最悪の事態に対処できそうか、知っておきたかったのだ。

 まあ、それは大丈夫だと分かったので……今からは、本格的な5階層攻略開始だな。

 そんなことを考えつつ、俺はドロップ品を拾いにいった。
 だが……今回のドロップ品は、ちょっと一風変わったものだった。

 魔石でも服でも武器でもなく、折れ曲がった針金が二本、ドロップ品していたのである。


 それを見て……俺は、このドロップ品が何なのか、予想がついた。

 もしかしなくても、ダウジング用の針金だろうな。
 これで効率的に魔物を探せるなら、今まで以上に討伐が捗りそうだ。
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