上 下
2 / 33

第二話 えげつないスキルだった

しおりを挟む
 とりあえず……スキルについて検索してみるか。
 俺は手始めに「スキル ダンジョン」とキーワードを打って検索し……それっぽい情報が載ってそうな記事を開いた。

 すると早速、俺が欲しかった情報が見つかった。

『スキルを入手するか、一度でもダンジョンに足を踏み入れた人間はステータスを確認できるようになります。いずれかの条件を満たした人は、まず「ステータスオープン」と唱えてみましょう』

 俺が読み始めた記事に、このような記述があったのだ。

 ……記事にはまだ続きがあるけど、とりあえず試してみるか。

「ステータスオープン」

 スマホを横に置いた俺は、記事にあった通りの文言を復唱してみた。
 すると……ホログラムで映し出されたような半透明の画面が、突如として俺の目の前に現れた。

 そこには、こう書かれてあった。

 ─────────────────────────────────
 古谷浩二
 Lv.1
 HP 10/10
 MP 10/10
 EXP 0/200

 ●スキル
<アクティブ>
 ・マナボール
<パッシブ>
 ・ダンジョン内魔素裁定取引
 ─────────────────────────────────

 ……おお、本当にステータスとやらが開けたぞ。
 そしてさっき手に入った<ダンジョン内魔素裁定取引>とかも、ちゃんと記載されている。

 ……けど、これだけじゃまだよく分からないな。
 とりあえず俺はステータスは開いたまま、さっきの記事の続きを読むことにした。


 どれどれ……へえ、<マナボール>は全人類がもれなく持っている無属性攻撃魔法なのか。
 見覚えのないスキルがあると思ったら、そういうことだったんだな。

 そして、さっきの<ダンジョン内魔素裁定取引>について知ろうと思ったら……あ、あった。
『スキルの詳細は、ステータスウィンドウ上の該当スキルをタップすることで確認できることがあります』と来たか。

 なら早速、タップしてみようか。
 俺は再度スマホを横に置き、ステータスウィンドウ上の<ダンジョン内魔素裁定取引>に指を伸ばした。


 すると……。

「お、開いた!」

 半透明の画面の表示が切り替わり、今度はこんな文章が表示された。

 ─────────────────────────────────
 ●ダンジョン内魔素裁定取引
 このスキルの保持者がダンジョンに入ると、ダンジョン内部の魔素増殖率の低い場所にある魔素が全て魔素増殖率の高いスポットに移動する。
 そして、このスキルの保持者は、通常時との魔素増殖の差分を、自身の魔力として受け取ることができる。
 このスキルは、ダンジョンに入ると自動で発動する。

 ※このスキルの保持者がダンジョンに入ると、ステータスのMP欄が「∞/(最大値)」となります
 ─────────────────────────────────



「……………………」

 表示されたスキルの説明を見て……一瞬俺は、目を疑った。

 ……え、何このスキル。
 これってつまり、ダンジョンに入ったら俺は魔法撃ち放題になるってこと!?

 何となく俺は、とんでもないスキルを手に入れてしまった予感がした。
 と同時に……俺はこの時、ある一つの決心を固めた。


 俺、明日からダンジョン探索やってみよう。
 そして、このスキルがどこまで通用するか……そしてこのスキルでどれだけ稼げるか試すんだ。

 俺がダンジョンの存在を知りながら、今まで手を出さなかった理由は一つ。
 それは、ヒョロガリの俺なんかが、そんな肉体労働の極み(※勝手なイメージです)みたいな仕事で成果を出せるはずがないと思っていたからだ。

 ダンジョン探索は誰かに雇われてするわけではなく、探索者はダンジョンで取れた素材を売って稼ぐ——言ってみれば完全歩合制みたいなものなので、俺が行ったところでロクに稼げないだろうと敬遠していたのだ。

「慣れれば割のいい仕事」などと言う人がいても、あえて普通のバイトで百万を貯めてきたのはそのためだ。

 だが……魔法に特化して活躍できるかもしれないスキルが手に入ったとなれば、話が変わってくる。
 もしかしたら今後は、ダンジョン探索が俺にとって、一番割のいい稼ぎ方になるかもしれない。

 それを試さないという手はないだろう。

 FXで百万を失ったこともあり、何とか巻き返したい気持ちも相俟って……俺は、明日すぐにでもダンジョンに行ってみることに決めた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 ***************************** ***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。*** ***************************** マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

無能スキルと言われ追放されたが実は防御無視の最強スキルだった

さくらはい
ファンタジー
 主人公の不動颯太は勇者としてクラスメイト達と共に異世界に召喚された。だが、【アスポート】という使えないスキルを獲得してしまったばかりに、一人だけ城を追放されてしまった。この【アスポート】は対象物を1mだけ瞬間移動させるという単純な効果を持つが、実はどんな物質でも一撃で破壊できる攻撃特化超火力スキルだったのだ―― 【不定期更新】 1話あたり2000~3000文字くらいで短めです。 性的な表現はありませんが、ややグロテスクな表現や過激な思想が含まれます。 良ければ感想ください。誤字脱字誤用報告も歓迎です。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

異世界でネットショッピングをして商いをしました。

ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。 それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。 これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ) よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m hotランキング23位(18日11時時点) 本当にありがとうございます 誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

異世界転移ボーナス『EXPが1になる』で楽々レベルアップ!~フィールドダンジョン生成スキルで冒険もスローライフも謳歌しようと思います~

夢・風魔
ファンタジー
大学へと登校中に事故に巻き込まれて溺死したタクミは輪廻転生を司る神より「EXPが1になる」という、ハズレボーナスを貰って異世界に転移した。 が、このボーナス。実は「獲得経験値が1になる」のと同時に、「次のLVupに必要な経験値も1になる」という代物だった。 それを知ったタクミは激弱モンスターでレベルを上げ、あっさりダンジョンを突破。地上に出たが、そこは小さな小さな小島だった。 漂流していた美少女魔族のルーシェを救出し、彼女を連れてダンジョン攻略に乗り出す。そしてボスモンスターを倒して得たのは「フィールドダンジョン生成」スキルだった。 生成ダンジョンでスローライフ。既存ダンジョンで異世界冒険。 タクミが第二の人生を謳歌する、そんな物語。 *カクヨム先行公開

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

処理中です...