36 / 156
第5幕 収監令嬢は大切なものを護りたい
第1話 初めての召喚よ
しおりを挟む
庭に広がっていた大量の草の絨毯が、徐々に麻袋の中へと消えてゆく。
大方の草は刈り終えて、今はとにかく袋詰め作業。私が握っているのは、T字型の八本爪がついた柄の長さが1メートルぐらいの熊手。これでせっせと草をかき集め、ヘレンが細かい草に塗れて緑と茶色に染まりながら必死に袋に入れている。
『なー、おやつマダー?』
積み上げられた袋の上で寝そべるスコルが不満そうに声を上げる。尻尾がパタパタと左右に揺れた。
いい気なもんだ。
「もう少しね。なんなら手伝ってよ」
『燃やす手伝いならできるゾ』
グワッと開けた口からボボボッと炎を出すスコル。
さすが魔獣……じゃなくて聖獣、何の呪文も無く魔法を使うのね。
魔導士が魔法を使うには、呪文詠唱をするなり、魔法陣を描くなりして自分の魔精力を練る必要がある。望む形に成型して、魔法として発動するために。
なのにノータイムだなんて、恐怖だわ。剣じゃ魔法は防げないのに防ぐ時間がないんだもの。あらかじめ予測するしかない。
そうか、だからオルヴィア様は魔物事典を作ってたのね。魔物も強いものになるとノータイムで魔法を使うという。どういう魔法を使うか分かっていれば、ちゃんと防ぐことができるもん。ゲームの攻略本みたいなものかしらね。
さて、そんなスコルの左耳の銀の輪っかは、ハティと同じく2つになっていた。残りの一つは私の右手の小指にはまっている。ハティの物とくっついて、二連リングになった。
つまり、スコルも私の聖獣になったのだ。
今から一時間ほど前に、スコルはひどく不満げな顔で庭に現れた。むふぅ、と鼻から息を漏らし
『アイツが言うならしゃーねーなー』
とブツブツ呟いている。
「あいつって、ハティ?」
『そー。じゃあ、ちゃっちゃと』
「え?」
そして私がぽかんとしている間に、契約の儀式が行われた。
右の聖獣≪スク=リュー=ド=リングス≫、というのがスコルの本名らしい。
「ちょっと、契約ってそんなイヤイヤやっても成立するものなの?」
『オレ達の場合は、特別。セットだし、アイツ――ハティの意思で決まるから』
何で?と聞こうとしたところで、麻袋を玄関まで運んでいたヘレンが戻ってきたので、それ以上は聞けなかった。
ハティの話だけだと分からないところも多かったし、スコルからもう少し話を聞きたいところだわ。
セルフィスはあまり首を突っ込むな、というようなことを言っていたけど、聖獣の主なら多少は大丈夫でしょ。魔獣全般じゃなくて、彼らに関することならいいわよね。契約する以上、二人のことは知っておきたいし。
「ヘレン、じゃあお茶の準備をしてくれる? 休憩にしましょ」
一度、熊手を動かす手を止めてヘレンの方に振り返る。それを聞いたスコルが『ヤッタ!』と声を上げ、ピョーンと麻袋の山から飛び降りた。
「かしこまりました」
そんなスコルを見てちょっと微笑んだヘレンはパンパンと自分の身体についた草と泥を落とし、バルコニーから中へと入っていった。
昨日の今日ですっかり慣れたわね、ヘレンも。魔導士じゃないから魔精力を感じないので恐怖も感じない、ということなのかもしれないけど、それにしても順応性が高いわ。
でも、記憶が無いマリアンセイユ……つまりおよそ貴族令嬢とはかけ離れた私を最初に受け入れてくれたのも、ヘレンだったし。
それがきっと、ヘレンの良いところ。
「ねぇ、スコル。スコル達が扱えるのは、炎だけなの?」
ヘレンもいなくなったことだし、と少し突っ込んだことを聞いてみる。
『うんにゃ、毒の息も吐けるぞ。吐いてみせようか?』
「やめて!」
人も植物も大打撃じゃない。それにせっかく集めた雑草だって堆肥に使えなくなっちゃうわよ。
『ざんねーん。あんまり使いどころねーんだよなー』
「そりゃそうでしょ」
属性魔法と違って、毒は生活圏において害にしかならない。
聖女の獣なら、人を駆逐するための魔法を使う機会はなかったはずだもんね。
『ハティならもう少し高度な魔法が使える。魔物に効く痺れ毒とか、身を守る防御魔法とか』
「へぇー、そうなんだ」
契約したことで、私が新たに二人につけた名『ハティ』『スコル』が通り名として正式に刻まれたらしい。スコルも『アイツ』ではなく『ハティ』と呼ぶようになった。
それに、真の名『ハト=ウァー=ド=リングス』『スク=リュー=ド=リングス』はみだりに呼ぶものではないらしい。
「王獣は地名にすらなってるじゃない」
と言うと、
『それも全部通り名。魔王がつけた名前とは別』
と呆れたように返された。
なお、八大魔獣の『フェルワンド』『サーペンダー』も通り名だそうな。
「ハティの方が、魔法が上手なの?」
『まーな』
「そうなんだ、分からなかった。ハティからは全然魔精力を感じないから」
『――マユ、すっげー勘違いをしてるぞ』
急にピリッとした空気になる。ギョッとしてスコルを見ると、真面目な顔で私をじっと見上げていた。
「な、何?」
『高レベルな魔の者ほど、魔精力を隠せる』
「そうなの?」
『そ。魔物や魔獣だとは気づかせないほど、自然に。人間たちの傍まで、限りなく近づく』
そう言うスコルの身体からは、つねにわずかながら魔精力が漏れている。
言葉も流暢だし、私はてっきりスコルの方が魔獣……いや聖獣だっけね、とにかく魔の者として能力が上だと思ってたんだけど。
『まー、おいおいな。さーて、お菓子お菓子~~』
ヘレンがトレイを持ってバルコニーに戻ってきた。白いテーブルの上にポッドやカップ、皿を並べ始める。
それを目ざとく見つけたスコルがタタタッと走り出した。
「ちょっと待って、今ハティも呼ぶから!」
『おう、そうだったな』
天に月がない限り地上には降りられないハティ。だけど『召喚』すれば、主である私の元、限られた時間ではあるものの行動できるらしい。
さて、初めての召喚。緊張するわね。
「……って、召喚の呪文を聞いてないわよ? それとも魔法陣?」
『そんなもんねぇよ。ただ……――ンッ!』
答えかけたスコルの両耳が、ピーンと真っすぐ立った。くるりと振り返り、
『マユ! 早く召喚!』
と怒鳴る。
「だからどうやって……」
『ただ呼べばいい! 契約の環に祈れ!』
契約の環って、この小指の指輪のことよね。
ど、どうやって祈ればいいのかしら。いつも呪文を唱えながら、あるいは魔法陣を描きながら集中力を高めるから勝手がわからないわ。
「えーと……ハティ、カモーン!」
銀の環を額に付け、ハティの姿を思い浮かべて叫んでみる。
すると、急に目の前にパッとハティの姿が現れた。空間の裂け目から現れた、とかでもなくて、透明人間あらわるあらわる~みたいな感じで、急にポンッと。
何てことだ。召喚魔法なのに、何のエフェクトもないなんて!
何かこう、指輪からパーっと光が、とか、煙幕がモクモク~っとかないの? 火の聖獣らしく炎がボーン!とかさ。こう、カッコイイやつ!
『マユ、大変!』
現れたハティはハッと我に返ると、急にワタワタと慌て出した。ハフハフハフッと私のサロペットの裾に飛び掛かる。
「大変って、何が?」
『ひっつめ、おばちゃん』
「アイーダ女史?」
『ウン、ウン』
ハティは何度も首を縦に振った。一方スコルは、ヘレンが並べているお菓子には見向きもせず、こちらにダダダッと走ってきた。急に現れたハティと急に回れ右をしたスコルに驚いたらしいヘレンが、ぽかんと大きな口を開けている。
『ハティ、見せろ』
『ウン、ウン』
ハティとスコルはお互いの額をくっつけると、目を閉じた。
そういえば魔獣は思念でも意思を伝えられる。言葉に難のあるハティの代わりに、スコルが説明してくれるんだろうか。
しばらく見守っていると、スコルが『げえっ!?』という声を上げ、碧色の瞳をカッと大きく見開いた。
『マジでヤベェじゃん! ハティ、アレ出せ!』
『ウン!』
『マユ、ひっつめババアを助けに行くぞ!』
「えっ!?」
ハティが「ワオンッ!」と一声鳴くと、目の前に馬の鞍が現れた。よく見ると、私がハティにあげた鞍だ。噛み傷だらけで形も何だか変わってて、すごいことになってるけど。
スポッとスコルの背中に填まり、ひとりでにベルトが締められていく。どうやらスコルの身体に合わせて直したらしい。これも、ハティの魔法なのかな。
「ちょっと、」
『いいから乗れ!』
「乗れって……きゃあ!」
ドンッとハティに背中を押され、私は右手に熊手を持ったままスコルの背中に乗せられた。反射的に左手でスコルの身体に腕を回すと、すぐさまスコルがとんでもないスピードで駆け始める。その隣では、ハティも必死の形相で並走していた。
ちょ、こわ、コレ新幹線ぐらいのスピードがあるんだけど! 生身の身体でこれは、正気の沙汰じゃないんだけど!
二人の魔精力が取り巻いていて守られてる感はあるんだけど、景色の流れるスピードが半端じゃないのよ!
「ちょ、ちょっとぉ!」
『ババアのピンチだ、マユの力がいる!』
「ええっ!?」
『急ぐぞ!』
「へ、ヘレンー! とにかく、アイーダ女史を助けに行って来るから!」
どうにか後ろを振り返り叫んでみたけど、とっくに深い森の中に入ってしまっていて、旧フォンティーヌ邸の庭はどこにも見えなくなっていた。
ちょっと第5章の始まり、急展開すぎやしないかしら!?
今までのお気楽な感じはドコにいっちゃったの!?
大方の草は刈り終えて、今はとにかく袋詰め作業。私が握っているのは、T字型の八本爪がついた柄の長さが1メートルぐらいの熊手。これでせっせと草をかき集め、ヘレンが細かい草に塗れて緑と茶色に染まりながら必死に袋に入れている。
『なー、おやつマダー?』
積み上げられた袋の上で寝そべるスコルが不満そうに声を上げる。尻尾がパタパタと左右に揺れた。
いい気なもんだ。
「もう少しね。なんなら手伝ってよ」
『燃やす手伝いならできるゾ』
グワッと開けた口からボボボッと炎を出すスコル。
さすが魔獣……じゃなくて聖獣、何の呪文も無く魔法を使うのね。
魔導士が魔法を使うには、呪文詠唱をするなり、魔法陣を描くなりして自分の魔精力を練る必要がある。望む形に成型して、魔法として発動するために。
なのにノータイムだなんて、恐怖だわ。剣じゃ魔法は防げないのに防ぐ時間がないんだもの。あらかじめ予測するしかない。
そうか、だからオルヴィア様は魔物事典を作ってたのね。魔物も強いものになるとノータイムで魔法を使うという。どういう魔法を使うか分かっていれば、ちゃんと防ぐことができるもん。ゲームの攻略本みたいなものかしらね。
さて、そんなスコルの左耳の銀の輪っかは、ハティと同じく2つになっていた。残りの一つは私の右手の小指にはまっている。ハティの物とくっついて、二連リングになった。
つまり、スコルも私の聖獣になったのだ。
今から一時間ほど前に、スコルはひどく不満げな顔で庭に現れた。むふぅ、と鼻から息を漏らし
『アイツが言うならしゃーねーなー』
とブツブツ呟いている。
「あいつって、ハティ?」
『そー。じゃあ、ちゃっちゃと』
「え?」
そして私がぽかんとしている間に、契約の儀式が行われた。
右の聖獣≪スク=リュー=ド=リングス≫、というのがスコルの本名らしい。
「ちょっと、契約ってそんなイヤイヤやっても成立するものなの?」
『オレ達の場合は、特別。セットだし、アイツ――ハティの意思で決まるから』
何で?と聞こうとしたところで、麻袋を玄関まで運んでいたヘレンが戻ってきたので、それ以上は聞けなかった。
ハティの話だけだと分からないところも多かったし、スコルからもう少し話を聞きたいところだわ。
セルフィスはあまり首を突っ込むな、というようなことを言っていたけど、聖獣の主なら多少は大丈夫でしょ。魔獣全般じゃなくて、彼らに関することならいいわよね。契約する以上、二人のことは知っておきたいし。
「ヘレン、じゃあお茶の準備をしてくれる? 休憩にしましょ」
一度、熊手を動かす手を止めてヘレンの方に振り返る。それを聞いたスコルが『ヤッタ!』と声を上げ、ピョーンと麻袋の山から飛び降りた。
「かしこまりました」
そんなスコルを見てちょっと微笑んだヘレンはパンパンと自分の身体についた草と泥を落とし、バルコニーから中へと入っていった。
昨日の今日ですっかり慣れたわね、ヘレンも。魔導士じゃないから魔精力を感じないので恐怖も感じない、ということなのかもしれないけど、それにしても順応性が高いわ。
でも、記憶が無いマリアンセイユ……つまりおよそ貴族令嬢とはかけ離れた私を最初に受け入れてくれたのも、ヘレンだったし。
それがきっと、ヘレンの良いところ。
「ねぇ、スコル。スコル達が扱えるのは、炎だけなの?」
ヘレンもいなくなったことだし、と少し突っ込んだことを聞いてみる。
『うんにゃ、毒の息も吐けるぞ。吐いてみせようか?』
「やめて!」
人も植物も大打撃じゃない。それにせっかく集めた雑草だって堆肥に使えなくなっちゃうわよ。
『ざんねーん。あんまり使いどころねーんだよなー』
「そりゃそうでしょ」
属性魔法と違って、毒は生活圏において害にしかならない。
聖女の獣なら、人を駆逐するための魔法を使う機会はなかったはずだもんね。
『ハティならもう少し高度な魔法が使える。魔物に効く痺れ毒とか、身を守る防御魔法とか』
「へぇー、そうなんだ」
契約したことで、私が新たに二人につけた名『ハティ』『スコル』が通り名として正式に刻まれたらしい。スコルも『アイツ』ではなく『ハティ』と呼ぶようになった。
それに、真の名『ハト=ウァー=ド=リングス』『スク=リュー=ド=リングス』はみだりに呼ぶものではないらしい。
「王獣は地名にすらなってるじゃない」
と言うと、
『それも全部通り名。魔王がつけた名前とは別』
と呆れたように返された。
なお、八大魔獣の『フェルワンド』『サーペンダー』も通り名だそうな。
「ハティの方が、魔法が上手なの?」
『まーな』
「そうなんだ、分からなかった。ハティからは全然魔精力を感じないから」
『――マユ、すっげー勘違いをしてるぞ』
急にピリッとした空気になる。ギョッとしてスコルを見ると、真面目な顔で私をじっと見上げていた。
「な、何?」
『高レベルな魔の者ほど、魔精力を隠せる』
「そうなの?」
『そ。魔物や魔獣だとは気づかせないほど、自然に。人間たちの傍まで、限りなく近づく』
そう言うスコルの身体からは、つねにわずかながら魔精力が漏れている。
言葉も流暢だし、私はてっきりスコルの方が魔獣……いや聖獣だっけね、とにかく魔の者として能力が上だと思ってたんだけど。
『まー、おいおいな。さーて、お菓子お菓子~~』
ヘレンがトレイを持ってバルコニーに戻ってきた。白いテーブルの上にポッドやカップ、皿を並べ始める。
それを目ざとく見つけたスコルがタタタッと走り出した。
「ちょっと待って、今ハティも呼ぶから!」
『おう、そうだったな』
天に月がない限り地上には降りられないハティ。だけど『召喚』すれば、主である私の元、限られた時間ではあるものの行動できるらしい。
さて、初めての召喚。緊張するわね。
「……って、召喚の呪文を聞いてないわよ? それとも魔法陣?」
『そんなもんねぇよ。ただ……――ンッ!』
答えかけたスコルの両耳が、ピーンと真っすぐ立った。くるりと振り返り、
『マユ! 早く召喚!』
と怒鳴る。
「だからどうやって……」
『ただ呼べばいい! 契約の環に祈れ!』
契約の環って、この小指の指輪のことよね。
ど、どうやって祈ればいいのかしら。いつも呪文を唱えながら、あるいは魔法陣を描きながら集中力を高めるから勝手がわからないわ。
「えーと……ハティ、カモーン!」
銀の環を額に付け、ハティの姿を思い浮かべて叫んでみる。
すると、急に目の前にパッとハティの姿が現れた。空間の裂け目から現れた、とかでもなくて、透明人間あらわるあらわる~みたいな感じで、急にポンッと。
何てことだ。召喚魔法なのに、何のエフェクトもないなんて!
何かこう、指輪からパーっと光が、とか、煙幕がモクモク~っとかないの? 火の聖獣らしく炎がボーン!とかさ。こう、カッコイイやつ!
『マユ、大変!』
現れたハティはハッと我に返ると、急にワタワタと慌て出した。ハフハフハフッと私のサロペットの裾に飛び掛かる。
「大変って、何が?」
『ひっつめ、おばちゃん』
「アイーダ女史?」
『ウン、ウン』
ハティは何度も首を縦に振った。一方スコルは、ヘレンが並べているお菓子には見向きもせず、こちらにダダダッと走ってきた。急に現れたハティと急に回れ右をしたスコルに驚いたらしいヘレンが、ぽかんと大きな口を開けている。
『ハティ、見せろ』
『ウン、ウン』
ハティとスコルはお互いの額をくっつけると、目を閉じた。
そういえば魔獣は思念でも意思を伝えられる。言葉に難のあるハティの代わりに、スコルが説明してくれるんだろうか。
しばらく見守っていると、スコルが『げえっ!?』という声を上げ、碧色の瞳をカッと大きく見開いた。
『マジでヤベェじゃん! ハティ、アレ出せ!』
『ウン!』
『マユ、ひっつめババアを助けに行くぞ!』
「えっ!?」
ハティが「ワオンッ!」と一声鳴くと、目の前に馬の鞍が現れた。よく見ると、私がハティにあげた鞍だ。噛み傷だらけで形も何だか変わってて、すごいことになってるけど。
スポッとスコルの背中に填まり、ひとりでにベルトが締められていく。どうやらスコルの身体に合わせて直したらしい。これも、ハティの魔法なのかな。
「ちょっと、」
『いいから乗れ!』
「乗れって……きゃあ!」
ドンッとハティに背中を押され、私は右手に熊手を持ったままスコルの背中に乗せられた。反射的に左手でスコルの身体に腕を回すと、すぐさまスコルがとんでもないスピードで駆け始める。その隣では、ハティも必死の形相で並走していた。
ちょ、こわ、コレ新幹線ぐらいのスピードがあるんだけど! 生身の身体でこれは、正気の沙汰じゃないんだけど!
二人の魔精力が取り巻いていて守られてる感はあるんだけど、景色の流れるスピードが半端じゃないのよ!
「ちょ、ちょっとぉ!」
『ババアのピンチだ、マユの力がいる!』
「ええっ!?」
『急ぐぞ!』
「へ、ヘレンー! とにかく、アイーダ女史を助けに行って来るから!」
どうにか後ろを振り返り叫んでみたけど、とっくに深い森の中に入ってしまっていて、旧フォンティーヌ邸の庭はどこにも見えなくなっていた。
ちょっと第5章の始まり、急展開すぎやしないかしら!?
今までのお気楽な感じはドコにいっちゃったの!?
0
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説

ピンクの髪のオバサン異世界に行く
拓海のり
ファンタジー
私こと小柳江麻は美容院で間違えて染まったピンクの髪のまま死んで異世界に行ってしまった。異世界ではオバサンは要らないようで放流される。だが何と神様のロンダリングにより美少女に変身してしまったのだ。
このお話は若返って美少女になったオバサンが沢山のイケメンに囲まれる逆ハーレム物語……、でもなくて、冒険したり、学校で悪役令嬢を相手にお約束のヒロインになったりな、お話です。多分ハッピーエンドになる筈。すみません、十万字位になりそうなので長編にしました。カテゴリ変更しました。

〈完結〉髪を切りたいと言ったらキレられた〜裏切りの婚約破棄は滅亡の合図です〜
詩海猫
ファンタジー
タイトル通り、思いつき短編。
*最近プロットを立てて書き始めても続かないことが多くテンションが保てないためリハビリ作品、設定も思いつきのままです*
他者視点や国のその後等需要があるようだったら書きます。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

元ゲーマーのオタクが悪役令嬢? ごめん、そのゲーム全然知らない。とりま異世界ライフは普通に楽しめそうなので、設定無視して自分らしく生きます
みなみ抄花
ファンタジー
前世で死んだ自分は、どうやらやったこともないゲームの悪役令嬢に転生させられたようです。
女子力皆無の私が令嬢なんてそもそもが無理だから、設定無視して自分らしく生きますね。
勝手に転生させたどっかの神さま、ヒロインいじめとか勇者とか物語の盛り上げ役とかほんっと心底どうでも良いんで、そんなことよりチート能力もっとよこしてください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる