[完結] 偽装不倫

野々 さくら

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40話 川口圭介(11)

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俺は山口くんと待ち合わせしている喫茶店に行った。


『……代理……、こんな時間にすみません……。』

『良いんだよ、大丈夫?』


山口くんは俺を見るなりボロボロと泣き始めた。辛かったのだと見てとれる。


『……俺のせいですみません……。』

『……それを言うなら見て見ぬふりをしていた俺も同罪だよ。……ごめんね。』


『どうして助けてくれたのですか……?』


『……あ、ああゆうの許せなくて……。』


── 嘘だ……。本当は軽蔑した男のようになりたくなかったから……。ただの私情だ……。

『……ありがとうございます……。』


俺は山口くんにハンカチを渡す。


『……俺……、もう限界で……。でも辞めれなくて……。』


── 辛いなら仕事辞めた方が良いとは簡単に言える。……しかしどの職種でも三年は働いた方が良いと言われる現状で辞めた方が良いなんて若い彼に気軽に言えなかった。

その思いから、俺は黙り込んでしまう。


『……代理は辞めたいとかないのですか……?』


『……いや、ないよ。地元が好きな妻が、親も友達も仕事も全てを置いて付いて来てくれたんだから……。』


俺は話す。……本心だった。


『……そう……ですか、やっぱりすごいな代理は……。』

『……全然そんな事……。』


『あの……、藍沢さんと俺は代理の事尊敬してしますから!だから……。』


藍沢さん……、唯一仕事以外で話しかけてくれる女性行員。時折、仕事を手伝ってくれる山口くんと同期の二年目の行員。彼女は支店長に目をつけられていない、……女性だからだ……。

彼女が俺を気にかけてくれていたのは何となく分かっていたが、嬉しかった……。


『……ありがとう……。その言葉で充分だよ……。』

俺の心は暖かくなった……。全ての人が離れていったと思っていたけどそれは違った……。二人が分かってくれているだけで良い。それで頑張れる。


『……俺ももう少し頑張ってみます……。今日はありがとうございました。』

『……無理しないようにね……。』

俺はそんな言葉しか残せず山口くんと別れる。


── 山口くん……、もう限界そうだったな……。彼は嫌がらせを間近に見ている……。傍観している人の方が心の傷を抱えていると聞いた事があるけどこうゆう事なのか?俺を見る事で彼を余計に苦しめているのか?


『……あの男もそうだったのか……?』

俺は思わず呟く。


色々考えている間にアパートに着く。

── 佐和子……、謝らないと……。


俺は家に入って行く。すると……。

やはり佐和子は居なくなっていた。



── お酒、飲んでいたのに大丈夫か?……まあ、殆ど俺が飲んでいたんだけど……。

その後佐和子は帰って来たが、お酒の香りはするがあの甘い花の香りはしなかった。安堵したけどその代わりに……。




『ゴホゴホ……。ゴホゴホ……。』

佐和子は風邪を引いてしまった。お風呂上がりに外を出歩き湯冷めしてしまったようだ。

俺は看病しようとするが、佐和子が拒否するから何も出来なかった……。


佐和子の風邪が治り話をしようとしたが、やはり佐和子は話を遮り聞こうとしなかった。

……不倫している……、どうしたら誤解が解けるのだろう……。

そう悩んでいた時、いつもと違う事が起きた。


まず、食事の内容が急に変わった。いや、作ってくれているのと同じメニューなんだけど、味が全然違う。最近味覚が感じにくくなった俺でも分かる。明らかに脂っこくて味が濃い。選んでくれたメニューはいつもと同じだから俺が食べられると思って選んでくれたんだろうけど、やはり外の食事は俺の体には合わなかった。


『美味しいね?』

『……え?うん……。』


やはり佐和子には美味しく感じるんだ……。やはり普通の体なら食べられるのだろう。……俺は佐和子と料理を楽しむ事も出来ない……。



『ごちそうさま。』

俺はお風呂に入ろうとする。


『圭介。』

佐和子が俺を呼び止める。

『あのね、今日生チョコ買って来たの。』

『……うん。』


『一緒に食べてくれない?』

『うん。』


二人は一緒に食べる。佐和子はプリン、俺は生チョコを。

初めて佐和子がチョコをくれた事を思い出す。あれは高校生の時、ストラップを届けたお礼にと持って来てくれた。甘く口の中でとろけ、こんな美味しい物があるのだと初めて知った。……すごく美味しかった……。

俺は思わず佐和子を見る。

佐和子は未だ変わらない、可愛いくてお茶目な俺が好きな女性だった……。


佐和子も俺をじっと見てくる。いつもの何か言いたそうな表情だ。……でも何も言って来ず、いつも唇を噛み締めている。でも今日は違った。


『……あのね、この後……。』


ピピピピ、ピピピピ、ピピピピ……。

佐和子が何かを言おうとするが、キッチンタイマーの音がする。それは、お風呂のお湯を止める合図にしている音だ。

佐和子はお湯を止めに行き、戻ってくる。


『……この後話したいんだけど良い?』

その言葉に俺は佐和子を見る。あれほど話を聞くのを拒否していた佐和子からの申し出に俺は驚く。でも俺は……。


『うん。俺は本当の事しか話さないから。』

『……うん。信じてる……。』


俺は佐和子と話し合いの約束をし、お風呂に入る。

俺が佐和子に言ったのは本心だった。仕事の事は話せないけど不倫などしていない、大切なのは佐和子だけ、今まで放っておいた事を謝りこれからは週一で散歩や買い物に行こうと話すと決めた。


── 俺も変わらないといけないな……。

山口くんと話し、俺は一人じゃないと分かった。藍沢さんも俺を気にかけてくれていた。……二人は以前より陰ながら補助してくれていた……。もっと早く気付くべきだった……。


── 山口くんは勇気出して話してくれた。次は俺が佐和子と向き合って話さないと……。


そう思い、俺はお風呂から上がり佐和子の元に行く。


『佐和子、お先。』

『……あ。』

佐和子がスマホを隠す。その顔は真っ青だった。


『……どうしたの?』

『なんでも……。』

佐和子は俺と目が合わせない。


『大丈夫?顔色良くないけど……。』

俺は佐和子の頬を触ろうとする。冷たくなっているんじゃないかと心配だった。


『大丈夫だから!』

佐和子は俺の手を払い退ける。


『ごめん……。』

── 俺に触られるのが嫌なのか……?


『……何でもないの!今日は寝て!』

『え?でも話し合うと言っていただろう?』


『いいから!』

佐和子はそう言い、脱衣所に行く。


── どうしたんだ急に?

俺は意味が分からなかった……。何をしてしまったのだろう?

俺は仕方がなく寝る事とする。……話し合いがしたかった……、でも仕方がない……。


佐和子が脱衣所に行き時間が経っていた為、歯磨きをしに洗面所に行く。このアパートは洗面所と脱衣所が同じ場所にあった。

『わ!いたの!』

『きゃあ!』

佐和子は険しい表情でスマホを見ていた。


『……本当に大丈夫?』

俺は心配だった。佐和子は今までに見た事ないぐらい険しい表情をしていたからだ。


『いいから、あっち行って。』

『ごめん。』


俺は慌てて離れる。



── 佐和子?どうしたんだ?あんな風に言ってくるの初めてだよな?


それから佐和子は、お風呂から上がってしばらくしても髪を乾かす気配も布団に入って来る事もなかった。いつもは早々に髪を乾かし、寒いからと布団に入って来るのにいつもと違った。

俺は気になったが、佐和子の元に行かなかった。……また、「あっち行って」と言われるのが怖かったからだ……。



その日から、佐和子はよりおかしくなっていった。仕事に帰って来るたびに「今日何か無かった?」とやたら聞いてくる。

「『何か』とは何?」と聞くと「何でもない!」と強く言ってくる。……一体何なんだろう?


そんな事が一週間続いた時に俺は気付く。……佐和子が異常なぐらい痩せている。最近朝食は後で食べると言い、夕方は先に食べていると言っていたけど、本当は食べていないのではないか?

俺は冷蔵庫を開ける。中には食材が半分ぐらい残っていた。

そして次は、佐和子には悪いと思ったけど佐和子の財布を取り出しレシートを見た。最後に買い物に行ったのは10日前、それなのに食材は半分残っている。……俺は一人暮らしの経験から、食材が半分残っているのはおかしいと分かる。

佐和子は食事をしていない……。やっと気付いた。


── どうして食事をしないのか?様子がおかしくなったのはいつか?……話をしようと言ってくれた一週間前から明らかにおかしかった……。

── あの日佐和子はスマホを見て明らかに動揺していた……。まさか……。


兼ねてよりの疑惑が強くなってしまった……。佐和子は ──。


── いやいやいや、むしろ佐和子は俺を疑っていた……。そんな訳!


── 自分に後ろめたい事があるから俺の事も疑っていた……?


俺は佐和子を見る。

佐和子はソファーに座り脱力している。俺がさっきから冷蔵庫を開けたり、佐和子の鞄から財布を出したり、佐和子をこんなに見ているのに全く気付いていない。


── 痩せただけじゃない、無気力になっている。食べていないからだ……。


俺は知っている。人間は必要な栄養を摂らないと無気力になっていく事を……。幼少期からずっとそうだったから……。

── 俺は佐和子がこんな時に何を考えているんだ?とにかく食べさせないと……。話をしないといけない……。


俺は佐和子に話しかける。



『……佐和子……。最近どうしたの?』

『……え?』

佐和子は虚ろな目で俺を見てくる。


『ご飯食べてないよね?』

『違うよ……、圭介が帰って来る前に食べてるの。』


── どうしてこんな嘘吐くんだよ?


『痩せたよ……。それに最近何も話さなくなった。どうしたの?』

『別に……。』

いつもの俺ならとっくに話を止めている。しかしこれだけは譲れなかった。


『最近おかしいよ!どうしたの?話して!俺はどんな話でも受け入れるから!』

俺は佐和子を抱きしめる。


── 本心だった……。佐和子からどんな話が出て来ても俺は受け入れる。だから元の元気な頃に戻って欲しい……。


『……どうして……。どうしてそんな事聞くの?』

『どうしてって佐和子の事が心配だからだよ!』


『どうしてそんな事聞くのか聞いているの。どうして?』

『だって佐和子、最近急に痩せて……!』


『どうして今更気付くの?どうして今更心配するの!気付かないなら、ずっと気付かないでよ!どうして今更……。……あなたが、あなたが私を愛してくれていたらこうならなかったのに!どうして、どうしてよー!!』

佐和子は俺の胸元を何度も叩きただ叫ぶ。佐和子はただ泣いていた。


── そうだ……。そうだよ……。こうなったのは俺が全て悪かったんだ……。


そう思い俺はただ佐和子を強く抱きしめた。

しかし、佐和子は俺から離れた。

『……ごめんなさい……。』


そう言い佐和子はアパートから飛び出してしまった。コートもマフラーも持たずに部屋着のまま雪が降る外に。


『佐和子!』

俺は佐和子を追いかけるが、佐和子の姿は見えない。


いつもなら見失ってしまうが、今日は雪で出来た足跡が残っていた。雪がずっと降っていた事から俺が帰って来た時間帯の足跡は消え、今走って行った佐和子の足跡だけくっきり残っていた。


俺は佐和子を追いかけた。しかし佐和子の足は早く、俺は遅い。自分が情けなくて嫌になる。


── だから佐和子は俺から離れていったのか?


そう思いながら足跡を辿って行くと、駅前に着いた。しかし、やはり駅前は人通りが多く、先程まで歩いていた人もいたのだろう、足跡が複数あり分かれ道も多い。佐和子の足取りが掴めなくなってしまった。……しかし俺は探した。それらしい足跡を追って繁華街を何度も何度も歩き回った。

しかし佐和子は見つからない。当然だ、足跡を追うなんて不確かな事をしているのだから……。

駅に行ったのか?実家に帰る為に?……いや、この時間なら新幹線は動かないし雪で電車が動くかも怪しい……。

アパートに帰ったのかもしれない?一旦帰るべきか?

俺は佐和子の行き先に全く検討がつかなかった。前居なくなった時はどこを探したっけ?そんな事も思い出せなくなっていた。……佐和子と向き合って来なかったからだ……。

そう考えた時に一つの足跡を見つけた。それは行った事のない繁華街を外れた細道。まさかここに?この足跡を追って行った。

しかし途中で大きな足跡が多数あり、小さな足跡がどこに行ったのか分からなくなった。それにこの小さな道はやたら入り組んでいる。迷う前に戻った方が良いと判断した。

俺はまた繁華街に戻り佐和子を探す。暗く寒く雪が降っている、俺はお風呂上がりに長時間居たから体も冷たくなり震え始めた。……しかし、何故か周辺にいるような気がして探していた。すると……。

佐和子が細道から飛び出して来た。

そして俺と目が合うと、慌てて逃げ出した。

佐和子は走りにくそうにしていて俺でも追いつけた。佐和子の手を掴むと、必死に手を引き抜こうとしたけど、さすがに握力では俺の方が強かった。


『ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい圭介!』

佐和子は逃げるのを止め、ただ泣いていた。



『どうしたの?何があったの?話して……。』

『ごめんなさい……。』

佐和子はただ謝るだけだった。


俺は聞きたかった。どこに行っていたのか?何に謝っているのか?……このコートとマフラーは誰の物なのか?

しかし ──。


俺はただ佐和子を強く抱きしめた。

── もう何も言わなくていい、全ては俺のせい、佐和子の過ち全てを受け入れると決めたのだから……。


そして俺は佐和子の手を引いて一緒にアパートに帰った。それ以降、俺が少しでも離れようとすると「見捨てないで」と泣くようになった。

俺に出来る事はただ側にいるだけ……。だから何も聞かず、ただ側に居た。


……そう自身に言い聞かせていた。しかし、どうしても確かめたくなった……。佐和子が着ていたコートとマフラー、佐和子が居た先の細道には何があったのか?確かめようと決めた。

本当は昼に行きたかったけど、昼は浅い眠りで俺が側に居ないと佐和子が泣き叫ぶ。だから夜、しっかり寝てくれるまで家を出る事は出来なかった。

夜になり、佐和子が寝ているのを確認してあのコートとマフラーを持ってあの細道に行った。やはり中は入り組んでおり、昼は雑貨屋やパン屋などが営業していそうだけど、他の店や住宅地は無さそうだった。

入り組んだ道を適当に曲がると先程歩いていた場所に戻ってしまう。まるで迷路のような道を歩き回り、俺は段々怖くなっていった。戻れなくなると感じ、引き返そうとしたときに一つのバーを見つけた。


── こんな所にバー?お客さん来るの?……しかし、オシャレだな……。

あまりにオシャレな外装に佐和子には縁は無いだろうと思いつつ、俺は思い切って扉を開ける。すると……。

内装もオシャレで、テレビでしか見た事のないバーの風景、そしてバーテンダーと呼ばれる人が居た。


『あ、お客様申し訳ありません。本日は臨時休業でして……。』

男性は丁寧に頭を下げ、入店出来ない事を謝罪してきた。


『……え?あれ?すみません!』

俺は謝り出て行く。営業中と勘違いしてしまったと思いながら……。

しかし、看板にはopenと出ており灯りも付いている。そして鍵も開いていた。本当に臨時休業中なのか?……まるで誰かを……。

俺は振り返りバーを見る。そして慌ててその場を離れる。携えていたコートとマフラーが入った袋を強く握りしめながら。


俺の心臓が激しく鼓動を打っていた。

長身の男性だった。自分とは違い、背が高く美形。色気や品位を男性の俺でも感じ取るぐらいに……。


気付けば俺は繁華街横にある公園のベンチに座りコートとマフラーの入った紙袋を抱え込んでいた。

── このコートとマフラー……、あの甘い花の香りがしている……。そして……、あのバーの飾ってある花からその香りは漂っていた……。

── 「バー アネモネ」、アネモネは花の名前……。花があのお店のモチーフだから常に飾ってあるのだろう……。

── あの香り?前にも……。


俺は顔を見上げ、周辺を見る。普段は地域の子供が遊ぶ児童公園、しかしたまに繁華街で催しをしていて佐和子とも ──。

『……あ!』


俺はようやく思い出した……。あの時、バルーンアートを教えてくれた男性だと……。見た目だけじゃなく、佐和子が上手く出来なくても優しく何度も教えてくれた、心までかっこいい人……。


── あんな人、敵うわけないだろう!


俺は慌ててアパートに戻りコートとマフラーの入った袋を押し入れの中にしまった。


……見なくない物に蓋をした……。


俺の心臓はまだ激しく鼓動を打っている。

いつからなんだ?……あの時に出会い、親密になったのか?佐和子が惚れ込んでいるのか?相手も本気なのか?


……とにかく佐和子はあの店に頻回に出入りしている……。佐和子はあのバーの経営者と……。


俺はその事実を受け止めるしかなかった……。



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