[完結] 偽装不倫

野々 さくら

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37話 川口圭介(8)

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支店長代理なんて言ったら「この若さですごい」とか勘違いされるけど、実はまだまだの役席……。俺はこれからも精進していきたいと思いと東京支店に来た。地元が大好きな妻を連れて……。それなのにその支店は……。

 

『こんな数字で良いと思っているのか!』

今日も支店長が行員を叱責している。相手はまだ入社一年目の若手行員、本店で研修を受けて支店で勉強し始めたばかりの22歳。これから仕事を覚えていく段階の新人に何故あそこまで叱責するのか?俺には分からなかった。

別の行員から話を聞くと、支店長は学歴のある人物を嫌い、特に若く容姿の良い男性を嫌うらしい。……ただのやっかみじゃないか……。

本店に相談して指導してもらえないのか聞いたけど、支店長の親とは長年の取引があるらしく上層部は何も言えないらしい。だから皆我慢していたのだと知った……。

俺は背が低く、容姿にも恵まれなかった事から標的にはならなかった。今までのコンプレックスがこんな事で救われるなんて思いもしなかった……。


転勤してきて一ヶ月半。俺は彼が叱責を受ける姿をただ黙って見ていた。あの怒鳴り声を聞くと体が強張り萎縮する。……ただ怖かった……。




『ただいま。』

『おかえりなさい。……どうしたの?』

佐和子が不安そうに聞いて来る。


『なんでもないよ……。』

俺は無理に笑い、佐和子と食事をする。


『明日、繁華街で年始の催しをやるらしいの。一緒に行こう!』

『あ、……うん。』


『だめ?』

『いや、そんな事ないよ!』

俺は無理に食事を食べ切った。


そして次の日、佐和子が行きたいと言っていた繁華街の催しに行った。そこは出店のように路上に出店していて、普段お店で売っているパンや雑貨、スイーツなどの販売。また子供が遊ぶような輪投げ、的当て、バルーンアート、ボール掬いなどが無料で参加出来るようになっていた。


『圭介、圭介……。』

『え?』


『ねえ、どこから行く?』

『……あ、どこでも良いよ。』


『圭介も選んでよ!』

『……じゃあ、バルーンアートかな?』


『うん、行こう!』

俺は、佐和子に手を引かれて付いていく。


そこでは細い風船を上手く捻り、犬や花などの造形物の作り方を教えてくれる催しだった。そこには家族連れや若い女性が多く、みんな楽しんでいた。

『どうぞ。』


背の高い日焼けをした男性が風船を渡してくれ作り方を教えてくれる。俺は作っていくが佐和子は全然出来ず、何度も教えて貰っていた。


── バルーンアートを選んだのは失敗だったかな……?

佐和子は可愛い物が好きだからと思ったけど、不器用だった。

でも何にも一生懸命な佐和子は、何度も男性に教えてもらいながら作っていた。

……俺はその姿に何か分からないけどモヤモヤした。

教える為とはいえ、佐和子の手を触るのを見ていたくなかった……。

早く終われと思ったがなかなか出来ず、時間をかけ、完成した。


『出来た!ありがとうございます!』

『いえいえ、良かったですね。可愛いですよ。』

その教えてくれた男性は、周りの女性達を差し置いて佐和子にばかり教えてくれた。周りの女性達に睨まれていたけど、佐和子も男性も気付いていないようだった……。

その男性を見たら、女性達が夢中になるのも分かるぐらい魅力的な男性だった。背が高くて美形で、男の俺でも色気を感じるぐらいのオーラがあった。

そして花のような甘い香りを漂わせている男性だった……。


『ふうせんー、ふうせんー、可愛いお花ー。』

佐和子は歌を歌いニコニコしている。どうやらあの男性には全く興味がないようだ。


── 佐和子が楽しかったなら良かった……。つまらない嫉妬は……。


パンッ!

破裂音に俺はビクつき、一気に心拍が上昇する感覚を味わう。


── 落ち着け……、今日は土曜日……。仕事は休みだから……。


『うわああああーん。』

目の前の小さな男の子が泣き出す。バルーンアートが割れてしまったようだ。

『だから振り回したらダメって言ったでしょう?』

父親と母親と思われる男性と女性が、バルーンアートを割ってしまった子供に話しかけている。

『だって、だって……。』


── 大変だ。叩かれる……。

俺はその小さな男の子から目が離せなかった。しかし……。

『次は振り回さない?』

『うん……。』


『じゃあ、さっきのお兄さんの所に行って、もう一度作らせて下さいと頼みに行こう。言える?』

『うん!』

そんなやり取りをして、バルーンアートを催している場所に手を繋いで歩いて行く。


── え?叩かないの?

俺は唖然とする。


『可愛いね。』

一部始終を見ていた佐和子も笑っている。


これが普通の認識なんだ。普通は叩かず、次は気を付けるように叱る……。これが本来の躾なのだと思い知った。


『圭介?大丈夫?』

『ううん、何でも……。次行こうか?』

『うん。』

その後も俺達は催しを楽しんだ。




その夜、俺は夢を見た。

目の前に小さな男の子が居て、誰かに怒鳴られ泣いている。俺は目の前に居るのに、何も言わずにただ見ている。

その子が頭を叩かれても、掃除機で叩かれても、俺は何もしない。ただ見ているだけだった。



『うわあ!』

俺は声を出して目を覚ます。夢だと分かり、ただ安堵した。

── 子供の時の夢?……もう終わった事だろう?忘れると決めただろう?


『どうしたの?』

佐和子が俺の声に起きてしまったようだ。


『いや、なんでもないんだ。ごめん、寝よう!』

『そう……?』

俺は布団に包まる。


……過去を断ち切り生きていく。そう決めていたはずなのに、その夢は毎日俺を苦しめた。

それにより夜眠る事が怖くなり、寝不足となっていった……。




そんな日々を過ごし転勤して五ヶ月。春が訪れ一緒にお花見に行ったり散歩に行ったりしても俺の心は晴れず、三ヶ月ぐらい悪夢に魘され、睡眠不足となっていた。

職場の雰囲気は変わらず、新人行員は二年目になり仕事もしっかりしていたが、小さなミスに付け込み叱責している現状だった。……見ていて分かる、彼はもう限界だと……。

俺は何度も間に入ろうとしたが、もし助けたら次は自分……。分かっていたから助ける事が出来ない卑怯な人間だと思い知った。



そんな現状のまま、仕事から帰って来る。突如襲ってくる眠気を必死に堪えて……。


『……ただいま。』

『おかえりなさい。』


── 佐和子が居ると安心するな……。ご飯を食べて今日は早く……。


『今日ね、赤ちゃんが出来やすい日なの!』

『……え?』

俺は思わず声と顔に出してしまう。


佐和子はその表情を感じ取ったのか、一気に表情が暗くなる。

『……だめ?』

『いや、大丈夫だよ!』

『……そう……。』

目を逸らし黙り込んでしまう。


── どうしよう……。今日出来るか?いや、なんとかしないと。

そう思い食事をしっかり摂り、お風呂で眠気を覚まし、眠気覚ましのコーヒーを飲み覚醒を促したつもりだった。しかし……。



『……すけ?圭介……?』


『あ、ごめんなさい!』

俺はハッと目を覚ます。またあの夢に苦しんでいて、思わず叫んでしまった。……そして、目の前には佐和子が居た。

『……うそ……、ご、ごめん!』

『あ、ううん……。ごめん、疲れてるよね……。』

『そんな事ないから……。』

俺はなんとか最後まで出来たが、途中で寝てしまう事は初めてだった。……なんて失礼な事をしてしまったのだろう……。


俺は暗い中ではあるが、佐和子の顔を見る。こんな情けないのが父親になって良いのだろうか?佐和子に触れて良いのだろうか?……俺は軽蔑しているあの男のようになりたくない……。

そう思い眠りにつくと、やはりあの夢で俺はただ傍観していた。

── 叩かれているのは俺で、叩いているのは母さん。じゃあそれを見ているのは……。


『うわあああ!』

俺はまた悪夢から目を覚ます。同時に自身の目も醒めた……。


そう、俺はようやく気付いた。この夢は子供の頃の俺ではない、今現在の俺だと……。嫌がらせを傍観して、見て見ぬフリしている俺自身の夢だった。

── 俺が今している事はあの男と同じ……?


俺は脱力する。……今更あの男の気持ちが分かった……。知りたくなんかなかった……。

俺がこの世で一番軽蔑する男の気持ちなんて……。





でも俺はやっと決意する事が出来た。


『お前なんてもう辞めてしまえ!』

またいつもの叱責の声が響いている。俺は五ヶ月聞いても未だ慣れず、体は震え心拍の向上は抑えられない。……けど向き合うと決めたから……。

俺は二人の元に向かう。


『……もういいじゃないですか。……次から気を付けてくれたら良いから、席に戻って。』

俺は初めて間に入る。


周りは驚き、支店長は俺を睨みつける。

『間違いをしたから叱るのは当然だろ!』

『……まだ二年目ですし、これからですよ。私に指導させて下さい。』

出来るだけ刺激しないように話す。しかし……。

支店長は俺に対して、部下の責任は上司の責任だと叱責してきた。

だから責任持って俺が指導すると言っても、主張を変えない。……俺が次の標的になった瞬間だった。





『おい!なんだこの報告書は?舐めているのか!』

── いつも提出していた報告書と何も変わらない。なのに急に叱責してきた。……見せしめだ……、逆らうとこうなるという……。

『申し訳ありません。書き直して来ます。』

俺はただ頭を下げ、謝り直すしかなかった。


── 矛先は自分に来る……。分かっていたから後悔はしていない。新人の彼をあんな風に叱責しても相手は萎縮するだけ、それが新たなミスに繋がる。彼はその悪循環に苦しんでいた……。それが分かっていたくせに、この支店長はわざとやっていた。彼を退職させたいから……、気に入らない人間を排除したいから……。そんなつまらない事で、一体どれだけの行員が辞めさせられたのだろう?考えたくもない。……俺は絶対辞めない、いちいち間に受けない。「あんたなんて産まなければ良かった」、そう言われた事に比べたらこれぐらいの叱責なんか大した事じゃない。


……そう思っていたけど、取ってつけたかのような事を理由とした毎日の叱責、仕事のミスの捏造、苦労して得た成果を存在していない事にされ、当たり前だけど行員の全ては離れていった。

こうしていく中で、俺の精神は少しずつ削れていった。



転勤から九ヶ月、俺は外が怖くなった。

外に出ただけで、大きな声が聞こえるだけで俺を責めていると錯覚し縮み上がってしまう。

佐和子は東京で楽しく暮らそうと、街や別の街での催しを調べて「連れて行って」と言ってくれたけど、俺は怖かった……。

だから、「ごめん疲れてて行けない、佐和子一人で行って欲しい」と言った。すると佐和子の顔は途端に引きつり嫌だと拒否していた。

何故なんだろう?あれほど行きたがっていたのに、何故一人で行かないのだろう?初めて東京に来てくれた時、バスも電車も好きだと言っていたのに、いつからあんな表情で乗るようになったのだろう?


こうして俺の勝手で週末に出かける事はなくなった。佐和子はそれでも何も言わず、俺を責めなかった。




『ただいま。』

『おかえりなさい。』

俺は佐和子の作ってくれた食事を食べる。さっぱりとした優しい味。家にいる時は穏やかな時間が過ぎていた。


『圭介、今日ね、赤ちゃん出来やすい日なの……。』

『……え!うん……。』

佐和子は俺の煮え切らない態度に、また俺に何か言いたそうな表情をする。


── そうだよな……、こんな態度じゃ嫌だよな……。しっかりしないと……。


だけど俺の体は思う通りにならなかった。


── あれ?いや、今日はしないと……。子供が出来やすい日なんだから……。頼む……、頼む。


しかし俺の気持ちとは裏腹に、体はやはり思う通りにならなかった。


『……ごめん、今日は疲れてて……。』

『ううん、ごめんなさい……。』

佐和子は震えた声でそう言いパジャマを直す。暗くて顔は見えなかったけど、泣いているように見えた。


── 俺はなんなんだ?妻に付いて来てもらって東京まで来たのに仕事が出来ない……、子供も作れない……、その過程までいけない、……そもそも子供が出来ないのは俺のせいじゃないのか?


仕事で上手くいかなければ、それに引っ張られて家庭も上手くいかなくなるという事なのだろうか?佐和子と俺はそれ以降ギクシャクし、あまり話さなくなっていった。



そんな日々が過ぎ、転勤してきて一年になろうとしていた。そしてそれは五回目の結婚記念日であり転勤の際、東京でも仲良く暮らそうと約束をしていた日でもあった。

この一年で少しずつギクシャクしてしまう関係になってしまった。全て俺が悪い。だから関係修復がしたくてこの提案をした。


『結婚記念日にイルミネーションを見に行こう。ここらへんはクリスマスまでらしいけど、夜中の二時までやっているんだって!丁度金曜日だし、夜ゆっくり見て回ろう。』

『え?でも、また……。』


『……あ、あの時は熱出してごめん。でも、もう大丈夫だよ!新婚時代、雪かきいっぱいしてただろう?』

『そっか!』


『いつも我慢させてごめんな。今年は佐和子が行きたがっていた繁華街の洋食屋さんに行こう。』

『良いの?食べられる?』


『うん、ふわふわオムライスというやつ一度食べてみたかったんだ!一緒に食べてくれない?』

『うん!もし、圭介が食べれなくても私が食べる!任せて!』

佐和子は久しぶりに目を輝かせ笑って話す。……ずっと我慢させて来たのだと痛感した……。


── この日は絶対早く帰る。支店長に何を言われても、意味のない残業はしない。

そう決めていた。




『あれ?今日はお出かけですか?』

女性行員が話しかけてくれる。支店長が居ない時は、話しかけてくれていた。

『……分かります?……実は妻と洋食屋さんに……、結婚記念日なんです。』

『そうなんですか?やっぱりいつもと違うと思いました!あそこはふわふわオムライスが美味しいですからね!』


『やっぱりそうなんですね。絶対注文します!楽しみだな。』

軽く話した日常会話。しかし、支店長が偶然聞いていたなんて思わなかった……。




『報告書!今日中な!』

支店長が突然言ってくる。

『……え?いや、別に今日じゃなくても……。来週やります!ですから……!』

『今日中だ!俺の机に置いておけ!』

俺の体はまた震えてしまう。


『……分かり……ました。』

口が勝手にそう言ってしまう。


── 今からこれをまとめようとすると、とても間に合わない……。佐和子との約束が……。でも、これを放って帰ったら……。

俺の背筋が凍る。


仕方がなく俺はスマホのメッセージアプリを開き、残業で外出は出来ないと謝る。

既読になるが、返事は無かった……。


── 怒っていて当然だよな……。

そう思いながらパソコンに向かっていると、先ほど話をしていた女性行員が来てくれた。自分のせいだと謝り、仕事を手伝ってくれた。

……全ての人が俺を見切った訳ではない。そう思うとまだ頑張れる気がした。


結局、仕事は11時までかかり女性行員にお礼を言い走ってアパートに帰った。今からなら洋食屋は無理でもイルミネーションは間に合う。前の時は俺が体調崩したせいでゆっくり見られなかった。だから、今度こそ……。


『ただいま!』

慌てて帰って来たが佐和子は居ない。電気もエアコンも付けっぱなしで出かけるなんて節約を心がけている佐和子にしては不自然だった。

俺は慌てて電話やメッセージアプリに連絡したが、返事は返ってこなかった。

俺は鞄を置いて佐和子を探した。イルミネーションを一人で見ているような気がしたからだった。

しかしそこにはおらず、繁華街や俺の職場の銀行、閉店しているであろう洋食屋にも行ったがやはり佐和子は居なかった。

時刻は二時過ぎ、イルミネーションの灯りも消えていた。もしかしたら帰っているのではないかとアパートに戻って来たら佐和子が居た。……長身の男性と笑って話していた。

咄嗟に隠れてしまい経緯を見ていると、二人は別れ佐和子はアパートに向かい、男性は俺の居る方に歩いて来た。

逃げるのも怪しまれると思い、俺はすれ違うフリをした。街灯の下でのすれ違い、その一瞬で男性の顔を確認した俺は思わず振り返ってしまった。


── 今の人……。マフラーで隠していたけど、殴られたような顔していた……。佐和子も!まさか!


俺は慌てており夜中である事も、近所への迷惑も忘れ、アパートに戻って行った佐和子の元に走る。


『佐和子!大丈夫か!』

佐和子は……ソファで寝ていた。


『……え?あれからすぐ寝たの?嘘だろ?』

俺は唖然としながらも佐和子の顔や体に傷がない事に安堵する。念の為、財布の中も見たが現金はある。佐和子はカードを持たない、だから何も無くなっていないだろう。

どこ行っていたんだと思ったけど、お酒の匂いから飲んで来たと分かった。……お酒弱いのに……。


しかし、佐和子から香る匂いはお酒だけではなく、花のような甘い香りだった。

……俺はこの香りは覚えていたが、誰の香りかは思い出せなかった。ただ、はっきり分かっている事はある。

先程すれ違った男性……、あの人と同じ香りだった……。



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