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33話 川口圭介(4)
しおりを挟む『魅力……?何の話?』
『……私の事……、どう思う……?』
暗くて分かりにくいけど、佐和子は泣きそうな表情をしているように見えた。
『え……、え……?どうしたの?』
『私の事、どう思うか……、教えて欲しいの……。』
── どう思う?なんて答えて良いのかがやはり分からない……。佐和子ちゃんは可愛いと思う……。思った事を言おう……。
『佐和子ちゃんはかわ……。かわ……。あ、えーと、か、川口です!』
『え?』
佐和子は唖然としているだろう。顔は見えなくても分かった。
── 何自己紹介しているんだー!女の子に可愛いも言えないのかー!
『あ、ごめん、おかしな事聞いて……。おやすみ。』
佐和子は俺に背を向ける。
── 絶対変だと思われた……、恥ずかしいー!
……当時の俺は付き合うの意味を分かってなかった……。女性を部屋に泊める意味を……。
『ゴホッ、ゴホッ……。はぁ、はぁ……。』
『大丈夫?』
『ごめん、風邪だから……。』
俺は昨日は一旦落ち着いていたけど、やはり風邪を引いていた……。夜中に悪寒がし、咳が止まらなくなった。
『昨日長居したせいだよね……?ごめんなさい……。』
『違うよ、俺が弱いから……。うつったらごめん。』
熱は38.9℃、いつもの事だ。寝てれば治る、寝ていれば……。
『風邪薬は?』
『……ないよ……、すぐ治るから……。』
『え!そんな39℃近いのに!……病院に行こう!』
『……え!い、いいよ!寝てたら治るし……。』
── 病院なんて行ったらお金が……。
佐和子は、夜中から熱を出した俺の看病を必死にしてくれた。薬局が開く時間になると薬を買って来てくれ飲ませてくれた。果物に清涼飲料水、ゼリーにプリン、治った時に食べるチョコまで買って来てくれた。
そして昼にはお粥を作って食べさせてくれた。
……俺は風邪を引いた時看病なんかしてもらっていたのだろうか?また熱を出したと怒られてばかりだった。お粥なんて物心ついて初めてだった……。
俺は泣きたい感情を抑え、ただ感謝の言葉だけ伝えた。
時刻は夕方になる。いつもなら佐和子を送り出す時間だ。
『佐和子ちゃん、ごめんね。帰って……。』
『でも……。』
『もう微熱だよ。佐和子ちゃんのおかげ。』
『……そんな。』
『明日から仕事だよね?ごめんね、迷惑かけて。あとは寝てたら治るから……。』
『……あ、うん。』
佐和子は帰る準備を始める。……本当は一緒に居て欲しい……。でもこれ以上は迷惑はかけられなかった……。
佐和子の準備が終わりそうなぐらいに俺も立ち上がる。少しふらつくけど大丈夫だ。脱衣室に向かう。
『どうしたの?』
『着替えだよ、送るから。』
『ええ!まだ熱あるのに!いい!帰れるから!』
佐和子は慌てて俺を寝かしてくれる。
『え?大丈夫?』
『うん、いつも来てるんだから!……大丈夫!』
『ごめん……。』
『じゃあゆっくり休んで……。』
そう言い佐和子は帰って行く。その姿を見て俺は思う……。
── 情けない……、こんな事で風邪引くなんて……。幼少期に食べなかったから……、いや違う今も食べれないから……。
また俺は泣いてしまう。……情けなくて……。経済力もない、体も弱い、彼女のような明るさも器量の良さもない。
── せめて、負担にならないようにしないと……。
そう思った俺は、次会った時に話すと決めた。
その一ヶ月後、また佐和子は来てくれアパートで共に時間を過ごした。
『本当に華やかだね。』
『恥ずかしいよ、もうこれぐらいで……。』
そう言い、佐和子は俺からデジカメを取り上げる。
前回会った時、成人式の直後だった。佐和子が振袖を着たと聞いたから写真が見たいと頼み持って来てもらった。
写真には赤とピンクで彩られた美しい振袖に、しっかりセットされた髪、佐和子の可愛らしい雰囲気に合わせており可愛かった。
……直に見たかったぐらいに……。
『圭介くん、来れなくて残念だったな……。小林くんも寂しがっていたよ。』
『あ……、裕太から帰ってくるようにメールもらってたな……。バイトで……、残念だったんだけど……。』
── 嘘だ。本当は帰省のお金がなかったからだ……。
『あ、そろそろ送るよ。』
『……あ、ありがとう。』
東京駅まで送る電車の中、佐和子は様子がおかしかった。やたら顔色が悪く、呼吸が速く、周りを見渡し、落ち着きがなかった。……行きも同じだった……。
『どうしたの?大丈夫?具合悪いの?』
『……うん。大丈夫だから……。』
佐和子は俺の手を強く握ってくるが、その手は氷のように冷たく震えていた。
何かあったのか聞いても、「何でもない」とかしか言わなかった……。
こうして東京駅に着き電車を降りる。新幹線乗り場に着いた時には佐和子の様子はもと通りになっていた。
『じゃあ、また一ヶ月後の春休みぐらいに来て良い?』
佐和子はいつもの笑顔で聞いてくる。
……しかし、俺は決めていた事を話す。
『……次からは三ヶ月に一度にしよう……。』
『え?』
佐和子の顔から笑顔が消える。
『あ、ごめん……。新幹線代高いよね?』
『私は気にしないよ!』
『……とにかく三ヶ月に一度にしよう……。』
『……うん。ごめんね……。』
そう言い佐和子は帰って行く。
── 取り消したい……、今なら間に合う……。
分かっていたが、俺は佐和子を追いかけず見送る。
……ただ、情けなかったからだ……。
こうして佐和子は帰って行き、春を迎え大学三年になった。
『圭介、お前付き合っている彼女居るんだって?全然知らなかったけど!』
大学の友人が話しかけてきた。
── 付き合っているのか?
俺には正直分からない。
『……いや、高校の頃からの……。』
── なんなんだ?
『違うのかよ?……渚が泣いてたぞ。振ったらしいじゃないか?勿体無い!』
『え!……俺何かしたっけ?』
『家に行きたいって言われていただろう?それからも何度も遊びに行こうって言われてたらしいし!』
『……バイトが忙しかったから……。ごめん、清水さんに謝っておいてくれる?』
『……付き合う気はないのか?』
『うん……。』
『その高校の彼女とはどこまでいってるんだよ?』
『えーと、確か東京の観光地まで行ったよ。』
『……ぷっ、何だよこの古典的なギャグは!』
『え?』
友人が何故笑うのか意味がよく分からなかった。
俺は佐和子の事を聞かれると答えられなくなる。一体なんなのだろう?分からなかった……。
こうして大学三年の秋になった。佐和子に会ったのは五月と八月、次は少し空いて年末と決めている。
大学三年の秋は就活の時期、俺はバイトを減らし就活に励んだ。少しでも高収入の仕事がしたい。……就きたい勉強が出来なかった俺にはそれしかなかった。
ただ、バイトを減らすと当たり前だけど生活がキツくなった。でも家にお金を送らないと母さんが外で借金を作るかもしれない……。
それだけは止めて欲しい……、だから仕送りをするしかなかった……。
そんな夜、母さんから電話がかかってきた。
『いつになったら公認会計士の資格を取るの!あんた大学三年なのよ!』
『……無理だよ。今就活と大学で忙しいし、単位落としたら奨学金が打ち切り……。』
『あんたの父さんは出来ていた!だからあんたも……!』
『……電話代かかるから切るよ……。』
俺は電話を切り話を切り上げる。
『優秀な父さんと一緒にしないでよ……。俺はあの人の事……。』
── やめよう、亡くなった人を悪く言うのは……。
俺はやるせない気持ちをただ溜め込むしかなかった。
……親の悪口を言ってはいけない……、嫌ってはいけない……、あなたを産んでくれた親なのだから……。
そんな世間の常識を知っていた俺はどれほど理不尽な扱いをされても何も言わなかった……。
しかし、それを打ち崩してくれる日が来た。
『圭介も遊びにいかね?』
よく誘ってくれる友人に遊びに行かないか誘われた。二十歳を超えてからよく飲み会に誘われるようになった。
『ごめんバイトなんだ。』
『……前から思っていたんだけどよ、お前特待生だよな?学費免除だろ?どんだけバイトしてるんだよ?』
『いや、生活費がね……。』
俺は思わず苦笑いする。
『学費ないなら、バイト一つで充分だろ?仕送りもあるし!』
『いやいや、仕送りの為にむしろ働かないと。お金ないし……。』
『はあ?お前が親に仕送りしているのかよ!いくら?』
俺は軽い気持ちで金銭を話す。
『はぁー!それ生活出来るのか?』
『え?でもみんなそうだよね?どうやってやりくりしているの?』
友人は俺を見てくるだけで返事をしてくれない。
『……特待生って成績も良くないとだめだよな?』
『うん、当然だけど一定ラインにいかないと打ち切りだよ。そしたら大学辞めないといけないから必死かな。』
『……お前の母さん、その状況知ってるよな?』
『うん。』
友人は俺を人が居ない外に連れて行く。
『……なあ、前から思っていたんだけどよ、それって毒親じゃないか?』
『毒?親?何それ?』
以前より俺が、世間からズレた話をする姿に違和感を持っていた友人は、俺の「家でテレビを見た事がない」、「学食がくどくて食べられない」、「異常なまでに自己評価が低い」ところを見て心配してくれていたらしい。そして今回のお金の話……。確信したと言っていた……。
友人の勧めで大学の図書館でそれらしき本を探した。すると聞き覚えのある名前に気付いた。
── この先生、あの時の!
小学生の時にお世話になったお医者さんだった。
……その本を読んだら、まさに自分の親の事を指したかのような事が書いてあった。
『食事の制限により、成長期に必要な栄養を与えない。テレビ、漫画などの娯楽を全て取り上げる。成績が思う通りでないと異常に叱責する。子供が思い通りに動かない、口答えすると暴力を振るう。子供の稼いだ金銭を当たり前のように搾取してくる。』
『子供を自分の所有物のように支配、管理する親。子供の毒になる親を俗に毒親と呼ばれる。』
……そう書いてあった……。
── 今まで感じて来た違和感はやはり間違えていなかった……。俺の親は毒親だったんだ……。
そう気付いた俺は全ての力が抜けた。そして……。
『銀行に就職!』
『うん、硬い仕事だし安定してると思うよ。』
『お母さんは公認会計士と言ったでしょう!』
『バイトしながら資格の勉強なんてやっぱり無理だったよ……。大学の単位だってあるんだよ?』
『うるさい!あんたは大体!』
ピッ。
俺は電話を切る。
── まともに受け取らない……、それが自分を守る方法だ。
そして俺は地元にはもう帰らない。……一緒になんて絶対暮らさない……。
俺は進路を決める時、母さんに借金がある事も仕送りが必要な事も分かった上で上京を決めていた。金銭的には同居の方が明らかに負担が少ないと分かっていたくせに……。
そう、俺は母さんから逃げ出した……。
[……もし、お母さんが変わらなかったり、お母さんに不信感が出たら離れた方が良いからね。今は無理でも、大人になったら離れられるから。自分の力で離れなさい。]
その言葉に従ったからだ。
── 先生……、ありがとうございます……。俺が生きていられるのは先生のおかげです……。
今も一緒に暮らしていたらどうなっていたのか?考えただけで、背筋が凍った。
『……え?東京で働くの?』
佐和子が悲しい眼差しで見てくる。
『……うん、ごめんね。地元で希望出したんだけど、三年は東京本店や支店で研修らしくて……。俺、そこ見逃してて……。』
── 嘘だ……、本当は全て分かって採用試験を受けていた……。俺は佐和子ちゃんと一緒に居るより、母さんから逃げたかった……。
こうして銀行に就職した俺は必死に仕事を覚えて働いた。そして生活は信じられないぐらいに安定した。勿論仕送りはあるけど、給料も賞与もあり大学とバイトの掛け持ちをしていた頃に比べて劇的に変わった。
一番の違いは賞与でテレビを買った事と、仕事の連絡とかの関係で携帯をスマホに変えた事。
自分だけのテレビは嬉しく、初めは長時間見過ぎて気持ち悪くなったけど、加減を知れば楽しめた。初めて好きな物が見られた。
勿論仕事は覚える事が多く大変だったけど、帰って来て勉強はしなくて良い……、バイトに行かなくて良い……、土日はゆっくり寝られる。それってこんなに幸せな事だったと初めて知った。
そして、この空いた土日を一般常識を知る為の日として俺はテレビやネット、本、漫画など色々な媒体から学んだ。
……そして俺は知った……。俺は本当に勉強以外何も知らなかったのだと……。
一番驚いたのは「付き合う」の意味だった。……今の佐和子と俺との関係は、世間では中学生以下の付き合いぐらいだと言われていると知った。
『私の事好き?』
『……私ってそんなに……魅力ない?』
その意味に気付いた時、俺は青ざめた。
── 俺は四年も何やってたんだ……。
しかし、佐和子はそれでも三ヶ月に一度来てくれた。
『……あ、テレビ買ったんだ。』
『うん……。』
── 俺の事どう思ってるんだろう……。世間を知って、俺の生活は相当困窮していたとようやく気付いた。……佐和子ちゃん引いていただろうな……。
『何見るの?』
『あ、ニュース……かな?』
『すごい!圭介くん!私なんか日常アニメしかみないよ!』
『いや……はは……。』
── 言えない……、今更仮面ヒーロー見てるなんて……。
俺は幼少期に見せてもらえなかった反動なのか、幼児アニメや教育番組ばかり見ていた……。見たくて仕方がなかった。
『佐和子ちゃんこれ。今までごめんね。』
俺は佐和子に封筒を渡す。
『え?』
『新幹線代。これからは払わせて。』
『え?え!そんないいよ!』
『お願い受け取って。だからこれから……。』
俺は黙り込んでしまう。自分が良くなったから、また月一にしたい?……なんて身勝手なんだろう……。
『……あ、とにかくこれからは払わせて。やっと余裕出て来たから。』
『……そんな……。』
佐和子は戸惑っていた。
その後の話し合いで、お互い片道ずつ払うと決めた。良かった、やっと少しは佐和子の負担を減らせたと安堵した。
そして……。
『あ、おやすみ。』
『うん、おやすみ。』
一つの布団で一緒に寝る。これだけは変わらなかった。佐和子はあれ以降、何も言ってこない。
だけど変わらず来てくれる。何故俺なんかと一緒にいてくれるのだろう?
……俺は佐和子に手を伸ばす。
『ひゃあ!な、なに?』
『あ、ご、ごめん!伸びをして当たっちゃって!』
『……ごめん。寝ぼけて変な声出ちゃた……。』
『ううん、ごめんね。おやすみ!』
── 何やってるんだ俺!これはただの痴漢だー!
── どうしたら良いんだ?どうやったら距離を縮められるんだ?
俺は一人、物思いに耽る。佐和子が居るとすぐ寝てしまうのに、眠れなくなってしまった……。
そんな関係が三年続き、25歳の時に転勤の辞令が出た。今度は東京よりは遠くなかったけど、地元から新幹線で三時間半の距離だった。
でも、佐和子は変わらず三ヶ月に一度会いに来てくれた。女性の20代……、この先の未来を考えるなら大事な時期だというのは俺も分かっていたくせに……。
でも臆病な俺はこの先の事を話し合わずに、ただ彼女に甘えていた。
そして27歳、二度目の転勤を告げられた。場所は地元から飛行機での移動となる距離だった。
── さすがにもう来てくれない……。無理だと分かった。だから……。
『……佐和子ちゃん……、また転勤の辞令が出たんだ。次は……。』
佐和子は場所を聞いて固まる。軽く遊びに行ける距離ではなかったからだろう。
── 分かってる……、佐和子ちゃんは別れを切り出すだろう……。こんなはっきりしない俺となんか……。
だけど佐和子は思いもしない事を話す。
『……圭介くん……。私と結婚してくれない……?』
『……え!!』
俺は驚き佐和子を見る。
── 結婚?俺なんかと……?母さんの事死んだと言ってる俺と?実は給料を少なめに話していて、仕送り額減らしているこんな卑劣な俺と……。
── だめだ!断らないと!彼女に俺は相応しくない……。断らないと……。
だけど出てきた言葉は……。
『うん。』
だった。
『本当に良いの!』
佐和子も驚いた表情で聞いてくる。
── あ、うんじゃない!断らないと……。……でも一緒にいたい……。
次の瞬間、佐和子は俺にキスをしてくる。
付き合って九年……、初めてだった。
『あ、ああ、あああ……。』
俺はただ情けない声を出す。これほど顔も体も熱く、心臓が激しく鼓動を打つのは初めてだった。
佐和子を見ると両手で口を覆い、俺を見ていた。頬も耳も紅潮していて、目が潤んでいて、ただその姿が可愛くて……。
『あ……、佐和子ちゃん!』
俺は佐和子を強く抱きしめた。そして……。
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