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8話 偽装のデート(1)
しおりを挟む7話8話 変身2
髪型を変えても何も言わない夫に、次は部屋を彩って非日常を演出しようとマスターが提案する。しかし、イメージが湧かない佐和子はSNSで参考になる写真を探す。
検索をするがなかなか上手く出来ず、なんとなくマスターのバーを検索してみる。バーの公式ではないが、来客した客の写真が投稿されている。
一見するとただのオシャレな写真だが、佐和子の後ろ姿を盗撮したと思われる写真が見つかる。そこには『いつもマスターに絡む、ウザいおばさん。何もかもダサい!店の品位が下がる!もう店くるな!』と書かれてあった。
写真はもう一枚見つかり、こないだマスターと会った後、帰る姿を後ろから盗撮されていたものだった。そこには『おばさんのくせに若作り。痛すぎw』と書かれており、どちらの投稿にも佐和子を誹謗中傷するコメントが多数あった。
おそらくマスターとファンの常連の書き込みだと思われるが、佐和子はここまで自分は嫌われていたのだと知る。消して欲しいとコメントを送るが返事は来ず、写真も消されなかった。
今の段階ではどうにもならないと悟った佐和子は、マスターから教えてもらった、キャンドルやアロマオイルなどで非日常を演じる為に買い物をし、その日の夜に行う。
しかし圭介は、佐和子がろうそくを持っていると思い、「電気を止められた」「防災訓練」と勘違いする。挙句、暗い部屋での食事に寝てしまい作戦は失敗してしまう。
次の作戦は夫が休みの土曜日の夜、キャンドル、アロマオイルの香り、お酒により夫を酔わす作戦だった。
しかし佐和子はお酒に弱く、佐和子の方が酔ってしまう。作戦失敗と思われたが、佐和子は日頃の淋しさを上手く話せ夫もそれを受け入れ良い雰囲気になる。
そんな時、夫のスマホに着信が鳴る。話をし、仕事だから行かないといけないと話す。夫は銀行員、土曜日に呼び出しなんておかしく、普段から帰りが遅すぎる事から佐和子は以前より不倫を疑っており夫に問い詰める。
夫は否定するが結局仕事だと言い出て行ってしまう。佐和子は一人で居るのが辛くマスターのバーに行こうとするが、SNSの誹謗中傷を思い出し一人涙を流す。
登場人物
川口佐和子
専業主婦の33歳。構ってくれない夫に不満を持っている。夫の気を引く為に偽装不倫を企てる。
おしゃべりで陽気な性格。酒に弱いくせに、酒癖は悪く飲むとマスターに絡む癖がある。
かなり鈍感な性格。
実は料理や掃除は上手い。
川口圭介
佐和子と同じ33歳。銀行勤務で支店長代理の役席。気が弱く優しい性格。佐和子が愛を求め、それに上手く応えられない。
佐和子以上に鈍感。佐和子のあからさまな態度にも気付いていない。
酔って絡んでくる佐和子に優しく笑って対応している。
マスター(川越大輔)35歳
佐和子行きつけのバーのマスター。当て付け不倫ではなく、偽装不倫をしたら良いと提案する。
なかなかの美形であり、見つめられると落ちてしまう女性が多い。
佐和子に意味深な態度を取っている。
関係
圭介と佐和子
同じ地方出身で同じ高校の同級生。遠距離恋愛9年で結婚。遠恋に耐えられなかった佐和子が圭介に着いていくから結婚したいと言った経緯があった。佐和子いわく、圭介はあまり喜んでいなかったらしい。
実は最近、佐和子は圭介の不倫を疑っていた。
佐和子とマスター
実は佐和子のバーでの飲み代を半額にしており、通常バーではかかる席料も取っていない。客贔屓だと言われない為に二人だけの秘密にしている。
───────────────────────
8話 偽装のデート(1)
……私は優しいあなたの笑顔が大好きだった。
高校に入学し、あなたと出会った。そうは言っても勉強出来ない私は普通クラス、あなたは名門県立大学を目指す特進クラスだった。
あなたとの出会いは1年生の時の文化祭。私が落とした携帯ストラップを拾って届けてくれた事がきっかけだった。あなたにとっては日常の一つでも私にとっては違った。あの日からずっとあなたの優しい笑顔が忘れられなかった。初恋であり、一目惚れだった。
そうは言っても別のクラスで学力も違う自分がアプローチなんて出来ず、口実を作って特進クラスを通りかかる時にあなたの顔を見るぐらいだった。友達は茶化さずに応援してくれた。おかげで話しかける機会を作ってもらい友達になれた、メルアド交換も出来た。
つまらない話にいつもあなたは返事を返してくれた。余計に好きになった。あなたに釣り合う女性になる為に必死に勉強した。特進クラスに入れるようにテストも頑張った。……でも、私はやっぱり勉強が出来ない。特進クラスなんて足元にも及ばなかった……。あなたは優しく勉強を教えてくれていたのにごめんね。
高3の冬、あなたが東京の名門県立大学に受験すると聞いて驚いた。当然ながら、私なんかには全く縁のない世界。
私はバイト先のスーパーの店長に、高校卒業後は正社員として働かないか声をかけてもらっていた。仕事も職場の人も好きだった私は、その話を喜んで受け入れ四月から正社員として働くと決めていた。
こうして住む世界が違う私達は卒業したら別々の人生を歩んでいく所だった……。
友達に言われた……、「卒業式の後告白しちゃえ」と。無理だと思った。でもこのままでは離れ離れになる。東京に行けば私の事なんて忘れる。メールも返してくれなくなるだろう。それだけは嫌だった……。
卒業式の後、勇気を出して告白した。あなたは意味が分かっていないようで、「俺も好き」だと笑って話してくれた。付き合って欲しいと頼むと、ただ驚き唖然としていた。
鈍感な人、周りの男友達もみんな気付いていたのにあなただけ気付いていなかった。
「うん。」と返事をしてくれ笑ってくれた。凄く嬉しかった、玉砕覚悟だったから……。でも、それと同時に遠距離恋愛が始まった……。
一 現在 一
あの日から十日が経った。佐和子は湯冷めした状態で雪の降る街を歩き回り、案の定風邪を引いてしまった。三日寝込んだ佐和子だったが、やっと良くなりいつも通り家事をしていた。あの盗撮写真のSNSアカウント主とも連絡が取れず、またこれ以上の佐和子の写真や悪口などが投稿される事もなく、一応は安心出来る状態だった。あれ以降、バーに行かなかったのが功を奏しただけかもしれないが、これ以上の事が起こらないようにただ祈る事しか出来なかった。
佐和子の体調は戻ったが、二人の関係は戻らずギクシャクしている。食事の時も、休みの日も会話はなく過ごしている。圭介が話しかけようとしているが、佐和子がそれを聞こうとしない。
……怖いのだ、圭介の下手な嘘で不倫を確信する事が……。
佐和子は家事を終わらせソファーに横になる。これからどうするべきなのか?不倫を問い詰めるべきなのか?このまま日常に戻すべきなのか?世間体の結婚だと認めて開き直って生活するべきか?……離婚するべきか……?頭の中が色々な思考でぐちゃぐちゃになる。
ピコン……。メッセージアプリが通知音を出す。佐和子はどうせ何かのキャンペーンだと思い軽く見る。しかし、そこには……。
『明日デートをしよう。』
……と書いてある。
「圭介!」
佐和子は、今の悩みが一気に吹っ飛び「もちろん!どこ行く?何する?」とハート多数打ち込み返事を返す。初めて「今日は仕事で遅くなる」とか、「夕食いらない」とかの業務連絡ではなくデートの誘いだった事から、不倫疑惑よりデートの誘いに舞い上がっていた。それぐらい圭介からの誘いは嬉しかった。
ピコン。
すぐ返事が返ってきて、『佐和子ちゃんを連れて行きたい所がある。明日はエスコートするよ』とハート付きで打ち込まれる。
佐和子はその文章に違和感を感じる。圭介は絶対ハートなんて付けない……。佐和子ちゃんなんて呼ばない……。エスコートなんて言葉使わないし、出来ない……。大体明日も平日、圭介は仕事だ。恐る恐る差出人の名前を見るとマスターだった……。
「間違えたー!!!」
佐和子は思わず絶叫し、モンクの叫びのような手振りと表情をする。『川口圭介』と『川越大輔』、確かに何となく似ていない事もないが、あまり間違えないだろう。それぐらい佐和子は舞い上がってしまい、注意力が欠如していた。
佐和子は慌てて夫と間違えたと送り返し謝る。
ピコン。
しばらくし返事が来る。
『分かってるよ。じゃあ改めて明日デートをしよう。』
そうメッセージには書かれている。
「……え?デート……。でも……。」
佐和子は考え込み返事が出来ない。すると…。
『ごめん、訂正するよ。旦那さんの気を引く手伝いをさせてよ。』
マスターからメッセージが来る。佐和子の考えを見透かしたかのように……。
『もういいの。協力してくれてありがとう。』
佐和子は送る。
ピコン。すぐ返事が返ってくる。
『どうしたの?少し疲れた?話し聞くよ。』
マスターからの優しいメッセージが返ってくる。佐和子は悩む。圭介の不倫をずっと疑っており、疑惑が確信になるかもしれない事を。……しかし。
『うん、ちょっと疲れちゃって。気遣いありがとう、マスター。』
佐和子は打ち込む。相談する気はないようだ。
『そう?じゃあ気分転換に出かけよう。』
マスターから、また誘いのメッセージがくる。『偽装不倫』はしばらくしないのに……。
「……え?でも……。」
佐和子は考え込む。前みたいにバーの掃除を手伝うのとは訳が違う。一緒に出かける……、本当に良いのかを考える。佐和子は圭介以外と付き合った事がなく、異性と二人で出かける事なんて今までなかったのだ。だからこそ、しっかり考えている。
しばらくし佐和子が打ち込んだ返事は……。
『うん、どこに行く?』
だった……。いつもなら絶対断っている。しかも今は、SNSの盗撮写真の事もありマスターと二人で歩くなんて危険過ぎる。当然分かっていたが、今日の佐和子の精神状況は穏やかではなく、圭介が他の女性となら……という考えがシラフの佐和子の判断を鈍らせていた。
ピコン。すぐ返事が来る。
「もう場所は考えてあるよ。明日11時に駅に来てくれる?」
指定された駅は佐和子のアパートから電車を乗り継ぎ30分ぐらいで着ける場所であり、気軽に行ける場所だった。だが、佐和子はそのメッセージに固まる。現地集合の理由は分かる。しかし……。
しばらく考え、「あるアプリ」をインストールする。アプリで調べていくうちに何とかなると自身に言い聞かせる。
「了解」と返事を返す。
一 次の日 一
圭介を仕事に送り出した佐和子は鏡に向かい化粧を始める。
……30過ぎた頃から、ほうれん線やシミが気になるようになった。しかし化粧水や乳液、美容液などにお金をかけられない為、今まで通りの安い物を使っている。それは化粧品も同様で安いファンデーションで必死にほうれん線とシミを隠し、ピンクのチークと口紅で血色の良さを出す。
「化粧が濃い」
分かっているが、ファンデーション厚く塗らないと消えないのだ。佐和子は完成した化粧に溜息を吐く。
次に着替えをする。マスターが指定した駅からショッピングモールに行くのだと推測し服を選ぶ。しかし結婚してから引っ越しの邪魔になる為、服はほとんど買っておらず独身の時の20代の若々しい服と、30代過ぎてから買った地味な数枚しか持っていない。若々しい服と、地味な服。……佐和子は地味な服を選ぶ。
薄いジャンパーに、その中は紺のセーター、下はスカートではなくストレートタイプのジーパンにしており、全体的にカジュアルな服装だ。
時刻はまだ9時前、約束は11時で徒歩で駅まで10分ぐらいで着く事から10時に出ても早いぐらいだ。しかし佐和子は心拍数の向上が抑えられずアパートを後にする。
佐和子達が住んでいるアパートは住宅街にあり、単身者向けより夫婦や子供がいる家庭が住んでいるファミリー向けだ。徒歩10分で駅があり、駅前には繁華街があり生活に困る事はない。その繁華街の一角にマスターのバーがある。
佐和子は駅に向う為に住宅街を抜けようと歩く。すると目の前に幼稚園の制服と思われる可愛い服を着た園児達と、親と思われる大人が多数歩いている。中には園児の弟や妹と思われる、乳児や入園前の幼児もベビーカーや抱っこ紐で共に連れている。
(……あ、早かった!)
佐和子は目を逸らすが、乳児達が視界に入る。ただ足早にその場を去って行く。
アパートの近くには昔からの保育園や幼稚園が設立されており、朝早くから子供を保育園に送って行く親子が見られ、8時半から9時過ぎまでは幼稚園の送迎の親子を多数見かける時間なのだ。
佐和子はその事を分かっており、幼稚園送迎の時間は出歩かないように気を付けていた。しかし、今日は別の懸念があり、その事を忘れてしまっていた。
……当然だが園児も兄弟も母親達も何も悪くない。ただ佐和子が辛いだけなのだ。
駅に着き、佐和子はスマホの乗り換えアプリを出す。昨日再三見たが、確認を怠らない。目的の駅に行く為には一つ乗り換えが必要で、佐和子は何度もホームの番号と液晶パネル、アナウンスを確認し電車に乗り込む。電車に乗った後も佐和子は落ち着きなくアプリや電車内の液晶パネルをじっと見ている。
そうしている間に乗り換えの駅に着き慌てて降りる。佐和子の心拍数は変わらず向上し呼吸も早い。乗り換えアプリを見て次のホームの場所を見る。大丈夫、自分に言い聞かせてホームに歩いて行く。しかしそのホームに来た途端、佐和子の顔は青ざめ呼吸が早くなる。
佐和子は昔の記憶が蘇る。
『……あれ?』
20歳の頃の佐和子が駅のホームに立たずんでいる。
『ここ……、どこ?』
現在の佐和子は過去の佐和子と同じ表情をしている。
「……あ。」
佐和子はベンチに座り込む。ガタガタと震え、呼吸が乱れる。
(……助けて……、圭介!圭介!)
(……だめ、自分で何とかしないと……。)
(誰か……、誰か……。助けて……、息が……。)
佐和子はただ俯き震えている。周りに乗客は多数おり、駅員も居る。助けを求めれば良いのに佐和子は声が出ない。周りからしても、佐和子はベンチに座っている為、具合が悪いと誰も気付かなかった……。
……どれほどの時間が経ったのだろう?佐和子の体は冷え切っていた。季節は冬、寒空の下一人座り込んでいたのだ。
ピコン……、スマホが鳴る。
佐和子は震える手でスマホを覗き込む。
『佐和子ちゃんどこに居る?』
マスターからのメッセージだった。佐和子は気付かなかったが座り込み1時間半以上経っていた。
「……あ、……あ。」
佐和子はメッセージを打ち込もうとするが手が震え上手く打ち込めない。
ブー、ブー、ブー。マスターから電話がかかってくる。
佐和子は震える手で応対ボタンを押すが声が出ない。
『佐和子ちゃん、今どこに居る?俺は東口に居るんだけど……。』
「……ごめんなさい……。」
佐和子は震えた声で話す。
『佐和子ちゃん?』
「今日……、行けない……。」
佐和子は今困った状況になっている事を話せない。
『どうしたの?』
「ごめんなさい!」
佐和子は電話を切ろうとする。
『待って!今どこに居るの?困っているんじゃないの?』
「……大丈夫だよ……。」
『大丈夫じゃない!すぐ行くから!どこに居るの!』
「駅のホーム……、ごめんなさい……、ごめんなさい!」
『分かった!すぐ行くから!待って!』
マスターはギリギリまで電話を繋いだままにして話を聞こうとする。しかし佐和子は何も言えず黙っている。
『今から電車に乗るから切るね。すぐ着くから!』
マスターは電車に乗る為電話を切る。佐和子はその間も震えている。その間、マスターはメッセージを送るが佐和子は返信出来ない。
「佐和子ちゃん!」
マスターが佐和子の前に現れる。周辺を走り回り探してくれたのだろう、息が切れていた。佐和子は変わらずベンチに座っており立ち上がれない。
「冷た!いつから居たの!とにかく待合室に行こう!あそこなら暖かいから!」
マスターは佐和子の手を引くが佐和子は首を横に振る。動けないようだ。
「具合悪いの?」
佐和子は首を横に振る。
「温かい飲み物買ってくるよ。落ち着いた方が良い。」
「……い、行かないで……。」
佐和子はマスターの腕の部分をか弱く掴む。
その姿にマスターは自身のコートを脱ぎ佐和子にかける。そして大丈夫だと話し、佐和子の冷え切った手を優しく握る。
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