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15話 守
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今日から守はヒーロー慈善活動に加わった。しかも一番で出席だ。守はグリーンの子ども用作業着が余っていたのでそれを着た。グリーンはおじさんの色だったが、おじさんはおじさんで考えているらしい。
守は始めから飛ばした。ヒーローへの思いは強いらしい。そして、案の定、腰痛を訴えた。
「気持ちはわかるけど、今日は一生懸命やり過ぎたね。初めはゆっくりでいいよ。そして慣れるしかない。皆そうさ」
健が言った。
「はい先輩」
「先輩なんてよせよ。同級生じゃないか。真面目なんだね。もっと気楽に行こうよ」
「でもヒーローの先輩だから」
「固い固い。気楽に気楽に」
「そうですかそれじゃあ健君」
「それでも固いくらいさ。呼び捨てでいいよ」
「悟君、僕を仲間にしてくれてありがとう」
「いいって事よ」
「吉郎君ありがとうございます」
「あはは。こいつにだけは敬語は使わないでいいよ。昨日だって食い過ぎで腹壊したんだぜ」
悟が言った。
「人の不幸を笑うな」
吉郎が言った。
「あとは恵さんよろしくお願いします。我が隊唯一の女の子ですね。先代ヒーローの血を受け継ぐ。正統派ヒーローだとか。先代がいるんですねあってみたいな」
「そのうち会えるさ」
健が言った。
「その先代が、わざわざグリーンの席を開けてくれたんだとか、感謝しています。本当にあの五色なんですね。そんな由緒正しいグリーンを受け継いじゃっていいのですか?」
「おじさんは気まぐれで、次はゴールドにするって言ってるらしいよ。まあ気ままにやらせてあげてよ」
「はい!」
「まあ元気なのはいいけれど気楽にね」
健は言った。
守は次の日も一番で来た。吉郎が2回目の朝食を食べる前にだ。とにかく真面目にヒーロー慈善活動を行った。
一週間後には体も慣れて、守は一人前になった。初めのうちの人間関係の固さも抜けて、今では堂々とヒーロー慈善活動をしている。よく食べる吉郎をからかったりもした。
ヒーロー慈善活動のような行いはいいものである。自分のやりたいことにまっしぐら、それが世のため人のためになっている。人間の活動としてこれ以上のものはないんじゃないかと思ってしまう。守もしょい込みがちだった心の影を開放して行けた。
守は光を取り戻したのだ。くよくよしない。でも考えるべきことは考える。そんな気持ちになっていた。ひとりの人間の健康が保たれたのだ。ヒーロー慈善活動恐るべし。
以後も、守はこれ以上ないほどヒーロー慈善活動に精を出した。正義とは彼のためにある言葉なのではと思うほどに。
正義とは何か守は守なりに答えを出していた。
「正義とは何かなあ。辞書で引くと難しいことが書いてあるんだ」
守は言った
「僕も辞書で引いたことがある。むずかしいよね」
健が言った。
「僕は誰かを助けるものだと思うんだ」
「確かにそうだね。僕らのゴミ拾いは町内の人を助けているもんね」
健が言った。
「人を助けることなら何でも正義なのかも。僕も君たちに相談して助けられたんだ。相談に乗ることも正義さ」
守が言った。
「そう言えばそういう話ししないわよね」
恵ちゃんが言った。
「ヒーロー慈善活動の胆なのにな」
吉郎が言った
「こんな話をするのも、守のおかげだよ」
健が言った。
「人間は、ささいなことで悪をおこなってしまうだろ。悪は人間の業かも知れないね。ごみのポイ捨てだってそうさ。それが常態化するといちいち考えなくなって、人間は正義をおろそかにしてしまうのかもしれない。また逆にそれに対して物申したくなるのかもしれない」
悟が言った。
「人間の業か。強敵だね。僕らも大人になればそれに従うのかもな」
吉郎が弱音をはいた。
「でも、善を売りものにしている組織はいくらでもある。善と悪は拮抗しているのかも。それに善と悪はそんなにはっきり分けられないもんね。
健が言った
皆は、吉郎の弱音を気にしつつも、増々正義の実行を心に決めるのであった。
守は始めから飛ばした。ヒーローへの思いは強いらしい。そして、案の定、腰痛を訴えた。
「気持ちはわかるけど、今日は一生懸命やり過ぎたね。初めはゆっくりでいいよ。そして慣れるしかない。皆そうさ」
健が言った。
「はい先輩」
「先輩なんてよせよ。同級生じゃないか。真面目なんだね。もっと気楽に行こうよ」
「でもヒーローの先輩だから」
「固い固い。気楽に気楽に」
「そうですかそれじゃあ健君」
「それでも固いくらいさ。呼び捨てでいいよ」
「悟君、僕を仲間にしてくれてありがとう」
「いいって事よ」
「吉郎君ありがとうございます」
「あはは。こいつにだけは敬語は使わないでいいよ。昨日だって食い過ぎで腹壊したんだぜ」
悟が言った。
「人の不幸を笑うな」
吉郎が言った。
「あとは恵さんよろしくお願いします。我が隊唯一の女の子ですね。先代ヒーローの血を受け継ぐ。正統派ヒーローだとか。先代がいるんですねあってみたいな」
「そのうち会えるさ」
健が言った。
「その先代が、わざわざグリーンの席を開けてくれたんだとか、感謝しています。本当にあの五色なんですね。そんな由緒正しいグリーンを受け継いじゃっていいのですか?」
「おじさんは気まぐれで、次はゴールドにするって言ってるらしいよ。まあ気ままにやらせてあげてよ」
「はい!」
「まあ元気なのはいいけれど気楽にね」
健は言った。
守は次の日も一番で来た。吉郎が2回目の朝食を食べる前にだ。とにかく真面目にヒーロー慈善活動を行った。
一週間後には体も慣れて、守は一人前になった。初めのうちの人間関係の固さも抜けて、今では堂々とヒーロー慈善活動をしている。よく食べる吉郎をからかったりもした。
ヒーロー慈善活動のような行いはいいものである。自分のやりたいことにまっしぐら、それが世のため人のためになっている。人間の活動としてこれ以上のものはないんじゃないかと思ってしまう。守もしょい込みがちだった心の影を開放して行けた。
守は光を取り戻したのだ。くよくよしない。でも考えるべきことは考える。そんな気持ちになっていた。ひとりの人間の健康が保たれたのだ。ヒーロー慈善活動恐るべし。
以後も、守はこれ以上ないほどヒーロー慈善活動に精を出した。正義とは彼のためにある言葉なのではと思うほどに。
正義とは何か守は守なりに答えを出していた。
「正義とは何かなあ。辞書で引くと難しいことが書いてあるんだ」
守は言った
「僕も辞書で引いたことがある。むずかしいよね」
健が言った。
「僕は誰かを助けるものだと思うんだ」
「確かにそうだね。僕らのゴミ拾いは町内の人を助けているもんね」
健が言った。
「人を助けることなら何でも正義なのかも。僕も君たちに相談して助けられたんだ。相談に乗ることも正義さ」
守が言った。
「そう言えばそういう話ししないわよね」
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「人間は、ささいなことで悪をおこなってしまうだろ。悪は人間の業かも知れないね。ごみのポイ捨てだってそうさ。それが常態化するといちいち考えなくなって、人間は正義をおろそかにしてしまうのかもしれない。また逆にそれに対して物申したくなるのかもしれない」
悟が言った。
「人間の業か。強敵だね。僕らも大人になればそれに従うのかもな」
吉郎が弱音をはいた。
「でも、善を売りものにしている組織はいくらでもある。善と悪は拮抗しているのかも。それに善と悪はそんなにはっきり分けられないもんね。
健が言った
皆は、吉郎の弱音を気にしつつも、増々正義の実行を心に決めるのであった。
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