犬と歩けば!

もり ひろし

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第04章 大団円

09話 ユキがくれたもの

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 さとしは、おばあちゃんの犬、マルに会って犬のとりこになった。マルは柴犬の雑種犬だった。そして犬が欲しいと両親やおばあちゃんに駄々をこねたっけ。まださとしが小学生の時だ。両親は責任を持つという事を学ばせるために、半ば消極的に犬を飼ってもいいとのOKサインを出した。そこへマルの妊娠のニュースが入ってきて、出産後さとしはその中から真っ白な子犬を譲り受けることになる。それがユキだった。ユキが生まれたのは去年の10月3日だ。おばあちゃんが3ケ月は育ててくれるというので、その間、マルチーズのロロを飼っている友達の寺本に付いて、いろいろと教わった。これが散歩会の発足のきっかけだ。小学生最後のお正月にさとしの家にユキはやってきた。そのかわいさと言ったら例えようがなかった。半ば犬を飼うのを反対していたさとしのお母さんの喜びようといったら、さとしのそれを越えていた。

 ユキの母親のマルは甘えん坊なところがあったけれど、それはユキにも引き継がれた。人懐っこくて、ネエネエと、かまってほしがるのだ。それから、何か困りごとが起きると「クーン」と鼻で鳴いた。中学生という仕切りを越えてさとしも少しだけ大人になり。責任を持つという事の本当の意味を知ることになった。両親も事の目的を果たせたのでほっとしていた。



 散歩会は今日も続く。ボール投げをすれば出だしは、ロロがいち早く反応するものの、体が一番大きなユキが真っ先に拾って来る。ロロはがっかり。それでロロは吠えてユキに抗議する。いいコンビだ。ポメラニアンチームは蚊帳の外。サムは気の向いた時しか拾いにいかないし、ヒメはおとなしく待っていることが多かった。

 さて学校は冬休みに入った。サムとヒメの子どもたちの散歩会が始まる。日呂志おじさんが買ったペットカートは届いていた。それに子犬たちを乗せて、みなは集まった。子犬たちはカートのへりに前足をかけ興味深そうに外界を眺めた。モモが「アン」と舌足らずの声で叫ぶ。どうやらサムの血を一番引いているようで、好奇心旺盛だ。一番静かなのはフクだ。お母さんの血を引いているようだ。というか育っている環境に犬の性質は左右されるのではないのだろうか。ソラは自分もいつかユキのように大きくなるんだ。と構え、堂々としている。ユキは成犬となって増々堂々としていた。
 
 さとしはユキのおかげで無用な孤独から解放された、もちろん必要な孤独はある、そういう孤独は積極的に味わうがいい。また堂々と友達と呼べる友達を手に入れることができた。すべてはユキのおかげだった。



 読んでくれているみなさん、寂しいなと思ったらお父さんやお母さんに犬を飼ってと言おう。

抱っこした時のその体の暖かさは君に生きている証を、そして君は一人じゃないという事を確かめさせてくれる。あのふさふさした体は君を心から癒してくれる。、そして、君の顔に触れるシッポの巻き毛は、くすぐったいけれど、君の心に方向性をあたえてくれるだろう。でも大切に扱わないとだめだよ。ガラス細工のようにとても壊れやすいからね。

                                   つづく
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