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第02章 散歩会新メンバー、日呂志おじさん、たえ子ちゃん
10話 たえ子ちゃん退院する
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散歩会のメンバーの置いて行ったおみまいの品は、たえ子ちゃんに大きなおんけいをもたらした。ヒロちゃんの持ってきた、クラスのみんなからの手紙は、図書委員で文章も上手い、たえ子ちゃんにとっては、かのじょのびょうじょうをいたわりながらも、どこかひょうしぬけしていて、大いにたえ子ちゃんを和ませた。さとしの作ってきたサムのアルバムは間のぬけたしゅんかんを切り取っているようで、それはそれでなかなか面白く、たえ子ちゃんにとって大きないやしになった。日呂志おじさんの持ってきた少女小説や寺本の持ってきた少女マンガは、これからいどむ学校でのミッションをクリアするために、ちえをさずけてくれたし、かくごも決めてくれた。
インスリンちゅうしゃは何度もたんとうの先生を実験台にして打ったし、最初はおっかなびっくりだったけど自分にも打てるようになった。あとは食事量の計算のことだけど、げん時点では母さんにまかせることにした。頭がついて行かないのだ。母さんも短期間で習得しいなければならなかったので苦労したようだ。いずれは自分でもできるようにならなくてはならないが、今は母さんがやっているのをみて、ぼちぼち覚えてゆこうと思った。
そして、かれこれ一か月もかかった教育入院は終わりをむかえた。退院の時がやって来たのだ。もう、さくらの季節はすぎていた。たんとうの先生は熱心な先生でよかった。小児科の先生なので二十歳までは見てくれるという。先生は、いっしょにエレベータで下り、ロビーまで来て、わたしと母さんを、わざわざ送ってくれた。
「さてこれからが本番だ。たえ子ちゃんはうまく病気をコントロールできるかな」
先生は笑った。
「ありがとうございました。先生」
教育入院は病気の日常をどうやって過ごすかを教わるものなので、体を動かしていたし、体力のおとろえはない。すぐにでも登校できるのだが、いちおう一週間ほど、じたくでうまくいくか、ためしてみてから登校することにした。
いよいよ中学校。学校側では、ほけんの先生に、低けっとうなど、もしもの時のしょちを頼んでくれていたし、六年生の時の担任、小林先生が手を回してくれたのだろう。ヒロちゃんと同じクラスにしてもらえたのが、たえ子ちゃんにとって何よりもたのもしかった
つづく
インスリンちゅうしゃは何度もたんとうの先生を実験台にして打ったし、最初はおっかなびっくりだったけど自分にも打てるようになった。あとは食事量の計算のことだけど、げん時点では母さんにまかせることにした。頭がついて行かないのだ。母さんも短期間で習得しいなければならなかったので苦労したようだ。いずれは自分でもできるようにならなくてはならないが、今は母さんがやっているのをみて、ぼちぼち覚えてゆこうと思った。
そして、かれこれ一か月もかかった教育入院は終わりをむかえた。退院の時がやって来たのだ。もう、さくらの季節はすぎていた。たんとうの先生は熱心な先生でよかった。小児科の先生なので二十歳までは見てくれるという。先生は、いっしょにエレベータで下り、ロビーまで来て、わたしと母さんを、わざわざ送ってくれた。
「さてこれからが本番だ。たえ子ちゃんはうまく病気をコントロールできるかな」
先生は笑った。
「ありがとうございました。先生」
教育入院は病気の日常をどうやって過ごすかを教わるものなので、体を動かしていたし、体力のおとろえはない。すぐにでも登校できるのだが、いちおう一週間ほど、じたくでうまくいくか、ためしてみてから登校することにした。
いよいよ中学校。学校側では、ほけんの先生に、低けっとうなど、もしもの時のしょちを頼んでくれていたし、六年生の時の担任、小林先生が手を回してくれたのだろう。ヒロちゃんと同じクラスにしてもらえたのが、たえ子ちゃんにとって何よりもたのもしかった
つづく
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