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第02章 散歩会新メンバー、日呂志おじさん、たえ子ちゃん
07話 たえ子ちゃん入院する1
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三月始めに卒業式の予行演習があった。そう散歩会の四人の子どもたちは、今年そろって小学校の卒業を迎えるのだ。そんな小学校最後の三学期も終わろうとするある日、たえ子ちゃんからヒロちゃんの家に一本の電話が入った。ヒロちゃんの母さんが出た。
「ひろゆき、電話よ」
「うん」
「はい、もしもし」
「もしもし、新田君。わたし、斉藤たえ子。これから病院に入院することになったの。Ⅰ型糖尿病なんだって。子どもがかかる病気らしいわ。だから散歩会にはもちろん学校にもしばらく出れなくなるの」
ヒロちゃんは言葉を失った。なんと、なぐさめたらよいのやら。
「大丈夫なの」
とヒロちゃんは聞いてみた。
「インスリン注射を毎日打たなければならないわ。でも血糖値を上手くコントロールすれば長生きもできるって」
インスリン? 血糖値? 分からない言葉だらけだ。ヒロちゃんは戸惑った。
「お見舞いに行くよ」
とだけヒロちゃんはやっと口にした
たえ子ちゃんは
「散歩会のみんなにも話しておいてね」
と言って電話を切った。
翌朝たえ子ちゃんは散歩会に出てこなかった。ヒロちゃんは、たえ子ちゃんのことを皆に話した。
「Ⅰ型糖尿病ってどんな病気なの」
さとしが聞いた。
「すい臓から、インスリンていうホルモンが出なくなっちゃうんだ。生活習慣病でない糖尿病だ。生活習慣をきちんとしても、コントロールは至難の業だ。ほとんどの人が知らない。取材したことがあるから知ってる」
と比呂志おじさんが答えた。
「治らないの」
「現代の医学ではね」
とおじさんは答えた。皆は、重い空気に包まれた。やっとのことで寺本が言った。
「今度の日曜日、たえ子ちゃんの都合が良ければだけど、みんなでお見舞いに行こうよ」
皆はそろって賛成した。
その朝、ヒロちゃんは、2組の担任の小林しおり先生に呼び出されて、職員室に向かった。おそらくたえ子ちゃんのことだろう。
案の定そうだった。先生はたえ子ちゃんの病気のことを連絡を受けて知っていた。そしてヒロちゃんに先生は、同じ図書委員のよしみで、斉藤さんとクラスのパイプ役になってほしいのと、お願いした。そんな重い責任負えるのだろうか。いやたえ子ちゃんは大切な友達だと改めて思い直し、ヒロちゃんは真面目な顔してその役を引き受けた。
つづく
「ひろゆき、電話よ」
「うん」
「はい、もしもし」
「もしもし、新田君。わたし、斉藤たえ子。これから病院に入院することになったの。Ⅰ型糖尿病なんだって。子どもがかかる病気らしいわ。だから散歩会にはもちろん学校にもしばらく出れなくなるの」
ヒロちゃんは言葉を失った。なんと、なぐさめたらよいのやら。
「大丈夫なの」
とヒロちゃんは聞いてみた。
「インスリン注射を毎日打たなければならないわ。でも血糖値を上手くコントロールすれば長生きもできるって」
インスリン? 血糖値? 分からない言葉だらけだ。ヒロちゃんは戸惑った。
「お見舞いに行くよ」
とだけヒロちゃんはやっと口にした
たえ子ちゃんは
「散歩会のみんなにも話しておいてね」
と言って電話を切った。
翌朝たえ子ちゃんは散歩会に出てこなかった。ヒロちゃんは、たえ子ちゃんのことを皆に話した。
「Ⅰ型糖尿病ってどんな病気なの」
さとしが聞いた。
「すい臓から、インスリンていうホルモンが出なくなっちゃうんだ。生活習慣病でない糖尿病だ。生活習慣をきちんとしても、コントロールは至難の業だ。ほとんどの人が知らない。取材したことがあるから知ってる」
と比呂志おじさんが答えた。
「治らないの」
「現代の医学ではね」
とおじさんは答えた。皆は、重い空気に包まれた。やっとのことで寺本が言った。
「今度の日曜日、たえ子ちゃんの都合が良ければだけど、みんなでお見舞いに行こうよ」
皆はそろって賛成した。
その朝、ヒロちゃんは、2組の担任の小林しおり先生に呼び出されて、職員室に向かった。おそらくたえ子ちゃんのことだろう。
案の定そうだった。先生はたえ子ちゃんの病気のことを連絡を受けて知っていた。そしてヒロちゃんに先生は、同じ図書委員のよしみで、斉藤さんとクラスのパイプ役になってほしいのと、お願いした。そんな重い責任負えるのだろうか。いやたえ子ちゃんは大切な友達だと改めて思い直し、ヒロちゃんは真面目な顔してその役を引き受けた。
つづく
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