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第02章 散歩会新メンバー、日呂志おじさん、たえ子ちゃん
02話 ロロとユキの散歩会、見知らぬおじさん
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正月明け、早速さとしは、ユキを抱っこして犬の散歩会に参加した。ロロの散歩会はロロとユキの散歩会になった。ユキは子犬でも中型犬だ。もうすでにロロと同じくらいの大きさだった。それでもロロは自分のほうが年上だと知っている。ほえる声を聞けばそれとわかる。ロロの鳴き声は低くよくひびいて、はく力があった。大人の貫禄である。海辺の遊歩道をロロとユキの二ひきと、さとしと寺本とヒロちゃんの三人は散歩した。ロロはいつもの広い浜辺でボール遊びをした。
「ロロ! とって来い」
寺本がボールを投げる。ロロは走ってボールを拾いに行った。
するとそこへ大型犬を連れた、少し年上の少年がやって来た。中学生だろうか。そして、なんぐせをつけてきた。
「ここはおれの場所だ。よそへ行け」
感じの悪い少年だった。大型犬が吠えた。今にも飛びかからんばかりだ。しかたなく二ひきと三人は場所を移動することにした。
翌日もその翌日も大型犬を連れた少年はあらわれて「よそへ行け」と言う。しかたなく移動した。
「場所とられちゃったね」
ヒロちゃんが言った
「仕方ないさ。ろくにしつけもしていない大型犬が相手では、こちらが怪我をしかねないからね」
と寺本は言った。しかしさとしは納得がいかなかった。以前のさとしだったら寺本と同じ考えで行動していただろう。しかし、今はユキがいる。ユキの主は自分だけだと思うようになった。守るものができたのだ。さとしは少し強くなった。その翌日またその少年がやって来て「よそへ行け」と言った時に、さとしは、その少年の元へ近づいて言った。
「こっちが先に遊んでたんだ。そっちこそよそへ行けよ」
「俺のほうが年上だぞ。生意気言うな。さっさと行けよ」
と少年は言い返してきた。まるで年上なら何でも言うことが通ると言わんばかりだ。こんなことがまかり通っていいのだろうか。そこへ通りすがりのおじさんが仲裁に入った。
「ちょっと待った。話を聞いていたら、君は年上を立てろと言う。それなら私のいうことも聞けるはずだ。君がよそへ行きなさい」
すると、言葉を失った少年は、ここぞとばかり自分の犬を放った。大型犬がおじさんに飛びかかる。しかしおじさんは、素早く大型犬の鼻をこぶしで打った。大型犬は砂浜にたおれ「キァイーン」と鳴いている。少年は後ろたてを失くし、うろたえた。しばらく犬の回復を待って
「覚えていろよ」
と言って立ち去って行った。この少年は自分勝手な言いぐさをなおすことができるであろうか。できなければこれからも同じような出来事を起こし、なさけけない思いをすることであろう。世の中そんなにあまくない。
つづく
「ロロ! とって来い」
寺本がボールを投げる。ロロは走ってボールを拾いに行った。
するとそこへ大型犬を連れた、少し年上の少年がやって来た。中学生だろうか。そして、なんぐせをつけてきた。
「ここはおれの場所だ。よそへ行け」
感じの悪い少年だった。大型犬が吠えた。今にも飛びかからんばかりだ。しかたなく二ひきと三人は場所を移動することにした。
翌日もその翌日も大型犬を連れた少年はあらわれて「よそへ行け」と言う。しかたなく移動した。
「場所とられちゃったね」
ヒロちゃんが言った
「仕方ないさ。ろくにしつけもしていない大型犬が相手では、こちらが怪我をしかねないからね」
と寺本は言った。しかしさとしは納得がいかなかった。以前のさとしだったら寺本と同じ考えで行動していただろう。しかし、今はユキがいる。ユキの主は自分だけだと思うようになった。守るものができたのだ。さとしは少し強くなった。その翌日またその少年がやって来て「よそへ行け」と言った時に、さとしは、その少年の元へ近づいて言った。
「こっちが先に遊んでたんだ。そっちこそよそへ行けよ」
「俺のほうが年上だぞ。生意気言うな。さっさと行けよ」
と少年は言い返してきた。まるで年上なら何でも言うことが通ると言わんばかりだ。こんなことがまかり通っていいのだろうか。そこへ通りすがりのおじさんが仲裁に入った。
「ちょっと待った。話を聞いていたら、君は年上を立てろと言う。それなら私のいうことも聞けるはずだ。君がよそへ行きなさい」
すると、言葉を失った少年は、ここぞとばかり自分の犬を放った。大型犬がおじさんに飛びかかる。しかしおじさんは、素早く大型犬の鼻をこぶしで打った。大型犬は砂浜にたおれ「キァイーン」と鳴いている。少年は後ろたてを失くし、うろたえた。しばらく犬の回復を待って
「覚えていろよ」
と言って立ち去って行った。この少年は自分勝手な言いぐさをなおすことができるであろうか。できなければこれからも同じような出来事を起こし、なさけけない思いをすることであろう。世の中そんなにあまくない。
つづく
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