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第01章 さとし
10話 散歩会の誕生
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さとしの学校は二学期が始まった。さとしとヒロちゃんと寺本はいっしょに登校した。三人は夏休み中、外で遊んでばかりいたので、日に焼けて真っ黒だ。行きかう生徒の中には相変わらず青白い顔をしている者がいる。きっと夏休み中テレビゲームでもしていたのだろう。こんなに外は楽しいことばかりだというのに、と三人は思った。それにさとしは今、飛び上がるほど最高の気分だった。何せ、さとしは、喜びの一大ニュースを親友に聞かせることができるのだから。早速、さとしは、そのニュースを友に発表した。
「今度、家に犬がやって来るんだ」
犬ぎらいのヒロちゃんはあまり感心を示さなかった。けれど、寺本は大いに反応してくれた。
「いつ家に来るの?」
「冬休みあたりかな」
「犬種は?」
「柴犬の雑種」
「それじゃあきっと中型犬だね。名前は?」
「まだ決めてない。そうだ、名前を考えなきゃ」
さとしはまた楽しみがふえたような気がした。
「まだ気が早いか。生まれてもいないんだもんね。名づけるのは生まれてからでも遅くないよ」
名前以外にも、まだまだ犬を迎えるまでには、やるべきことがたくさんある。さとしはまだ犬をかうという事をまったく知らないに等しい。寺本に犬の世話の仕方をいちから教えてもらおうと思った。それには一緒に過ごすのが一番だ。
「ロロ(寺本の愛犬)の散歩に付き合ってもいい」
とさとしはたのんでみた。
「ああ、いいよ。ひとりで寂しいと思ってたんだ」
さっきから、ヒロちゃんは、ふたりの会話に入れない。仲間外れにされたような気がしていた。このふたりと仲良しでいるためには、本気で犬ぎらいをなおさなければならないと思った。
学校が始まる前の早朝と、学校が終わった後の放課後は、ロロの散歩会になった。なぜか犬ぎらいのヒロちゃんがついて来たのには、ふたりともびっくりしていた。さとしはロロによりそって、改めて散歩の仕方から学んだ。寺本はさとしに犬の行動やしぐさで犬が何をうったえているのかを教えた。
つづく
「今度、家に犬がやって来るんだ」
犬ぎらいのヒロちゃんはあまり感心を示さなかった。けれど、寺本は大いに反応してくれた。
「いつ家に来るの?」
「冬休みあたりかな」
「犬種は?」
「柴犬の雑種」
「それじゃあきっと中型犬だね。名前は?」
「まだ決めてない。そうだ、名前を考えなきゃ」
さとしはまた楽しみがふえたような気がした。
「まだ気が早いか。生まれてもいないんだもんね。名づけるのは生まれてからでも遅くないよ」
名前以外にも、まだまだ犬を迎えるまでには、やるべきことがたくさんある。さとしはまだ犬をかうという事をまったく知らないに等しい。寺本に犬の世話の仕方をいちから教えてもらおうと思った。それには一緒に過ごすのが一番だ。
「ロロ(寺本の愛犬)の散歩に付き合ってもいい」
とさとしはたのんでみた。
「ああ、いいよ。ひとりで寂しいと思ってたんだ」
さっきから、ヒロちゃんは、ふたりの会話に入れない。仲間外れにされたような気がしていた。このふたりと仲良しでいるためには、本気で犬ぎらいをなおさなければならないと思った。
学校が始まる前の早朝と、学校が終わった後の放課後は、ロロの散歩会になった。なぜか犬ぎらいのヒロちゃんがついて来たのには、ふたりともびっくりしていた。さとしはロロによりそって、改めて散歩の仕方から学んだ。寺本はさとしに犬の行動やしぐさで犬が何をうったえているのかを教えた。
つづく
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