マサキは魔法使いになる

3-4 グローバルに可愛い

「へえ、やっぱり、日本では外国人って珍しいんですね」
「グローバルな世の中だって言っても、日本なんてまだまだだからさ。それにしても、日本語がやけに上手くないか？　あ、もしかして、親が外国人っていうだけで、きみは日本育ちのれっきとした日本人だったりして」
「そんなことはありませんよ。あたしはれっきとした外国人ですし、日本に住んだこともありません」
　きっぱりと、金髪碧眼は流暢すぎる日本語で言ってのけた。本人はそう言うけれど、それにしては発音があまりにもネイティブスピーカーじみている。声だけ聞けばとても金髪碧眼の外国人が喋っているとは思えない。
「そっか。いやさ、見た目だけで外国人って決めつけたら、悪いかなと思ったんだよ。きみが本当に外国人だったみたいで、おれはひと安心さ」
　得体の知れないやつを相手によく喋るものだなあ、と我ながら思うのだけれど、これくらいの言い訳はしたっていいだろう。
　おれ自身や彼女の身辺についてさえ触れなければ、こいつが魔法使いであれなんであれ、とりあえず問題はあるまい。
　しかし、外国人か否かを確認してしまったのは失敗だったかな。あたしは魔法の国の出身なんですよ、なんて言われてしまっては、それこそ一巻の終わりである。あやうく、おれの平穏な暮らしにピリオドが打たれるところだったじゃないか。
「そういうことに気を使えるって、いいことですね」
　金髪碧眼は、首を少し傾けて笑顔を見せた。眉毛まで金色である。魔法の国からやって来たに違いないくせに、この少女の笑顔ときたら、残念ながら妙に可愛らしい。