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コロッケ

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私は夕飯に出たコロッケと格闘している。

テーブルに出されたとき、コロッケが私に話しかけてきたのだ。

「おい、お前俺を食べたら呪うからな」

甲高い声で私に喋りかけてくるコロッケ。

家族のみんなは気づいていないらしい。

どうやら私にしか聞こえないみたいだ。

とりあえず私は、味噌汁、白米から食べ進める。

「お前ごときが食べていいもんじゃないんだよ!なぁ聞こえてんだろ?」

コロッケから私への罵倒。

そろそろ私もイライラしてきた。

何でコロッケに文句言われなきゃいけないんだ。

だいたいコロッケなんてありふれた食べものなんだ。

そろそろたべてやる。

箸をコロッケへと伸ばす。

「おい!やめろ!来るな!!」

怯えたコロッケに私は食いついた。

「ギャァー!!!」

悲痛な声が聞こえてくる。

私はだんだんコロッケを食べるのが楽しくなってきた。

あえてゆっくり少しずつ食べる。

「分かったから!分かったから、やめてくれ!」

怯えたコロッケの声を聞くのが心地よい。

私は残ったコロッケを箸でバラバラにした。

ぐちゃぐちゃとコロッケから音が聞こえてくる。

まるで動物の身体を分解しているようなそんな気分。

コロッケから声が聞こえなくなった。

たぶん死んだのかもしれない。

私は残りのコロッケを一気に口に入れた。

そのとき

「覚えてろ」

口の中から声が聞こえた気がした。


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