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デリートボタン

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「おめでとうございます!!
 お客様は見事デリートボタンに当選さ れました。
 こちらからぜひスマホにダウンロードして下さい」

商店街でやっていた福引でデリートボタンなる物に当選した。

当選したはいいが何に使うのか分からず、しかもスマホにダウンロードしなくてはいけないらしい。

「仕方ない、家に帰ったらやってみるか」

私は家に帰宅し、もらった紙のQRコードを読んでデリートボタンなるアプリをダウンロードした。

「ウイルスとか入ってないだろうな...」

そんなことを思いつつ、デリートボタンの説明を読み進める。

説明によると、自分が消したいと
思った物を何でも消せるらしい。

消す方法はアプリを開き、ボタンが出てくるからタッチする。

「胡散臭いな」

私は試しに自分の机に置いてあるペンを消えろと念じながら、ボタンを押した。

するとどうだろう、ペンが跡形もなく消えた。

「これはすごい...!」

私はこのアプリにすっかり魅了されてしまった。

自分の消したいものを消せる、まさに神になったような気分だ。

私はその日から次々に消した。

同僚、家族、恋人。

ちょっとでも気に食わなれば消す。

そのうち私の周りには何も残らなくなった。

妙な虚しさ。

孤独。

喪失感。

私は最後に、自分が消えろと念じながらボタンを押した...

















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