【R18版】乙女ゲームの相手役に転生した僕は最悪の悪役令嬢達に囲まれる~絶対愛しの主人公と添い遂げてみせる!悪役令嬢さん!?まずいですよ!?

勇者れべる1

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第一話「最悪の悪役令嬢達(状況&悪役令嬢の紹介)」

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 僕の名前は真田弘之、通称ヒロ。
 今日は女友達の神宮寺美紀、通称ミキとゲームをしていた。
 彼女は沢山いる女友達の一人だが一番距離も近く話しやすい。
 ゲーマー仲間だって所が一番の理由かもしれない。
 ミキ自身はいわゆる自称陰キャだが、いい奴だし自信が無いって言ってる顔だってちゃんと整えれば可愛いと思う。
 でも僕がそう言っても「からかうな」て拒否るんだよな~。

 そんなこんなで僕とのゲーム合戦が終わりミキが帰ろうとした矢先である。

「ヒロ、このゲーム貸してあげる」

「え?このゲーム、乙女ゲーじゃないか。僕はホモじゃないよ!」

 ミキが渡して来たゲームは人気乙女ゲーム「The・Hiroin~悪役令嬢達に囲まれて~」だった。

「そのゲーム、可愛い女の子沢山出て来るわよ?それにあなたギャルゲーも上手いじゃない。難易度ルナティック(超鬼畜)と噂のこれもクリアできるんじゃない?」

「ふーん、そんなに難しいのか」

 難易度ルナティック、その言葉に僕のゲーマーとしてのプライドが強く刺激された。
 僕はミキからソフトを受け取ると自室に戻りそのゲームをプレイ……する前にPCでwikiを調べた。
 攻略wikiじゃない、ゲームの情報wikiだ。
 攻略は自力でするがどんな娘達が出るのか、気になったのだ。

「げ、可愛い子達が出て来るって全員悪役令嬢かよ……てっきりレズ攻略できると思ったのに」

 悪役令嬢とは主人公の恋路を邪魔するライバルの女キャラである。
 今作はその悪役令嬢達が複数いて、相手役を取り合う中に主人公が参戦するという流れだった。
 そしてその悪役令嬢達と相手役のユーリ侯爵がくっつくEDが悪役令嬢の人数分あるらしい。
 つまり攻略する主人公としては嫌がらせを受ける相手が増えるというだけである。

「難易度ルナティックの意味が分かった気がする」

 僕はゲーム機にディスクを入れると起動ロゴの表示を見た。
 見慣れたゲーム機メーカーのロゴが消え、スタートボタンを押してOPを飛ばしたその直後である。
 眩い光が画面から放たれ僕は気絶した。

 ―

「ここは……どこだ?」

 目が覚めた僕は周囲を見渡した。
 体が軽い、それに目線も普段より低い。
 僕は近くにあった鏡を見るとその姿に驚愕した。
 細身の体に中学生くらいの低身長、加えて金髪の美少年……まさに
「The・Hiroin~悪役令嬢達に囲まれて~」の相手役、ユーリ侯爵になっていた。

「これってユーリだよな?説明書通りの顔だし。じゃあゲームの中に転生したってコト!?」

 思わず僕は喜んでしまった。
 小説の中でしかない異世界転生をした事に加え、贅沢な貴族暮らしが楽しめるのだ。
 それにユリアと言う美少女の婚約者もいる。
 悪役令嬢なんてゲーマーの自分にかかればちょちょいのちょいだ。
 この時の自分の甘さを僕は後々呪った。

 ―ユーリ侯爵邸

 ユーリの前には9人のドレス姿の美女とユーリの父親らしき小太りの男性がいた。

「ユーリよ、こんなに婚約者候補が増えてしまった。すまない、テヘペロ♪」

「テヘペロ♪じゃねー!」

 その9人の内8人は昨日の宴会で酔った勢いで父親が勝手に結んだ婚約だった。
 王家お抱え貴族の跡取り息子であるユーリと婚約する事は一種の玉の輿であり、本人の意思はともかく家名を賭けての婚約だったのだ。
 当人達も自分達が唯一の婚約者と思っていたので困惑している。

「今なんて言った?婚約者”候補”?」

「そうだ、お前にはユリア嬢との婚約を破棄して貰う。そしてユリア嬢を含めた9人の令嬢から婚約者を選び直すのだ」

「な、なんだってー!」

 僕は気が滅入ってしまった。
 9人の内8人は悪役令嬢なのだから。
 こうなったら悪役令嬢√を回避してユリアと婚約し直すしかない!
 僕はそう心に誓った。
 そして周囲を見渡すと悪役令嬢達がいた。
 彼女達は自分の髪の色とおそろいのドレスを着ている。
 そして悪役令嬢の一人と目が合った。
 漆黒のショートヘアが似合う不機嫌そうな顔つきをした美しい女性だ。
 名をメアリーと言う。

「あのー、なんか怒ってます?」

「怒ってませんよ。好きでもない男と子作りしろと言われて気持ちが悪いだけです」

 女はすこぶる不機嫌そうに、それが義務であるから仕方が無いと冷ややかに言い放った。

 僕は居心地が悪くなり次の女性に目を向けた。
 その女性は程よく体に筋肉が付いていてしかも巨乳。
 赤いロングヘアの似合う美女だった。
 名をレイアという。

「おいお前、何ガン飛ばしてんだよ」

「そ、そんなつもりは……」

 まるで不良少女に絡まれたかのような気分になった僕。
 しかしレイアは舐める様に僕の体や顔を見ると態度を変えた。

「ふーん、中々のイケショタじゃねーか。私が可愛がってやんよ」

 その可愛がりが体育会系の部活で言う可愛がり(シゴキ)なのか、それとも本当に可愛がってくれるのか、前者だろうなぁと僕は感じていた。

 次に近付いてきたのは金髪のロングヘアが美しい気品あふれる美女。
 スタイル抜群でこの中では2番目の巨乳だった。
 その女性はカサンドラと名乗った。

「ふーん、君可愛いわぁ。ねぇ、お姉さんといい事しない?」

「え!?いいこと!?」

 いいこと、なんて甘美な響きだろう。
 でもこんな誘惑に負けてユリアを裏切ることはできない。
 僕は鋼の精神でそれを断った。

「あら、残念」

 カサンドラは微笑みながら残念そうにそういった。
 しかし僕が背を向けた瞬間、何か背中に悪寒を感じた。
 振り向いた先には笑顔のカサンドラがいた。
 内心笑っていないのは目に見えて分かった。
 僕は気付かないふりをしてその場を離れた。

 次に近付いてきたのはエリナという茶髪のショートヘアの童顔の女性だった。
 彼女は顔に似合わないナイスバディの持ち主で、その肢体を恥ずかしがるようにモジモジしていた。

「あ、あの、エリナです。よ、宜しくお願いします……」

「ああ、よろしく。ようやくまともな人に会えたよ」

「まともだなんて、そんな……」

 彼女は初々しく恥じらいながらもじもじしている。
 これは攻略回避も楽勝だな、そう思っていた僕であった。
 しかし僕は知らなかった、彼女がノーパン主義の痴女だと言う事に。
 今もまさに履いてない。

 そんな事に気付く間もなく僕は次の女性に挨拶に向かった。
 次の女性はピンクのシングルの縦ロールが可愛らしい女性と言うには若々しい少女だった。
 彼女の名はリサ、食い入る様な目で僕を見ている。

「あなたは私の物ですぅ。一生大事にして上げますからね~」

 間延びした様な声で、それでいて正気を失ったような妖しい目つきで僕を見て来る。
 彼女はヤバい、僕の第六感がそう告げている。
 僕は背中にかつてない寒気を感じるとその場を後にした。

 次に向かった女性はぼさぼさの長い黒髪が美しくない女性。
 ちゃんとメイクすれば綺麗だろうに、勿体ない。
 目の下にはクマも出来ている。
 すると彼女の横にいたメイドが神業とも言うべきスタイリストテクニックとメイク術でその女性を美しい淑女に変えた。
 僕が名前を尋ねると彼女の代わりにメイドが名前を答えた。

「セレーヌって言うんだね?よろしく」

 僕は挨拶したが彼女は軽く会釈をしただけだった。
 唯一聞こえた言葉は「めんどくさい」の一言だった。

 次はネルという黒いポニーテールの美しい淑女だった。
 大人の魅力と言う奴だろうか、これまでの女性の中で一番落ち着きがあった。
 しかしその印象は次の一言で崩壊する事になる。

「あなた、私をご主人様とお呼びなさい。そうすれば至上の快楽も安全も全て保証してあげる」

 彼女の後ろではあれだけ強気だったレイアがあたふたしている。
 彼女の実力は「本物」なのだろう。

「僕はユリアが好きなんです!脅しなんかに屈しません!」

「ふぅん……後悔しますよ?」

 僕は振り向かない様にして次の女性の所に向かった。
 決して逃げた訳ではない……多分。

 次の女性は紫髪のショートヘアの女性だった。
 名前はモリガンと言った。
 ネルとは違う大人の女性の雰囲気を感じる。

「年増はちょっと……」

「なんですって!」

「ひっ!?」

「……まあ、あなたが分を弁えてる限りは私はあなたを助けます。躾の足りない令嬢がいましたらおっしゃって下さい。私は婚約者に興味はありませんから」

「わ、わかりました……」

 唯一の力強い味方を手に入れたと同時に核爆弾を懐にしまってしまった事に危機感を覚える僕だった。

 これで悪役令嬢は揃った。
 残りは愛しのヒロイン、ユリアだけである。

「ユリア―!!!」

「ユーリ!」

 そこには金髪のロングヘアの美しい少女がいた。
 その真っすぐな瞳を見た時に僕のこれまでの不安は霧が晴れた様に霧散した。
 しかし彼女との間に悪役令嬢8人が立ち塞がる。
 そしてまとめ役であろうモリガンが口を開いた。

「公平な話し合いの結果、私達が順番であなたのお相手をする事になりました。ちなみにユリアさんは最後です。それと結婚まで本番行為を禁じます」

「そ、そんな……」

 この性格悪そうな悪役令嬢達を本気で攻略回避してユリアに辿り着かなくてはいけない。
 僕はこの苦難を乗り越える事が出来るのだろうか?
 一応転生した特典のチート能力として記憶を過去に飛ばすタイムリープという力はある様だ。
 ゲームのセーブ、ロード機能の様な物だろう。
 しかしそれでも本物の悪役令嬢達を目の前にして僕の心は中折れしていた。
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