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魔王討伐編
第46話大賢者と総攻撃(四天王戦5)
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大賢者と総攻撃(四天王戦その5)
―魔王城
「ううむ、これはゆゆしき事態じゃ…なんとかせねば」
ローブを着た魔術師風の老魔導士が右往左往している。
彼の名はジェローム。
魔王軍に残った最後の四天王である。
「新しい魔王様は気まぐれで頼りにならんし…」
新しく即位した魔王は実力こそ前魔王を大きく凌ぐが、
長く眠っていたせいか性格が子供っぽく、勝手な行動が過ぎるのだ。
一億年生きているだけの事はあり魔力こそ段違いに高いのだが、
精神面の幼さだけはどうにもならなかった。
「第一の結界も破られたし、他の結界も守る奴がおらん…こうなれば―」
ジェロームはこれまでの大賢者戦を見ていて気付いたのだ。
大賢者が多人数戦には不慣れな事に。
実際竜族の住処である竜の領域では防戦一方だったと聞く。
こうなれば取る策は一つだ。
「こうなれば総攻撃あるのみじゃ!」
―魔王城近くの荒野
ここは魔王城近くの荒野である。
そこには数多の魔物が集結していた。
大賢者の住むバビロニアに総攻撃を仕掛ける為である。
「いくがよい皆の者!突撃じゃ!」
うおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!
魔物達は咆哮するとバビロニア近くへと続く転移の魔方陣に猪突猛進した。
―バビロニアの近くの荒野
一方その頃大賢者の俺はと言うと、バビロニアが見渡せる高い丘の上に来ていた。
「バビロニアの近くに転移反応があるから来てみれば…そういう事か」
転移の魔方陣が現れ、そこから出て来る無数の魔物達。
その数はバビロニアの国民の総数の数倍、いやそれ以上かもしれない。
どうやら魔王軍は総攻撃を仕掛けて来たらしい。
最後の捨て身の攻撃という奴だな。
「久々に大賢者らしい事をしないとな」
俺は一緒に連れて来たメア、御門先輩、アリス、そしてシルヴィア会長と手を繋ぐ。
「みんな、準備はいいか!ロックオン!」
無言でこくりと頷くMPタンク役のヒロイン達。
俺は彼女達に感謝しつつ捕捉の魔術を唱えた。
これで視界に入った全ての魔物を攻撃対象に出来る。
増援がなければほぼ9割といった所か。
「まとめて串刺しにしろ!フリーズアロー!」
敵の頭上に巨大な魔方陣が現れると、無数の氷の矢が射出された。
グアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!
降り注ぐ氷の矢の雨に、魔王軍の魔物達が次々と倒れていく。
しばらくして残ったのは大量の魔物の死骸と孤立した1割の生き残りだった。
それも大半が負傷していて満足に戦えるかも怪しい連中ばかり。
これならミーナ率いる傭兵軍団で楽勝だろう。
「よし、残りはミーナ達に任せて俺達は魔王城へ行くぞ」
俺は敵の作った転移の魔方陣に乗って魔王城へと向かった。
どうやら無駄だと分かったのか結界は解除してあるらしい。
俺は遠慮なく魔王城の門を開けた。
そこに待っていたのは最後の四天王が一人、老魔導士ジェロームだった。
「我々魔王国を貴国バビロニアの属国にしては下さらんか」
それは彼にできる精一杯の取引き(命乞い)だった。
―魔王城
「ううむ、これはゆゆしき事態じゃ…なんとかせねば」
ローブを着た魔術師風の老魔導士が右往左往している。
彼の名はジェローム。
魔王軍に残った最後の四天王である。
「新しい魔王様は気まぐれで頼りにならんし…」
新しく即位した魔王は実力こそ前魔王を大きく凌ぐが、
長く眠っていたせいか性格が子供っぽく、勝手な行動が過ぎるのだ。
一億年生きているだけの事はあり魔力こそ段違いに高いのだが、
精神面の幼さだけはどうにもならなかった。
「第一の結界も破られたし、他の結界も守る奴がおらん…こうなれば―」
ジェロームはこれまでの大賢者戦を見ていて気付いたのだ。
大賢者が多人数戦には不慣れな事に。
実際竜族の住処である竜の領域では防戦一方だったと聞く。
こうなれば取る策は一つだ。
「こうなれば総攻撃あるのみじゃ!」
―魔王城近くの荒野
ここは魔王城近くの荒野である。
そこには数多の魔物が集結していた。
大賢者の住むバビロニアに総攻撃を仕掛ける為である。
「いくがよい皆の者!突撃じゃ!」
うおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!
魔物達は咆哮するとバビロニア近くへと続く転移の魔方陣に猪突猛進した。
―バビロニアの近くの荒野
一方その頃大賢者の俺はと言うと、バビロニアが見渡せる高い丘の上に来ていた。
「バビロニアの近くに転移反応があるから来てみれば…そういう事か」
転移の魔方陣が現れ、そこから出て来る無数の魔物達。
その数はバビロニアの国民の総数の数倍、いやそれ以上かもしれない。
どうやら魔王軍は総攻撃を仕掛けて来たらしい。
最後の捨て身の攻撃という奴だな。
「久々に大賢者らしい事をしないとな」
俺は一緒に連れて来たメア、御門先輩、アリス、そしてシルヴィア会長と手を繋ぐ。
「みんな、準備はいいか!ロックオン!」
無言でこくりと頷くMPタンク役のヒロイン達。
俺は彼女達に感謝しつつ捕捉の魔術を唱えた。
これで視界に入った全ての魔物を攻撃対象に出来る。
増援がなければほぼ9割といった所か。
「まとめて串刺しにしろ!フリーズアロー!」
敵の頭上に巨大な魔方陣が現れると、無数の氷の矢が射出された。
グアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!
降り注ぐ氷の矢の雨に、魔王軍の魔物達が次々と倒れていく。
しばらくして残ったのは大量の魔物の死骸と孤立した1割の生き残りだった。
それも大半が負傷していて満足に戦えるかも怪しい連中ばかり。
これならミーナ率いる傭兵軍団で楽勝だろう。
「よし、残りはミーナ達に任せて俺達は魔王城へ行くぞ」
俺は敵の作った転移の魔方陣に乗って魔王城へと向かった。
どうやら無駄だと分かったのか結界は解除してあるらしい。
俺は遠慮なく魔王城の門を開けた。
そこに待っていたのは最後の四天王が一人、老魔導士ジェロームだった。
「我々魔王国を貴国バビロニアの属国にしては下さらんか」
それは彼にできる精一杯の取引き(命乞い)だった。
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