30 / 35
第三十話「ルシファーズ・アナザーストーリー」
しおりを挟むルシファー・キャンベル、彼は腕利きFBI捜査官だ。
今日も難解な事件を捜査する為にカフェインたっぷりのブラックコーヒーを片手に愛車のマスタングを駆っている。
「さあ今日も難事件解決だ」
ルシファーが向かっているのはハリウッドのセレブハウスの一角だ。
そこには一人の女性が待っていた。
赤い長い髪の美しい女性、名はスカーレットと名乗った。
「夫が殺されたの。早く犯人を見つけて!」
スカーレットがルシファーに嘆願する。
しかしその手は誘惑するようにルシファーの腰に手をやる。
「奥さん、その手はなんなんだ?」
「あらあら、分かってるくせに♪」
スカーレットは夫が死んだにも関わらず素晴らしい笑顔をしている。
ルシファーとの浮気を望み楽しんでいるかのようだった。
「申し訳ないけど、今そんな気分じゃ・・・…」
ルシファーが腰の手を払いのけようとしたその瞬間である、場面がリッチなハリウッドの家からボクシングの四角いリングに変わった。
ルシファーに屈強な黒人ボクサーのパンチが決まる。
それは顔面への強烈な一撃で、ルシファーの脳は揺れた豆腐の様にプルプルと振動していた。
当然視界は歪み集中できないから力も満足に使えない。
ルシファーはなんとかその後の攻撃を避け脳の振動が収まるのを待った。
しかし次の一発が決まりそれは先延ばしになる。
ルシファーは豆腐の皿を思い浮かべ、それを揺らし再び止める方法を探った。
「見えた!」
ルシファーは頭部に自身の拳を当て振動を相殺して脳を正常に戻した。
そしてルシファーの渾身の一撃が、KOパンチが決まった。
ヒュウーーーーーーーーー!!!
会場から声援がわき上がる。
ルシファーがチャンピオンベルトを巻き試合は終わった。
がその瞬間場面は変わる。
黒い軍服を着たルシファーは五人のカラフルな覆面タイツ集団と戦っていた。
日本の戦隊物という奴である。
「これで終わりだ悪の総裁ダークネス・ルシファー!」
「おのれ、ファントムレッドめ!」
リーダらしき赤いマスクの男とルシファーが取っ組み合う。
赤いマスクの男をルシファーが殴り吹っ飛ばすと何事も無かった様に起き上がる。
「大丈夫か、レッド!」
ピンクのタイツと仮面を付けたリィンがレッドに駆け寄る。
「くそ、みんな!レインボーバズーカだ!」
五人のカラフル戦士達は巨大なバズーカを皆で構えてルシファーに狙いを付ける。
「標準セェット!!!」
「消えろ、もう学芸会はうんざりだ」
ルシファーが指を鳴らすと五人の戦士の内四人が消えた。
残されたレッドが狼狽えるも赤いサーベルを構え大地に突き刺す。
そして大地が割れ、強烈な衝撃波がルシファーに襲いかかる。
「自分の役割を考えろ!」
「役割だって?悪は必ず勝つんだよ。僕の聖書にもそう書いてある、いや書く予定だ」
ルシファーはその衝撃波を片手をかざし打ち消すと、その手を握りレッドの首をへし折った。
「誰だよシナリオ書いたの。いい加減にしてくれ、これ以上は御免だぞ」
―???
「あーあ、私の書いたシナリオが台無しじゃない!」
緑の長髪の美しい異世界の女神メナスが、その美貌を台無しにするが如く大口を上げて嘆く。
「彼は君の滅茶苦茶なシナリオに収まるような男じゃないよ」
Gパン白Tシャツの痩せた髭の男、現代世界の神が女神に忠告する。
二人とも全知全能の存在だ。
しかし今回はルシファーにしてやられたようである。
これはルシファーが歩んでいたかもしれないもう一つのアナザーストーリー。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
なんでもアリな異世界は、なんだか楽しそうです!!
日向ぼっこ
ファンタジー
「異世界転生してみないか?」
見覚えのない部屋の中で神を自称する男は話を続ける。
神の暇つぶしに付き合う代わりに異世界チートしてみないか? ってことだよと。
特に悩むこともなくその話を受け入れたクロムは広大な草原の中で目を覚ます。
突如襲い掛かる魔物の群れに対してとっさに突き出した両手より光が輝き、この世界で生き抜くための力を自覚することとなる。
なんでもアリの世界として創造されたこの世界にて、様々な体験をすることとなる。
・魔物に襲われている女の子との出会い
・勇者との出会い
・魔王との出会い
・他の転生者との出会い
・波長の合う仲間との出会い etc.......
チート能力を駆使して異世界生活を楽しむ中、この世界の<異常性>に直面することとなる。
その時クロムは何を想い、何をするのか……
このお話は全てのキッカケとなった創造神の一言から始まることになる……
ズボラ通販生活
ice
ファンタジー
西野桃(にしのもも)35歳の独身、オタクが神様のミスで異世界へ!貪欲に通販スキル、時間停止アイテムボックス容量無限、結界魔法…さらには、お金まで貰う。商人無双や!とか言いつつ、楽に、ゆるーく、商売をしていく。淋しい独身者、旦那という名の奴隷まで?!ズボラなオバサンが異世界に転移して好き勝手生活する!
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
器用さんと頑張り屋さんは異世界へ 〜魔剣の正しい作り方〜
白銀六花
ファンタジー
理科室に描かれた魔法陣。
光を放つ床に目を瞑る器用さんと頑張り屋さん。
目を開いてみればそこは異世界だった!
魔法のある世界で赤ちゃん並みの魔力を持つ二人は武器を作る。
あれ?武器作りって楽しいんじゃない?
武器を作って素手で戦う器用さんと、武器を振るって無双する頑張り屋さんの異世界生活。
なろうでも掲載中です。
お気楽少女の異世界転移――チートな仲間と旅をする――
敬二 盤
ファンタジー
※なろう版との同時連載をしております
※表紙の実穂はpicrewのはなまめ様作ユル女子メーカーで作成した物です
最近投稿ペース死んだけど3日に一度は投稿したい!
第三章 完!!
クラスの中のボス的な存在の市町の娘とその取り巻き数人にいじめられ続けた高校生「進和実穂」。
ある日異世界に召喚されてしまった。
そして召喚された城を追い出されるは指名手配されるはでとっても大変!
でも突如であった仲間達と一緒に居れば怖くない!?
チートな仲間達との愉快な冒険が今始まる!…寄り道しすぎだけどね。
カオスの遺子
浜口耕平
ファンタジー
魔神カオスが生みだした魔物と人間が長い間争っている世界で白髪の少年ロードは義兄のリードと共に人里離れた廃村で仲良く幸せに暮らしていた。
だが、ロードが森で出会った友人と游んでいると、魔物に友人が殺されてしまった。
ロードは襲いかかる魔物との死闘でなんとか魔物を倒すことができた。
しかし、友人の死体を前に、友人を守れなかったことに後悔していると、そこにリードが現れ、魔物から人々を守る組織・魔法軍について聞かされたロードは、人々を魔物の脅威から守るため、入隊試験を受けるためリードと共に王都へと向かう。
兵士となったロードは人々を魔物の脅威から守れるのか?
これは、ロードが仲間と共に世界を守る物語である!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる