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第十話「オペレーション・メメントその1」
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京子は演劇部部長の前にクラシックを得意とするアーティストでもある。
特にバイオリンとピアノが得意で演劇に負けない位に日々練習を重ねている。
ウ~!!!
アンドロメダ襲来のサイレンが鳴り響く。
「今度の敵は人型です!例のメメントって奴で…」
オペレーターのさやかが慌てて言う。
この間の初詣で見た六体のメメント達…未知数の力を持つ強敵が再び現れたのだ。
碌に準備もできていないのに出てこられたらさやかのように困惑するのも分かる。
京子は出撃用のトンネルに入るといつもの軍服風のパイロットスーツに着替えた。
そして司令部に到着する。
―エデン女学院・司令部
「今度の敵は強敵よ…それも全部同時に現れたわ」
京子が厳しい表情でレーダーの表示されたモニターを指さす。
「幸い敵機は各機離れているわ。割り振り通りに対応する敵機に対処して」
「了解!」
「あ、あの~私は?」
指示書に一人だけ名前の載っていないリリィが質問する。
「あなたの機体は調整中なの。準備が終わり次第合流して」
「わ、わかりました…」
皆と一緒に戦いたいリリィだったがそこはぐっと我慢した。
―東京某所上空
「やあキョウコ君、僕はシック。君の事を待ってたんだ」
「アンドロメダに名前を覚えられるなんて虫唾が走るわ」
「そんな事言わないでくれ、君の為に用意したんだよ。最高の舞台を」
縦長い角柱の様なアンドロメダはバイオリンの様な腕を構えるとクラシックの演奏を始めた。
それは素晴らしい音色で京子ですら聞き入ってしまう代物だった。
「やあどうだいこの素晴らしい曲は。それに対してこの東京と言う町は新しい物が多すぎる…美しくない!」
「どうやら曲に反して心は美しく無いようね」
「クラシックを愛する君なら分かって貰えると思ったのに、残念だ―」
ブスリ
「な!?」
ドカーン!
京子のRSの槍で胴体を串刺しにされたシックは大爆発を起こした。
手強いと思われたメメントだったがそうじゃないのもいるらしい。
そう京子が思い立ち去ろうとした時だった。
「まだ演奏は終わってな」
「そこっ!」
ブスリ
ドカーン!
京子のRSの槍が再びシックの胴体を貫く。
確かに倒したはずなのになぜ復活を?
そう考えてた矢先に次の展開は起こった。
「「「「まだ演奏は終わってなーい」」」」
今度は四体のシックが現れた。
シックは腕のバイオリンで演奏を始める。
今度は超音波の様な高周波の攻撃が繰り出される。
四方からの攻撃に京子は身動き取れないでいた。
「さあ、これでフィナーレだ」
シックの腕のバイオリンが変形して弓矢になる。
そして矢を構えると四方から発射しようとした…その時である。
「そこね!」
「ぐはっ!?」
京子の投げた槍が京子の上空に突き刺さる。
そこには透明化していた錆びた角柱状の機械があった。
モノアイが力なく動いている。
「な、なぜ分かった…」
「答えは単純。あなたの演奏が姿の見える方から聞こえてこなかったからよ。それに…」
「それに?」
「それに、新しい物を嫌うあなたが新しい体に乗り換えるなんておかしいと思ったのよね」
「最後はクラシックで倒してくれるか…」
「あなた達のやってきた事は許せないけど、同じ音楽を愛する者としてやってあげる」
京子はRSのスピーカーから悲しげで静かなクラシック曲を流すと再び錆びたシックに槍を突き刺した。
四方にいた分身達も力なく倒れ込んでいく。
「早く合流しないと」
京子は孤軍奮闘している仲間の元へ急いだ。
こうして一体目のメメントが倒された。
残るは五体だ。
―
「なんで芽衣だけおかあさんと一緒なの?」
「たまたまよ、たまたま」
「ぶー、芽衣一人で戦えるのに~」
不満を垂らす芽衣とそれを聞く由香子。
そして二人の前に処刑道具アイアンメイデンの様な大小のメメントが現れた。
「私の名前はマタニティ、この子の名前はソンズ…私の可愛い子供です」
マタニティと名乗った女性の声の大きい方のメメントはその巨体を半開きにした。
中には無数の針がある。
あれに挟まれたら串刺しになるだろう。
「さあそこの寂しそうなあなた、母の胸に抱かれなさい」
マタニティは芽衣に向かってそう言うと姿を消した。
「え!?どこに消えたの!?」
驚愕する芽衣。
マタニティは芽衣のRSの背後に突如出現し、その開いた体の中に芽衣のRSがおさまっていた。
まさに芽衣がRSごと串刺しにされようとしていたその時である。
「危ない!」
由香子は超電磁砲をつっかえ棒にすると一緒にマタニティの中に入った。
超電磁砲のひしゃげる音が聞こえ徐々にマタニティの体が閉まっていく。
二人が串刺しにされるのも時間の問題だ。
この間に抜け出せればよかったのだが、残念ながら抜け出す隙間が小さい。
小型のRSの芽衣機なら何とか通れる隙間だった。
「私はいいからさっさと逃げて、芽衣!」
「嫌だよ!お母さんも一緒じゃなきゃ―」
「わがまま言わないの!お母さん怒るよ!」
「ひっ!?」
滅多に怒らない由香子が大声を出して怒った。
そのあまりの迫力にたじろいてしまう芽衣。
「お願いだから…ね?」
消え入りそうな声で言う由香子。
つっかえ棒にしていた超電磁砲も限界で今度はRSの手で自ら支えている。
RSの両の手は串刺しになっていてオイルが血の様に流れている。
プレリュードシステムを全開にする為に京子は全力を込めて演歌「涙橋」を歌っていた。
その姿にマタニティは涙していた。
「ああ、あなたも母なのね…でも演歌はソンズに悪影響だわ。死になさい」
マタニティが力を込めようとしたその時である。
芽衣のRSのスピーカーから童謡が流れて来た。
芽衣の十八番「ほしのふね」である。
その可愛らしい曲と共に芽衣の機体は光り輝くとマタニティの体が鈍い音を立てて少しずつ開いていく。
マタニティの体は完全に開ききった、その瞬間芽衣は由香子のRSを連れて脱出した。
「潔く食われなさい!」
マタニティが天高く瞬間移動し今度は頭上から挟み込もうとしてきた。
「させないよ!」
芽衣が叫ぶとマタニティの動きが止まる。
そしてマタニティに向けて超電磁砲を天高く構える由香子のRS。
ドォン!
最後の一発を放った瞬間超電磁砲は爆発した。
運よく撃った由香子のRSは無事だった。
そしてその最後の一撃でマタニティはオイルを血しぶきの様に流して倒れた。
「ああ、愛しい子…どうか近くに…」
「……」
ソンズが無言でマタニティに近寄る。
「ははっ!ざまぁないね!僕は本当はロックが好きだったんだ。それをガキ臭い童謡ばかり聞かせて参っちゃうよ!それにそれに―」
「五月蠅い、このクソガキ!!!」
「え」
マタニティは残った力でソンズを挟み込んだ。
マタニティの体内からソンズの絶叫が聞こえる。
マタニティの体の繋ぎ目からはソンズのオイルであろう物が滴り落ちている。
こうしてマタニティとソンズは苦悶の表情を浮かべながら死を迎えた。
「お母さん、大丈夫?」
「大丈夫よ、それより椿の援護に向かわないと…」
「そんな体で無茶だよ!それに武器だって無いし…」
「私には歌があるわ。演歌がね」
「うん、分かった。でも芽衣も一緒に行くからね?」
本当の親子だったが歪んだ親子愛の二人に勝利した絆の親子<仲間>だった。
こうしてまたメメントが一体倒れた。
残りのメメントは後三体。
特にバイオリンとピアノが得意で演劇に負けない位に日々練習を重ねている。
ウ~!!!
アンドロメダ襲来のサイレンが鳴り響く。
「今度の敵は人型です!例のメメントって奴で…」
オペレーターのさやかが慌てて言う。
この間の初詣で見た六体のメメント達…未知数の力を持つ強敵が再び現れたのだ。
碌に準備もできていないのに出てこられたらさやかのように困惑するのも分かる。
京子は出撃用のトンネルに入るといつもの軍服風のパイロットスーツに着替えた。
そして司令部に到着する。
―エデン女学院・司令部
「今度の敵は強敵よ…それも全部同時に現れたわ」
京子が厳しい表情でレーダーの表示されたモニターを指さす。
「幸い敵機は各機離れているわ。割り振り通りに対応する敵機に対処して」
「了解!」
「あ、あの~私は?」
指示書に一人だけ名前の載っていないリリィが質問する。
「あなたの機体は調整中なの。準備が終わり次第合流して」
「わ、わかりました…」
皆と一緒に戦いたいリリィだったがそこはぐっと我慢した。
―東京某所上空
「やあキョウコ君、僕はシック。君の事を待ってたんだ」
「アンドロメダに名前を覚えられるなんて虫唾が走るわ」
「そんな事言わないでくれ、君の為に用意したんだよ。最高の舞台を」
縦長い角柱の様なアンドロメダはバイオリンの様な腕を構えるとクラシックの演奏を始めた。
それは素晴らしい音色で京子ですら聞き入ってしまう代物だった。
「やあどうだいこの素晴らしい曲は。それに対してこの東京と言う町は新しい物が多すぎる…美しくない!」
「どうやら曲に反して心は美しく無いようね」
「クラシックを愛する君なら分かって貰えると思ったのに、残念だ―」
ブスリ
「な!?」
ドカーン!
京子のRSの槍で胴体を串刺しにされたシックは大爆発を起こした。
手強いと思われたメメントだったがそうじゃないのもいるらしい。
そう京子が思い立ち去ろうとした時だった。
「まだ演奏は終わってな」
「そこっ!」
ブスリ
ドカーン!
京子のRSの槍が再びシックの胴体を貫く。
確かに倒したはずなのになぜ復活を?
そう考えてた矢先に次の展開は起こった。
「「「「まだ演奏は終わってなーい」」」」
今度は四体のシックが現れた。
シックは腕のバイオリンで演奏を始める。
今度は超音波の様な高周波の攻撃が繰り出される。
四方からの攻撃に京子は身動き取れないでいた。
「さあ、これでフィナーレだ」
シックの腕のバイオリンが変形して弓矢になる。
そして矢を構えると四方から発射しようとした…その時である。
「そこね!」
「ぐはっ!?」
京子の投げた槍が京子の上空に突き刺さる。
そこには透明化していた錆びた角柱状の機械があった。
モノアイが力なく動いている。
「な、なぜ分かった…」
「答えは単純。あなたの演奏が姿の見える方から聞こえてこなかったからよ。それに…」
「それに?」
「それに、新しい物を嫌うあなたが新しい体に乗り換えるなんておかしいと思ったのよね」
「最後はクラシックで倒してくれるか…」
「あなた達のやってきた事は許せないけど、同じ音楽を愛する者としてやってあげる」
京子はRSのスピーカーから悲しげで静かなクラシック曲を流すと再び錆びたシックに槍を突き刺した。
四方にいた分身達も力なく倒れ込んでいく。
「早く合流しないと」
京子は孤軍奮闘している仲間の元へ急いだ。
こうして一体目のメメントが倒された。
残るは五体だ。
―
「なんで芽衣だけおかあさんと一緒なの?」
「たまたまよ、たまたま」
「ぶー、芽衣一人で戦えるのに~」
不満を垂らす芽衣とそれを聞く由香子。
そして二人の前に処刑道具アイアンメイデンの様な大小のメメントが現れた。
「私の名前はマタニティ、この子の名前はソンズ…私の可愛い子供です」
マタニティと名乗った女性の声の大きい方のメメントはその巨体を半開きにした。
中には無数の針がある。
あれに挟まれたら串刺しになるだろう。
「さあそこの寂しそうなあなた、母の胸に抱かれなさい」
マタニティは芽衣に向かってそう言うと姿を消した。
「え!?どこに消えたの!?」
驚愕する芽衣。
マタニティは芽衣のRSの背後に突如出現し、その開いた体の中に芽衣のRSがおさまっていた。
まさに芽衣がRSごと串刺しにされようとしていたその時である。
「危ない!」
由香子は超電磁砲をつっかえ棒にすると一緒にマタニティの中に入った。
超電磁砲のひしゃげる音が聞こえ徐々にマタニティの体が閉まっていく。
二人が串刺しにされるのも時間の問題だ。
この間に抜け出せればよかったのだが、残念ながら抜け出す隙間が小さい。
小型のRSの芽衣機なら何とか通れる隙間だった。
「私はいいからさっさと逃げて、芽衣!」
「嫌だよ!お母さんも一緒じゃなきゃ―」
「わがまま言わないの!お母さん怒るよ!」
「ひっ!?」
滅多に怒らない由香子が大声を出して怒った。
そのあまりの迫力にたじろいてしまう芽衣。
「お願いだから…ね?」
消え入りそうな声で言う由香子。
つっかえ棒にしていた超電磁砲も限界で今度はRSの手で自ら支えている。
RSの両の手は串刺しになっていてオイルが血の様に流れている。
プレリュードシステムを全開にする為に京子は全力を込めて演歌「涙橋」を歌っていた。
その姿にマタニティは涙していた。
「ああ、あなたも母なのね…でも演歌はソンズに悪影響だわ。死になさい」
マタニティが力を込めようとしたその時である。
芽衣のRSのスピーカーから童謡が流れて来た。
芽衣の十八番「ほしのふね」である。
その可愛らしい曲と共に芽衣の機体は光り輝くとマタニティの体が鈍い音を立てて少しずつ開いていく。
マタニティの体は完全に開ききった、その瞬間芽衣は由香子のRSを連れて脱出した。
「潔く食われなさい!」
マタニティが天高く瞬間移動し今度は頭上から挟み込もうとしてきた。
「させないよ!」
芽衣が叫ぶとマタニティの動きが止まる。
そしてマタニティに向けて超電磁砲を天高く構える由香子のRS。
ドォン!
最後の一発を放った瞬間超電磁砲は爆発した。
運よく撃った由香子のRSは無事だった。
そしてその最後の一撃でマタニティはオイルを血しぶきの様に流して倒れた。
「ああ、愛しい子…どうか近くに…」
「……」
ソンズが無言でマタニティに近寄る。
「ははっ!ざまぁないね!僕は本当はロックが好きだったんだ。それをガキ臭い童謡ばかり聞かせて参っちゃうよ!それにそれに―」
「五月蠅い、このクソガキ!!!」
「え」
マタニティは残った力でソンズを挟み込んだ。
マタニティの体内からソンズの絶叫が聞こえる。
マタニティの体の繋ぎ目からはソンズのオイルであろう物が滴り落ちている。
こうしてマタニティとソンズは苦悶の表情を浮かべながら死を迎えた。
「お母さん、大丈夫?」
「大丈夫よ、それより椿の援護に向かわないと…」
「そんな体で無茶だよ!それに武器だって無いし…」
「私には歌があるわ。演歌がね」
「うん、分かった。でも芽衣も一緒に行くからね?」
本当の親子だったが歪んだ親子愛の二人に勝利した絆の親子<仲間>だった。
こうしてまたメメントが一体倒れた。
残りのメメントは後三体。
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