召喚魔法姫ユニ☆らぶ

蒼井肇

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第二十三幕 恋のデッドヒート?! 乙女の頭脳戦!! 露出なんてひどすぎるぅッ~?! それなら家に帰って寝たいぃ~、勇者ってたいへんだぁッ!!

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ゆーまたちは、あれからひたすら登り、丁度、真ん中の上くらいまで来ていた。


「ふぅ、やっと、中継場所まで着いたな」


「疲れたダスー。 高いダスなぁ~!」


「ほんとだな、さっきいた所があんなに下だもんなぁ~」


そういい、ピットとゆーまは、手で光を隠しながら、登ってきた道を俯瞰(ふかん)する。一望千里という光景だ。


「先輩、ここは、草履落とし階段ですよ」


あいちゃんが、草履を指さしながら、嬉しそうに言う。


ゆーまが、あいちゃんの方を振り向いた。


「んぅ? あぁ、なるほど、だから、こんなに、あちらこちらに、草履、落ちてるんだな」


草履が置かれているのを見遣り、ゆーまは、草履を踏みそうになりながらも、目的のものを探そうとする。ピットも後ろをついてくる。


「せ、先輩、あたしもさっきの販売所で草履を買いましたから。目の前に落ちてるのユニさんたちのと、一緒に拾って行ってくれたら、嬉しいですぅ」


あいちゃんは、目を手で押さえ、恥ずかしそうな顔で言う。


「ん、おん。まぁ、いいけど。多分、ユニやリンのも拾わないといけないしな。な、何だ、やけに名札まで貼って、拾ってくださいと言わんばかりのがある……」


目の前にリンと名前が書かれた草履が落ちていた。他にも、何やら小言が書いてあった。ゆーまは、一瞬、躊躇(ためら)う。


「よし、もう一息!」


リンは、木陰でニヤリと笑い、ガッツポーズを取る。


「ず、ズル~い。リンちゃん、名前、書くなんて!」


「へへん、ユニは、おつむないね。恋は、頭脳戦なのよ!」


「もう、何よ、恋は、気持ちの問題だもん」


「あんたのことなんて、ゆーま嫌いなのよ。世界で一番、あたいのことが好きなのよ」


「そんなことないもん。ゆーま、ユニに優しいもん。許嫁だもん」


必死にユニは、言い返す。だが、リンも負けてはいなかった。


「誰が許嫁(いいなずけ)なんて決めたのよ、そんなもん、撤回してあげるわ」


「むぅ~」


ユニは、ムキになって怒る。木陰で、どっちも譲らない必死の攻防が続いていた。


「ひ、拾わないと火傷するよって、そんな、どうしよう」



草履を拾い、ゆーまは、草履を顔に近づけて、貼られていた文字を読む。リンは、攻撃的なことを書いていた。


木陰でリンの目が、キラーンと光る。


「何よぉ、あんなの脅迫じゃない!」


「へへん、恋は頭脳戦よ、頭脳戦!」


「むぅ!」


嫉妬バトルが、木陰でひたすら続いていた。


「(恐らく、下手な字で書いてあるけど、リンだ。後が怖い……)」


ジト目で、下手な字をゆーまが、見遣った時だった。ゆーまに異変が起きた。


「(がぁ、なんだぁ、か、身体(からだ)が、可笑(おか)しい!)うぅ……」


どうしたのか、ゆーまは、急にその場に蹲(うずくま)った。


「せ、先輩、どうしたんですか? 体の調子が、可笑しいんですか?」


あいちゃんが心配そうに、ゆーまの方へ、駆け寄る。ピットも同時に動いた。


そして、ムクっと笑顔で、ゆーまは立ち上がった。


「ユニぃ! 俺の大好きなユニは、どこにいるの? 出てきてくれよぅ♡」


なんだ、様子が、可笑(おか)しい。ゆーまが、ニヤケ顔で突拍子もないことを言い出した。


「やったぁ。やっと、効いてきたわ」


「ユニ、あんた、魔法で何かしたね! 反則よ!」


「ユニ、しらなーいもん」


「ずるいわよ、魔法、使うなんて」


「魔法じゃないもん。魔法アイテムだもん」


ユニの作戦が成功し、ボロっと口を滑らした。


「(ハッ)さっきの飯の時だね。あんた、計算して、何か入れたね!」


「バレちゃったぁ。『魔法のシュガー』っていって、食べたら好きな人を惚(ほ)れさせることができる
の。だけど、効力は、十五分間だけなの。おつむがないのは、リンちゃんの方よ」


ユニは、えへんと胸を張って、リンに言い返した。リンは、ムムムと悔しそうな顔をする。どっちの作戦もセコイ気がするが。


「な、何ぃ? じゃぁ、その十五分間の内に、恋寺にゆーまが参拝すれば、結ばれるってこと?」


「そういうこと!」


ユニは、毅然(きぜん)とした姿勢で言った。そして、何やら言い出した。


「ピクニックって聞いてたから、事前にゆーまんちの本で調べてたの」


「ゆーま、そんな恋の本、持ってたのか! くそぅ、あたいのも拾え!」


悔しそうに舌打ちし、リンは、木陰から身を乗り出し、必死に言う。ゆーまは、ユニのことで目が♥になっていた。


「違うよ、ゆーまのお母さんの部屋で、掃除していて見つけたの」


「あたいの創造主の部屋からね、創造主も結婚しても乙女だねぇ」


リンが、ゆーまのお母さんを思い浮かべながらヘイヘイと、皮肉っぽくいう。何を想ったのか、リンは、不敵な笑みを見せた。


「仕方ない、あのまま、登られたら、負けだからね。最終手段を使わせてもらうよ」


「?」


リンの言動に懸念して、ユニの顔色が、変わった。


「魔導語よ! 所謂(いわゆる)、テレパシーみたいなもんよ! あたいが、出て止めちゃ、ものになんないから、あたいの猫を使わせてもらうよ!」


そういい、リンは、瞳をゆっくり閉じた。


「(アエリア、アエリア! 聞こえる?)」


「(な、何だ、リン? 魔導語を使うってことは、何か、用か?)」


「ゆーまが、今、ユニの魔法アイテムで、ユニに惚(ほ)れてるから、このまま寺に行かせるわけにはいかないのよ。だから、効力は、十五分間だけだから、その間、死んでも、止めな! ゆーまを参拝させるんじゃないよ。足に縋(すが)りついてでも、止めな。でなきゃ、あんた焼いて食うからね、死ぬよ」


「(うぅ、また、酷(こく)なことを言うな。なるほど、この変わりようは、ユニ殿の惚れ薬か。分かった、精一杯やってみる)」


アエリアとリンの、秘密の黙秘トークが続いた。二人とも、魔導語で瞳を閉じ話を進めた。
が、当の本人はというと……


「ユニは、恋寺にいるのかぁ! 今、行くよぅ♥」


手を前にだし、目が♥で恋寺の方へ、ゆーまは走り出した。


その瞬間、アエリアが動いた。


「ま、待て、ゆーま殿!」


「わ、こけるぅ!」


ドスン!


何と、ゆーまの体にアエリアは、自らダイブし、ゆーまの体毎(ごと)、地面にこかした。ゆーまは、仰向けにこけ、反動で顔を地面で打った。


「いてーじゃねーかよ。は、離せ、何するんだ、アエリア!」


「すまぬ、こっちは、死んでも離せないのだ!」


押し合い、二人の啀(いが)み合いが続いた。アエリアは止めないとリンに殺されるため、必死の形相だった。


その時だった。悲劇は起きた。


「きゃぁ、お、お尻……」


あいちゃんが、赤面で顔を手で隠している。だが、指の隙間から、ゆーまの禁止部分を見ていた。


「ぎゃぁ、お尻の穴がぁ! あぁ、な、何すんだ、アエリア! 下半身、丸見えじゃねーか!」


「すまぬ、こちらは、死活問題なのだ。許してくれ!」


ゆーまが、必死に手でお尻の穴を隠し、アエリアをもう片方の手で、引き離そうとした。しかし、アエリアは、離れなかった。アエリアは、最後の手段に出た。


「魔法杖ガピコンアタック!」


こつん!


「ぎゃ!」


アエリアの魔法杖の攻撃で、ゆーまは、意識を失いその場に倒れた。


「ふぅ、気を失ったか。どうにかこれで、十五分間は、大丈夫だな! 手荒なことをしてすまぬ」


アエリアは、気の毒そうな顔をし、額の汗を手で拭(ぬぐ)った。


「あはは、ユニ、残念だねぇ~。あれじゃ、効力中は起きないねぇ」


「むぅ、もう、ゆーまは、あたしのもんだもん」


「さぁ、どうだかねぇ、あたいに惚れてるよ」


「許さないもん」


「気を失ったついでに、あんたの草履処分しといてあげるよ。炎魔法『ファイアボール』」


ビビビ!


なんと、リンが炎の魔法を使い、炎の玉が見事にユニの草履にあたり、燃え尽きて消えた。


「あぁ、そんな、あたしの草履を燃やすなんて、酷(ひど)いよぉ!」


ユニが、悔しそうな顔をする。


「恋に敵も味方もないんだよ」


「じゃぁ、あたしにも考えがあるもん」


「魔法アイテム、『マジカルストッカー』」


ユニがそういうと、同時に魔法球から、蓄音機なようなモノを取り出した。グルグル回るレバーがあった。


「リンちゃんの草履よ、阿蓮姫の草履になれぇ~」


マジカルストッカーから、ユニの声を取り込んで魔法化した音声擬態が、草履に向けて発せられた。それは、見事にリンの草履にあたった。ゆーまは、まだアソコ剥き出しで、倒れている。あいちゃんは、赤面で後ろを向いていた。


「な、なにぃ~、あたいの草履が、代わっただとぉ~」


何と、リンの草履が、全く別の草履に変わっていた。リンの開いた口が、閉まらなかった。


「リンちゃん、残念だったね、草履は、一足しかルールで置けないし、このマジカルストッカーは、言ったことをほんとにして、具現化することが出来るの。あの草履は紛れもなく、阿蓮姫の草履よ」


ユニは、えへんと可愛くいう。


「自分のが、出せないから、昔の伝説の人のを使うなんて、まったく、くそぅだねぇ」


「姫様に不可能はないのじゃ!」


ラクリが、一部始終を見ていたのか、割って入ってきた。


「よく言うよ」


こりゃりゃと、リンが、お手上げのジェスチャーをしながら言った。


ゆーまは、禁止部剥(む)き出しで、まだ倒れていた。階段で下半身露出とは、学生といえど、ホントならセクハラ容疑で逮捕ものだ。





☆☆  ☆☆

こんばんは。
おつかれさまです。
何回も見てくださっている読者さまには感謝です。
ほんとにありがとうごうざいます。
応援よろしくお願いします。
魔双戦記はこってりしたファンタジーです
こころこころの方はナポレオン好きな人は面白いかと。
興味があればのぞいて行ってみて下さい。
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